え? 「汚いイメージ」しかないけど。
三股不倫とか、逢瀬で使った高級ホテル代を政治資金から支出していたり。

 

国民も舐められたものだ…ボロが出ないうちに解散し逃げ切りという自民党の卑しい魂胆
■同じ手は通じないぞ
 解散総選挙の直前に華々しく総裁選を行い、トップをすげ替えれば選挙に勝利する──。自民党には「成功体験」があるのだろうが、また同じ手が通用すると思ったら大間違いだ。さすがに、こうした戦術には国民も既視感があるのではないか。

 

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
 「自民党が本当の意味で国民の信頼を取り戻すためには『政治とカネ』の問題に切り込むしかない。信頼を失った原因は、『裏金づくり』を発端とする政治とカネの問題にあるからです。なのに、驚いたことに、総裁候補として11人もの名前があがりながら、誰一人、政治とカネについて抜本策を打ち出そうとしていない。1人くらい『企業献金の禁止』や『政治資金パーティーの禁止』『政策活動費の廃止』を掲げてもいいのに、誰も口にしない。騒動の時も口を閉ざしていたし、総裁選が始まった後も訴えない。これでは、刷新もなにもないでしょう。出馬会見で『自民党は生まれ変わることを証明したい』と強調した若手の小林鷹之議員でさえ、裏金事件の実態解明について『党の調査には限界がある』と消極的な姿勢を示し、裏金事件で処分を受けた安倍派議員のことを『処分を受けた方も一人一人は優秀だ。挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい』と擁護する始末です。総裁選に11人が名乗りをあげ、一見、自民党は多種多様、人材豊富に見えますが、『政治とカネ』の問題を見る限り、ほとんど違いがない。全員、同じ穴のムジナです」
 総裁選の構図も、進次郎の後見人は菅義偉元首相、小林鷹之のバックには甘利明前幹事長がいるなど、一皮めくれば旧態依然である。

 

 

 

 

政策より政局が重要なワケ
誰が勝っても傀儡政権!
各候補が唱える政策は実現しない!
麻生vs菅の権力闘争の政局分析なしに政策の方向性は見えない 

 

 

 

 自民党の総裁選が9月12日告示、27日投開票される。新総裁には裏金事件などで失った信頼の回復につなげることが求められそうだが、ふさわしい人物はだれなのか。AERA dot.が緊急アンケートを行ったところ、2000件近い回答があり、それぞれ選んだ理由も示してもらった。ただ、全体の4.2%は「ふさわしい人はいない」と回答した。

 

 *  *  *

 アンケートは8月15日から18日に実施し、AERA dot.のニュースサイトやSNS、メルマガなどを通じて募集した。回答数は1939件と短い期間ながらも多数集まり、関心の高さがうかがえた。回答者の内訳は、男性が68.6%、女性が28.8%、その他が0.2%、回答しないが2.2%だった。

 設問は3問。「自民党にとって次の総裁にふさわしいのはだれか」を選択式、「その議員を選んだ理由」「自民党に求めることはなにか」をそれぞれ記述式で尋ねた。

 さっそく5位から紹介していく。

■5位は河野太郎デジタル相、4位は…

 5位は河野太郎デジタル相(61)で94票だった。前回の総裁選では決選投票で岸田文雄首相に敗れたが、人気の高さがうかがえた。岸田政権では、デジタル相として進めたマイナンバーの政策で国民の反感を買った。

 とはいえ、選んだ理由のなかには「斬新なアイディアを出してくれそう」(40代・女性)や「日本のデジタル化を推進してくれたから」(60代・男性)などがあり、デジタル関連で評価する声があった。

 4位は前経済安全保障担当相の小林鷹之氏(49)で128票。当選4回の若手で、19日にいち早く出馬会見を開き、「脱派閥選挙の徹底」を掲げて党勢回復に取り組む姿勢を強調した。アンケートでも、「新鮮味、刷新感がある」(50代・女性)、「若いしあまり自民党ぼくないから」(40代・男性)など、若さと新鮮さに期待するコメントが多く寄せられていた。

 

■進次郎氏は「自民党のイメージを変えてくれる存在」

 3位に入ったのは、244票を集めた元環境相の小泉進次郎氏(43)。年代別で10~30代の投票が最も多く、若い世代からの人気の高さが目立った。前回の総裁選は河野氏の応援にまわったが、今回は立候補の意向を固めたようで、その動きに注目が集まっている。仮に総裁になった場合は、最年少での首相が誕生することになる。

 選んだ理由では「知名度が高いから」(30代・女性)、「若いし、有名だし、党のイメージが替わる」(70歳以上・女性)、「派閥解消の象徴だと思うし、党の世代交代が必要だから」(50代・男性)」と幅広い世代から若さと変革を期待するコメントが多くみられた。「一番汚いイメージがない」(40代・男性)という記述もあった。

 小泉氏について政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「自民党の表紙替えの象徴的な存在」と語る。「信用が地に落ちている自民党のイメージを変えてくれる代表的な存在です。若さと、爽やかな風貌が国民人気を支えているのでしょう」と話す。

 しかし、伊藤氏は一方で、小泉氏の総裁としての手腕については、

 「実績として打ち出せるものは何かと問われると思いつくものはありません。政策もよくわからず、はっきりとしない。政治家との討論番組に出たことがないので、ほかの政治家と渡り合うことができるのか、危うい。イメージとしての刷新感はあるかもしれないが、実際に刷新できるのか、経験や実績を鑑みると能力的には疑問です。若い頃からチヤホヤされ、政治家としてちゃんとした実力をつけられなかった」と手厳しい。

 さらには、「彼を持ち上げるとすれば、知名度を利用し、党の顔を作ろうとすること。自民党のベテランや、“腹黒い連中”のオモチャにされようとしているようにしか見えません」と指摘した。

 小泉氏の出馬は総裁選にどう影響するのか。

 伊藤氏はこう見る。

 「若さ・刷新感・さわやかさなど、小林氏と被るポイントが多いです。そうなると、分があるとすれば知名度で勝る小泉氏が勝つでしょう。特に地方票は如実に表れてくると思います。党の“腹黒おじさん議員”たちからしても、国民人気の高い小泉氏を前に出す方が、党の支持率回復策としては有効だと思っているはずです。割を食うのは小林氏。本来取れたはずの票が取れなくなるわけですから」

 良し悪しは置くとして、小泉氏の動きに多くの国民、議員が注目しているのは間違いないようだ

 

■2位には「圧力に負けなさそう」なあの人

 次に、アンケートの2位は、409票を集めた高市早苗・経済安保担当相。高市氏といえば、AERAdot.が今年1月に行った「549人が選んだ『次の首相になってほしい女性政治家』ランキング」では、大差をつけて1位だった。

 今回のアンケートのコメントには、「強い日本に導いてくれそう」(50代・男性)、「国会答弁でも理路整然と論破したり、英語も堪能、その時々で臨機応変に対応出来る能力があると思うから」(70代以上・男性)など、国力・国益を重視する姿勢や、誰に対しても物怖じせず、はっきりと対応する点などを挙げて高く評価する声があった。

 前出の伊藤氏は、高市氏がアンケートの上位に入っていることに驚いたという。

 「自民党が変わるには男性ではなく、女性政治家が必要だ、と国民が考えているのではないか」

と分析したうえで、こう語った。

 「高市氏は、精神的にはとても“タフ”な政治家だと思います。いわゆる安倍政治の継承を声高に叫び、保守系政治家の中心にいる、居続けようとする気概がある人です。そのような意味で、自民党の男性議員たちに負けない強さというのは、ほかの政治家にはないところだと思います」

 アンケートの選んだ理由でも、「周りの圧力に負けず、自分の意見をきちんと答弁している」(40代・女性)、「保守として一番信用できそうだから」(70代以上・女性)など、保守派としての期待や、周りに流されない芯の強さを評価するコメントが目立った。

■1位はやはり、「カネ」の匂いがしない石破氏

 そして2位の高市氏に200票以上の差をつけてトップとなったのは、根強い人気を誇る石破茂氏(67)だった。票の内訳では、40~70代以上の票が最も多く、男性票もさることながら、女性にも人気の高い小泉氏に50票以上の差をつけてダントツの1位だった。

 選んだ理由のコメントを見ると、「偏りのない自由民主党を作ってくれると思う」(50代・女性)、「政治を真摯に遂行してくれると思うから」(40代・女性)、「他の政治家と比べ誠実そうです。現状を打破してくれそう」(60代・男性)など、裏金問題などこれまでも繰り返されてきた「政治とカネ」の問題を感じさせない点などが評価されているようだ。

 石破氏については、各社の世論調査などでもトップの人気を誇るが、国会議員からの人気が低く、これまでの総裁選も国民的な人気は圧倒的に高くても勝てない状況が続いてきた。

 こうした石破氏の置かれた状況について伊藤氏は、

 「安倍政権が発足して以降は特に顕著でしたが、安倍政権に対して鬱屈したものが国民の中にも蓄積している状況で、ただ一人、政権にものを言い続けた。自民党議員への不満が再燃していても、『石破さんならば自民党のイメージを変えてくれる』という期待感が強まっているのだと思います。それは、国民も、刷新を望む自民党議員も同じような気持ちで石破さんに期待していると思います」

との見方を示し、こう続ける。

 

■国民が求めるのは「裏金問題」の完全決着

 「今回の総裁選では、地方票と国会議員票が同時に開きます。石破さんは、決選投票まで持ち込み、地方票で圧勝することが勝利の方程式なのではないかと思います」

 アンケートの「自民党に求めることはなにか」という質問への回答も紹介しておく。

 「政治資金の透明性」(20代・女性)、「政治家のための政治ではなく、国民の為の政治をしてほしい」(50代・男性)、「一度政治家として基本に立ち返って、利権を追い続けるのはもうやめて」(60代・女性)、「古い体質からの脱却」(70代以上・男性)と政治の変革を求める声がほとんどだった。

 伊藤氏は、今回の総裁選の争点に「裏金問題の決着」を挙げる。

 「1996年のリクルート事件のときは、政治全体を見直す形でさまざまな改革に取り組んでいましたが、今回は政治資金規正法の改正だけに矮小化されています。せっかく腐った政治から脱却するチャンスなのに、変わるものが少なすぎる。誰が総裁になろうとも、裏金問題に対して国民が納得するような形で処理するということが大事だと思います。これは政治家だけでなく、報道するマスコミにも言えることです。国民投票がないため、勝ち馬予想に終始しがちですが、争点となっているものをしっかり報道し、政治家にプレッシャーをかけてほしいです」

 今後の動きとしては、石破氏が24日、河野氏が26日に、林芳正官房長官(63)は27日にも、出馬を正式表明する方向で最終調整に入ったという。

(AERA dot.編集部・小山歩)