誰もいなくなった…斎藤元彦は裸の王様。一緒に甘い汁を吸っていた維新までは袂を分かつ!

 

兵庫県議会の特別委員会で、不在となった副知事、理事、総務部長らに代わって答弁をする服部洋平副知事(中央)=神戸市中央区の県庁で2024年8月1日午後2時8分、中尾卓英撮影(毎日新聞)

 

 兵庫県は1日、井ノ本知明総務部長が7月30日から病欠していることを明らかにした。斎藤元彦知事の側近の一人で、知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題の対応などにあたってきた。同31日付で辞職した片山安孝元副知事、体調不良で降格を申し出た小橋浩一前理事に続き、3人の幹部が現場を離れる事態となった。

 

 服部洋平副知事が1日、県議会県政改革調査特別委員会で「体調不良で当面出勤が困難。委員会へ出席できる状態でない」と説明した。服部副知事は取材に「3人が担当してきた業務への影響が出ないよう、関係部長と県政を前に進めていく」と語った。

 井ノ本氏は県庁舎建て替えや県立大無償化など、重点課題を担当する。7月に死亡した元西播磨県民局長が作成した文書では、前回知事選で事前運動に関与したなどと指摘されたが、県は内部調査で否定している。【中尾卓英、山田麻未】

 

 

ついに維新も見放す?パワハラ疑惑の斎藤兵庫県知事 「だれのおかげで当選したんや」と怒らせた原因

 
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 職員へのパワハラなど数々の疑惑が浮上している斎藤元彦・兵庫県知事がさらなる窮地に陥っている。辞職を求める包囲網が狭まりつつあるなか、唯一の救いである“県政与党”の維新からも不評を買い始めているのだという。原因は「空飛ぶクルマ」や「ドローン」。維新はこれを大阪・関西万博の目玉事業に位置付けているのだが、斎藤知事がこうした動きに水を差す言動をしたのだという。

 

 斎藤知事は2021年の知事選で、保守分裂した自民の一部と維新の推薦を受けて初当選、両党の支えを軸に県政を運営してきた。今年3月、元西播磨県民局長(故人)が、パワハラなど斎藤知事にまつわる7項目の疑惑を告発。元県民局長の内部告発を十分に精査せず、懲戒処分を出したことで県議会に特別委員会(百条委)が設置され、疑惑の解明にあたっている。

 アンケートなどによって斎藤知事のパワハラ事例が次々と明らかになり、与党の自民党が既に離反、県連大会などで公然と辞職を求める発言がでた。

 一方、維新は擁護一辺倒だった。最近になり吉村洋文・大阪府知事は斎藤知事の疑惑について「真実はどうなのか。そこをまずはっきりさせることだ」と言いつつ、「(維新の県議たちは斎藤知事を)かばうとかは絶対にダメ」と厳しめな姿勢に転じている。

 そんな頼みの綱の維新を怒らせている原因は、元県民局長が百条委に提出した陳述書。そこにこんなくだりがある。

〈知事は周囲に「ドローン事業がすごいストレスだ」と公言していた。令和4年12月19日に開催したドローンシンポジウムの場において突然(斎藤)知事からドローン事業の見直しを示唆する発言があり、現に令和5年度限りで明確な理由なく事業廃止となった>

 そこで問題のシンポジウムにおける斎藤知事の発言をチェックしてみると…

〈民間のスタートアップ(企業など)は最終的にはマネタイズして、持続可能な経営につなげることが大事。本来、スタートアップであれば投資とか、ファンドを活用していただきながら、やっていくのがあるべき姿。これまでの実績や取組を一度、検証して、民間と行政含めてどこまでどうやるべきかを一度、考えてみることも大事」

 

 大阪府も兵庫県もこれまで、万博を見据えたうえで、空飛ぶクルマ、ドローン計画は行政主導で展開してきた。だが、民間を強調する斎藤知事の発言は維新の方針を否定しかねない内容だというのだ。

 大阪維新の会所属の府議は憤る。

「いったい誰のおかげで当選したんや。誰がサポートして、今、兵庫県知事の座に踏みとどまっているのか。わかってへん」
 

■空飛ぶクルマは一発逆転のネタ

 来春開催の大阪・関西万博は、維新にとって一大政策となる。しかし、ガス爆発や工期の遅れ、海外パビリオンの撤退などでマイナスイメージが大きくなり開催にこぎつけられるのかさえ、微妙な状況だ。

「万博でヤバそうなニュースが流れるたびに、世論調査の支持率が減っている感じがする。それを一発逆転できる数少ないネタが、空飛ぶクルマなのです」(前出・府議)

 国際博覧会協会の副会長でもある吉村洋文知事はこうPRしていた。

「空飛ぶクルマといって、大阪のベイエリアを普通の自転車のようにグルグルまわっているのを万博でやります」

 陳述書の内容とは裏腹に、斎藤知事は県議会ではむしろ空飛ぶクルマに前向きな姿勢を見せている。

「空飛ぶクルマにつきましては、万博開催時の県内飛行の実現に向けまして、来年度、次世代空モビリティひょうご会議(仮称)を設置して、社会的な受容性を高めていくということをしてまいります」(2023年2月22日県議会)

 万博開催時に合わせて兵庫県でも空飛ぶクルマの離発着場を尼崎市に整備したり、空飛ぶクルマ実装促進事業として補助金事業も実施している。

 「二枚舌」にも映るこの対応の違いはどういう事情なのか?

 元県民局長が亡くなる直前まで連絡を取っていた県幹部が明かす。

「維新との関係もあり、斎藤知事はドローン、空飛ぶクルマに積極的でした。後ろ向きになったのにはパワハラが背景にあります」

 この幹部によると、県にはA氏というドローンや空飛ぶクルマに詳しい職員がいる。シンポジウムがあれば、まずA氏に声がかかるといい、マスコミのインタビューにA氏が登場することも少なくないという。

 

「斎藤知事は、A氏がいることで自分が目立たないからとドローンを後退させているのです。また、ドローン事業は、斎藤知事の前任の井戸敏三氏がいきなり数千万円という予算をつけたことがきっかけで全国で先頭を走ることになりました。斎藤知事は井戸氏の功績を全否定してきました。ドローン、空飛ぶクルマの成功が、井戸氏の手柄になりかねないことに我慢ならなかったはずです」
 

■「聞いてない」と激怒

 A氏がメディアのインタビューでドローン事業の推進について語った記事を斎藤知事が読んだ時だった。

「こんな記事、知事が知らなかったのはどういうことだ」

と激怒したという。

 ある県議はA氏についてこう内幕を話す。

「みんな斎藤知事のパワハラをびびって反論しない。だがAは仕事に誇りを持っており、できるヤツ。斎藤知事を恐れることなく意見を言ったことで、異動させられたと聞いた」

 元県民局長の陳述書にも、ドローン関連事業が停滞し、知事の意向が確認できず、会議も理由なく開催されなくなったとの指摘がある。

<A氏の判断により何とか次年度事業の立案・調整を進めることができたが、その結果、空飛ぶクルマの新規事業については、ほぼ調整が終わった1月中旬になって、知事から「聞いていない」「勝手にやるな」と叱責を受けることになった>

 前出の大阪府議は、陳述書を読んでひっくり返るほど驚いたという。

「空飛ぶクルマ、ドローンが万博でどれほどバズるか、人気を博すかで、維新の命運が大きく変わる。吉村知事も、空飛ぶクルマを否定しかねない斎藤知事の姿勢に不満をもっている」

  そしてこう続ける。

「あの陳述書で、斎藤知事が維新の政策を否定していることがはっきりした。斎藤知事のおかげで、維新のイメージは地に落ちつつある。大阪では、斎藤知事退陣論があちこちから出ている。ここまでくれば、吉村知事も斎藤知事を見放すタイミングなのではないか」

(AERA dot.編集部・今西憲之)