役員報酬1億円超1106人

株主配当は10%増

平均賃金2.2%しか増やさず

上場企業23年度 日本共産党政策委集計

 
23年度、上場企業で1億円以上の報酬を受け取った役員は少なくとも501社1106人に上る。
それらの企業では純利益が増えるのに従い株主配当も10%増となる一方、平均賃金は2.2%の増にとどまった。3.5%の物価上昇に追い付かない。大企業の利益は、働く者の手にわたっていない。
 
 
 2023年度に報酬1億円以上を受け取った上場企業の役員は少なくとも501社の1106人にのぼり、有価証券報告書での個別開示が義務付けられた10年度以降で最多となったことが、日本共産党政策委員会の集計でわかりました。報酬1億円以上の役員は22年度比で少なくとも112人増え、初めて1000人を超えました。

 報酬1億円以上の役員がいる501社のうち、新設・新規上場のため前年度との比較が困難な企業や従業員0人の純粋持ち株会社を除く496社の連結当期純利益は、22年度の39・1兆円から23年度の43・1兆円へ4兆円(10・1%)も増加。株主配当も13・7兆円から15兆円へ1・4兆円(10%)増えました。

 他方で有価証券報告書から算出した496社の賃金総額は、同じ期間に12兆4273億円から12兆8236億円へ、0・4兆円(3・2%)の増加にとどまりました。従業員数が1%増加した影響もあり、496社の従業員1人あたり平均賃金は811万円から829万円へ2・2%しか増えませんでした。実質賃金の計算の基礎となる「持ち家の帰属家賃を除く総合物価指数」は23年度に3・5%上昇したため、2・2%の賃上げでは物価上昇に追い付かず、実質賃金はマイナスになりました。

 日本共産党の田村智子委員長は13日の党創立102周年記念講演で、トヨタ自動車の23年度の利益が5兆円にのぼり、2兆円を株主配当や自社株買いに回して豊田章男会長の報酬を6割増額した一方、賃金総額は46億円(利益の0・09%)しか増やさなかったと指摘しました。巨額の利益をあげながら株主配当と役員報酬ばかりを増やし、賃金を抑え込む同社の傾向は、日本の上場企業全体にみられることがわかります。