「万博大赤字になるけど見逃せよって事?」吉村洋文知事、大阪府“大幅黒字”アピールも止まぬ辛辣皮肉

 
維新は支持者も含め、「差別と分断」を容認する冷酷な組織である。
 
 
大阪の経済好調をアピールした一方、万博の赤字負担者は「決まっていない」と述べ、国民を唖然とさせた吉村洋文知事

吉村洋文大阪府知事のドヤ顔が目に浮かぶようである。

このほどまとめられた大阪府の「令和5年度 普通会計決算見込み」によれば、府の実質収支が155億円となり、16年連続の黒字だった。このことを受けて吉村知事は、7月24日、自身のXに《令和5年の実質収支は155億円の黒字でした》《財政調整基金(地方自治体の貯金のようなもの)は、橋下府政以前の平成19年は13億円しかありませんでした。その後、貯金を増加させ、令和5年度末現在、財政調整基金の残高は、2262億円となりました》とポスト。
 
さらに、公約にしていた「高校授業料の完全無償化」「うめきたや森之宮、大阪ベイエリア等の府市一体の成長戦略の実行」などの実績も強調した。

「吉村知事はよほど嬉しかったのでしょう。このポストの全文字数は672文字にも及び、わざわざ文頭に『長文注意』、文末には『Xに相応しくない、長文失礼しました。』と記していました。

大阪の経済は今年に入っても好調です。特に円安を追い風にしたインバウンド(訪日外国人)客の消費額が突出し、2023年は過去最高となる9210億円。今年はさらに増えることが確実視されています。

2022年に1235万人の入園者数を記録、世界3位になった『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』もさらなる集客が期待できますし、大阪市内のホテルの稼働率も高止まりしています」(週刊誌記者)

そしてポストの後半では、《万博ですが、あと9ヶ月後に開催です。課題や批判を受け止め、改善しながら、160ヵ国の国々と共に、未来社会の羅針盤といえるような素晴らしい万博を実現できるよう、頑張ります》と決意を新たにしていた吉村知事だが、Xでは辛辣な意見、皮肉のオンパレードだ。

《大阪を変えてくれたのは感謝しかないですが、万博はいらないですね》という「それとこれは別物」の声から

《よかった 大阪万博赤字になっても、補填してもらえるお金ありますね!》といった皮肉、《どうせ万博の赤字の補填で消える。それが自慢や手柄になるのか?》

《万博大赤字になるけど見逃せよって事?》など流用を心配する書き込みもあった。

7月15日放送の『モーニングショー』(テレビ朝日系)で、万博の赤字分の負担について「(誰が負担するのかは)まだ決まっていないんです」と答え、国民を唖然とさせた吉村知事。そうした「詰めの甘さ」も、国民の疑念を招く元凶になっている。
 
 

「資料出せへんてありえへん」「なにへらへら笑ろとんねん」維新の議員らが職員を『大声で罵倒』 初の「懲罰委員会」設置で処分検討 大阪・四條畷市 

 
大阪府の四條畷市議会で、大阪維新の会の市議などが職員に対して暴言を発したとして、懲罰委員会が設置された。 四條畷市議会で懲罰委員会が設置されたのは初めてだ。
 
■維新の市議が職員を大声で罵倒「出せへんてありえへん」
 

7月10日、四條畷市議会の公共施設の再編を審議する委員会で、大阪維新の会の坂本勇基市議が市の職員に対して要求した概算についての資料が提出されなかったとして、「出せへんてありえへん」「民間なら出さなあかん」などと、職員を大声で罵倒するような発言があったということだ。

■「なにへらへら笑ろとんねん」などと他の市議も発言
 

 
一連の発言があった際に、なわて葵風会の渡辺裕市議も職員に対して「なにへらへら笑ろとんねん」などと発言。

これを受けて12日、7人の議員が議長に対して懲罰動議を提出し、23日四條畷市議会として初めて、懲罰委員会が設置されることが決まった。

■懲罰委員会で処分の対象になるか検討
23日の臨時議会で、渡辺市議が謝罪した一方、坂本市議からの謝罪はなかったということだ。

四條畷市によると、来月、懲罰委員会が実施され、事実の確認をしたうえで、処分の対象となるかどうかなどについて検討するということだ。
 
 

日本はなぜここまでおかしくなったのか? そのシンプルな理由【適菜収】

 
 
■「日本ってこんな国だったっけ?」
 

 最近、かなり疲れてきた。毎日、暑いし。かといって絶望するわけでもない。今さら絶望するほど、おぼこでもない。日本が完全に狂い始めたのは、正常な人間なら誰もが気づいているが、小手先の対応でなんとかなるようなものでもない。

    *

 ぬるい浴槽のある銭湯によく行くが、変な客もいて「日本ってこんな国だったっけ?」と思うことが多い。浴槽で顔や頭を洗ったり、タオルを入れたり、ひどいのになると濡れたタオルを絞ったりする。子供が浴槽で泳いだり、潜ったりしているのに、目の前にいる親は注意をしないどころか一緒になって遊んでいる。脱衣所どころか浴槽でスマホを使っている奴もいた。老人のマナーもひどい。あまりにもひどい奴には注意したこともあるが、そいつが仮に反省しても、次から次へと変な客が湧いてくるし、逆切れされるケースもあるので面倒臭い。かといって、見て見ないフリをするのも精神的に疲れる。

    *

 脱衣所に店員の若者がいたので、「顔や髪の毛を浴槽につけるな、タオルを浴槽に入れるな、浴槽で泳ぐなという注意書きの張り紙をしたほうがいいんじゃないかな」と言うと、その後、新しい張り紙があった。その店員の対応は素晴らしいが、問題はその後である。たしかに浴槽で泳ぐ子供は減った気がする。気になったのは、父親が子供に「ここで泳いではだめだよ。あそこの張り紙に書いてあるだろ」と注意していたこと。

    *

 モラル、公共、マナーの問題ではなく、「張り紙に書いてあるから」という理由で禁止するのは、逆に言えば、「張り紙に書いてないことはやってもいい」という発想につながる。既視感があったが、「法律で禁止されているわけではない」と言いながら、グレーゾーンを利用して汚いことを続ける連中だ。こうした連中の台頭も、国の衰退と密接な関係がある。

    *

 4月30日、日本維新の会の愛知県総支部がおかれるビルに、裁判所の「ガサ」が入った。ガサ入れを行うのは基本的に警察や検察であり、裁判所によるガサ入れは異例だという(「現代ビジネス」)。これは衆議院議員の岬麻紀のパワハラ問題を巡って、元維新の市議が、愛知維新の会代表の浦野靖人を訴えた件に関連するもの。岬といえば、選挙公報に虚偽の経歴を記載したいわくつきの人物だが、市議のもとには、岬の秘書、運転手らから「パワハラ」「公私混同」「机をたたき相手を追い込む」といった苦情が寄せられたという。この市議も岬から土下座を強要されたという。

    *

 都合の悪い指摘をされると、気が狂ったかのように怒鳴りだし、机をバンバン叩くような奴はたまにいる。昔知り合いにそういう人がいたが(某大学院教授)、あまりにもアホなので縁を切った。

    *

 維新のパワハラと言えば、「おねだり」で話題になった兵庫県知事の斎藤元彦だ。吉村洋文の元部下で、選挙では維新が推薦した。

 おねだりというより「たかり」。コーヒーメーカー、トースター、ロードバイク、ゴルフのクラブ、スポーツウェア、ワインなどを受け取ったとされるが、他にも多数の疑惑が噴出。側近の県幹部職員4人が選挙期間前から事前運動を行い論功行賞で昇任したとか、プロ野球の阪神とオリックスの優勝を祝し計画したパレードに関し、信用金庫の補助金を増額し、キックバックで寄付させた疑惑、政治資金パーティーの券を、県補助金の減額をちらつかせて関係団体を脅して買わせた疑惑……。典型的な維新しぐさ。

    *

 しかし、「おねだり」って発想が古すぎる。日活ロマンポルノかよ。
 

■小沢一郎の「大罪」
 

 自民党の堀井学が選挙区内の有権者に秘書らを通じて香典を配った件。堀井は所属していた安倍派から5年間で計2196万円の還流を受けたが、政治資金収支報告書に収入として記載していなかった。その裏金が香典の原資になっていた可能性があり、悪質性が高いと東京地検特捜部は判断し捜査を開始したという。

 なんだかよくわからない。裏金の還流自体が犯罪であり、悪質なのだから。トカゲの尻尾切りというやつですかね。

    *

《小沢一郎『日本改造計画』 今こそ読みたい日本改革構想 牧原出/東京大学先端科学技術研究センター教授》(「日経BOOKプラス」)というネット記事を読んだ。リードによると、「日本の政治に絶望している人に読んでほしい本」とのこと。勘弁してほしい。政治に対する絶望を生み出したが小沢ではないか。

    *

 牧原は言う。

《冷戦という国際環境の下で作られた戦後日本をどう変えていくべきか。小沢は冷戦終結を明治維新、第2次世界大戦に続く変革期と捉え、日本を「普通の国」にするための「第3の改革」を訴えました》

《米国人は自分で自分の身を守ろうとするのに対し、日本人は自分の身さえ国や規制によって守ってもらおうとする。だから、小沢は日本人には「自己責任」、地方には「自立」、政治では同調圧力に負けない「強いリーダーシップ」が大事だと説き、大久保利通、伊藤博文、原敬、吉田茂といったリーダーの名前を挙げます》
 
《政治家として日本の将来をしっかりと見据えよう、新しい日本の政治ビジョンをきちんと作り上げようという気迫が伝わります。その背後には、冷戦終結後、世界中で起きた改革の波がありました。単に社会主義国が崩壊しただけでなく、諸外国でも、例えば司法権の強化、憲法における人権擁護の強化、地方分権化、さまざまな民主化や透明化の動きがありました》

    *

 では、その小沢の「新しい日本の政治ビジョン」とやらは何を生み出したのか。「司法権の強化」「憲法における人権擁護の強化」「透明化」が進行したのか。まったくの逆である。

    *

 私事で恐縮だが、この度、『自民党の大罪』(祥伝社新書)を上梓した。そこでは『日本改造計画』が日本凋落の大元にあることも説明した。新自由主義的な経済改革、首相官邸機能の強化、軍事も含めた積極的な国際貢献、政権交代のある二大政党制を可能とする政治改革(小選挙区制の導入)……。小沢はこれらを「民主主義的革命」と呼んだ。熟議や合意形成を重視した保守政治をぶち壊し、権力を集中させ、一気に日本を「改造」しようとしたわけだ。この流れは、小泉純一郎政権、民主党政権、安倍晋三政権を経て、日本を終焉に追い込んだ。

 

文:適菜収