「『敵基地攻撃能力』の保有や、日米の指揮・統制機能の一体化、それに核抑止の強化など、専守防衛をかなぐり捨てた日米軍事同盟の強化を行っている。また、こうした軍拡路線は、アメリカがユーラシア大陸の東西で進める軍事同盟増強の一翼を担う危険性を持っている」

 

 

岸田政権の外交・安全保障政策をめぐり、共産党の志位議長は、相手のミサイル発射基地などを攻撃できる「反撃能力」の保有などで日米の軍事同盟の強化を図っていると批判したうえで、憲法9条をいかした平和外交を推進すべきだと訴えました。

 

 

共産党の志位議長は24日夜、東京都内で開かれた東アジアの平和構築などをテーマにしたシンポジウムで講演しました。

この中で、岸田政権の外交・安全保障政策について「『敵基地攻撃能力』の保有や、日米の指揮・統制機能の一体化、それに核抑止の強化など、専守防衛をかなぐり捨てた日米軍事同盟の強化を行っている。また、こうした軍拡路線は、アメリカがユーラシア大陸の東西で進める軍事同盟増強の一翼を担う危険性を持っている」と批判しました。

そのうえで、党がことし4月にまとめた外交提言に触れ、「提言では外交の可能性をとことん追求した。外交と対話による平和は理想論だという議論があるが、そんなことはない。憲法9条という世界平和のための最良の指針に徹底的に依拠した平和外交を進めるべきだ」と訴えました。

 

 

東アジアの「平和の準備」 どう進めるか

志位・清末・佐々木・纐纈の各氏発言

「平和の準備」実行委がシンポ

 
 
 シンポジウム「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」が24日、東京・明治大学駿河台キャンパス(千代田区)で開かれました。パネリストとして日本共産党の志位和夫議長、室蘭工業大学の清末愛砂教授(オンライン参加)、新潟国際情報大学の佐々木寛教授、山口大学の纐纈(こうけつ)厚名誉教授(兼コーディネーター)が登壇し、岸田政権のもとで高まる東アジアの軍事的緊張を緩和し、「平和の秩序」をどう構築していくのかを議論しました。主催は全国革新懇、日本原水協、日本平和委員会、安保破棄中央実行委員会で構成する「7・24『平和の準備』実行委員会」です。
 
 日本共産党が4月17日に「東アジア平和提言」を発表して以来、初めて取り組まれるシンポジウムです。

 志位氏は、「提言」発表以降、国内外で対話と共同の取り組みを開始していると紹介。「提言」を貫く四つの基本的立場(1)大軍拡路線に対し、憲法9条にもとづく平和的対案を示す(2)理想を掲げつつ、「現実的アプローチ」に徹している(3)排除の論理でなく、包摂の論理を貫いている(4)「対話と外交で東アジアに平和をつくる」―この一点で力を合わせよう―を語りました。

 清末氏は、「自衛」「防衛」の名の下で軍事的行動の正当化が図られる危険性を指摘し、「平時から戦争・武力行使に向かう道を形成する構造を見抜き、軍事の芽を摘み、草を抜く必要がある」と強調。佐々木氏は、国家主義と戦争準備へ向かう日本の安全保障政策上の大転換について、(1)憲法と「専守防衛」の破壊(2)税金の無駄遣いと財政の軍事化(3)戦争のリアリティの欠如―を招くと警鐘を鳴らし、市民レベル、研究者、国際的な運動からなる平時からの「平和の準備」の必要性を説きました。

 後半、纐纈氏からの問題提起や会場からの質問、パネリスト同士の討論など活発な議論が交わされました。

「提言」は世界の本流とも響き合う
 志位氏は発言の中で、岸田政権の大軍拡路線は「二重の危険性」を持つ動きとなっていると指摘。「その根幹に据えられているのは敵基地攻撃能力保有と大軍拡、日米の指揮・統制機能の一体化、核抑止の強化など、『専守防衛』をかなぐり捨てた日米軍事同盟の侵略的強化だ」と強調。同時に、「岸田大軍拡路線が、米国が『統合抑止』の名で進めているユーラシア大陸の東と西での軍事同盟の大増強の一翼を担うグローバルな危険性を持っていることは重大だ」と警告し、その危険性を明らかにするとともに、平和的・外交的解決の道があることを説得力を持って示すことが重要だと語りました。

 また、「いまの世界の流れを大きく見た際に、一方で、軍事的対応、ブロック的対応を強化し、核抑止に依存し、世界の分断・対立を深刻化させる流れがある」と指摘。「米国による軍事ブロック強化と中国やロシアによる軍事的対抗の強化が、世界と地域に軍事対軍事の危険な悪循環をつくりだしている」と警鐘を鳴らしました。

 他方で、「包摂的な枠組みを重視し、非同盟・中立を志向し、非核地帯条約によって核抑止と決別する流れがある」と強調。「この流れが、東南アジアでの平和共同体の目覚ましい成功という形であらわれているとともに、ラテンアメリカ、アフリカでも困難や曲折を経ながらも発展していることは注目される」と述べ、この根底には、世界の構造変化があり、日本共産党の「東アジア平和提言」は、世界の本流とも響き合うものとなっていると力説しました。

 その上で、「『対話と外交で東アジアに平和をつくろう』―この一点で知恵を集め、力を合わせよう」と呼びかけました。(詳報は26日付)