きょうの潮流
 

 いったい何を学んできたのだろう。彼を変えてしまった世界とは―。過去をふり返り、そんな思いがこみあげてきました

 

▼豪快さと技術の高さが合わさった滑り。国内外のトップ選手としのぎを削り、スピードスケートの五輪メダリストにまで。一時代を築いた堀井学氏が政界に転じてから17年、公選法違反の疑いで東京地検から家宅捜索をうけました

 

▼「心が弱ければほんとうの強さも生まれてこない。そのためには内側から自分を変えていくことが大切です」。長野五輪の前に話を聞いたとき、堀井氏はそう語っていました。本番では不調に泣きましたが、ライバルだった清水宏保選手の金メダルを「自分の喜び」とたたえた姿が印象的でした

 

▼スポンサー契約を打ち切られるなど、マイナースポーツの悲哀も味わいました。そうした競技環境の改善やスポーツ全体の振興も政治を志す内にあったのでしょう

 

▼誘ったのは、同じ北海道の出身でスケート界の先輩でもある橋本聖子氏。その橋本氏は当時自民党の幹事長だった森喜朗氏から請われ国会議員に。スポーツや道民のためにという目標や夢は、ともにあったはず。しかし、カネと権力でのしていく党のなかにのみ込まれていったのか、いまや裏金議員として世間から糾弾されています

 

▼これまでの経験を還元し、「人間・堀井学」を発信していきたいとブログにつづっていた堀井氏。その人間をダメにしていく政党。個人の問題にとどまらない、自民党の金権まみれの害悪を示しています。

 


 

堀井学衆院議員の香典疑惑は「自民党裏金事件の第2幕」幕開けか 東京地検特捜部は「宝の山」をどう掘り起こす

 
 
 自民党の堀井学衆院議員側が違法に有権者に香典を渡したとして、東京地検特捜部が事務所などを家宅捜索した。注目されるのは、自民党安倍派の裏金事件の捜査で情報が把握されたとみられること。香典の原資が焦点となり、あらためて派閥からの還流金の使途が注目されている。一部議員の処分で幕を引いた岸田政権を再び揺るがす「裏金事件」。まだ終わってはいないのか。(森本智之、山田祐一郎)
 
◆特捜部は裏金事件を調べる過程で把握
 「原資は裏金ではないか。収支報告書に記載しない裏金なら、違法な使い方をしてもばれないと普通は考えるだろう」
 自民党派閥の裏金事件で議員の刑事告発を続ける上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)は指摘する。
 
 堀井氏は所属していた安倍派から5年間で計2196万円の還流を受けたが、収支報告書に記載していなかったとして、党の役職停止処分(1年)を受けた。上脇氏は5月、政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発していた。
 
 その堀井氏に今回発覚したのが、選挙区内で秘書らを通じて違法に香典を配っていた公選法違反の容疑だ。東京地検特捜部が裏金事件を調べる過程で把握したとされ、18日、東京都内の事務所や北海道登別市の自宅などを家宅捜索した。
 
◆秘書らを通じた違法な寄付は初当選直後から
 公選法は本人が葬儀に参列する場合を除き、選挙区内で香典を渡すことを禁じている。秘書らを通じた違法な寄付は、2012年の衆院選初当選直後から始まったとみられる。北海道では慣習として香典に対して領収書を出す。「北海道では常識」(道内在住の男性)という。
 
 上脇氏は「ある意味で、裏金の典型的な使い方。不記載のあった議員は、大なり小なり同じような使い方をしているのでは。今回は氷山の一角だ」と述べる。
 
 堀井氏の地元である北海道の札幌市民オンブズマン代表の島田度弁護士は「連日大きく取り上げられている」と説明。「報道で見る限り、香典の提供は継続的にやっていたようなので、どこから足がついてもおかしくない状態だったのでは」と話す。
 
 堀井氏は6月下旬、札幌市で記者会見し、裏金事件を巡り「政治不信を招いたことをおわびする」と陳謝。次期衆院選に立候補しない考えを表明していた。家宅捜索を受けた今月18日に自民党を離党したが、公の場に姿を見せていない。
 
◆林官房長官「政府としてお答えすることは差し控える」
 19日、「こちら特報部」は前日に家宅捜索を受けた衆院第2議員会館(東京都千代田区)の堀井氏の事務所を訪ねた。本人の姿はなく、取材に応じた担当者は「検察の捜査に全面的に協力する」とコメント。裏金が香典の原資かとの指摘には「選挙区内の有権者への対応は地元事務所の担当なので、事件のことは東京では分からない」と述べた。
 
 国民民主党の玉木雄一郎代表が「裏金と密接に結び付いた行為で、裏金問題第2幕と言っていい」と述べるなど、野党は批判を強めている。林芳正官房長官は18日の会見で「政府としてお答えすることは差し控える。一般論として、選挙や政治活動については、一人一人の政治家が適正に対応すべきもの」とした。
 
◆不記載や誤記載85人、でも派閥幹部ら16人は不起訴
 自民党の裏金は、上脇氏の告発で、2023年11月に特捜部が派閥の担当者らを任意で事情聴取したことが明るみに出て問題化した。
 
 12月には安倍派と二階派を家宅捜索し、今年1月に安倍、二階、岸田派の会計責任者や議員ら計10人を立件。2018年以降の派閥の収支報告書不記載額は安倍派が13億5000万円、二階派が3億8000万円、岸田派は3000万円。大野泰正参院議員が5100万円、池田佳隆衆院議員が4800万円、谷川弥一前衆院議員が4300万円の不記載が判明した。だが、告発されていた派閥幹部ら16人は今月8日、不起訴となった。
 
 自民党が今年2月、国会議員らにアンケートなどをした結果、不記載や誤記載があったのは85人と公表。2018〜22年の不記載額は二階俊博元幹事長の3526万円が最多で、堀井氏の2196万円は5番目に多かった。自民党は39人を離党勧告や党員資格停止などの処分に。一方で裏金の使途は質問項目になく、党の報告書では会合費や人件費、事務費など15項目が示されるにとどまり、具体的には明らかにされなかった。
 
◆「違法性がある香典や秘書の人件費こそ裏金で」
 「裏金の使い道として考えられるのは収支報告書に計上できない、もしくは、計上しにくい支出だ」と話すのは野党国会議員の現職秘書。「多いのは飲食など会合費のはずだが、違法性がある香典や秘書の人件費はまさに裏金でなければ支出できない」と説明する。
 
 政治評論家の有馬晴海氏は「堀井氏が裏金を香典に充てていたとしたら悪質だ。カネで自身の選挙を有利にしようとしたことになり、公平性がゆがめられることになる」と指摘する。
 
 1980年代に自民党の国会議員秘書を務めた経験がある有馬氏は「当時から自民党の有力議員は地元の葬式に香典は出していたが、自ら顔を出すことで支持を広げていた。中には1日に十数件回る議員もいた」と明かす。
 
◆今回は裏金の使途解明という社会的な要求もある
 過去には、議員が寄付行為で刑事罰を受けたことも。自民党の小野寺五典元防衛相は線香セット(計五十数万円相当)を配ったとして2000年に公選法違反で罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。2021年には菅原一秀元経済産業相が、祝儀や香典、故人の枕元に飾る枕花や祝花約80万円相当を提供したとして、罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。
 
 堀井氏の捜査について、国会議員秘書の経験がある元特捜部検事の坂根義範弁護士は「秘書が香典を持参しても議員の名刺のみを置いていくケースもあり、慎重に裏付けを進めるだろう。違法に受けた裏金が香典の原資となっているのかどうかもポイントになる」と説明する。「通常であればこれまで同様に略式手続きとなるのがセオリー。だが裏金の使途を解明するという社会的な要求もあり、正式起訴して公判で明らかにするべき事案だろう」
 
◆かつてないほどの資料を押収、カネの流れを調べているはず
 裏金事件で特捜部は、年末年始に全国から大規模な応援を受けて捜査を行ったとされる。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「特捜部は、かつてないほど自民党議員に関する資料を押収した。いわば『宝の山』で、各議員のカネの流れを調べているはずだ。今回の疑惑もその中で出てきたのだろう」と話す。
 
 今月、検察側は畝本直美検事総長と斎藤隆博東京高検検事長の新体制がスタートしたばかり。若狭氏は今後の展開をこう予想する。「現状では選挙区内の有権者に対する寄付行為であり、罰金刑にしかならない。裏金事件の捜査で検察は国民の期待に十分に応えられなかった。これだけ大々的に強制捜査を行ったということは、この疑惑を入り口に次の展望があるのでは」
 
◆デスクメモ
 6月の通常国会閉会時の会見で、首相は「法改正で、実効性のある具体的な制度を示せた」と自賛した。「再発防止」「透明性拡大」と前向きな言葉で局面転換を強調。だが新たな疑念が出たら、それもかすむ。大前提として「実態解明」が足りなかった。今からでも、やり直しては。(本)
 

 

よくもまあ、次から次へと…自民党の不正底なし沼はかくも必然

 裏金をつくっていたのは85人もいた。ところが、なぜか裏金総額500万円未満は不問に付され、処分を下されたのは半数以下の39人だけだった。しかも、処分された39人のうち、「離党勧告」や「党員資格停止」といった比較的重い処分を受けたのは5人しかいない。つまり、残りの約80人は、ほとんど実害がなく、次の選挙も「自民党公認候補」として堂々と出馬できるということだ。これで処分したことになるのか。

 しかも、トップの岸田首相は、まったく責任をとっていない。岸田派も「裏金」をつくり、会計責任者は立件もされているのに、岸田本人は「自民党の歴史のなかで現職の総裁が処分された例はない」などと、勝手な理屈を並べて平然としている。

 これでは、自民党議員のモラルは下がる一方なのではないか。不正が底ナシになるのも当たり前というものだ。

 そのうえ、自民党議員からは「9月の総裁選に若手を出せば党のイメージは一新される」「総裁選で党刷新だ」などと、調子のいい声が聞こえてくる始末だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党の裏金事件は、ある意味、自民党が再生する絶好のチャンスでした。キーマンと目された森喜朗元首相を国会に呼び、誰が裏金づくりをはじめたのか、全容を解明し、徹底的に膿を出せば、少しは国民の支持も戻ったはずです。安倍派の裏金づくりを解明することは、岸田首相にとってはリスクも小さかったはずだし、支持率をV字回復させる数少ないチャンスだったはず。なのに、すべてウヤムヤに終わらせるという最悪の決着にしてしまった。政治資金規正法の改正も、結局、目に見える成果はなかった。多くの国民は『もはや自民党に自浄作用を期待しても無駄だ』と確信したはずです。それもこれも、いまだに自民党の危機感が薄いからでしょう。もう一度、野党に転落させないと自民党は気づかないのだと思います」

 はたして、あと何人、強制捜査されることか。

 

香典疑惑の堀井学衆院議員 香典の領収書を事務所で保管か

 

こんな小者ばかりでない、堀井学に負けない汚い大物自民党議員がいる。そこまで検察はきちんと捜査をすすめろ!

 

 

 

堀井学衆議院議員の事務所などが捜索を受けた公職選挙法違反事件で、堀井議員側が香典を渡した際に受け取った領収書が、保管されていたとみられることがわかりました。

堀井議員は、2022年ごろ、選挙区内の複数の有権者に対し、自分の名前が書かれた香典を秘書らに持参させていた疑いがありおととい東京地検特捜部は北海道登別市の地元の事務所などを捜索しました。

 

その後の関係者への取材で、堀井議員側が香典を渡した際に受け取った領収書が事務所で保管されていたとみられることがわかりました。

香典の金額は1万円から数万円で、堀井議員が渡す相手や金額を秘書にLINEで指示していたということです。