鈴木エイトさん
即報!
本日午後、最高裁判所第一小法廷で判決言い渡しがあり、堺徹裁判長は原判決を破棄、不起訴合意(念書)を無効とし、原裁判所である東京高等裁判所での審理差戻しを命じる判決を言い渡した。「公序良俗に反し無効である」「原判決を破棄する」

 

 

 裁判長の言葉を聞きながら、元信者の女性の長女はこの9年間を思い起こさずにはいられなかった。11日の最高裁判決。それは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を相手に、原告として母娘で争い続け、ようやく目にした「まっとうな判決」だった。

 「原判決中、次の部分を破棄する」

 午後3時、堺徹裁判長が読み上げた判決は全面敗訴だった1、2審を覆し、原告側の主張をほぼ認める内容だった。原告側の弁護士は「ここまで踏み込んでくれるとは。感動した」と言い切った。

 

 一方、傍聴席に詰めかけた教団の法務担当幹部らは硬い表情を崩さなかった。

 それでも、判決後に行われた原告側の記者会見で、60代の長女はこう言った。

 「(教団に献金をしていた)母の様子がおかしいと気づいてから9年がたちました。とても長い年月です。もっと早く、1、2審でこの判決が出ていたら、母にも見せられたのに」

 原告でもあった女性は東京高裁で審理中だった2021年、91歳で亡くなった。

 9年前、女性を伴って長野にある実家を出た日を長女は今も覚えている。

 15年11月、帰省した長女は驚いた。地元教会の信者が毎日のように女性を訪ねて来たからだ。何人かが入れ代わり立ち代わり来ては、女性をどこかへ誘い出そうとした。

 後に知ったが、帰省直前、女性は教会の信者に連れられ、公証役場で「返還や賠償請求を一切行わない」とする念書に署名をしていた。

 「だから教会は、母を私となるべく接触させたくなかったのでしょう」。当時、長女は帰省の度に女性の衰えを感じていた。

 

 何のためか分からないのに印鑑登録をして、勧められるまま訪問販売の契約をした。教団に限らず、誰かに何かを言われると、何でも受けてしまうようだった。

 自分がずっと長野にいることはできない。でも実家で一人にはしておけない――。11月中旬、長女は女性に「和歌山の知人宅に行くよ」と言って連れ出した。

 

 電車を乗り継ぎ、新大阪駅についた時だ。長女がコンコースで乗り換え先のホームを探している隙(すき)に、女性は一人でどこかへ行ってしまった。

 遠くに背中を見つけたが、呼んでも止まらない。人混みの中、長女は2人分の荷物を抱えながら必死に追いかけた。行く先も分からないまま、女性はただ歩いていた。

 

「そこまで老いているのかと怖くなりました。母はもう限界でした」。和歌山に着いた半年後、女性はアルツハイマー型認知症と診断された。

 さらに4カ月後、長野に戻った女性は老人ホームに入った。「本当は住み慣れたあの家で過ごさせてあげたかった。でも、そうさせてあげられなかった。教会から母を守るために」

 今回の最高裁判決で「うれしい」と思えることがある。判決が、献金を誘う際の違法性について明確な基準を示したことだ。「この判決が母の件だけでなく他の被害者の救済に役立てばすごくうれしいです」と長女は言う。

 実家の庭には、女性の夫(故人)が丹精を込めて育てたリンゴや桃の木がわずかに残る。所有していた田畑の大半は、献金のために女性が売ってしまった。

 残った木々は、春になると今も花を咲かせる。

 最高裁判決は、提訴した7年前からずっと望んできたものだった。教団との裁判は、まだ続く。

 それは、亡くなった女性の尊厳と、親しんだ故郷の風景を守るための闘いでもある。【春増翔太】

 

 

“返金求めぬ”念書は無効

統一協会勝訴の二審破棄

最高裁初判断

 
 
 統一協会(世界平和統一家庭連合)の信者だった女性(2021年に死去)の高額献金被害で、長女の中野容子さん(仮名)が協会側に6580万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が11日、最高裁第1小法廷でありました。同協会の献金問題で最高裁が判断を示すのは初めて。堺徹裁判長は、統一協会の不法行為による献金だとした中野さん側の主張を大筋で認め、協会側が勝訴した二審判決を破棄して審理を東京高裁に差し戻しました。
 
 中野さんの母親は生前、夫の資産を使い込み、果樹園を売るなどして統一協会に1億円を超える献金をさせられました。判決は、高裁が違法性に関する審理を尽くさなかったと指摘。協会側に返金請求をしないこと、損害賠償を求める訴訟を起こさないことを記した「念書」について「公序良俗に反し無効」としました。

 念書は15年11月に作成され、協会の婦人部長が母親に“返金請求をしない意思”を確認するビデオ撮影もしていました。

 二審の判断を「是認できない」とした理由について判決は、信者の主導で念書が作成されたのは母親が86歳のときで、約半年後にはアルツハイマー型の認知症と診断されたことに触れました。

 また、母親が「1億円を超える多額の献金」や6年間で13回も韓国に渡って先祖解怨(かいおん)の儀式等に参加するなど、統一協会の「心理的な影響のもとにあった」とし、献金を求められた際に「冷静に判断することが困難な状態にあったというべきだ」と判断。念書の作成も「合理的に判断することが困難な状態にあることを利用し、一方的に大きな不利益を与えるものだった」としました。

 自身の土地を売って献金を行うのは「異例」で、金額も「将来にわたる生活の維持に無視しがたい影響を及ぼす程度のものだった」と断定。本人と配偶者の資産や生活状況を含め、多角的な観点での慎重な検討を求めました。

 中野さんは判決後の記者会見で、念書は無効だと認めた点を評価して「やっとまっとうな判決が出た」と語りました。

 

統一協会「念書」無効判決
救済に大きな役割 小池氏

 

 日本共産党の小池晃書記局長は11日、国会内で記者会見し、統一協会の信者だった母親が違法な勧誘を受けたなどとして、長女が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁が協会側の勝訴とした二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻したことを受け、「被害者救済にとって、大きな役割を果たす判決だ」と述べました。

 

 小池氏は、最高裁判決では、返金を求める訴訟を起こさないよう念書を書かせることは公序良俗に反し無効だとしていると強調。「(上告審の被害者)同様に念書を書かせられたケースはほかにもたくさんあると聞いている」として、今後の被害者救済に重要な意味を持つ判決だったと振り返りました。

 

 一方、協会からは被害者、国民に対しいまだに一言の謝罪もないと指摘。さらに被害を訴える人への誹謗(ひぼう)中傷や損害賠償請求まで行っていると批判し、「こうしたことは直ちにやめるべきだ」「協会は、被害者から返還を求める請求には全て応じるべきだ」と述べました。また、「裁判所は解散命令をすみやかに出すべきだ」と求めました。

 

 

【速報】“統一教会”の高額献金めぐり教団側の勝訴判決を取り消し 高裁での裁判やり直し命じる 最高裁

 

 

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、元信者の女性の遺族が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は11日、教団側勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。女性が署名した「教団に賠償などを求めない」との念書の有効性や、献金勧誘の違法性が争点だった。
 

 念書と同様の書面を教団に提出するケースは多いとみられる。教団を巡っては解散命令請求の裁判も東京地裁で進んでいる。
 

 一、二審判決によると、親族らに誘われ入信した女性は、長野県に住んでいた2005~10年ごろ、寝たきりだった夫の財産など1億円以上を献金した。15年11月、献金は自身の意思で、返還請求などは一切行わないとする念書に公証役場で署名押印し、教団に提出。女性は念書作成の約半年後に認知症と診断され、21年に亡くなった。

 

 

【速報】旧統一教会「残念でなりません」教団勝訴判決を最高裁破棄し高額献金「賠償行わない」との念書は「無効」と判断

 
この言い分に驚きます。まずは謝罪が基本でしょう>統一教会「残念でなりません。今後も当法人の主張の正しさを差し戻し審でも主張してまいる所存です」
 
旧統一教会の高額献金を巡り、元信者が「賠償請求を行わない」と署名した念書について、最高裁は「無効」との判断を示しました。

旧統一教会の元信者だった高齢女性は、およそ1億円を違法に献金させられたと訴えて、教団側に賠償を求めています。

一審と二審は、女性が「賠償請求を行わない」とする念書に署名していたことなどから、訴えを退けました。

最高裁は11日、「念書は無効」との判断を示し、教団側が勝訴した二審の判決を破棄し、高裁で改めて審理し直すよう命じました。

この最高裁の判断について、旧統一教会は、「これまでの地裁・高裁が事実と証拠に基づき出されてきた判決が、原審差し戻しという結果になったことは残念でなりません。今後も、当法人の主張の正しさを差し戻し審でも主張してまいる所存です」とコメントしました。