上脇博之先生
「起訴猶予」があるようです。処分通知書が届いたら不起訴理由の開示請求をしその告知書が届いたら、不起訴理由の確認したうえで、東京検察審査会に審査申立てする予定です。
裏金事件で岸田首相ら自民党派閥の幹部を検察が軒並み不起訴にしました。検察がトカゲの尻尾切りに加担したように見える。
しかも都知事選の翌日に不起訴とは。これも忖度だア~~!
自民党の派閥のパーティー券をめぐり、政治資金規正法違反の疑いで刑事告発されていた議員などですでに起訴された人を除く42人について、東京地検特捜部は8日、不起訴処分としました。
特捜部は、自民党のパーティー券をめぐり、派閥側や各議員自身の政治団体の収支報告書にウソの記載をしたなどとして刑事告発されていた議員や秘書などで、すでに起訴された人を除く42人について、8日、不起訴処分にしたと発表しました。
このうち、岸田文雄首相や、二階俊博元幹事長など安倍派、二階派、岸田派、茂木派の議員と元議員あわせて16人について、「嫌疑なし」または「嫌疑不十分」で不起訴処分としました。
また、派閥や各議員の会計責任者など24人については、「起訴猶予」または「嫌疑不十分」、2人については「被疑者死亡」で不起訴処分としました。
萩生田・世耕両氏を不起訴 東京地検、裏金還流側で初
もう東京地検特捜部なんていらないよ。日本の社会に。この14年、自民党の巨悪をリリースする仕事しかやってないじゃないか。彼らの給料は税金の無駄。ドブに捨てているようなもの。
自民党派閥の政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部は2日、同法違反(虚偽記入など)容疑で告発された自民党の萩生田光一前政調会長と、同党を離党した世耕弘成前参院幹事長ら8人を不起訴処分とした。派閥から資金の還流を受けた議員側を巡る不起訴処分は初めて。
両氏は安倍派(清和政策研究会)から還流された政治資金パーティー収入をそれぞれが代表を務める政治団体の収支報告書に記載しなかったなどとして告発された。告発対象となった2018〜22年の不記載額は萩生田氏側が計2728万円、世耕氏側が計1542万円。
特捜部は当時の萩生田氏の秘書と世耕氏の政治団体の会計責任者を起訴猶予、両氏を含め残る6人を嫌疑不十分とした。両氏を不起訴とした理由について「告発事実を認めるに足る証拠を収集するに至らなかった」と説明した。
特捜部は1月、自民党派閥の裏金問題を巡り当時の現職国会議員3人を含む計10人を同法違反罪で起訴・略式起訴し、一連の捜査を終えた。派閥から還流を受け立件が見送られた各議員について、市民団体などが順次告発状を出している。
安倍派の裏金問題を暴いた“名コンビ”がまた勝利 黒川元東京高検検事長の定年延長関連文書も「開示」へ 古賀茂明
安倍晋三元首相には、守護神と言われる検察官がいたのを覚えているだろうか。
黒川弘務東京高等検察庁検事長(当時)だ。安倍氏が、「モリ・カケ・サクラ」など「絶体絶命」と思われたスキャンダルを無傷で切り抜けられたのは、この黒川氏のおかげだと噂されたものだ。
その黒川氏が検察官としての定年となる63歳の誕生日(2020年2月8日。ただし、定年退職の日はその前日)の直前の1月31日に、突然黒川氏の定年を6カ月延長する閣議決定が行われた。
一般の公務員には、国家公務員法で定年延長を認める規定があるが、検察庁法という特別法では、検察官には定年延長を認める規定はないので、検察官の定年延長は認められないというのが過去40年以上にわたる政府の解釈だった。
この解釈に従えば、安倍氏は大事な守護神である黒川検事長を定年退職でまもなく失う状況に陥っていたことになる。
そこで、安倍政権は、それまでの政府(法務省)の解釈を180度変えて、国家公務員法の定年延長の規定を検察官にも適用できることにした。そして、黒川氏の定年を20年8月まで6カ月間延長することを閣議決定してしまったのだ。
6カ月の延長にしたのは、8月までには、検察庁のトップである検事総長の交代が予想されていたためだ。検事総長の定年は、一般の検察官の定年(63歳)と異なり、65歳とされている。夏までに黒川氏を次期検事総長に任命すれば、黒川氏の定年は検事総長の定年である65歳となる。それまでの間は、黒川氏が検察トップとして安倍氏を守ることができる。安倍氏としては、自分を守る万全の体制ができるという算段をしていたのだろう。
■安倍氏の「地に落ちた倫理観」
安倍氏の倫理観は、国の指導者に求められる倫理観、「李下に冠を正さず」、すなわち、「単に悪いことをしないというのでは足りない。疑われることもしてはならない」というものではなく、「捕まらなければ、何をしても良い」というものだった。それは、さらにエスカレートし、「悪いことをして、証拠が見つかっても、捕まらないように検察を支配すれば良い」ということになっていった。私は、これを安倍氏の「地に堕ちた倫理観」と名付けた。
安倍政権による検察官の定年延長に関する「ミエミエ」の恣意的解釈変更には日本中で批判が湧き起こった。
しかしそこで意外な事態が生じる。黒川氏が、20年5月にたまたま賭け麻雀賭博問題で辞任に追い込まれたのだ。黒川氏の定年延長による検事総長就任という安倍氏の策謀はあえなく頓挫した。
こうした政府による恣意的な定年延長に関する解釈変更がどのような過程を経て行われたのかについては、多くの国民が真相を知りたいと考えた。中でも、安倍官邸側から何らかの働きかけがあったのか、法務省や検察庁内部でどのような検討が行われ、同省や検察の幹部がどのような考えを示したのかは、日本の民主主義の根幹である司法の独立に関わる話だ。知りたいと思うのは当然だろう。
そうした国民の声を代弁すべく立ち上がったのが、上脇博之神戸学院大学教授だ。上脇教授は、21年9月に黒川氏の定年延長のために行われた法解釈の検討や決裁などの関連文書を、法務省に開示するよう求めた。
しかし、法務省は同年11月、上脇教授が開示請求した文書のほとんどについて、「いずれも作成していない」として、不開示決定を行った。
これに対して、上脇教授は、不開示決定の取り消しを求めて、大阪地裁で裁判を起こした。
ちなみに、私の30年余の官僚経験に照らせば、法務省や検察庁などが法律の解釈変更に関する文書を作成しないことはあり得ない。印刷物にすれば、厚さ20センチを超えるような資料が作成され、その重要性に鑑みて、事実上永久保存扱いとなっているはずだ。
また、黒川検事長個人の定年延長に関する検討経緯などについても、かなり詳細な記録が作成保存されたのは確実だ。
ただし、森友学園問題で、財務省の公文書改竄が明るみに出た後に改定された公文書に関するガイドラインによって、その表向きの趣旨とは正反対に、後から問題になる可能性のある「危ない文書」を公文書として残すことは極力避けるように各省庁が注意するようになっていることはあまり知られていない。危ない文書は、作成しても公式には作成していないことにしているのだ。
また、危ない文書が仮に複数の官僚の間で利用されるなど、公文書の定義に当てはまるようなことがあっても、それを絶対に記録として残さず、万一、後になって文書の存在が暴露された時も、必ず、それは個人メモにすぎず、公文書ではないから開示しないと答えるという暗黙のルールができている。
こうした背景があるため、法務省は、特に問題とされる恐れのない「検察官の定年延長一般についての文書」は作成し保存していたとして、当たり障りのない文書を上脇教授に提出した。その一方で、我々が一番知りたい、「黒川検事長個人の」定年延長のために行った解釈変更についての文書は、暗黙のルールの通り、「そんなものは作成していないし、作成していない以上保存もしていない。したがって開示することはできない」と主張し続けた。
しかし、前述のとおり、検事長個人の定年延長という前代未聞の事柄について、その理由や検討経緯などを記した文書を全く作成しないことなどあり得ない。
■政府の「真実隠し」を断罪した地裁判断
100人の官僚に聞けば、100人全員が、「作成していないというのは嘘だ」と答えるだろう。
しかも、上脇教授が主張した通り、公文書管理法によりこのような資料は作成しなければならないこととされているので、作成しなければ、公文書管理法違反となるから、なおさら、作成されていたと考えるべきである。
しかし、いざ裁判所が判断するとなった場合、作成すべき主体が絶対に作成していないと言い張ると、作成した証拠がない以上、開示を命じるわけにはいかないとして、上脇教授の請求を棄却する判決が出るのではないかということが危惧された。
検察庁と裁判所は身内意識が強く、個別検察官の不祥事ならともかく、検察庁や法務省の組織全体の不祥事だとなりかねない本件のような事案について、「一介の大学教授」の訴えをそう易々と認めるわけにはいかないと考えても不思議ではなかった。
しかし、今回の大阪地裁の判断は違った。
法務省側の主張とは正反対に、被告側は文書を作成していたはずだと結論づけ、国の不開示決定の大半を取り消す判決を出したのだ。
裁判の過程では、定年延長の閣議決定当時に法務事務次官だった辻裕教氏の証人尋問まで実施し、裁判長自らが、辻氏に対して、「第三者的にみると、2月8日の黒川さんの定年に間にあわせるように、1月の半ばから急いで準備をしたようにみえなくはないと思うんですが」と上脇教授が主張する趣旨に沿った補充尋問を行っている。一般市民の常識に沿った裁判の進め方だった。
私は今回の判決文全文を読んでみたが、そこには、大阪地裁が、検察庁や法務省が組織ぐるみで、黒川氏の定年延長のための法律解釈変更についての真実を隠そうとしたことを断罪する判断が示されていた。
法務・検察側が、法律の解釈変更は、決して黒川氏の定年を延長するためではなく、一般的な必要性に基づいて行ったものだと強弁し続けたのに対して、我々の日常用語に翻訳すれば、「そんな主張は世の中では通用しない。本当は黒川氏のために慌てて解釈変更したとしか考えられない」と裁判所は言ったのだ。これは、「いい加減に嘘をつくのはやめろ」と言ったに等しい。法務・検察側から見れば、屈辱的かつ驚天動地の判決だった。
やや技術的な話になるが、普通に裁判を進めると、この種の裁判では、文書の開示をするか否かが争点となり、それらの文書が黒川検事長の定年延長を目的としたものか否かということまで確定する必要はない。判決にもその点の判断が示されない可能性もあった。
しかし、上脇教授は、巧みな作戦により、「黒川検事長個人の定年延長のために法律の解釈変更を行ったのか否か」を争点にすることに成功した。検察もその罠にかかって、いくつかの失策を犯し、裁判官もその点を見逃さずに、判決の中で、「黒川検事長個人のための」法律解釈の変更だったと認定したのだ。
今後は、政府側が控訴するかどうかが焦点だ。検察と法務当局が嘘をついたと宣言したに等しい今回の判決を控訴せずに確定させることは、通常は考えられない。
しかし、控訴すれば、引き続きこの問題に世の中の関心が集まる。それよりも、静かに負けを確定したほうが得策だと法務省側が考えてもおかしくはない。
仮に控訴せずにこの判決が確定した場合、「黒川検事長個人の定年延長のために解釈変更を行った」ことを具体的に示す新たな文書の開示がなされるかが次の注目点だ。
■日本社会の闇を暴く勇者たち
仮に新たな文書が出てこなくても、検察・法務が組織ぐるみで嘘をついていたと裁判所が公に宣言したことの意味は非常に大きい。
なぜなら、そんな大嘘をついた関係者の処分はどうするのかが問われるし、そうした嘘を重ねることになった経緯、この定年延長劇の主役が誰かなどが国会で追及されることになるからだ。証人喚問や第三者委員会による調査の要求などもなされることが予想される。
ちなみに、上脇教授は、自民党安倍派などの裏金問題を暴き、刑事告発をして自民党の政治資金の闇にメスを入れたことで知られる。岸田文雄首相率いる自民党を瀕死の状態に追い込んだ立役者だ。
さらに、判決文を見て発見したのだが、本件の代理人弁護団には、阪口徳雄氏ら、私が尊敬してやまない切れ者の弁護士が名を連ねていた。阪口氏は、森友学園事件における財務省と赤木雅子さんの訴訟でも代理人弁護士を務め、アベノマスクに関する訴訟などでも国と戦っている。
上脇教授や阪口弁護士らの献身的な活動がなければ、日本の社会で起きているいくつもの闇を暴くことはできていなかったかもしれない。
あらためて、この勇者たちに敬意を表するとともに、ますますの活躍を期待したい。
古賀茂明
象徴的なのは、裏金2728万円をつくっていた萩生田都連会長の地元・八王子市だ。告示日に萩生田氏は、「逆風の原因を私自身がつくってしまった。申し訳ない」と謝罪したが、自民新人は一騎打ちとなった諸派元職に4万票以上の差をつけられた。
地方からの「岸田降ろし」がますます顕著に
4月の衆院3補選で全敗して以降、自民は地方選挙で連戦連敗の流れが続いている。
都知事選での小池氏勝利は自民の勝利にはカウントできない。都議補選の大惨敗は、岸田政権の今後に影響を与えるのは間違いない。
「自民党イコール地方組織と言ってもいい。地方組織がしっかり選挙運動をやって支えていることが自民の強さ。ところが地方選挙で負け続け、屋台骨が揺らいでいる。深刻なのは、地方組織が選挙 運動の手を抜いているわけではなく、ポスターを貼らせてもらえないなど、自民への嫌悪感が広がっていることです。地方の怒りはますます中央へ向かう。総裁選での岸田首相の再選は厳しくなる。地方からの岸田降ろしが顕著になるでしょう」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)