主張

裏金の真相解明

背向ける自民に怒りの審判を

 

 先の通常国会で自民・公明両党が、抜け穴だらけで改悪でさえある改定政治資金規正法の成立を強行して半月以上たちました。しかし、裏金問題を終わったことにさせてはなりません。「忘れていないぞ」の意思を示す必要があります。

■国会で平気でうそ
 報道各社の世論調査では改定規正法が裏金事件の「再発防止につながらない」「効果がない」は7~8割にのぼります。国民は厳しい目で見ています。

 しかし、岸田文雄首相が「自民党を守るために(会期内成立を)決断した」と述べるなど、自民党には裏金事件への反省も真相解明の姿勢もまったくありません。

 主要派閥・安倍派の幹部だった世耕弘成前参院幹事長は離党勧告処分を受けて自民党を離党しました。ところが国会閉会後、さっそく東京都内のホテルで政治資金パーティーを報道陣に非公開で開きました。企業関係者ら100人超の参加者を前に「離党はしたが政治家として引き続き頑張る」と述べたといいます。

 安倍派会計責任者の公判での証言から、政治倫理審査会(政倫審)で弁明した同派幹部の、裏金還流復活に関与していないという発言が偽りだった疑いも強まっています。

 同党が認めた裏金衆参議員85人(元職3人含む)のうち衆参の政倫審で弁明したのはわずか9人。しかも全員裏金づくりへの関与は「知らぬ存ぜぬ」です。

 政倫審で弁明していない衆院44人、参院29人の裏金議員の審査は自民党も賛成して全会一致で議決されましたが、いまだに誰も応じていません。党総裁の岸田首相は「当事者が対応を判断する」と人ごとです。

 岸田首相が自ら行ったとされる森喜朗元首相への電話調査では、“裏金の関与を確認する”と国会答弁で約束しながら、森氏に関与そのものを聞いていないことが判明しました。

 国会の答弁・弁明で平気でうそをつき、説明もせず、“抜け穴・改悪”の法改定を強行する―民主政治を破壊する暴走を許してはなりません。

 改定規正法は、裏金の原資となった政治資金パーティー券購入という形を変えた企業・団体献金を温存したうえ、政党本部から党役職者に億単位で渡され支出先を明らかにしない脱法的な「政策活動費」という闇ガネを条文に定めて合法化するなど改悪しました。

 実効性ある再発防止策は徹底的な真相解明を行ってこそ打ち出せます。「誰が、いつから、何の目的で裏金システムをつくり、何に使ったのか」―日本共産党は国会で一貫して追及してきました。

 ▽森氏が安倍派会長だった二十数年前から裏金づくりが組織的に行われてきた経緯▽2022年4月の派閥幹部会合で一度中止となった裏金の還流が安倍晋三氏の死去後に復活した背景▽裏金が選挙買収に使われた疑惑―などをただしてきました。

■絶好のチャンス
 真相解明に背を向ける自民党、改定法成立に加担した公明党、助け舟を出した日本維新の会に怒りの審判を下そうではありませんか。7日投開票の東京都知事選・都議補選はその絶好のチャンスです。

 

現役国会議員秘書の本音|法改正でも「裏金問題」は解決しない

 

なぜ多額の経費がかかるのかといえば、その政治家が次の選挙で当選したいからで、次の選挙を考えなければカネはかからないが、そんな政治家は落選してしまうだろう。

以上の政治活動を行うためには政党助成金の1,000万円と、月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)だけでは足りず、パーティーを開いて政治資金を集める必要が出てくるというわけだ。

多くの議員からは「他党の候補が地元活動に力を入れる中、自分だけやめたら落選してしまう」といった声が聞かれるが、こうした地元活動を求め、評価する有権者の意識も改めたい。

改正政治資金規正法は、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」に引き下げるなど自民党が提出した法案を一部修正して成立したが、世論調査でもはっきりしたように、中途半端な法改正は国民の政治不信をさらに高めている。

 

 

裏金問題で揺れる自民党が、公明党の協力を得て政治資金規正法を改正した。残念ながら改正とは名ばかり。「政治にはカネがかかる」という前提を放置したままでは、何の解決にもならない。永田町で25年以上の経験を積んできた議員秘書が、その実態について余すところなく語った。

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政治資金パーティー券の公開限度額や政策活動費等々、抜本的な政治改革が求められているが、そもそも「裏金」を撲滅する方法があるのだろうか。おそらく、どんな厳しい法律を作っても「裏金」は存在するだろうし、それが表に出てくるのは「内部告発」がある時だけだろう。

薗浦健太郎議員の関連政治団体が、政治資金パーティーで得た収入を政治資金収支報告書に過少記載した問題も、東京地検特捜部の捜査開始後、薗浦氏が政治団体の会計責任者を務めていた公設第1秘書に、通帳に記載された収支のメモ書きを消去するよう求めたとされ、秘書はその際のやり取りを録音して特捜部に渡している。秘書との信頼関係が無い。

今回の裏金事件発覚の具体的捜査が始まったきっかけは、池田佳隆議員と元秘書とのトラブル。その件の捜査を皮切りに清和政策研究会の裏金事件に発展した。

政治団体の収支報告書に外部監査が入っても、パーティー券の販売数を知っているのは秘書か議員本人だけで、実態を確認することは出来ない。監査人は会計責任者(大体が議員秘書)から渡された領収書や資料と銀行の残高を確認するだけだ。

国会では代表者(政治家)と会計責任者とを「いわゆる連座制」にするべきだなどと騒いでいるが、「会計責任者」という制度自体を廃止すればよいのであって、議員(または候補者)が全ての責任をもって自分の名前で提出すればそれで済む。

政治資金処理は政治家にとってはイロハのイ。責任の所在が明確になり、違反があった場合の捜査もやりやすい。もっと言えば、信頼できない秘書しか雇えないような議員は辞めてしまえばいい。

改正後の政治資金規正法での収支報告関係の罰則も相変わらず甘い。最高刑で「5年以下の禁固又は100万円以下の罰金・公民権停止」というだけで、今回の清和政策研究会会計責任者も100万円の罰金程度で幕引きされる見込みだ。被告人の松本事務局長にとっては痛くもかゆくもないだろう。

「裏金を数年間机の中に保管していた」などと証言して、過失を装うかのような修正申告が数多く出されているが、これも雑所得の申告漏れと判断して追徴課税すればよいのであって、国税の捜査は怠慢だともといえる。無申告加算税の税率は15~20%であり、民間企業なら厳格に徴収される。

エコノミストで一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏も「政治資金であれば記載する必要があるのだから、『記載しなくてよい』というのは、『政治資金ではない』という意味だと解釈せざるを得ない。相続税法第21条の3の3は、《宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの》が非課税としている。後になって領収書を出してきて、『公益を目的とする事業の用に供した』といっても駄目だろう。したがって、キックバック裏金収入は課税所得だと考えられる。だから、税務申告する必要があると考えられる」 と述べている。

もし国税の捜査がやりにくいのならば再度、政治資金規正法を修正して、1年を超える「記入漏れ」があれば「雑所得」として認定し申告漏れとして追徴課税すればいい。

ドタバタの末決定した「パーティー券購入者」の公開基準を「5万円」とすることにも、たいした意味があるとは思えない。

元閣僚の某議員などは、2ヶ月ごとに朝食会を開いて多額の収入を得ているが、購入者の多くは1~2枚しか買わないので何の支障もないし、「朝食会」や「昼食会」と称するパーティーを年に数回行えば公開基準などあってないようなものだ。一方で、パーティー券購入者公表のあり方も見直さなければならない点がある。

現在の収支報告書では、購入者の「氏名・住所・職業」が記載されているが、公表の段階で住所の番地や部屋番号まで公表している現状には問題もある。例えば、女性実業家がストーカー被害に遭ったりする例も発生している。プライバシーの点は考慮しなければならない。

政治資金パーティーを巡る裏金事件を発端とする「政治と金カネ」について、昨年末から多くの新聞記者やテレビ局から政治資金についての問い合わせが続いている。その中でも、「何故政治にカネがかかるのか」を問われることが多い。

選挙活動と政治活動の二つに分けて考えてみる。

①選挙にカネがかかる
選挙にかかる費用は、選挙の種類や地域・選挙区の規模などによって大きく異なり、一般的な市議会議員選挙の費用は200万円~800万円。参議院選挙では6,000万円以上とも言われている。何にカネがかかるのか。立候補するに当たって供託金という制度があり、衆参の比例代表で600万円、衆参選挙区や知事選挙で300万円、市区議会選挙で30万円などと定められている。一定の得票数を満たすことができれば返却され、規定の得票数に達しなかった場合は没収される。

選挙ハガキ(法定ハガキ)や選挙ポスター、選挙ビラ、看板などの印刷代は公費負担があり、供託金を没収されなければ無料で作ることが出来るのでカネはかからない。候補者本人が支出しなければならないのは、選挙運動に携わる事務員や労務者への報酬だ。

選挙運動に関する事務をするために雇用した人や、葉書の宛名書きや発送作業、看板類の運搬作業、自動車の運転、ポスター貼りなど、単純な労務の報酬を支払わなければならない。意外と思うかもしれないが、選挙運動員として、直接「有権者に支持を訴える人」はもちろん、「選挙事務所の幹部」などには報酬・アルバイト料を支払うことは違法とされている(実際に守られているのはレアケースであるが……)。

選挙で最もおカネがかかるのは、「ポスター張り」と「ビラへの証紙張り」である。衆議院の小選挙区では、およそ600カ所あるいはそれ以上の掲示板にポスターを貼ることとなるが、一日で張ろうとすると相当な人数が必要となる。東京都の知事選や参議院選挙となれば、およそ14,000カ所の掲示板に貼ることとなるので、400人以上必要となる。組織を持たない候補者は業者に委託してポスターを貼っているが、高額であり厳密には違反となるケースも少なくない。

選挙に使うビラの証紙張りも、参議院比例代表では25万枚、衆議院小選挙区でも10万枚以上張らなければならないなど人件費がかかる。ボランティアにもお願いするが、とても追いつく数ではない。

昨年から何度も記者の人たちに、選挙にカネをかけないためには「ポスター掲示板の廃止」と「ビラの証紙廃止」が必要だと説明してきたが、どのメディアも書かないし、テレビ局からの撮影があっても放送では全てカットされてきた。

候補者の主張は全戸配布されている広報を見れば分かるし、ネットでいくらでも調べることが出来る。どうしてもポスターを見たいのなら、投票所に指定された場所にポスター一覧を置けばいい。税金で莫大な額を払ってポスター掲示板を設置する必要など全くない。(うがった見方をすれば、選挙管理委員会と看板設置会社が結託でもしているんじゃないだろうか?)

選挙ビラも、選挙管理委員会が認定した印刷会社に枚数を管理させて制作すれば証紙張りの必要は無い。

そんな矢先、東京都知事選挙で24人を擁立した政治団体「NHKから国民を守る党」が、ポスター掲示場の枠を事実上「販売」していることがわかった。1口2万5千円を「寄付」すると、都内約1万4千カ所のポスター掲示場のうち1カ所を選び、候補者枠に自ら作成したポスターを貼る権利が与えられ、候補者とは関係のない人物やイラスト、裸の女性写真やQRコードで風俗への勧誘なども張られる事態となった。「掲示板ジャック」は、供託金を没収されても掲示板を全部売れば収入が大きく上回り、ポスターを貼る様子を動画投稿するなど、選挙をビジネスとして利益を得ようとする狙いがある。たしかに公選法の規定では選挙ポスターは虚偽内容でない限り自由で、チェックするための仕組みはない。

公職選挙法にはカネに関わる問題が数多く放置されたままとなっており、他にもメスを入れなければならないことがたくさんある。同法の規定では、事務員・車上運動員についての支給上限額(事務員一日1万円・車上運動員一日1万5千円)が定められているが実態にそぐわなくなってきている。

選挙期間中の朝8時から夜の8時まで運動すると、各地域の最低時給を下回ることになる。プロのウグイス嬢が一日1万5千円で働くわけがない。事務員・車上運動員の弁当も一食1,000円、一日3,000円以内と定められているが、住宅地郊外を回っていると、ファミリーレストランでも税込み1,000円以内の食事は難しい。

法令遵守しようとすればボランティアを募ることとなるが、そんなことが出来るのは大きな組織を持った候補者か宗教団体しかない。

このように公職選挙法は現実を無視した多くの問題を抱えているにもかかわらず、改正しようという声が全く聞かれてこなかったのは、国会の怠慢と言わざるをえない。この点も裏金を生じさせた一因となっている。

②政治活動にカネがかかる
いつ本会議があって、いつ委員会があるという国会日程を把握し、調整し、国会議員のスケジュールを管理する秘書がいなければ、国会議員は仕事ができない。議員会館で最低でも1~2人は必要となる。国会議員には国が給料を負担する「公設秘書」が3人いるが、3人だけでやりくりしている事務所はほとんどない(ごく希にはいるが)。

大抵の議員は地元の要望回り、陳情回りなどの活動をする秘書が必要になり、地元秘書や事務員など4~5人以上は置くことになる。私設秘書に社会保険料や交通費も払うと、だいたい30万円× 5人で150万円。その他事務所費や通信費が毎月必要経費としてかかる。

政治活動にはポスターや、活動報告のチラシなどが必要で、移動する人たちのガソリン代も馬鹿に出来ない。地元での新年会や忘年会など、数多くの会合に呼ばれれば参加し、参加費も払う。地元の方が亡くなられた際には香典を持参するし、出席できない場合は弔電を送るなどの経費もかかる。

なぜ多額の経費がかかるのかといえば、その政治家が次の選挙で当選したいからで、次の選挙を考えなければカネはかからないが、そんな政治家は落選してしまうだろう。

以上の政治活動を行うためには政党助成金の1,000万円と、月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)だけでは足りず、パーティーを開いて政治資金を集める必要が出てくるというわけだ。

多くの議員からは「他党の候補が地元活動に力を入れる中、自分だけやめたら落選してしまう」といった声が聞かれるが、こうした地元活動を求め、評価する有権者の意識も改めたい。

改正政治資金規正法は、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」に引き下げるなど自民党が提出した法案を一部修正して成立したが、世論調査でもはっきりしたように、中途半端な法改正は国民の政治不信をさらに高めている。


「安倍チルドレン」出世頭が領袖になる可能性…自民党総裁選で擁立論が急浮上「岸田首相の後輩議員」とは?

いくら足掻いても自民党は衰退の一途でしょう。

 

 

 7月4日、ニッポン放送のラジオ番組『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』に、小林鷹之前経済安全保障担当大臣が出演。番組冒頭から、「党に対する風当たりというのは、肌で感じている。自民党の将来に対して、非常に危機感を持っている議員は多い」と胸中を明かした。

 

「当選4回、まだ40代の小林氏は、2024年9月の自民党総裁選へかつぎ出される可能性が高くなっています」と話すのは、全国紙政治部デスク。

 7月3日に「時事ドットコム」も、《イメージ刷新へ若手擁立論 自民総裁選、小林鷹之氏らの名》と題する記事を配信。小林氏に限らず、自民党総裁選で若手候補が名乗りを上げる可能性を報じていた。

 千葉県出身の小林氏は、難関私立の開成中学・高校出身で、岸田文雄首相の高校の後輩にあたる。財務官僚をへて、2012年の衆議院選挙で初当選を果たすと、以降は当選を重ねている。

 同選挙では、野党だった自民党を安倍晋三元首相が率い、大勝利を収めた。このとき、小林氏を含め119人も誕生した同党の新人議員は「安倍チルドレン」と呼ばれることになる。

 しかし、その後、「魔の2回生」と呼ばれる“不祥事議員”が多く現れることにもなるのだが……現在も、約30人の現職議員が残っている。

「小林氏の擁立論が急速に高まっている背景には、所属していた旧二階派だけでなく、旧安倍派の当選同期などに、彼を支える動きが広がっていることがあります。

 たしかに当選同期のなかで、大臣経験者の彼は出世頭。『安倍チルドレン』のリーダー的な存在になる可能性はあります。二階俊博元幹事長の“懐刀”である武田良太氏も、『推薦人(20人)が足りなくなるということはない』と、小林氏の出馬の現実味を語っていますね」(前出・政治部デスク)

 この状況を、本人はどう考えているのだろうか。

「本人は『いまは政策を磨くときで、まだ出馬の段階ではない』と言ってはいますが、『将来は首相を目指す』と公言していますから、出る可能性はかなり高い」(同前)

 かつて「派閥政治」で政権を奪い合った自民党だったが、“政治とカネ”の問題で、4つの派閥が解散した。

 小林氏は、新たな枠組みで“領袖”になるのか――。