集団的自衛権行使容認の閣議決定から10年。安保法制、敵基地攻撃能力保有、軍事費2倍化、日米「一体化」、さらに殺傷兵器の輸出ーー憲法の平和主義をことごとく破壊し、軍拡しか道がないかのように描き緊張関係を高め、そのリスクを語ろうとしない。このままにはできない。

 

 

 政府が2014年に憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから1日で10年となった。これに基づき成立させた安全保障関連法により、自衛隊の任務は拡大。中国や北朝鮮の軍備増強も踏まえ、日米同盟による共同対処能力の強化が進む。自衛隊が米軍の艦艇などを守る「武器等防護」は常態化し、紛争につながるリスクは増加している。

 林芳正官房長官は1日の記者会見で「日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力・対処力も向上している。わが国の平和と安全の確保に資するものだ」と強調した。

 集団的自衛権は、他国への攻撃を自国への攻撃とみなして武力行使できるとするもの。歴代内閣は、憲法9条の許す範囲を超えるとして行使は認めないと解釈してきた。

 14年当時の安倍内閣はこれを変更し、密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされるなどの「武力行使3要件」を満たせば、必要最小限度の実力行使は許容されるとした。

 

 

安保法は「憲法に合致」と林芳正官房長官が強調 集団的自衛権の行使容認10年「国民守るために必要不可欠」

 
 
 第2次安倍内閣が憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから1日で10年となったことに関し、林芳正官房長官は同日の記者会見で、閣議決定を根拠とした安全保障関連法は「憲法に合致し、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なもの」と述べた。

◆「日米同盟はかつてないほど強固」
 2014年7月1日の閣議決定と15年成立の安保法によって自衛隊の任務が拡大し、日米同盟の強化が進んでいる。林氏は「日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力、対処力も向上した」と評価。その上で「幅の広がった安全保障、防衛協力を着実に実施することは、地域および国際社会の平和と安全により貢献するものだ」と強調した。
 一方で、安保法は憲法違反との指摘が根強い。林氏は「これまでも透明性のある丁寧な説明に努めている。今後とも国民の理解が一層広がるように取り組んでいきたい」と述べた。

 また、1日に自衛隊創設から70年となったことについて「引き続き防衛力の抜本的強化に取り組んでいく」との考えを示した。(中沢穣)