米兵を少女への性暴力で起訴…その後3カ月、国が沖縄県に黙っていたのはなぜ? 「県議選」終わった後に発覚

 
至急の問題 日本は甘く見られている💢 
日米両政府に対し、その根源にある沖縄への米軍基地集中や、日米地位協定の抜本的な見直しに着手するよう重ねて求めたい。
 
事件は昨年12月、しかし容疑者米兵の身柄の日本側への引き渡しは、3月27日の起訴後、すでに釈放されているという。

沖縄県に知らせなかった日本政府。その理由を明確に示してほしい。
これまで米兵犯罪に対して、沖縄県は身柄の引き渡しや、米軍の外出制限など求めてきた。日本政府は何も知らせず、県としての対応をさせなかった。命と安全をあまりにも軽んじている。
 
沖縄で米兵が少女を暴行。怒りに震える。一体何度繰り返すつもりか。許されないのは3月27日に外務省次官が駐日米大使に対して抗議していたにもかかわらず、沖縄県に連絡していなかったこと。政治的意図をもって事実を隠蔽した疑いがある。こんな屈辱はない。経過を明らかにすべきだ。
 
 
 沖縄でまた米兵絡みの事件が起きた。米空軍兵長の男が16歳未満の少女を自宅に連れ込み、性的暴行を行ったとして、3月に起訴された。外務省も同月に把握していたが、沖縄県に連絡はなかった。速やかに公になっていれば、今月16日投開票だった県議選への影響も計り知れない。起訴後3カ月間、公表されなかった罪深さとは。(宮畑譲)

◆玉城知事は怒りあらわ「強い憤りを禁じ得ない」
 「県民に強い不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるものだ。強い憤りを禁じ得ない」。玉城デニー知事は25日、記者団に怒りをあらわにした。
 米兵の男は昨年12月、沖縄県内の公園で少女を誘って車で自宅に連れ去り、16歳未満と知りながら性的暴行をしたとされる。今年3月11日に同県警が書類送検、27日に那覇地検がわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で起訴した。

 起訴を受け、外務省はエマニュエル駐日米大使に抗議したが、今月25日に県が確認するまで連絡しなかった。玉城知事は「信頼関係において著しく不信を招くものでしかない」と非難、抗議する意向を示した。
 
◆沖縄で繰り返されてきた暴行事件
 沖縄では、米兵による女性への暴行事件が繰り返されてきた。1995年、小学生の女児が米兵3人に暴行された事件では、日米地位協定により、日本側が起訴前に米兵の身柄を拘束できず、県民の反基地感情が爆発。参加者8万5000人の県民総決起大会が開かれた。2016年には米軍属が女性を性的暴行目的で襲い、殺害する事件も起きた。

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(那覇市)のメンバーで、沖縄で起きた米兵の性犯罪を調べている宮城晴美さんによると、1945年以降、確認できただけで千件を超えるという。「表に出ているだけの数で、訴えていない人は多数いる」と言い「国は米国に綱紀粛正などを求めたというが、実効性があるのか疑問。人ごとのように感じる」と批判する。

◆いつもは当日か翌日には国から県に連絡
 今回、ふに落ちないのは、国が3月には事件を把握しながら、地元自治体に伝えていなかったことだ。
 
 県基地対策課によると、米兵による犯罪が起きると、多くは沖縄防衛局を通じ、警察などが対応した当日や翌日に連絡があるという。ただ後日、把握していなかった事案が判明するケースもあるといい、同課の担当者は「不起訴などで表に出ていない事案もあるだろう」と話す。

 沖縄防衛局は「こちら特報部」の取材に「被害者のプライバシーに関わるような事案については慎重な対応が求められるものと考えている」と回答。外務省沖縄事務所も「検察当局が関係者のプライバシーなどを考慮し、公表するか慎重に判断していると承知している」と答えた。

◆「政局を優先したのか、と勘繰りたくなる」
 気になるのは、16日に投開票された沖縄県議選への影響だ。この選挙では米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が焦点になり、反対を掲げる玉城知事の支持派が半数を割り込んだ。

 外務省沖縄事務所は「県議選への影響を考慮したというご指摘は当たらない」とするが、沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)は「事件が選挙前に明らかになっていたら、大きなハレーションが起きたのは間違いない」と断じる。
 
 日本政府と捜査当局、そして県が歩調を合わせ、被害者のケアに当たるべきだったという声も上がる中、前泊氏は「日本政府は国民の人権、生命財産よりも、政局を優先して隠蔽(いんぺい)したのか、と勘繰りたくなるタイミングで明らかになった」と憤り、さらにこう嘆く。

 「日米安保と米軍基地がある限り、米兵の犯罪行為はなくならない。これは宿痾(しゅくあ)だ。今の政権では米国にものは言えない。再発防止もおぼつかないだろう」
 
 

<社説>沖縄米兵性加害 人権の蹂躙を許さない

 
 沖縄県内に駐留する米空軍の兵長(25)が、16歳未満の少女に対するわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で、那覇地検に起訴されていたことが分かった。女性の尊厳を踏みにじる行為であり、断じて許されてはならない。

 同時に、在日米軍専用施設の約70%が沖縄県に集中し、県民に過重な基地負担を強いていることや、米側に特権的な法的地位を与え、日本側の捜査権を制限している日米地位協定が、米兵らの身勝手な振る舞いにつながっていることも指摘せざるを得ない。

 起訴状によるとブレノン・ワシントン被告は昨年12月24日、読谷村の公園で「寒いから車の中で話さない」などと少女を誘い、乗用車で自宅まで連れ去り、16歳未満と知りながら、下半身を触るなどのわいせつ行為をしたという。
 
 地検と県警によると、県警が米側の協力を得て任意で捜査し、今年3月11日に書類送検。地検が起訴した同27日、日米地位協定に基づいて米軍が被告の身柄を日本側に引き渡した。7月12日に那覇地裁で初公判が開かれる。

 不可解なのは、起訴を受けて外務省の岡野正敬次官が3月27日、エマニュエル駐日米大使に遺憾の意を伝え、綱紀粛正と再発防止を求めながら、県側に約3カ月間も連絡していなかったことだ。

 今月16日投開票の沖縄県議選や23日の沖縄全戦没者追悼式に影響が出ることを避けたのでは、と勘繰られても仕方があるまい。

 玉城デニー知事が事件を「県民に強い不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるものだ。強い憤りを禁じ得ない」と批判したにとどまらず、政府の対応に「信頼関係において著しく不信を招くものでしかない」と問題視するのも当然だ。

 沖縄では、米兵らによる女性に対する性加害などの犯罪が繰り返され、騒音被害や事故なども後を絶たない。米軍基地から派生する県民に対する人権蹂躙(じゅうりん)がこれ以上続くことを許してはならない。

 日米両政府に対し、その根源にある沖縄への米軍基地集中や、日米地位協定の抜本的な見直しに着手するよう重ねて求めたい。