「裏金問題に加えて落選中の議員が、いったい何をやっているのか……。パーティー券をゴミ箱に捨てようと思ったほどだ」と渋い表情で語るのは、元外務副大臣で衆議院議員5期の経験がある中山泰秀氏(大阪4区)の支援者だ。

◆   ◆   ◆

中山氏が送り付けたのは、「中山泰秀政経文化会 開催のご案内」というパーティー券。開催日は6月28日金曜日午後5時から。高市早苗安全保障担当相の講演があり、その後に懇親会が予定されておいる。会費は2万円。政治資金規正法に則った政治資金パーティーであることが明記されている。

 

 

中山氏は、2021年の衆議院選挙で日本維新の会公認候補に惨敗、比例復活もならずに浪人中だ。自民党は維新に対抗すべく、昨年8月、茂木敏充幹事長を本部長に「自民党大阪刷新本部長」を設置し、新たな支部長を決めた。だが、中山氏については「活動に問題がある」と支部長保留とされていた。中山氏と同じ旧安倍派のある衆議院議員がこう話す。

「普段、何もやってないことを党本部に見透かされた。支部長に選ばれなかったこちについては、多くの党員が当然のことと思っていた。すると、中山氏の父親で元郵政相の正暉氏が自民党本部に乗り込み、『どうなっているのか』とクレームをつけた。何かあれば、自分自身ではなく元大臣でもある父親の力を借りるという、典型的な世襲政治家の愚行でした。茂木幹事長も、さすがに『これじゃなあ』と渋い顔でした」

父親の奔走の甲斐あってか、中山氏はなんとか昨年9月に支部長に再任された。その後に起こったのが裏金事件だ。中山氏は、2018年から22年までの間に、派閥の政治資金パーティー絡みで908万円ものキックバックを懐に入れていた。

22年に提出された「中山泰秀後援会」の政治資金収支報告書は訂正した上で再提出されたが、報告書を精査すると、裏金にしていた旧安倍派からの162万円が、新たな収入として追記されている。21年のものは204万円、20年は230万円を新たに計上した。だが、3年分で596万円と巨額な収入を得ているのに、すべて日付は「不明」。つまり裏金なので、日付が特定できないという、あきれた政治資金管理であることを証明した。

これまでハンターは、中山氏の「政治とカネ」に関する別の問題も指摘している(既報)。2021年、病院建設を巡って2億円の資金が日本大学から流出したとして、東京地検特捜部が強制捜査したが、その際逮捕されたのが大阪の医療法人「錦秀会」の錦秀会CEO(当時)の籔本雅巳氏。中山氏が支部長の「自民党大阪府第4選挙区支部」には、2012年から19年まで毎年、籔本氏名義で100万円が献金されていた。また、錦秀会グループからも政治資金とパーティ券代を受け取っていたことがわかっており、その額は2005年から20年までで3,628万円に上る。

また、中山氏は政党支部で2004年から07年にかけて暴力団と関連が深い2つの警備会社から、168万円の寄附を受領していたこともわかっている。

昨年の統一地方選において大阪府内で維新に惨敗した自民党。大阪市議選でも、維新が単独過半数を獲得したのだが、落選した自民党の候補者は吐き捨てるように「自民党がぼろ負けした最大の原因は、中山氏ですよ」と怒りを滲ませる。

自民党は維新が来年開催される大阪・関西万博の後地に、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指している。自民党はそれに対抗しようと、中山氏が「夢洲にディズニーリゾートを! 自民党」とアピールしはじめたのだ。「中山氏は以前からディズニーの関係者とコネクションがあるということで検討はされました。中山氏は『ディズニーの幹部と話した、可能性がある』と言っていました。そして『夢洲にディズニーリゾートを! 自民党』というポスターも作成。だが、数km先にはUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)がある。その誘致の時に、大阪市は大規模テーマパークは誘致しないと約束している。ディズニーランドはできないのです。それを議論も不十分なままIRの代案だとして中山氏が突っ走り、ポスターまで制作した。それが維新の攻撃の的となって、ぼろ負けしたのです」(大坂市議選で落選した自民党の候補者)

裏金事件をはじめ失態続きとなっているその中山氏が、世論の反発を無視して政治資金パーティーを開催するという。パーティー中止というケースもある中、今もって中山氏のパーティーが延期あるいは中止になるという話は聞かない。

「解散総選挙も近いので、早めにパーティーをやってカネを集めたいという話を中山さんの秘書がしていた。裏金議員としての反省がは皆無。だから『世襲のアホボン』と地元では揶揄されるのです。自民党は中山さんを支部長から降ろすべきだった。高市さんも行くべきじゃない」(中山氏の支援者)