きょうの潮流

 10年後に公開なんてふざけている。基準を20万円から5万円にしても何も変わらない。なんで企業・団体献金を禁止しないのか。抜け穴だらけだ
 
▼街で宣伝していたときに寄せられた声です。裏金の当事者である自民党が出した法案に。あきれるやら怒るやら。効果もなければ、反省もない。いくつもの世論調査をみても、多くの国民がそう感じています
 
▼規正の名にも値しない法を、自民、公明が強行しました。党首同士が合意文書を交わしながら約束が違うと騒ぎ立てる維新の醜態ぶりもあらわに
 
▼みずからが招いた政治とカネの問題を逆手にとった悪だくみも。闇金となっている「政策活動費」の合法化や、カネの流れをつかめる収支報告書の要旨を廃止するという新たな隠ぺい策も組み込まれています。これでは30年前の「政治改革」と同様ではないか
 
▼あのときも金権腐敗政治への不信が高まるなか、企業や団体が政治家個人に献金することを禁じ、代わりに税金を原資とする政党助成金制度がつくられました。しかし政党とその支部は献金を受け取ることができ、抜け道に。さらに選挙改革と称して小選挙区制も導入されることに
 
▼こんなすり替えをいつまで。かつての「政治改革」の渦中にいた細川護熙首相の政務秘書官だった成田憲彦氏は「企業・団体献金は、自民党存立の基盤であり、その構造からいって禁止は自民党にはできない」と本紙に語っています。では、どういう力学で禁じるか。それは政権交代プラス国民の怒りだと。

【政界地獄耳】パーティーが「政治活動の源」は自民党昭和世代の議員の本音か

 
★18日の産経新聞は「自民党派閥のパーティー券収入不記載事件で4月に党役職停止1年の処分を受けた林幹雄元幹事長代理が、28日に千葉市内で『勉強会』と称する政治資金パーティーを開く」と報じ、17日、取材に応じた林の秘書は「不記載は軽率だった。林議員本人も反省し、この半年間、毎週末、支援者らにおわびの説明をしてきた」と強調。その上で「パーティーを開くのは個人の政治活動の源だ。30年近くやってきた。人件費の維持などのためにも、ご理解をいただきたい」として、1人2万円の会費制で弁当付きの勉強会を開くという。

★役職停止処分を受けている中でのパーティー開催はいささか驚くも「政治活動の源」とは自民党昭和世代の議員の本音を秘書は話しているのだろう。以前より派手にせず、昼の弁当付きという策も遠慮が見える。「将来に禍根を残すような改革だけは、やってはいけない」「政治資金の透明性を図ることは当然だが、将来、国会議員を目指す若者が、政治資金を確保できないから政治を断念するのは甚だ残念だ」とは首相・岸田文雄との距離を広げつつある党副総裁・麻生太郎だ。自分が首相の時に無策で下野したことは棚に上げ、岸田降ろしを党幹事長・茂木敏充と画策する。

★若い議員たちの将来を考え、新たな知恵や方法を考えるのではなく、気に入らないから岸田降ろしをするという昭和の政治こそがこの裏金事件で問われているはずだが、それが理解できない政治家が自民党の中で大手を振っている限り、自民党は再生できない。手あかのついた政治手法のアップデートなくして自民党は国民から信用されない。確かに20万円から5万円に引き下がるのは「パーティーが政治活動の源」になっている議員には痛手だろう。だが、その法律に合わせて議員活動を身の丈に合わせていくことが必要ではないのか。なんでも今まで通りか、それ以上を望むより、企業が献金や寄付で名前が出るのを嫌がらない仕組みを考えるのが、ベテランの仕事ではないか。(K)※敬称略
 

【政界地獄耳】小池百合子×自民党×三井不動産 関係追及すべきとの蓮舫指摘は当然

 
 
★都知事選挙の20日告示直前、「しんぶん赤旗」16日付は1面の肩で「東京都にある五輪選手村(中央区、現晴海フラッグ)や神宮外苑再開発(新宿区、港区)などの大型再開発を主導する三井不動産グループ2社に、都局長ら幹部14人が天下りしていた」と報じ、「いずれも小池百合子知事が肝煎りで進める事業で、14人のうち8人が再開発事業を所管する都市整備局の元幹部で、元局長2人が含まれる」と指摘した。

★まさに蓮舫が先月27日の出馬表明で言っていた「裏金事件、『政治とカネ』の自民党政治の延命に手を貸す小池都政」「この8年間、『伏魔殿』と言った都議会自民党や『ブラックボックス』と言った都庁をどう変えたのか」「8年前の自分の公約よりも、自民党と二人三脚。彼女の志からくる対応かもしれませんが、私はこの矛盾についていけません」に通じる。岩波書店「世界」7月号の東大名誉教授・大方潤一郎とジャーナリスト・佐々木実の対談「神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う」で、佐々木が落選中の萩生田光一について「『萩生田元代議士と情報交換』という東京都の内部文書がある。2012年2月28日に安井(順一)技監と面談した際、国立競技場建て替えに関して萩生田氏は、『スポーツ立国議連で「競技施設そのものは国、しかし都が一生懸命汗をかいてくれなくては困る。君が、文科省、NAASH(現JSC=日本スポーツ振興センター)、都を横断的に調整してくれ」と言われている』と語り、『森喜朗の名代』であることを誇示している」とある。

★12日の衆院外務委員会でも立憲民主党・鈴木庸介が、5月28日公表の国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の報告書の外苑に関する文言の削除を政府が要請していたことを質問。それはまさにこの部分だ。ここに出てくる安井は赤旗の指摘通り三井に天下っている。民主党・野田政権が発足した12年に既にこんな動きをしていたのなら、蓮舫が都と自民党、小池と自民党と三井との関係を追及すべきとの指摘は当然だろう。(K)※敬称略
 
 

【政界地獄耳】首相vs元首相にベテラン2人の声、自民党にどう響く

 
★自民党副総裁・麻生太郎が「将来に禍根を残すような改革だけは、やってはいけない」「政治資金の透明性を図ることは当然だが、将来、国会議員を目指す若者が、政治資金を確保できないから政治を断念するのは残念」などと発言し、首相・岸田文雄との関係がこじれていると政治メディアは大喜びだが、こういう時、元首相と首相の対立に党内はだんまりを決め込む。心の内では麻生の言う「カネがかかる」という部分だけに称賛を送る者が多いだろうが、国民も裏金づくりまでは奨励していないし、麻生が正しいとは言い切れない。一方、今までの政治のセオリーで政局を転がす政治家とは違い、政倫審出席、派閥解散、公明党案の丸のみなど、岸田の改革の進め方は、のらりくらりしているが、今までの自民党では前に進められなかったものを進めている。決してこれがベストとも思わないが、サプライズの効果は出ている。保守政治には性急で驚くような改革は間違いで不要なのか。

★そこに2人の政治家が声を上げる。元幹事長・石破茂は「副総裁というのは総理を支える、NO・2と言ってもいい。そういう方がこういうことを言われるからには『何でこういうことを言われたのか』ということをご説明いただいた方がいい。何で禍根を残すような改革になるのか、世の中の人はなんだかよくわからない。プロセスがよくわからないままに、何だか激怒しているとか、口もきかないとか、そういう状況というのは、あんまり国民のシンパシーを得られるとは思わない」。

★麻生派の衆院議員・斎藤洋明から首相退陣論が出たことに関し、立憲民主党・小沢一郎はXで「全部岸田総理におっかぶせて辞めてもらい、『人気者』を新総裁にする。それでチャラになって総選挙は楽勝という常とう手段。自分のことだけ。責任を取るのは、この人も含めた自民党。日本の未来のためには自民党の解党が正解」と喝破した。元首相と首相の対立にベテラン2人の声。今の自民党にどう響くか。(K)※敬称略