岸田首相の「おためごかし」にはウンザリだ。

 

 

「恩着せメガネ」こと岸田首相の天下の愚策に企業もカンカンだ。帝国データバンク(TDB)が14日公表した〈定額減税に関する企業の影響アンケート〉で、今月から始まった定額減税の事務について「負担感がある」と回答した企業が実に約7割(66.8%)に上ったのである。

 

 定額減税は所得税と住民税をあわせて1人当たり4万円が差し引かれる仕組み。「減税分の給与明細への明記義務」のせいで、約5000万人の給与所得者が対象の巨大な減税策に、かねて事務負担増を懸念する声が続出していた。TDBの調査結果は「案の定」なのだ。

 TDB情報統括本部の担当者は「『負担感がある』と答えた企業を規模別に見ると、大企業が68.3%、中小企業が66.6%、小規模企業が62.6%と、大差ありませんでした」と前置きして、こう続ける。

■経理担当者は大変に1年に

「従業員10人以下の家族経営や給与処理を外注している小さな企業ほど、負担感は少ないようです。共通しているのは、定額減税の複雑な仕組みを理解するのに時間がかかること。一括給付ではないので分かりにくい。減税分を反映した給与を出した後、ちゃんと引かれているのか、事後に従業員からの問い合わせもあるでしょう。1回で引ききれない減税分は翌月以降に持ち越されるので、扶養家族がいれば、その分がきちんと引かれているのかを最終的にチェックする必要も出てきます。経理・事務担当者にとって、大変な1年だと思います」

 定額減税による“恩恵”は1人当たり月3000円ちょっと。小遣いレベルの施しなのに岸田首相が「恩恵」とのたまったものだから、国民の怒りの火に油を注ぐ結果に。「増税メガネ」の不名誉払拭と政権浮揚のもくろみは外れ、「恩着せメガネ」が定着した。

 定額減税への風当たりは強く、朝日新聞の最新の世論調査(15、16日実施)によれば「評価しない」が56%。「評価する」は35%にとどまった。内閣支持率は前回5月調査から2ポイント減の22%で、内閣発足以降の最低水準だった。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)がこう言う。

「中小零細企業から給与計算を委託されている税理士の方は、『手間は増えるが追加手数料を取るわけにもいかない』と頭を抱えていますよ。物価高で国民生活が逼迫する中、事務負担が増えるだけで効果の期待できない定額減税が悪評ふんぷんなのは当然。人気取りにしても酷いと言わざるを得ません」

 岸田首相の「おためごかし」にはウンザリだ。

 

 

二階派元会計責任者、虚偽記載認める 裏金事件公判で安倍派に続き

 
 
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、志帥会(二階派)の政治資金収支報告書にパーティー券収入のノルマ超過分を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元会計責任者、永井等被告(70)は19日、東京地裁で開かれた初公判で起訴内容を認めた。

 一連の事件では計10人が立件された。正式裁判が開かれるのは、清和政策研究会(安倍派)会計責任者の松本淳一郎被告(76)に続いて2人目。

 起訴状によると、永井被告は2018~22年分の二階派の収支報告書に収入を計約2億6500万円、支出を計約1億1600万円それぞれ少なく記載したとされる。
 
 永井被告は1997年7月に二階派の会計責任者に就任し、23年秋に事実上退任した。
 二階派では、派閥の収支報告書に議員が集めたノルマ超過分の売り上げの一部を収入として記載していなかったとされる。議員側が派閥にノルマ超過分を報告せず、事務所でプールしていたケースもあったという。

 ノルマ超過分については議員側にキックバック(還流)していたが、安倍派と異なり、派閥の収支報告書に議員側への支出は記載されていたとされる。

 派閥会長だった二階俊博元党幹事長については、東京地検特捜部は立件を見送った。一方で、二階氏の政治団体では、18年からの5年間で約3500万円が不記載になっていたとして、二階氏の当時の秘書が略式起訴された。

 二階派では、20~22年に派閥からの寄付を収支報告書に記載していなかったとして、二階氏や武田