自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、一度中止された資金還流に関し、2022年8月に開かれた幹部協議で再開が決まったと派閥関係者が東京地検特捜部の事情聴取に供述していたことが17日、関係者への取材で分かった。還流金に新たな基準が導入されたとも説明したという。

 協議に参加した幹部議員4人は国会で「協議で結論は出なかった」と説明。こうした主張を否定する供述が明らかになったことで、改めて説明責任を問われる可能性がある。共同通信の取材に、4人は国会での説明と同じ主張をするなどした。

 幹部の1人、下村博文氏が事務局長に還流再開を複数回要求していたとの派閥関係者の供述が既に判明しているが、幹部協議に関する具体的な供述内容が明らかになるのは初めて。

 協議は22年8月5日、当時会長代理だった塩谷立氏の議員会館事務所で開かれ、塩谷氏のほか、同じく会長代理の下村氏と事務総長の西村康稔氏、参院側会長の世耕弘成氏、事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)=政治資金規正法違反罪で公判中=が参加した。

 

 

政治資金の監視役「第三者機関」、反対の声はないのに中身の議論が進まない…2026年法施行までに設置できる?

 
自民党全くやる気ないのだから…💢
 
 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた自民党の政治資金規正法改正法案で、与野党が透明化の徹底のために「必要」と口をそろえるのが、政治資金を監督する「第三者機関」の設置だ。米国などで導入されており、識者から「ルールをいくら厳しくしても、監督機関がなければ絵に描いた餅」との声が上がるが、改正案では付則に盛り込まれただけで詳細は未定。2026年の法施行までにちゃんと設置できるだろうか。(井上峻輔)

◆自民は「各党間で協議」繰り返す
 「第三者機関の具体的な姿が明らかではない。基本的な方向性も見えない」。17日の参院政治改革特別委員会で、立憲民主党の宮口治子氏は自民の提案者の鈴木馨祐衆院議員に迫った。
 
 
 第三者機関の設置は改正案の付則に「政治資金の透明性を確保することの重要性に鑑み設置する」と盛り込まれた。だが、その役割は政策活動費の監査が例示されているだけで、具体的な内容は「検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるもの」としか書かれていない。
 与野党双方に設置自体に反対する声はなく、質疑は機関の詳細や設置時期に集中している。それでも、鈴木氏はいつものように「各党間で協議していく」と繰り返すだけだった。

◆現行の「政治資金監査人」は「ザル」
 第三者機関が注目されるのは、現在は政治資金のルールを守らせる実効性のある組織がないためだ。

 弁護士や公認会計士らが委員を務める「政治資金適正化委員会」は総務省にあるが、役割は監査の指針策定などにとどまる。適正化委の研修を受けた「登録政治資金監査人」が国会議員関係政治団体を監査するものの、支出内容が適切かどうかは評価されず、関係者から「ザル」と呼ばれるほど緩い。
 
 
◆米国には民事罰を科せる組織
 米国には「連邦選挙委員会」(FEC)という独立機関があり、政治資金の収支に法令違反が疑われる場合は文書での質問や現地調査を行うことができる。法令違反があった場合に民事罰を科すことも可能だ。

 審議では、与野党がそれぞれ第三者機関の理想像を提案し、公明党は「調査や勧告などより広い権限を持つ組織に」と主張。国民民主党は「政策提言や監視、違反時の勧告等を行う広範囲な機能を」と訴える。

◆権限の強さ、独立性の担保…今後の課題
 衆参両院の参考人質疑でも識者からは「早期の設置が必要」との意見が相次いだが、立法府と行政府のどちらに設置すべきかや、強力な権限の有無などで見解が割れている。政治的な中立性や独立性を守り、どういう役割を担うかは今後の課題となっている。

 設置時期は未定だが、公明党や日本維新の会は改正案が施行される2026年1月に合わせるよう求めている。岸田文雄首相は17日の衆院決算行政監視委員会で「可能な限り早期に設置すべく努力する」と述べるにとどめた。
 
 

自公維案 成立許されない

規正法 自民の採決提案 小池氏が批判

 
 日本共産党の小池晃書記局長は17日、国会内で記者会見し、自民・公明・維新が合意した、抜け穴をさらに広げる政治資金規正法改定案を自民党が18日の参院政治改革特別委員会での質疑後に採決することを提案したことについて、「とんでもないことだ。法案は最大の焦点である企業・団体献金禁止の『き』の字もない。このような法案成立は許されない」と主張しました。

 小池氏は、改定案について「脱法的に行われてきた『政策活動費』を新たに法律に書き込んで合法化し、公開は10年後で、黒塗りの領収書でもいい。大改悪だ。情報公開についても後退するものだ」と批判しました。

 小池氏は「わが党は徹底審議を行い、抜本的な修正を行うべきだと主張してきた」と指摘。それができないのであれば、審議されている企業・団体献金の全面禁止を求める共産党案こそ実現すべきだと主張しました。さらに、「自民党の裏金問題の再発防止と抜本改革に向けて、国会の責任を果たすために全力を挙げる」と表明しました。