国民・玉木代表「9月までに改憲進まなければ岸田首相は総裁辞すべき」憲法審査会で表明

 
 
13日の衆院の憲法審査会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「憲法審査会は本日、事実上、今国会の最終回だ。今国会では条文案どころか、起草委員会も設置されず、岸田首相の今の総裁任期中の発議は不可能となった」と述べた。

岸田首相が自民党総裁の任期までの憲法改正を目指す考えを示している。

憲法改正に前向きな玉木代表は、今の国会が閉会した後も閉会中審査を行うよう求め「もし(総裁任期の)9月までに条文化作業が全く進まないのであれば、岸田首相の約束違反だ。総裁の職を辞すべきだ」と厳しく批判した。

一方、自民党の中谷元・元防衛相は憲法審査会で、緊急事態の国会議員の任期延長についての論点整理を提示した。

審査会後、中谷氏は記者団に、「閉会中審査でやる必要がある。立憲民主党や共産党にも参画をしてもらい、全党そろった形で議論を行うことが何よりも大切だ」と述べた。
 
 

憲法壊す岸田政権

審査会で赤嶺議員批判

 
 衆院憲法審査会は13日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、過去最大の大軍拡予算や、次期戦闘機の輸出、日米司令部機能の一体化、公共インフラの軍事利用強化などを取り上げ、「岸田政権が平和国家としての理念を次々と破壊しようとしていることは極めて重大だ」と厳しく批判。憲法9条を生かした外交努力こそ求められていると主張し、「平和を希求する多くの国民と連帯し、憲法破壊の政治を転換させることに全力を尽くす」と強調しました。

 赤嶺氏は、政府が英国・イタリアとの次期戦闘機の共同開発を決め、その前提として第三国への輸出を認めたことは「死の商人国家への道を突き進むものだ」と批判。武器輸出禁止の原則は、衆参両院の全会一致の国会決議で確立した、憲法の平和主義に基づく国是であり、「一片の閣議決定で覆すことは許されない」と強調しました。

 さらに、政府が空港や港湾の軍事利用を進めるため、拒否する自治体には指示を出して強制させることを可能にする地方自治法改定案を推し進めていると指摘。政府・与党は国会の立法権も行政監視機能も形骸化させ、地方自治体も国民経済も軍事に動員する体制づくりを進めていると述べ、自民党などが国会機能の維持を理由にあげて国会議員任期を延長するための改憲を主張しているのは「全くのまやかしだ」と批判しました。

 

衆院憲法審、「閉会中審査」の要求相次ぐ 公明、維新、国民民主が自民の論点整理に賛意

 
自民党が13日の衆院憲法審査会で提示した国会議員の任期延長に関する論点整理をめぐっては、必要性を共有する公明党や日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」からも賛意の声が上がった。今国会の会期末が23日に迫る中、改憲案を作成するための閉会中審査の開催要求も相次いだ。改憲5党派のスクラムで立憲民主党と共産党の「護憲の壁」を崩せるかが焦点となる。

「発言内容に全面的に賛同申し上げたい」。公明の北側一雄氏はこの日の憲法審で、論点整理を公表した与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)に同調した。

一方、自民の船田元氏は「閉会中審査を開くことを強く望みたい」と主張。維新の岩谷良平氏も「憲法議論に夏休みは必要ない。賛成会派のみでも(改憲案の)条文を起草し、国民投票で民意を問うべきだ」と訴えた。

閉会中審査への言及が相次いだ背景には窮屈な国会日程がある。衆院憲法審は20日が最後の定例日となるが、会期末間際の与野党攻防のあおりで開催は困難視されている。政府与党が会期延長を決断しない限り、閉会中審査で改憲案提出の環境を整えることが次善の策となる。

中谷氏は憲法審終了後、記者団に「閉会中審査と(改憲案を協議する)起草委員会を開いて議論していきたい」と述べた。昨年の臨時国会で維新と国民民主が自民に要求した閉会中審査は実現しなかったが、関係者は「あの時とは空気感が違う。改憲勢力は本気だ」と語る。

通常国会が延長されなければ自民が模索した改憲案提出は見送られる。ただ、閉会中審査で改憲案作りが進めば秋の臨時国会以降への提出が視野に入る。

野党筆頭幹事の逢坂誠二氏(立民)は閉会中審査に関して記者団に「現時点ではあまり現実的ではないと思っている」と述べた。中谷氏の説得が実らなければ森英介会長の職権で開く展開も予想される。

「今国会では起草委も設置されず、(岸田文雄首相が掲げた)自民総裁任期中の発議は不可能となった。猛烈な徒労感を覚えている。首相の政治責任が問われる事態だ」。国民民主の玉木雄一郎氏は衆院憲法審でこう強調した上で、閉会中審査の必要性に言及。「9月までに条文化作業が全く進まないのであれば総裁の職を辞すべきではないか」と述べた。(内藤慎二)