1946年衆議院選挙、女性当選者8.4%
2021年衆議院選挙、女性当選者9.7%

 

女性が参政権を獲得して80年近くなりますが、衆議院の女性比率はほとんど前進が見られません。各党に問われます。同時に、格差解消には、小選挙区制を廃止し、比例代表制に移行することも大事です。(宮本徹さん)

 

 

国会議員に女性が増えないのは、とにかく自民党と公明党と維新が足を引っ張っているのが明らか

 

 

 世界経済フォーラム(WEF)は12日、世界の男女格差の状況をまとめた2024年版「ジェンダーギャップ報告書」を発表した。日本は調査対象となった146カ国のうち118位で、前年の125位からは改善したが、主要7カ国(G7)では最下位だった。

 

 報告書は教育・健康・政治・経済の4分野で、男女平等の度合いを分析。男女が完全に平等な状態を100%とした場合、世界全体での達成率は68・5%で、前年から0・1ポイント改善した。経済分野が改善傾向にある一方、政治分野は停滞。WEFは今のペースだと、完全な男女平等の達成には134年かかると試算している。

 日本の達成率は66・3%で前年から1・6ポイント上乗せした。しかし、G7では87位のイタリアを下回る最下位。対象国数は異なるが、06年に報告書が始まって以降、日本の順位は下落傾向にある。達成率は横ばいであることから、ジェンダー平等の取り組みを進める他国に取り残されているのが実情だ。

 

待望の「プレシデンタ」、男性優位のメキシコを変えた女性たちの運動

 
 
 
 「クラウディア、プレシデンタ!」

 5月19日、メキシコの首都メキシコ市。大統領選を2週間後に控えたこの日、候補者3人による討論会が開かれた会場の外では、大きなかけ声が響いていた。特に多いのが、その後当選した科学者出身で前メキシコ市長のクラウディア・シェインバウム氏(61)の支持者だった。
 
スペイン語で「大統領」を意味する名詞は「プレシデンテ(presidente)」。だが、女性の場合は女性名詞の「プレシデンタ(presidenta)」に代えることができる。

 「『プレシデンタ』誕生を、いかに待ちわびたことか。メキシコは変わろうとしている」。大学生のマリア・フェルナンデスさん(22)は、そう話した。

マチスモ(男性優位主義)文化が強いとされるメキシコでは、なぜ女性の大統領が誕生することができたのでしょうか。記事後半では、メキシコが選挙の候補者を男女同数に義務づけた「パリテ」制度などを導入したきっかけや経緯を記しています。
 
 

メキシコが国会議員の男女同数を実現するまで 20年以上重ねた努力

 
 
 今月、史上初の女性大統領が生まれたメキシコは、候補者を男女同数にすることを政党に義務づける制度「パリテ」が定着し、国会議員はほぼ男女同数です。マチスモ(男性優位主義)文化が強いとされるメキシコで、どう女性の政治参画が進められたのでしょうか。現地で女性政治家らに聞き取り調査をおこなった北海道大大学院の馬場香織准教授(比較政治)にその道のりを聞きました。
 
 ――メキシコで、女性の政治参画の動きはいつ始まったのでしょうか。

 1991年にアルゼンチンで、候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」が世界で初めて法制化されたことを皮切りに、90年代のラテンアメリカでは法的なクオータ制の導入が進みました。

 95年に北京で開かれた国連の第4回世界女性会議(北京会議)もきっかけとなり、アルゼンチンの先駆的な取り組みを見ていたラテンアメリカの女性の政治家たちは女性の政治参画を大きな課題と認識するようになりました。

 メキシコは96年の選挙法改正で、候補者の30%を女性とすることを政党に推奨するクオータ制を導入しました。

 ――効果はありましたか。

 義務ではなかったので、ほとんど効果は見られませんでした。97年、2000年の選挙を通じて連邦議会の女性議員の比率は20%未満でした。

 そんななか、当選した女性議員たちは、党派横断的に、クオータ制の義務化に向けて行動を続けました。他の政策では意見が異なるものの、女性の権利推進や政治参画という点では協力し、当時ほとんどが男性だった党幹部を説得してまわったのです。02年の法改正で30%を女性とするクオータ制が義務化され、03年の選挙で初めて20%を超えました。

勝ち目のない選挙区に女性候補者を擁立
 ――クオータ制が法律で義務化されて、女性の政治参画は進んだのでしょうか。

 女性議員の数は少しずつ増えても、党の執行部など意思決定の場に女性が参画できていないという状況がありました。男性議員たちは制度の「抜け穴」を利用し、男性優位の状況を作って「抵抗」しました。