自民、改憲原案の今国会提出見送りへ 首相、総裁任期中の実現を断念

 
国民世論と野党の裏金追及で追い詰めた結果。

そもそも、議員の任期延長のための改憲など、国民は望んでいない
 
それから首相が「改憲」発言は憲法99条「首相は憲法を厳守しなければならない」に反したことをしたのだという反省を求めるべきだ。
 
 
 
 
 憲法改正を巡り、自民党が今国会中の改正原案提出を見送る見通しとなったことが党関係者への取材で判明した。立憲民主党などが強く反対する中、改憲勢力だけで条文化を進めれば、岸田文雄首相が今国会での実現を目指す政治資金規正法改正に影響を及ぼすと判断した。

 首相は9月末までの党総裁任期中に憲法改正を目指す考えを示していたが、改正原案を今国会に提出できないことで、断念せざるを得ない状況になった。
 
 改憲に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主など4党1会派は、衆参で改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を有する。衆院憲法審査会では、この4党1会派が緊急事態時に国会議員の任期を延長する条項について条文化を提案していた。

 総裁任期中の憲法改正を実現するには、23日に会期末を迎える今国会で改正原案を国会に提出した上で、衆参両院の憲法審査会で審査し、国会発議することが前提条件となる。
 
 自民は改憲に消極的な立憲などにも条文化の作業に加わるよう呼び掛けていたが、立憲は応じていない。

 さらに、立憲は自民などの改憲勢力だけで条文化を強行すれば、今国会で最大の焦点となっている政治資金規正法の改正案を含め、全ての法案審議に応じられないと自民側に伝達。与野党関係者によると、自民も今国会での条文化見送りを受け入れる方針という。

 自民の衆院側には会期末ぎりぎりまで改正原案の提出を模索する動きもあるが、厳しい情勢だ。4党1会派で条文を作成する方針を確認した上で、国会閉会後に作業を進める案などが検討されている。

 首相は10日の参院決算委員会で憲法改正について問われ、「自民党総裁として任期中に憲法改正を実現したいと申し上げてきたが、時間的な制約があることは事実だ」と述べていた。【遠藤修平、竹内望】
 
 

憲法改正の手続きは? 発議にハードル、国民投票で条文ごとに賛否

 
 1946年11月3日に公布、47年5月3日に施行された日本国憲法はこれまで一度も改正されたことがありません。自民党は「現行憲法の自主的改正」を結党以来の党是としていますが、憲法改正にはどのようなハードルがあるのでしょうか。調べてみました。

 Q 憲法改正ってどんな手続きが必要なの?

 A 衆院で100人以上、参院で50人以上の賛同を得るなどして、憲法改正の原案を国会に提出し、衆参両院の憲法審査会で審査します。審査会で出席議員の過半数の賛成で可決されると、本会議に上程されます。衆参両院の本会議で、総議員の3分の2以上の賛成を得られれば、憲法改正が発議されます。
 
Q 発議って何?
 A 国民に提案し、承認を求めるという意味です。

Q どうすれば承認されるの?

A 憲法改正を発議した日から60日以降、180日以内に国民投票が実施され、満18歳以上の国民が投票できます。複数の条文について改正案が出されている場合は、条文ごとに「賛成」「反対」のいずれかに「○」を付けて賛否を示します。有効投票の過半数の賛成が得られた部分のみが改正されます。

 
Q なぜ、そんなにハードルが高いの?

A 憲法は最高法規と呼ばれ、憲法に反する法律や命令には効力がありません。国の基本的なあり方を決めると同時に、国家権力から個人の基本的人権を守る意味があります。時々の権力者に都合の良い憲法改正ができないように、高いハードルを設けているのです。

 回答・遠藤修平(政治部)