「早期解散・総選挙のウワサは絶えず、来年夏には参院選も控える。国政選挙が相次ぐ『空白の2年半』は何かと物入りなだけに、パーティーラッシュに拍車がかかるでしょう。裏金の温床をキープして荒稼ぎとは国民をバカにしています」

 

 

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案が、5日の衆院政治改革特別委員会で自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決、6日の衆院本会議で採決された。衆院を通過する見通しで、今国会での成立がほぼ確実となる。裏金事件の当事者である自民の再々修正案は「改正」とは名ばかりで、抜け穴だらけの骨抜き案だが、問題は改正法の施行時期だ。

 

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 修正案には「令和8(2026)年1月1日」とあり、今から1年半も先だ。その上、政治資金パーティー券購入者の公開基準を現行「20万円超」から「5万円超」の引き下げに限り、施行後1年の経過措置を設け、27年1月1日からだ。ナント、2年半もの猶予期間がポッカリと空くのである。

 パーティー収入こそが裏金の原資だ。本気で襟を正すつもりがあるのなら「サッサと新基準に従え」と言いたくなるが、自民党議員にとって公開基準の引き下げは死活問題らしい。

「議員の多くはパーティー収入で秘書の人件費を賄っている」とは自民党関係者だ。こう続けた。

「議員会館と地元事務所で計10人の秘書を雇った場合、国費で賄われるのは公設秘書の3人のみ。残り7人の私設秘書は自己負担です。秘書も自身の給与に直結するため、必死でパー券を売る。しかし、相手先の支援企業は支持政党や議員がオープンになるのを嫌い、公開基準ぎりぎりの範囲での購入が慣例です。現行の20万円超なら2万円のパー券10枚分。5万円超になれば3枚の6万円分だと公開基準に触れ、2枚しか買わなくなる。支持基盤の弱い中堅・若手ほど、事務所の運営が厳しくなります」

「10万円超」か「5万円超」か、自公でスッタモンダした挙げ句、大詰めで岸田首相のトップダウンで「5万円超」に決着。自民党内が不満タラタラなのは「賃上げのご時世で秘書の給料を下げるわけにもいかず、人員整理はもっと難儀する。我々の苦労も考えて欲しい」(ある議員)という現金な理由に基づく。

■「今のうちに」と蓄財もくろ議員心理

 となると「20万円超のうちに」と、セッセと蓄財をもくろむ心理が生じるに違いない。政治資金パーティー全面禁止法案を提出した一方で、パーティー開催を予定した立憲民主党の幹部たちも同様だろう。

 すでに「6月に予定していた朝食会を7月に延期した」と語る議員もいる。規正法改正を仕上げれば裏金事件も一件落着とばかりに、自粛解禁。今か今かと従来のパーティー好きがウズウズし出す。最初に催す“ファーストペンギン”は悪目立ちするが、あとは一気呵成。怒涛のパーティーラッシュが巻き起こっても不思議ではない。

「早期解散・総選挙のウワサは絶えず、来年夏には参院選も控える。国政選挙が相次ぐ『空白の2年半』は何かと物入りなだけに、パーティーラッシュに拍車がかかるでしょう。裏金の温床をキープして荒稼ぎとは国民をバカにしています」(政治評論家・本澤二郎氏)

 リミットが近づくほど、連日の駆け込みパーティーが予想される。気の早い議員は26年12月のパーティー会場を今から押さえているかもしれない。

 まさに国民愚弄の規正法改正である。

 

立憲・吉田統彦氏も税優遇 党支部に5000万円寄付「原資は身銭」

 
立憲民主党って甘いんだよね。緩みっぱなし。有権者怒るで~~💢出てくるんでは?と心配していたが…案の定!
 
 
 
 立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)衆院議員(比例東海ブロック)が2020~22年、自らが代表を務める党支部に計5000万円を寄付し、所得税の一部を控除される税優遇を受けていたことが判明した。同様の税優遇は自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で安倍派からキックバック(還流)を受けた議員や自民執行部で発覚していたが、野党第1党にも波及した。
 
 愛知県選挙管理委員会が毎日新聞に開示した「寄付金(税額)控除のための書類」によると、吉田氏は20年に1500万円、21年に1800万円、22年に1700万円を自ら代表を務める「立憲民主党愛知県第1区総支部」に寄付し、控除対象として記載した。

 吉田氏は取材に対し、控除を受けた事実を認め、寄付について「支部における職員給与など人件費などとして支出するために行った」と説明した。また、寄付の原資は国会議員の歳費(報酬)ではなく、吉田氏が眼科医や大学教員として働いて得た収入や不動産収入などの一部を充てたと主張。「身銭を切って寄付した資金であり、支部に対する寄付は何ら問題はないと考えており、寄付金控除についても同様だ」との認識を示した。

 租税特別措置法では個人が政党などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から差し引かれる。

 税優遇を巡っては、自民の菅家一郎元副復興相が安倍派から還流された1289万円を原資に、自らが代表を務めていた党支部に寄付し、控除を受けていたことが判明。自民の稲田朋美幹事長代理、平井卓也広報本部長、福岡資麿(たかまろ)参院政策審議会長も党支部への寄付で控除を受けたことが明らかになっている。

 寄付に伴う税控除制度は個人献金を促し、国民の政治参加を推し進める目的で導入された。政治家が自らの後援会に寄付した場合は寄付者に「特別の利益」が及ぶとして控除の対象外だが、政治家と事実上、一体となっている政党支部については明確な基準がなく「抜け道」と指摘されてきた。

 自民が提出し、6日の衆院本会議で可決された政治資金規正法改正案では、自らが代表を務める政党支部への寄付を控除の対象外とする措置を「検討」するとの付則が盛り込まれた。立憲を含む野党側も同様の法改正を求めている。【田中裕之】