次期戦闘機の共同開発機関「GIGO」年度内に設置へ 初代トップは日本人か 2035年配備目指す条約を承認

 

米国のイスラエルへの武器供与が、ガザ攻撃を支えている。ウクライナへの侵略を続けるロシアは、北朝鮮から武器を調達。
武器輸出が国際紛争を助長することは明らかだが、その認識すら示さない政府が最新鋭の戦闘機を輸出するという。
次期戦闘機の共同開発、輸出、断固反対。

 

 共産の山添拓氏は4日の参院外交防衛委員会で、「2015年に当時の内閣法制局長官が『武器の輸出を制限するのは国際紛争の助長を回避するため』と(国会)答弁している」と紹介。政府の立場に変更がないか認識をただした。

 

 

 日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に向け、企業との契約や輸出管理を担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」を設立する条約が5日、参院本会議で可決、承認された。GIGO本部は、2024年度中に英国に設置。岸田政権は3月に武器輸出ルールを緩和し、日本から第三国への輸出を解禁しており、GIGOを通じた輸出も視野に入る。

 

 自民、公明両党と立憲民主党、日本維新の会などが賛成。共産党、れいわ新選組は反対した。立民会派に所属する社民党議員2人は退席した。
 

◆殺傷兵器輸出と平和憲法の整合性は?
 GIGOは、各国が個別に行っていた企業との契約締結を一本化し、開発・生産計画の管理など業務の効率化を図る。初代トップには日本人が就く予定。次期戦闘機は、仕様や性能を今後5年程度で確定させ、2035年の配備を目指す。林芳正官房長官は5日の記者会見で「英伊と連携しながらGIGOを通じて次期戦闘機の共同開発を着実に推進していく」と強調した。
 

 条約には輸出促進が明記されており、国会審議では、典型的な殺傷兵器である戦闘機輸出と憲法との整合性が問われた。

 

 

 共産の山添拓氏は4日の参院外交防衛委員会で、「2015年に当時の内閣法制局長官が『武器の輸出を制限するのは国際紛争の助長を回避するため』と(国会)答弁している」と紹介。政府の立場に変更がないか認識をただした。
 

 外務省の河辺賢裕総合外交政策局長は「個別の案件ごとに移転先を厳格審査し、移転後の適正管理も確保することによって平和国家の理念を堅持していく」と述べ、変更の有無に直接言及しなかった。山添氏は「政府の方針を変えたとも言わず、紛争助長の認識がないのなら、憲法に基づく平和国家の立場を投げ捨てるものだ」と指摘した。(川田篤志)

 

 

「不透明な点が多すぎる」次期戦闘機を巡る承認案、参院委員会で可決 そのまま本会議で成立へ

 

次期戦闘機の輸出容認は、日本を武器輸出大国へと大転換するもので、米国の対中戦略に基づき「同志国」への輸出を進めれば、地域の緊張を高めると指摘。「平和国家の立場を投げ捨て、武器を売り歩き利益を増やすのは『死の商人国家』との批判は免れない。大軍拡ではなく外交で平和構築を図るべきだ」

 

 

 日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に向け、企業との契約や輸出管理を担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」を設立する条約の承認案が4日、参院外交防衛委員会で与党などの賛成多数で可決した。GIGOの最高機関「運営委員会」の意思決定手続きや、輸出する際の仕組みなど「別途の取り決め」により定めるとした記述は17カ所に上る。運営ルールの根幹が不透明なまま、5日の参院本会議で成立する見通しだ。(川田篤志)
 

◆日英伊3カ国の政府間機関「GIGO」設立条約の承認案

 採決では自民、公明両党のほか、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が賛成。共産党や参院会派「沖縄の風」は反対した。
 立民の福山哲郎氏は4日の質疑で、GIGOの運営ルールに関し、承認案が成立した後に3カ国の協議による「別途の取り決め」で定めるとする記述が目立つと指摘。「国会で審議するには不透明な点が多すぎる」と訴えた。
 

 承認案では、日英伊3カ国の代表で構成する運営委員会の責任の範囲や意思決定の手続きのほか、輸出を円滑にする仕組み、作業計画の具体的な活動分野など17カ所が「別途の取り決め」に回され、内容が明かされなかった。
 

◆「別途の取り決め」だらけ…「よく通ったな」

 

 

 次期戦闘機の第三国輸出は海外での紛争を助長しかねない。憲法の平和主義にもかかわるため、国際機関の手続きであっても国会のチェックは欠かせないが、詳細が固まっておらず、熟議の機会を失った。福山氏は運営ルールに関する協議がまとまり次第、国会に報告するよう要求。木原稔防衛相は「できる範囲で公表していく」と述べるにとどめた。
 政府は本年度中のGIGO本部設置までに「別途の取り決め」の策定を目指す。木原氏は開発総経費の見積もりや、第三国輸出を容認した経緯の詳細も明らかにせず、福山氏は「本当に分からないことだらけで、よく自民党の部会で(承認案が)通ったなと思う」と語った。
 4日の採決に先立つ反対討論で、沖縄の風の高良鉄美氏は「重要事項に関わる内容が『別途の取り決め』に委ねられ、白紙委任になっており、政府の身勝手と言わざるを得ない」と批判した。
 日英伊3カ国は2035年の次期戦闘機の配備を目指している。承認案には輸出促進が明記されており、政府は3月に武器輸出ルールを緩和し、日本から第三国への輸出を解禁した。

 

 

紛争助長の武器輸出

山添氏告発 条約承認案 参院委で可決

 
 
 英・イタリアとの次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を推進する政府間機関「GIGO」を設立する次期戦闘機共同開発条約の承認案が4日の参院外交防衛委員会で自民、公明、立民、維新、国民の賛成多数で可決しました。日本共産党と参院会派「沖縄の風」は反対しました。

 日本共産党の山添拓議員は討論で、次期戦闘機の輸出容認は、日本を武器輸出大国へと大転換するもので、米国の対中戦略に基づき「同志国」への輸出を進めれば、地域の緊張を高めると指摘。「平和国家の立場を投げ捨て、武器を売り歩き利益を増やすのは『死の商人国家』との批判は免れない。大軍拡ではなく外交で平和構築を図るべきだ」と強調しました。

 山添氏は質疑で、2015年に横畠裕介内閣法制局長官(当時)が防衛装備移転三原則は「国際紛争の助長回避」などを図るもので、「国際紛争の助長を回避することなどは憲法の平和主義にそぐうものだ」と答弁したと指摘。「この立場は今も変わらないか」と迫りました。

 近藤正春内閣法制局長官は「その時点の関係省庁の見解を述べたもので、現時点で変わっているかについて答えられない」と答弁。外務省の河辺賢裕・総合外交政策局長も明言を避けました。山添氏は「武器輸出が国際紛争を助長するという認識すら持っていないような答弁だ。憲法に基づく平和国家としての立場を投げ捨てるものだと言わざるを得ない」と批判しました。