港区長選で初当選 自公推薦の現職を破った清家愛さんはどんな人?「魚のように…」

 
 
2日に投開票された東京・港区長選で、無所属新人の元区議の清家愛さん(49)が、6期目を目指す現職の武井雅昭さん(71)=自民、公明推薦=らを破り、初当選を確実にした。新しく区長となる清家さんはどんな人なのか。
 
港区に生まれ、青山学院大国際政治経済学部を卒業後、産経新聞で記者として主に事件・行政取材を担当した。出産を機に退職するが、子どもを保育園・幼稚園に入れられなかった経験から「港区ママの会」を主宰し、ブログで子育てに関する区の実情を発信した。
「キャリアを持つ人が子育てのために仕事を辞めなくてはいけない現状はおかしい」と、区議選に打って出てからは3期連続トップ当選。現場を重視し、13年間で約3000件の陳情に対応し、会の活動は「マニフェスト大賞」最優秀賞を受賞した。

趣味はダイビング。「魚のようになっている時間が一番楽しい」と語る。区議初当選時に3歳で、今は16歳になった娘に交流サイト(SNS)の操作を教わりながら、情報発信に励む。「前例、縦割り主義の古い政治を一新し、未来の港区を作っていきたい」


東京・港区長選、清家愛氏が初当選 6選目指した現職破る「新しいリーダー像を示して行けたら」
 
 
 東京都港区長選は2日、投開票され、無所属新人の元区議清家愛氏(49)が初当選した。28日に港区初の女性区長に就任予定で、東京23区の女性現職区長は7人となる。「前例、縦割り主義の古い政治を一新し、未来の港区をつくっていきたい」などと訴え、無所属現職の武井雅昭氏(71)=自民、公明推薦、無所属新人の元都議菊地正彦氏(71)を破った。(小沢慧一、奥野斐)
 
◆港区では初、東京23区の現職女性首長は7人に
 当日有権者数は20万617人。投票率は30.62%で、前回の30.04%を0.58ポイント上回った。
 
 当選を決めた清家氏は2日深夜、白いスーツ姿で登場。事務所に集まった支援者を前に「本当にみなさん、ありがとうございました」と深く頭を下げた。「これから新しい港区をつくっていこうという思いを共有できたと思う。期待に応えて、素晴らしい港区にしていきたい。がんばって参ります」と決意を語った。
 
 清家氏はその後の報道陣の取材に対し、「固定化してきた区役所のかたちを、みなさんのアイデアを生かせる組織にしていきたい。福祉や教育の現場、人に対するサービスをもっと支えていきたい。区民の声が反映される区政にしたい」と述べた。
 
 さらに「新しいリーダー像を示していけたらと思っている。今までの区長の姿とはだいぶ変わってくると思うので、新しいリーダーシップになると思う。たくさんの人の意見を聞きながら、たくさんの声が伝わるし、改善されるという区政にしたい」と続けた。
 
 清家氏は選挙戦で「子供たちに親の働き方や障害の有無にかかわらず、質の良い保育と教育のサービスが提供できる制度をつくっていきたい。港区を世界で一番幸せな子育て・教育都市にしたい」と訴えていた。
 街頭演説には隣接する品川区の森沢恭子区長が駆けつけ、共産党が自主的な支援を表明するなど、支持を多方面に広げていた。
 争点の一つだった5期20年に及ぶ武井氏の区政を、組織の硬直化など多選の弊害があると批判。「コロナ禍で疲弊した産業や生活の立て直しをしたい」と区政の継続を訴える武井氏や、女性副区長の登用などを打ち出す菊地氏をかわした。
【港区選管発表の確定票】
清家 愛氏 29,651票
武井雅昭氏 28,123票
菊地正彦氏  3,070票
 

東京・港区長選、前区議の清家愛氏が自公推薦の現職ら破り初当選…自民は目黒区長選に続き敗北

 
 東京都港区長選は2日投開票され、無所属で前区議の清家愛氏(49)が、現職の武井雅昭氏(71)(自民、公明推薦)、元都議の菊地正彦氏(71)を破り、初当選を果たした。投票率は30・62%で、前回選(30・04%)を上回った。当日有権者数は20万617人だった。

 清家氏は2日午後11時25分頃、支持者の前に姿を見せた。初当選を確実にし、万歳をして喜んだ後、「皆さんから頂いた期待に応えて素晴らしい港区にしていきたい」と決意を語った。

 清家氏は選挙戦で、5期20年続いた武井氏の区政について「組織が硬直化し、教育や福祉の環境改善を求める声が届いていない」と批判。区議を務めた4期13年で待機児童ゼロなどに取り組んできた実績をアピールし、区政の刷新を訴えた。

 公約として、保育園と幼稚園の一体的な整備や、教材費の無償化、不登校などの事情を抱える児童・生徒の多様な学びの支援を掲げ、「世界で一番幸せな子育て・教育都市」を実現すると主張した。

 選挙戦では、政党や組織からの支援を受けない「完全無所属」の立場を強調し、「港区初の女性区長の誕生」をスローガンに支持を呼びかけた。区内をくまなく回り、応援には森沢恭子・品川区長らが駆けつけた。区政刷新に対する期待感から、同世代を含む無党派層に広く浸透したとみられる。

 武井氏は、子育て施策の充実などに取り組んできた5期20年の実績を強調。コロナ禍で選挙活動を自粛した前回選と異なり、精力的な選挙活動で6選に対する理解を呼びかけたが、多選に対する懸念をぬぐいきれなかった。

 武井氏を推薦した自民党は、派閥の政治資金規正法違反事件を受けて、4月の衆院東京15区(江東区)補選で独自候補を擁立できなかった。同月の目黒区長選でも推薦候補が敗れ、5月には目黒区の都議補選で公認候補が落選しており、今回も推薦候補が勝てなかった。

 菊地氏は「財政の無駄遣いを徹底チェックする」として、浮いた財源で区立スポーツ施設を新設することなどを掲げた。区長選には4度目の挑戦だったが、支持が広がらなかった。