「答申と反する決定は極めてまれ。しかもその理由については全く触れられていない。あまりに結論ありきだ」

 

 

 公文書があるかすら答えない財務省の決定は不当だ――。学校法人森友学園を巡る同省の公文書改ざん問題で、自死した職員の遺族からの情報公開請求について国の審査機関がそう指摘したにもかかわらず、同省が再び存否も明かさず不開示としたことが分かった。遺族の代理人が30日、会見で明らかにした。

 

 請求者は近畿財務局で改ざんを強いられた赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(53)。真相を解明しようと2021年8月、同省が大阪地検に任意提出した文書の開示を求めたが、同省は「捜査への支障」を理由に存否も答えず不開示とした。

 

 総務省の情報公開・個人情報保護審査会は今年3月、存否を答えても捜査に支障はないと答申したが、財務省が今月28日に出した決定は改めて不開示。答申の指摘には触れず、存否を答えれば「捜査機関の活動内容を明らかにし、推測させる」と従来の説明を繰り返した。

 不開示に不服があれば法律上、有識者でつくる同審査会が意見を答申する。法的拘束力はないが、雅子さんの代理人の生越(おごし)照幸弁護士は「答申と反する決定は極めてまれ。しかもその理由については全く触れられていない。あまりに結論ありきだ」と批判する。

 雅子さんは会見で、「審査会の答申は茶番だったのか。どうしても出したくないものがあるのだと思わざるをえない」と疑問を投げかけた。(山本逸生)