自民党も維新も国民民主党も立憲民主党に「出席しないなら多数決で決定する」等の脅迫で詰め寄る。その民主主義否定の姿勢に凜として立憲民主党が凜とした姿勢を見せないでフラフラしている姿勢がとても不安なのである。仲間にはいちゃイカンのだ!

 

 自民党は30日、憲法改正条文案の起草作業を行う場として、6月4日の衆院憲法審査会の幹事懇談会開催を立憲民主党に提案した。立民が応じない場合、与党や日本維新の会など改憲勢力の5党派だけで条文化に着手する方針にも言及。6月23日の今国会の会期末まで1カ月を切る中、憲法審で続く膠着状態の打開を模索する。参院側では与党を含め議論の充実を求める意見が根強く、改憲の動きがどこまで進むのかは見通せない。

 30日の衆院憲法審後、与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)が、野党筆頭幹事の逢坂誠二氏(立民)に伝えた。中谷氏は「全党そろった協議ができない場合は5党派で条文化したい」と記者団に強調した。

 

山添拓国会報告 改憲作業のマヤカシを追究する!

 

 

 

29日は午後から憲法審査会が開かれ、緊急集会について意見を述べました。
衆議院では、衆院議員の任期延長改憲を具体化しようと条文起草委員会の設置まで提起されていますが、参議院では様子が異なり、自民党からも緊急集会でより多くの対応が可能であるとの発言があり、公明党も同様の姿勢。維新、国民もトーンが異なっています。なお、この日発言した維新の猪瀬氏だけは、「衆議院は午前中からやっているのに参議院は午後からだ、参議院も午前からやるべきだ」などと主張していました。衆参は本会議の時間設定が異なり、衆議院は午後本会議のため午前中に審査会を行い、参議院はその逆となっているのですが、とにかく何らかの不満を主張されたい様子でした。
私の発言原稿を紹介します。
 

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 日本共産党を代表し、参議院の緊急集会と災害対応について意見を述べます。
 首都直下地震を想定した政府の業務継続計画は、「1週間にわたり停電、断水し、外部から食料等の補給が行われない状況下で非常時優先業務を実施できる体制を目指す」というもので、これに基づき各省庁が業務継続計画を作成することとされます。
 

 参議院事務局が策定した業務継続計画もこれに沿うものとされ、発災後1週間以内に本会議や委員会等の開会業務が行われることを目標としています。
 

 これらの実効性は、評価と見直しを適宜行うことが求められますが、少なくとも首都直下地震との関係では、政府も国会も、あくまで業務の継続がめざされています。仮に衆院議員が不在の場合には参議院の緊急集会で対応し、選挙に必要な業務を継続した上でなるべく速やかに総選挙を実施できるよう追求するべきです。
 

 東日本大震災の発災後、被災地の復旧・復興や被災者の生活再建等のために多くの立法、予算の措置がとられました。同時に、復旧事業や災害廃棄物処理の権限代行、相続放棄等の熟慮期間延長、災害義援金の差押え禁止など一般制度化された例も複数あり、今後の災害で当時と全く同じように応急の立法措置が必要となるわけではありません。一般制度化に至っていない制度も重要な先例として蓄積されています。
 

 また、福島第一原発事故という未曾有の事態への対応が必要となり、損害賠償のための枠組みをつくることも必要となりました。「原発事故は起こらない」という安全神話の下、原子力事業者においても必要とされていた防災計画の策定を怠り、防災訓練等事前の準備がなかったことも被害を深刻にしました。原発事故の教訓を踏まえ二度と繰り返さないためには、原発ゼロこそが最大の対策というべきです。
 

 いま議論すべきは、岸田政権の下で、現に苦しんでいる被災者が多数に上る現実です。
 

 能登半島地震の被災地で、がれき処理や被災家屋の公費解体が進んでいません。上下水道が復旧しても、下水道や宅地内配管の損傷で実際には水が使えないところが多数残ります。国会内外で繰り返し指摘されながらも事態が改善されないのは、国会機能が維持されているかどうかではなく、政府の姿勢の問題というほかありません。
 

 この間、衆参の憲法審査会では、緊急時の国会機能維持が必要という観点から、参議院の緊急集会で対応できない場合に備えて衆院議員の任期延長が必要などという主張が重ねられています。
 

 看過できないのは、昨日衆議院総務委員会で地方自治法改定案が与党などの賛成多数で可決されたことです。
 

 「大規模な災害、感染症のまん延その他国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」に、国が特例として、自治体に対して必要な指示を行う「補充的指示権」を定めるとするものです。
 

 政府は国会で、特定の事態を排除するものではないとした上で、「個別法で想定されていない事態」に対処するものだと述べています。災害対策基本法、感染症法、事態対処法等、個別法が想定していない事態だと政府が判断しさえすれば、個別の法律に規定がなくても国が自治体に指示できることになります。これは、憲法が保障する地方自治を踏みにじるものであると同時に、国会が認めていない国の指示権を時の政府が独断で行使しうるという点で、立法府である国会をも否定するものです。
 

 緊急時における国会機能の維持が必要と主張する会派が、国会の役割を否定する地方自治法改定を押し通そうとするのは、矛盾というほかありません。
 

 緊急時を理由に、任期延長という、民主的正統性を欠く議員を通じた国家権力の行使を可能とするのは、民主政治の徹底とは言いがたく、危険な構想です。
 

 2015年9月、日弁連が東日本大震災の被災三県37市町村に実施したアンケートに、24市町村が回答しました。災害対策や災害対応は、「市町村主導とすべき」との回答が19自治体79%、「国主導」と答えたのは1自治体だけでした。また、憲法が障害になったかとの質問には、「障害にならない」が23自治体、「障害になった」はやはり1自治体に過ぎなかったことも、改めて留意すべきです。
 

 住民と直接接し、被災地域の実情にも通じている地方自治体の人的、財政的体制の強化こそ政治に求められます。
 

 災害を口実になされる緊急時対応の改憲論は、被災の実情と被災自治体の経験や要望を踏まえない空論であることを指摘し、意見とします。