総務省の担当者によると、住民票の続柄は「住民基本台帳事務処理要領」に記載例が示されている。同性パートナーの場合は「同居人」「縁故者」などと書くのが一般的で、婚姻を届け出ていない「夫(未届)」「妻(未届)」として自治体が受理した例は「聞いたことがない」としている。

 

 

長崎県大村市が、男性カップル世帯の住民票で、世帯主と同居するパートナーの続柄欄に事実婚関係であることを示す「夫(未届)」と記載したことが27日、市や当事者への取材で分かった。日本で同性婚は認められておらず異例の措置。住民票業務を所管する総務省は「事実関係を確認していないが、容認できるかどうか省内で検討が必要だ」としている。

市によると、カップルの申請を2日付で受理し、住民票を交付した。担当者は「当事者に寄り添うサービスの一環として、市の裁量で判断した」と説明した。大村市は2023年にパートナーシップ宣誓制度を導入している。

当事者の一人は三重県出身で、市の地域おこし協力隊を務める松浦慶太さん(38)。実名で取材に応じ「法的な効力のある住民票での受理で、信じられず夢見心地だ。今後の法制度や社会の変化に大きな影響を与えることに期待したい」と語った。

松浦さんによると、パートナーの藤山裕太郎さん(39)とは18年に知り合い、同年に藤山さんの住む兵庫県尼崎市に移住。その後、大村市に引っ越し、同じ住所に別々の世帯として暮らしていたが、世帯合併の届け出をした。

その際、藤山さんの続柄を「夫(未届)」と希望し、市側の協議を経て認められたという。

総務省の担当者によると、住民票の続柄は「住民基本台帳事務処理要領」に記載例が示されている。同性パートナーの場合は「同居人」「縁故者」などと書くのが一般的で、婚姻を届け出ていない「夫(未届)」「妻(未届)」として自治体が受理した例は「聞いたことがない」としている。

松浦さんと藤山さんは28日午後、大村市で記者会見を開く。市によると、園田裕史市長も取材に応じる。〔共同〕

 

 

同性パートナーは遺族
犯罪被害者見舞金 14都県16政令市で

 

 自治体独自の犯罪被害者見舞金(遺児のみは除く)の支給対象となる遺族(配偶者)の範囲に同性パートナーを含むかどうかを、本紙が47都道府県・20政令市に聞いたところ、見舞金制度があるのは23都県17政令市で、そのうち14都県16政令市が同性パートナーを遺族(配偶者)の範囲に含むと答えました。

 都道府県と政令市について、今年4月1日時点での見舞金制度の導入状況、遺族の範囲に同性パートナーを含むかどうかを聞きました。また、パートナー関係を公認するパートナーシップ制度の導入とのかかわりも調べました。

 見舞金制度は昨年4月1日時点と比べ新たに5県3政令市が導入しています(4月1日時点23都県17政令市で導入)。見舞金支給の対象となる遺族の範囲(配偶者)に同性パートナーを含めている14都県16政令市のうち10県16政令市にパートナーシップ制度があります。パートナーシップ制度が人口の85%の地域に導入される中、同性カップルを配偶者や異性事実婚と同様に扱う自治体が広がっていることが分かります。

 「結婚の自由をすべての人に(同性婚)」訴訟九州弁護団の森あい弁護士は、「国が結婚の平等(同性婚)を進めない中、当事者たちの不利益解消に向けて自治体での動きが大幅に先行しています。同性のパートナーシップ関係が事実上の婚姻関係に準ずるとする社会通念が形成されていることを示すものとも言えます」と話します。