きょうの潮流
 

 ある新聞の、お悩み相談の回答がSNSで話題になっています。ウクライナ侵攻やガザ攻撃に憤る男性。自分の生活を平穏に送ることだけを考えればよいか、どのように気持ちを保っていけばいいのかと

 

▼そんなに心配ならば実際に戦場に出向いて最前線で戦ってくればいいのに、と回答者。さらに、そんなことを嘆く前にいま自分が幸せなことに感謝して周りにいる人たちを大切にしようと答えます

 

▼この回答には、いやなことに目を閉じて耳をふさぐことがいいとは思わない、平和ボケしているんじゃないか、との批判があがっています。それを掲載した新聞や追従するような記者のコメントにたいしても

 

▼まさに無関心さを問題にした映画が今週末に公開されました。アカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞を受賞した「関心領域」。アウシュビッツ強制収容所と壁一枚を隔てた邸宅に住むルドルフ・ヘス所長一家の日常を描きます

 

▼美しい庭に囲まれ、不自由なく暮らす家族。しかし銃声や叫び声は絶え間なく壁の向こうから黒煙が立ち込めます。大量虐殺の隣で守られる自分たちの生活。映画は人びとの無関心がつくる世界を暗示させます

 

▼関心領域とはナチスがアウシュビッツを取り囲む地域を表現するために使った言葉だといいます。グレイザー監督は「偏見や抑圧、国家による支配、非人間的な考え方の恐ろしさを語る映画」だと。誰かの犠牲を見ないことによって保たれる平和は、本当の平和といえるのか。そう問いかけるように。

 

 

攻撃激化のガザ「戦争やめろ」 300人が反戦デモ行進、福岡

 
 
 パレスチナ自治区ガザ最南部ラファでイスラエル軍の攻撃が激化し、情勢が深刻化しているのを受け、福岡市で26日、アラブ系の人々や留学生らが反戦デモを行った。約300人(主催者側発表)が繁華街・天神を行進し、「戦争やめろ」と即時停戦を訴えた。

 ガザ出身の両親を持つ中学3年エルジャマル・モハメドさん(14)が呼びかけ、パレスチナを支援する市民団体「福岡パレスチナの会」などが開催。参加者らは「パレスチナに自由を」と書かれたプラカードを掲げ、「虐殺やめろ」などとシュプレヒコールを上げた。

 高校2年のアヤさん(16)は「子どもたちが空腹に苦しんでいる」とガザの窮状を訴えた。