「核兵器のない世界」に向けて、核兵器保有国と非保有国の有識者が話し合う国際賢人会議の第4回会合は22日、横浜市で2日間の議論を終えて閉幕した。白石隆座長(熊本県立大特別栄誉教授)は閉幕後の記者会見で「(国際情勢の変化で)核を含めた軍備管理は難しい状況にあり、政治と世論の関心が低いことに危機感がある」と語った。

◆AIが及ぼす影響など議論

 今回の会合では、人工知能(AI)など新興技術が核軍縮に及ぼす影響などが議題となった。会見では、ローズ・ガテマラー元米国務次官が新興技術について、核管理の面から「新たなリスクとなっている」と話す一方で、AIを活用してモニタリング(監視)などができるメリットも指摘した。
 岸田文雄首相は同日、会合を終えた会議メンバーと官邸で会見し、「核兵器のない世界に向けた具体的な道筋を、共に考えていきたい」と話した。

 賢人会議は首相の提唱で設けられ、これまでに広島や長崎で会合を重ねてきた。次回会合は今年後半にオンラインで行い、2025年春に最終会合を開く予定で、26年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた提言を取りまとめる。(中沢穣)

岸田首相(右から2人目)を表敬訪問し、あいさつする国際賢人会議の白石隆座長(左から2人目)=首相官邸(千葉一成撮影)

 

 

核実験「黙っていられない」 被爆者、広島の署名活動で訴え

 

 

 広島の被爆者7団体は22日、広島市の平和記念公園で日本政府に核兵器禁止条約の批准を求める署名活動をした。ちょうど1年前の5月に、G7広島サミットで「核軍縮広島ビジョン」が発表されたにもかかわらず、米国が今月14日に臨界前核実験をしたとして「被爆者は黙っていられない」と訴えた。

 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(79)はマイクを手に「核兵器をなくそうとG7の国々は誓った。核軍縮に向け話し合いをすべきだ。二度とこんな苦しみを味わわせない」と声を張り上げた。

 もう一つの県被団協の箕牧智之理事長(82)は「核兵器は一度使われれば、人類の破滅につながる」と警鐘を鳴らした。