政治資金規正法改正案 どこが違う?自民案、立民・国民案、維新案 やっと審議入り…「時間切れ」まで1カ月

 
 

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民、立憲民主・国民民主両党、日本維新の会がそれぞれ提出した政治資金規正法などの改正案が22日、衆院政治改革特別委員会で審議入りした。いわゆる「連座制」の導入や、政党が党幹部らに支出する政策活動費の見直し、パーティーの在り方、企業・団体献金の存廃が主な論点。6月23日の会期末まで1カ月となる中、岸田文雄首相は今国会での成立を掲げるが、公明や野党各党は自民案では政治資金の透明化が不十分と批判し、隔たりは大きい。(井上峻輔、大野暢子)

 

◆首相「法改正で結果を出す」…その中身が問題だ

 維新の青柳仁士氏は特別委での法案の趣旨説明で「自民案は改革の本丸であるべき企業・団体献金には一切触れず、政策活動費への対応も極めて不十分で、国民の信頼を回復する内容とは言えない」と切り捨てた。立民の本庄知史氏は「政治資金パーティーを禁止することが信頼回復のための唯一最大の方策だ」と述べ、裏金事件があってもパーティー収入を温存しようとする自民を当てこすった。
 この日は、立民が単独提出した政治資金パーティー開催禁止法案、2022年に提出済みの企業・団体献金禁止法案も同時に審議入り。各党代表者の趣旨説明では自民案がやり玉に挙がり、早くも前哨戦の様相を呈した。23、24両日は改正案への質疑、27日は参考人質疑で論戦が展開される。

 首相は特別委に先立つ参院予算委で「政治の信頼回復に向け、国民の声を聴き、法改正で結果を出す」と強調。自民案について「再発防止の観点で高い実効性を有する」と胸を張ったが、公明や野党はより厳格な法規制の必要性を訴える。

 

 

 法改正実現に向けた修正協議で対立点となるのは、議員本人も処罰を受けやすくするいわゆる「連座制」の導入だ。自民案では収支報告書の提出時に議員による「確認書」の添付を義務付け、会計責任者が処罰された場合に確認が不十分なら議員も罰する。

 立民と国民民主の案は、現在は会計責任者だけに課されている収支報告書の提出義務を議員本人にも適用し、同等の責任を負わせる内容。自民案では「議員が言い逃れできる」と実効性を疑問視している。

 政策活動費の扱いでは、大まかな項目の使途公開にとどめたい自民と、廃止を主張する立民の溝が深い。与党の公明党も、支給がなくても「活動に支障を感じたことはない」(斉藤鉄夫国土交通相)との立場。維新は、領収書を総務省などに提出した上で10年後に公表するという「折衷案」を提示している。

 

◆「禁止」なのか「規制強化」なのか、なにも変えないのか
 パーティーを巡っては、立民は開催禁止を主張。維新はパーティー券購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げ、自民案は「10万円超」を掲げる。企業・団体献金に関しては、立民と維新は「禁止」だが、自民は言及していない。

 共産党も参院に独自案を提出。各党が独自色を出し、野党間でも足並みがそろっているとは言い難く、落としどころを探るのはこれから。立民の幹部は、自民案では国民の理解を得られないとして「うちは絶対に妥協しない」と強気の姿勢で修正協議に臨む構えだ。

 

政治資金規正法 改正実現へ与野党は協力せよ

与野党協力しろと行ってもね…。このきじ(読売)おかしいよ!まあまあで合意したら抜け道だらけの法案になる。同じ間違い起しますよ!
 
 次期衆院選を意識してだろうが、各党が改革姿勢のアピール合戦に終始しているだけでは、信頼回復は 覚束(おぼつか) ない。

 政治資金は、与野党問わず、政治活動を支える共通の基盤だ。法改正の実現に向け、与野党は協力し合う時だ。

 衆院の特別委員会で政治資金規正法改正案の審議が始まった。自民党の案のほか、立憲民主党と国民民主党が共同提出した案、日本維新の会の案などを議論する。

 自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、国民の政治不信は高まっている。政治資金の透明性を向上させ、国会議員の責任を明確にすることが重要だ。
 
 各党は、政治資金の扱いに不正があった場合、議員の罰則を強化することでは一致している。
 
 自民党は、会計責任者が収支報告書を適正に作成したことを議員が確認することを義務づけた。会計責任者が不記載などで処罰され、議員の確認が不十分だった際には、議員は失職する。

 一方、立民、国民民主両党は、政治団体から議員側への150万円超の寄付について報告書に記載しなかった場合、議員に罰金を科し、失職することを定めた。

 いずれの案でも、議員が「会計責任者に全てを任せていた」といった言い逃れは通用しにくくなるのではないか。

 現行法が1件あたり「20万円超」と定めている政治資金パーティー券の購入者の公開基準については、自民が「10万円超」、維新や公明党、国民民主が「5万円超」への引き下げを主張している。

 一方、立民が単独で提出した、パーティーの開催や企業・団体献金を禁止する案は、自民を不利な立場に追い込むための単なるパフォーマンスのように映る。

 1995年に政党交付金の制度が導入された当時も、パーティーの開催や企業・団体献金は認められていた。立民は、議員が資金を集める手段を断ち、どうやって政治活動を続けるつもりなのか。

 改正案について自民、公明両党で協議したのに、与党案がまとまらなかったのは異例だ。

 公明党は「安易に自民党に譲歩すれば、自分たちが支持を失う」と警戒したのだろう。だが、議員立法とはいえ重要法案の採決で与党の賛否が割れることになれば、信頼関係に影響が出かねまい。

 国会は会期末まで残り1か月しかない。各党は、独自姿勢を競い合って肝心の法改正実現を危うくすることのないよう、合意形成に向けて協議する必要がある。