小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が激白! 2020年都知事選直前に告げられた「衝撃の言葉」【小池百合子と学歴詐称】

 
右腕だった人の怒り…。
 

 

【小池百合子と学歴詐称】#1

 元側近 小島敏郎(上)

 東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)の告示まで1カ月。自民党は現職の小池百合子都知事にひれ伏し、独自候補の擁立を見送る。「女帝3選確実」のお膳立てが着々と進む中、再燃した「カイロ大学卒業」の学歴詐称疑惑は払拭されていない。小池に関わった人々や疑惑を追及する人たちに話を聞くリレーインタビューの初回は、「文藝春秋」(5月号)で「学歴詐称工作に加担してしまった」と爆弾告発した元側近。彼だけが知る女帝の「裏の顔」とは──。

 

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「私の告発を受け、小池さんには2つの選択肢がありました。1つは2020年6月に駐日エジプト大使館が公表したカイロ大卒を裏づける声明は『確かに私が依頼した』と認めることです。卒業証書や卒業証明書だけでは騒ぎが収まらないので、声明を出してもらったと正直に打ち明ければ良かった。そう主張しても何ら論理的な矛盾はないのに、彼女はもう1つの道を選んだのです」

 4月19日の定例会見で、小池は「声明文はあくまで大学当局の意思で公表され、私自身は関知していない」と断言した。

■カイロ大声明への「関知なし」を証明すべき

「『関知』を否定した以上、彼女には本来、そのことを証明する義務がある。声明を発案した私と文案を作成した元ジャーナリストのA氏は当時のメールなど、彼女が『関知した』証拠を全て保全しています。大使館のフェイスブックに掲載される前日、彼女は声明文の画像をA氏に送っています。なぜ、そんなことができたのか。ぜひ証明して欲しい。恐らく彼女は自身のエジプトコネクションが表沙汰になるのを避けたかったのでしょう。関知を認めればエジプト政府や大使館、カイロ大側の誰に頼んだのかと追及されかねませんので」

 小島氏は今後、小池が選挙に出た際に「カイロ大卒」と選挙公報に記せば公選法違反(虚偽事項公表)で刑事告発する可能性を示唆。一方、小池の知人で人材派遣会社「ザ・アール」創業者の奥谷禮子氏は「文藝春秋」6月号の鼎談で〈メディアが騒ぐから〉と〈都知事選には、「カイロ大卒」を経歴から消して出馬するかもしれませんよ〉と語っていた。

「役人の習性として当然、都知事選不出馬を含め、起こり得る可能性は全て想定しています。経歴から『カイロ大卒』を消せば彼女はその説明をしなければいけません。最初に『カイロ大卒』とメディアに紹介された1976年以来、50年近くもその経歴を語ってきたのは、こういう理由ですと。『カイロ大卒』なくして彼女の人生はなかったのですから。今後は『私は甲南女子高卒業です。高卒のどこがいけないのですか』とでも言うのでしょうか。最初から、そう言っておけば何も悪くありませんが、今さら『はい、そうですか』とはなりません」

 小島氏の告発に対し、都庁内の一部には小池に切られた「腹いせ」との評価もある。

「恨みなんて全くありませんよ。小池さんはクールな人ですから、私もクールに付き合ってきました。契約関係も同然で、向こうも私を使えるなと思ったかもしれないし、こちらにも彼女は使えるなという思いもあった。そこはギブ・アンド・テイク。『東京を改革する』と言うから手伝ったまでで、変節したのは小池さんの方です。実は20年の都知事選直前、彼女は自民・公明の推薦を受ける話を進めていたのです。それは翌年の都議選で、私が事務総長を務めていた都民ファーストの会の壊滅を意味します。当然、反対した私に彼女はこう告げました。『改革は終わったのよ』と」 

 

 

小池都知事の「東京大改革」は権力闘争に過ぎなかった…掲げた“情報公開”は今や見る影なし【小池百合子と学歴詐称】

 

【小池百合子と学歴詐称】#2

元側近・小島敏郎(下)

「改革は終わったのよ」──。2020年の東京都知事選直前、自民・公明両党の推薦を受けることを模索していた小池知事はそう告げた。その言葉通り、都民と約束した改革路線を捨てた小池都政の腐敗を、「学歴詐称工作に関わってしまった」と爆弾告発した元側近が打ち明ける。

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「自公の推薦を受けるのは、『改革をやめる』こととイコールです。選挙直前に推薦を受けるのは思いとどめたとはいえ、再選を果たした後の小池さんは目に見えて変わっていきました。都民との対話を一切しなくなり、情報公開には完全に後ろ向き。自民、公明、都庁官僚と手を組む古い都政に逆戻りしたのです。やっぱり改革は終わったのだなと痛感しました。彼女が改革路線を捨てたら一緒に仕事をする理由はありません。知事と都議の任期は4年。21年7月の都議選後、議員数が少なくなったので都民ファーストの会事務総長を辞めてくれと言われたのも事実だし、私も就任4年を区切りと考え、自らの意思で辞めたのも事実です。ただ、個々の議員から相談があれば応じることにしていました。小池さんには相談せず、彼女に会ったのは21年11月が最後です」

 

小池が就任当初に掲げた「都民が決める。都民と進める」「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」「古い議会を新しく」など数々のスローガンは掛け声倒れ。今や見る影もない。

「当初は都庁官僚と都議会のドンだけで都の政策を決める、都民置き去りの『ドン政治』からの脱却を訴えながら、結局はドンの権力が小池さんにスライドしただけです。ドン打倒の武器に『情報公開』を掲げたのですが、自らがドンになるとそれが邪魔になる。小池さんの『東京大改革』は単なる権力闘争に過ぎなかったのです。都ファも小池さんにくっついているのみ。苦言を呈するどころか、対等に話せる人すら存在しません」

小池の卒業を裏づける「カイロ大声明」の文案を作成した元ジャーナリストのA氏が、名を明かし、話をする機会はあるのか。小島氏は先月17日の会見で「結論はイエスだ」と答えていた。

「Aさんとは密にコンタクトを取っています。ただ、公選法違反(虚偽事項公表罪)で小池さんを刑事告発する場合、検察に受理して捜査してもらうには、Aさんの素性を含め全てをオープンにすべきかを考えなくてはいけません。洗いざらいを打ち明けると、捜査に支障を来すこともあり得ます。いずれにせよ、Aさんが表に出るのは告発の後になるでしょう」

■嘘をつく理由はひとつ

エジプトは軍主導の強権政治が続く。カイロ大も軍事独裁政権の管理下に置かれる国家機関だ。「カイロ大声明」に関する告発に危険は伴わないのか。

「身の危険を感じることはありません。なぜなら、エジプト政府やカイロ大が『嘘をついている』とは言っていません。問題視しているのは、あくまで声明文が出た経緯です。私とAさんは自らが関わった事実を説明しています。それでも小池さんが声明文に『関知していない』と嘘をつくのは何かしら後ろめたいことがある証拠。そこから導き出される答えは明らかです。彼女はカイロ大学を卒業していません」 

(取材・文=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)

▽小島敏郎(こじま・としろう) 1949年生まれ。東大法卒後、環境庁入庁。地球環境審議官などを経て退官。2016年に東京都特別顧問、17~21年に都民ファーストの会事務総長。現在、早稲田リーガルコモンズ法律事務所顧問・弁護士。