黒田と安倍の責任は限りなく大きい。

 

 

円安ならぬ円弱の日本
安倍晋三が首相になる前は1ドルが100円以下だった。それが日本銀行総裁を黒田東彦にして異次元緩和などというデタラメをやらせてから150円にもなってしまった。いわゆる円安、私に言わせれば円弱である。

私は円高を円強と言っている。その方がわかりやすいと思うからである。円安つまりは円弱となって、日本にはいま外国人があふれている。

観光的にはいいかもしれないが、物価高で暮らしは大変である。「物価の番人」であるべき日本銀行が「株価の番人」となって、トヨタだけがラクになり、内部留保は555兆円というバカなことになっている。消費税を上げて法人税を下げた結果でもある。

 

田中角栄の政敵だった福田赳夫は安倍晋三の父親の晋太郎が属した派閥の親分だったが、旧大蔵官僚で経済政策はかなりまともだった。自分の系統の晋三が異次元緩和などをやらせたと知ったら、驚いて腰をぬかすだろう。

田中角栄の放漫な経済政策を批判して大蔵大臣をやめた福田は1974年9月号の『文芸春秋』で、こう語っている。

「実はインフレというものは単に物価の上昇というだけの問題ではないんだね。インフレというのは価格上昇の問題というよりはむしろ分配の不公正の問題なんです。 インフレになるとそれに強い者と弱い者が必ず出てくる。一般的に言ってフロー、つまり所得は弱くてストック、つまり資産は強い。・・・・家計は弱者で企業が強者、貧しい者は弱者で金持は強者であるという図式がインフレによってくっきりと描き出されてしまうんですな。 この観点からいえばインフレとは弱者から強者への、貧乏人から金持への、スケールの大きな富の移転であり、逆再配分だということになります」

私は昭和恐慌の際に取付け騒ぎで最初に倒産した東京渡辺銀行のことを『失言恐慌』(角川文庫)と題して書いた。

その時、一番驚いたのは、すべての銀行が大変だったわけではないということである。当時の銀行はサラ金の大型のようなものも少なくなかったが、預金者はそこから引き出して、そのまま持ってはいない。より安心なところとして、いわゆるビッグ5に預け替えたのである。それで、三井、三菱、住友、安田、第一といった銀行が一挙に大きくなった。

俗に焼け太りと言うが、災難のような取付け騒ぎで、大銀行はさらに大きくなったということを知ったのはショックだった。角川文庫へのあとがきに私はこう書いている。

「たとえば“ノーパンしゃぶしゃぶ”などという面妖なものが話題になったスキャンダルで大蔵官僚は責任を取っただろうか。たしかに、いわゆるキャリア官僚の1人が逮捕されたが、民間の銀行等の責任の追及のされ方に比して、あまりにそれはゆるかった。いつの世も官僚とは責任を民間に転嫁して自らはそれを免れるものなのか」

黒田と安倍の責任は限りなく大きい。

 

 

岸田首相、森元首相への裏金問題での再聴取要求を拒否「あのー、えー、うー」言葉乱れる場面も

 
 
岸田文雄首相は20日の衆院予算委員会で、自民党安倍派の裏金事件を受け、かつて前身派閥・森派の会長を務めた森喜朗元首相への再聴取について「考えていないと思っている」と否定した。

立憲民主党の野田佳彦元首相の質問に答えた。

岸田首相は4月上旬、森氏に直接電話で聴取したが「直接関与した証言は得られなかった」と述べたが、森氏は今月10日発売の月刊文芸春秋のインタビューで、首相からの電話で裏金事件についてのややりとりはなかったと主張しており、双方の主張が食い違う事態になっている。

野田氏は「森元総理自身が『(岸田首相から)具体的な質問はなかった』とおっしゃっている。これじゃ調査ではなく、ご機嫌伺いだ」と、首相の対応を批判。「もう1回、再聴取をした方がいい」と促した。

これに対し岸田首相は「雑誌報道の1つ1つについてコメントすることは控える」とした上で「関与の有無についてさまざまな指摘や疑念があり、私から一連の事案と森元総理の関係について、国民のみなさまの関心を踏まえて聴取を行った」と述べたが、委員会室がざわつくと「あのー、えー、うー」と言葉が乱れる場面も。「不記載の慣行などがいつ始まったかなど、私自身直接伺いました。その上で、森総理の具体的関与は確認できなかったと申し上げている」「推測の域を超えて具体的な森元総理の関与の確認はできていないと思っています」と主張し「よって、再聴取等は考えていないと思っております」と、野田氏の再聴取要求をあらためて拒否した。