添田詩織市議は自民党の政治学校にも入校

 

 

 大阪府泉南市の添田詩織市議から、「X(旧ツイッター)」で差別的言動を受け、人格権を侵害されたとして、大阪市のイベント会社「TryHard Japan」の取締役で在日コリアン3世の李香代(イヒャンデ)さん(58)が20日、添田市議に550万円の損害賠償と記事削除を求める訴えを大阪地裁に起こした。

 訴状によると、添田市議は今年2月にXで、李さんのいとこが韓国で捏造(ねつぞう)されたスパイ事件で死刑判決(後に無罪確定)を受けたことや、李さんが朝鮮学校無償化排除に関する抗議運動にかかわっていたことについて投稿。これらによって名誉権やプライバシー権を侵害されたとし、投稿の背景に「在日コリアンに対する根強い差別意識がある」としている。

 勤務先のイベント会社が今年2月、添田市議からヘイトスピーチを受けたとして市議を提訴。これ以降に添田市議による李さんへの差別的な投稿が増えたという。李さんは「添田市議の投稿をきっかけに不特定多数の人からも誹謗(ひぼう)中傷を受けるようになった」としている。添田市議は「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。【鵜塚健】

 

 

有本香の以読制毒 中国の〝超限戦〟激化を警戒せよ 台湾親総統就任式直前になぜ?吉村知事、親中〝ホープ〟台北・蔣市長との2ショットに違和感

 
 
台湾で20日、1月の総統選挙で勝利した頼清徳氏の就任式が行われる。日本からは、「台湾派」の政治家や文化人が続々と訪台した。実は先週末、私も台北市入りする予定だったが、日本保守党の業務の関係で断念した。
 
そんななか、異彩を放つ発信をしたのが、大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会共同代表)である。
吉村氏は18日、自身のX(旧ツイッター)で、「台北市長となう、やで。」とユーモア混じりのような投稿をした。添えられた画像には吉村氏と並んで、台北市の蔣万安市長がアップで映っている。

リプライ欄には「イケメン揃い踏み」などの好感コメントが並んでいたが、私はそこへ少々皮肉を込めたリプライをした。

「蔣万安氏、来日してたんですね。国民党の〝ホープ〟と日本メディアが呼ぶ方」。

筆者含む「台湾派」日本人が応援する頼清徳氏は、中国が最も嫌う人である。「台湾独立派」のホープと長年言われてきた人だ。台南市長、立法院委員、副総統を歴任、政治キャリアもバッチリだ。
 
一方の蔣氏は、親中「国民党」の〝ホープ〟。台湾の初代総統・蔣介石の「ひ孫」として世に出たが、政治キャリアは皆無。若きイケメンという「風」で選挙に勝ち、台北市長という大役を得た。

ここまで書けば、吉村知事が、新総統の就任式直前というタイミングに、蔣氏とのツーショットを投稿したことの〝違和感〟をお分かりいただけるだろうか。

吉村氏が台湾についてどんな見解をもっているかは分からない。日本維新の会の共同代表として、「国民党とのパイプ」を重視したのかもしれない。
 
ただ、型通りの記念写真ならまだしも、わざわざ「仲良しアピール」風セルフィーを投稿するのは解せない。橋下徹元府知事譲りの「逆張り」スタイルかもしれず、あるいはあまり深い考えはなかったのかもしれない。台湾政界に話を戻そう。

1月の総統選の際には立法院(国会にあたる)の選挙も行われ、本コラムでもお伝えしたとおり、頼氏の民進党は第一党の座を国民党に明け渡した。そればかりか、第3極といわれる民衆党の躍進も許した。そのためか、台湾の立法院は現在、乱闘騒ぎが頻発している。新総統の就任式前の19日には、野党による抗議集会が催された。

頼新政権の難しい船出が容易に予想されるが、台湾政治の混乱は決して「対岸の火事」ではない。日本にとっても一大事である。

今後、中国は台湾に対して軍事的威嚇を強めるだけではなく、親中的な野党勢力を使った工作、経済的な浸透、メディアやネットを使った世論戦など、ありとあらゆる手で頼総統を苦しめるだろう。日本はこの動きを最大限に警戒しなければならない。

そんな台湾の危機に、日本政界は何ができるのか。正式な国交がなく政府間では具体策がとれないから、「議員外交を」と意気込む議員はいるが、成果は出せるのか。従来の日本の「議員外交」に失望している台湾の政界人は少なくない。

まず、打つべき手は、国会での日本版「台湾旅行法」制定だ。日台の要人の正式な往来を可能とする法律である。この制定は、従来、議員間で代替的にしかできなかった「日台2プラス2(2閣僚会議)」への道を開く意思表示だ。親中派からは例によって「中国を刺激するな」という反論が出るだろうが、日台ともグズグズしている時間はない。

こんなときに、「日本第2の都市」である大阪府の知事が、国民党の〝ホープ〟と仲良しツーショットとは。空気読まないにも程がある。「吉村さん、一体どうしちゃったの」と申し上げたい。

■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。