守屋氏は出身の自民党のほか、日本維新の会、国民民主党など与野党が相乗りで支援したが、前回選挙で「ひとり10万円(支給)」とした公約を当選直後に修正するなどして失った市民の信頼を取り戻せなかった。自民党の裏金問題も逆風となった。古川氏も組織力で及ばなかった。

 

 

 任期満了に伴う小田原市長選は19日、投開票され、市長を3期務めた元職の加藤憲一氏(60)が再選を目指す現職の守屋輝彦氏(57)と新人で元会社員の古川透氏(64)を破り、返り咲きで4選を果たした。投票率は48・17%で、前回(2020年)を1・38ポイント上回った。現職市長が1期限りで選挙に敗れ、交代するのは戦後初めてという。

 

 前回選挙で敗れるまでの3期12年で財政健全化に取り組んできた加藤氏は「不要不急の大型開発ではなく、市民の命を守る政策が最優先」と開発志向の現市政を批判。再生可能エネルギー導入促進のほか、小中学校給食の段階的無償化や紙オムツ無料化など子育て世帯の負担軽減も訴えた。

 これまでの選挙と同じく、組織票に頼らない市民派による草の根運動で支持を浸透。政策監ポストの創設や相次ぐ大規模開発計画など守屋市政への反対票も取り込んだ。

 守屋氏は出身の自民党のほか、日本維新の会、国民民主党など与野党が相乗りで支援したが、前回選挙で「ひとり10万円(支給)」とした公約を当選直後に修正するなどして失った市民の信頼を取り戻せなかった。自民党の裏金問題も逆風となった。古川氏も組織力で及ばなかった。

 当日有権者数は15万7448人(男7万6132人、女8万1316人)。(深沢 剛)

 【投票総数】 75838
 【有効投票数】75196
 【無効投票数】  642

加藤憲一氏の横顔 市長就任前は地域シンクタンク代表や農業、漁業にも従事し異色の経歴を持つ。2008年の市長選で初当選し3期12年を務めた。20年の市長選で敗れ、一度は政界引退を決めたが周囲の声に推されて再挑戦。妻と長女の3人暮らし。京大卒。城山。