マイナ保険証、「退職者」に非対応という致命的バグが発覚、220万人が無保険に
もはや有害物質でしかない…。

 

 

 

政府が決定した現行の「健康保険証」の廃止まで半年余り。廃止以降は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた、いわゆる「マイナ保険証」に一本化される。トラブルが後を絶たないマイナンバーカード。あと半年で利用率は上がるのか。

 

保険証廃止に医療機関側も“危機感”
厚生労働省によると、マイナカードを持っている人の約7割が、健康保険証の機能をカードにひも付けている(2024年1月22日最終更新)。

しかし、医療機関などでの実際の利用率は低迷していて、厚労省によると、2024年3月時点の利用率はわずか5.47%と、廃止が決まった2023年12月と比べても1%ほどしか増えていないのが現状だ。福岡県内での利用率はわずか5.19%だ。

カードの登録や情報のひも付けに戸惑う市民は後を絶たない。医療機関側もこのまま現行の保険証が廃止されてしまうことに危機感を抱いている。

林外科医院・林裕章理事長(福岡県保険医協会 会長):
国は、新しいものにしてしまえば、多少のトラブルは現場で「飲み込んでください」ということだと思うんですけど、それが“多少”では全然ないので、私たちは「これはちょっとやめてください」と言わざるを得ない

相談窓口設けられるも…
福岡市の博多区役所の一角に常設されているマイナンバーカードのサポート窓口では、予約なしでも市民の相談が受けられるようになっている。

2024年12月2日で健康保険証が廃止されマイナンバーカードに機能が一本化されることが決まって以降、訪れる市民からの相談の多くが「保険証機能のひも付け」に関することだという。

担当者「4つの暗証番号をこちらから入力いただいてよろしいでしょうか」
市民「え~っと(数字を入力)、あれ?違いますね」
担当者「ほかで2回くらい間違えました?」

保険証の機能をひも付けするにも、暗証番号がわからずロックされてしまい、手続きがストップしてしまう人も少なくない。福岡市は12月の保険証廃止に向けて需要がさらに増えるとみて、6月からは公民館に出張窓口を設けるなどして申請相談に応じることにしている。

相談に来た市民:
窓口があるのは、まぁ楽でいいですよ。「マイナンバーでお願いします」とかあるので、作っていた方がいいのかなって

市民に話を聞いていると、「病院の受付で『保険証を出してください』と言われることが多いので、普段は保険証を使用している」という声が聞こえてきた。

 

相次ぐトラブル…安易に利用促せない
利用率は5%ほどと、普及しているとは言えないマイナ保険証。政府が強く推し進めているにもかかわらず、国家公務員でさえも利用率は国民全体とほぼ変わらない5.73%だ。所管する厚生労働省でも8.4%にとどまっている。

政府は、マイナ保険証の利用を患者に促し、利用率が上がった医療機関には最大20万円の一時金を支給することを決定した。しかし現場では、相次ぐトラブルに安易に利用は促せないと危機感を募らせている。

林外科医院・林裕章理事長(福岡県保険医協会 会長):
5%しか使われていないのにトラブルがこれだけ多いと、それが10%、20%、50%になったらどうなるんだと。お金を多少もらったからといって、わざわざ受付のトラブルを増やすことを自分たちの方から促進しようという気にはならない

福岡・宗像市の林外科医院でマイナ保険証を使う患者は週に1~2人。ただ、このわずかな利用者でも、保険の資格確認に不備があり、後日、請求のやり直しが必要になったことがあるという。

こうしたトラブルについて、福岡県歯科医保険協会が公表した最新の調査では、152の歯科医院のうち73%が機械の不具合などの「トラブルがあった」と回答。中には別の患者情報が誤ってひも付けられていたケースも確認されている。

最終的に保険証を見せればトラブルは解決するという。しかし保険証をなくしてしまうと、トラブルの際の担保する機能がないままに宙ぶらりんになってしまう。「それだけは回避していただきたい」と林医師は言う。

「保険診療そのものが危うくなる」
林医師は「デジタル化に反対しているわけではない」としたうえで、現場のトラブルが減らない限り、保険証の廃止は時期尚早だと訴える。

林外科医院・林裕章理事長(福岡県保険医協会 会長):
紙の保険証がないと資格確認ができないねということがこれだけあって、いま保険証をなくすというのは、保険診療そのものが危うくなる

残り半年というタイムリミットが迫る中、本当に利用率は上がるのか。「廃止ありき」ということが先走っていないか?現場では大きな疑問が残されている。

(テレビ西日本)

 

 

廃止まで半年なのに…「マイナ保険証」4月利用率6.5%余り 岸田首相「利用率の底上げ必要」医療DXの基盤と強調

 
 
今の健康保険証の廃止まで半年余りとなる中、岸田首相は、「マイナ保険証」の普及に向けた環境整備に努める姿勢を強調した。

岸田首相「本年12月の『マイナ保険証』への移行に向けて、万全の準備、すべての方が安心して確実に保険診療を受けてもらえる環境整備を進めていきたい」

岸田首相は山形・酒田市を訪れ、マイナンバーカードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」専用の受付機や、医師が遠隔で診療できる車など、医療におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを視察した。

マイナ保険証は、4月の利用率が6.5%余りにとどまっているが、視察後、記者団の取材に応じた岸田首相は、マイナ保険証は「医療DXを進めるための基盤となる」として、利用率の「さらなる底上げが必要だ」と述べた。

 

マイナの国民健康保険関連「情報古く使えない」 220万人に影響

 
 
 マイナンバーシステムで、児童手当や介護保険申請などの手続きを簡略化する機能が活用されていない。15日に公表された会計検査院の全国調査によると、2022年度に半数以上の自治体が活用したのは1258機能のうち33機能(3%)だけだった。住民側には、本来なくなるはずだった負担が生じ続けている。

 なかでも、検査院が「非常に大きな影響が出ている」と指摘したのが、会社の退職などに伴い、自治体に届け出る国民健康保険の切り替え手続きだ。

 詳細を調べた451自治体の大半でマイナシステムの機能が使われず、22年度は約220万人が、証明書などの提出を求められていた。国はシステムで前職の情報が得られ、証明書はいらなくなるとしてきたが、自治体が活用しようとしたところ、最新の情報に更新されておらず使えなかったという。