きょうの潮流
 

 あのときも、おとなの対応だとかばう声がありました。自民党の麻生副総裁から自身の容姿をやゆされながら「どのような声もありがたく受けとめている」と受け流した上川外相に

 

▼こんどは当の本人が問題発言をしました。18日、静岡知事選の応援演説に集まった女性らに支持をよびかけ「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と

 

▼比ゆだとしても、女性の出産と結びつけたのは明らか。さらに続けて「きょうは男性もいらっしゃいますが、うみの苦しみは本当にすごい」とも。それをただす批判に対し言葉狩りのレッテルを貼るほうがおかしくはないか

 

▼わざわざ「私たち女性」を主語にして、そうしないのは女性ではないという言い方を。これでは、女性は子どもをうむのが当然だととられてもしかたがありません。本人も翌日に発言を撤回しました

 

▼もとより結婚や出産は個人の自由。子をもちたくても、もてない人たちもいます。個々の選択や苦悩に少しでも思いを寄せれば、こうした言葉にはならなかったはずです。政治家として、少子化対策や女性の社会参画にかかわってきた閣僚として、あまりにも自身や周りの偏見に無自覚ではないか

 

▼背景には戦前の家父長制や男尊女卑の家族の姿を「美しい国」と美化する自民党政治があります。「女性パワーで未来を変える」というのが真意だと弁明した上川氏。それを妨げているのがみずからの言動であり、属する政党だということがわからないのか。
 

覆水盆に返らず 出た本音は撤回しても戻らない

 

いつもの自民党常套句。傷つけながら「傷ついた方がいるのなら」「誤解を与えたのなら」。
多くの人を傷つけながら「真意と違う」。ふざけるな。

 

たとえ比喩であったとしても、女性と「うむ」を直結させ、「うまない」女性を否定・排除したという問題を含んでいることを本人が認めた形。

 

 

 静岡県知事選の応援演説で女性に対する配慮を欠いたとも受け止められかねない発言をした上川陽子外相は19日午前、静岡市内で報道陣の取材に応じ、「女性パワーで未来を変えるという私の真意と違う形で受け止められる可能性があるというご指摘を真摯(しんし)に受け止め、このたび撤回をさせて頂きたい」と述べた。発言に対する謝罪はなかった。用意した紙を読み上げ、記者の質疑には応じなかった。

 

 上川氏は18日、地元静岡市内で開かれた自民党推薦候補を応援する演説の中で、「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言していた。

 上川陽子外相が19日午前、報道陣に述べた内容は次の通り。

 私の昨日の発言についての報道は承知をしております。この発言は、私を古くからご支援いただいている女性支援者を中心にお声がけをさせていただいた個人演説会の最後の発言であります。私自身、2000年の激戦の中で初当選をさせていただきましたが、その際、女性のパワーで私という衆議院議員をうんで、誕生させてくださった皆さんにいま一度、皆さんの女性パワーを発揮していただき、大村知事を誕生させよう、そうした意味で申し上げたところでございます。ただ、私の申し上げました女性パワーで未来を変えるという私の真意と違う形で受け止められる可能性がある、というご指摘を真摯(しんし)に受け止めさせて頂き、このたび撤回をさせて頂きたいと思います。静岡の女性パワーを実感した初当選以来、24年間、女性が新しい変化を生み出すパワーになることを日本中、そして世界中で実感をしております。その思いは初当選以来、全く変わっておりません。むしろ日々、強まっているところでございます。以上でございます。(大海英史、田中美保)


西村ゆか氏 上川外相発言批判の山添議員の投稿を疑問視「女性を分断に利用」

 

屁理屈としか言いようがない。山添拓さんの鋭い発言に生温い発言…。10年早い山添さんに食付くのは!

 

 

実業家のひろゆき氏の妻でWebデザイナーの西村ゆか氏が19日「X」(旧ツイッター)を更新。上川陽子外相の“女性がうまずして”発言に言及した。

上川外相は18日静岡市の集会で行った自民党推薦候補のための応援演説の中で「一歩踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言。“うまない女性は問題がある”との受け止め方をされかねない、としてメディアなどで批判された。上川氏は19日、「真意と違う形で受け止められる可能性がある」として発言を撤回した。

ただ、上川氏の発言の意図は女性のパワーで自民党推薦の知事を生む…ということだったことから、ネット民からは「切り取り」とメディアの報道姿勢を批判する声が殺到している。

 

この騒動に西村氏は共産党の山添拓参議院議員の「子を産むかどうかは、もとより個人の選択。産みたくても産めない苦しみを抱える人もいる」「応援演説で思わず出る本音に、アップデートされない自民党政治のジェンダー感覚がにじむ」という投稿を引用。

その上で「悪意のミスリードは賛同しない」と山添氏の投稿内容を疑問視し「候補者への支持を呼びかけ『一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか』と発言したところを、『うむ』という言葉に『産む』を当て、実際には起きていない、子を産むかどうかの話題にすり替え批判することこそ女性を分断に利用していると思う」と指摘している。

 

 

橋下徹氏 上川外相「うまずして何が女性か」発言に私見「許容できる。支持者向けへの発言で…」

 
 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(54)が20日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。上川陽子外相は19日、静岡県知事選の応援演説で自民党推薦候補の当選に向け「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」との自身の発言を撤回したことに言及した。

 上川氏は「私の真意と違う形で受け止められる可能性があるとの指摘を真摯に受け止め、撤回する」と静岡市で記者団に語った。発言の趣旨に関し、自身が初当選した2000年の衆院選に触れ「女性のパワーで私という衆院議員を誕生させてくださった皆さんに、いま一度、女性パワーを発揮していただき、知事を誕生させようとの意味で申し上げた」と説明。「初当選以来、女性が新しい変化をうみ出すことを日本中、世界中で実感している。その思いは変わらず、日々強まっている」と語った。
 
 岸田文雄首相は「誤解を招く表現は避けるべきだと私も思う」と視察先の山形県酒田市で記者団に述べた。
 橋下氏は「選挙期間中ですから撤回したんでしょう、火消しを早くしなければいけないということで。でも、僕は許容できると思っています。支持者向けへの発言で、一般世間向けへの発言ではありません。それから子どもを産めをいう発言ではなくて、当選者を出させてほしいと。しかも現実、選挙運動に携わっている人たちは、若世代は参加しない、子育て世代も忙しい。現実、子育てが終わった人が多いんです。そういう人たちを鼓舞する表現としては、僕は許されると思う」と自身の考えを述べた。

 これに他のコメンテーターが、上川氏の真意は分かるとしつつ、若い世代は「こういう世代がいるから変わらない」と思ってしまうと指摘すると。橋下氏は「今、接戦なんでね。鼓舞する範囲としてはどうかなという…いいかなと僕は思うんだけど、やっぱりちょっと時代なのかな」とコメントした。

 ◇上川氏の応援演説の発言要旨 (静岡県知事選の候補として)一歩を踏み出していただいたこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか。私も初陣のときに皆さんに「うみの苦しみにあるけれども、ぜひうんでください」と演説で申し上げた。この候補者のことを思うと、その場面が頭によぎる。今日は男性もいらっしゃいますが、うみの苦しみは本当にすごい。でもうまれてくる未来の静岡県、今の静岡県を考えると、私たちは手を緩めてはいけない。力を結集すればこの戦いを勝ち抜くことができる。