主張

中教審部会まとめ

教員の長時間労働 変わらない

 


 「このままでは学校がもたない」と言われるほどの教員の長時間労働をどうするのか。中教審の特別部会が13日「審議まとめ」を公表しました。しかしその内容は、現場から「0点」と酷評されています。

 教員らが求めているのは(1)少なすぎる教員定数を増やすこと(2)何時間残業しても1円も残業代が出ない制度をやめること、です。部会はいずれも否定しましたが、論拠に合理性がなく、委員からも「つっこみどころ満載」と言われました。

■多すぎる持ち授業
 教員定数が足りていないことは、教員の受け持ち授業の多さに表れています。

 残業が少なかった時代、例えば小学校では、1人の教員が1日4コマの授業ですむよう基礎定数が配分されました。そうすれば授業準備など他の業務をしても8時間労働に収まります。

 ところがいまは、1日5コマ、6コマがざらです。1日6コマでは、授業準備などの時間が勤務時間内に25分しかとれず、長時間の残業が必ず生じます。

 この状態をなくすには、基礎定数を増やし「1日4コマ」に戻す以外ありません。これは多くの関係者が一致している点です。

 部会は、「増加した教員定数が持ち授業時数の減少のために用いられない可能性がある」と退けました。しかし、先生にあえて授業を持たせない校長がどこにいるでしょうか。

 残業代は、残業時間を抑えるため、残業に割増賃金を支給する制度です。ところが53年前、自民党政府は公立学校教員を残業制度から外してしまいます(公立教員給与特別措置法=給特法)。当時、野党は「残業代制度を外せば労働時間が青天井になる」とこぞって批判しました。

 その後の展開は野党の言った通りです。近年では司法の場でも「給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と判示されました。しかも、国立や私立学校は残業代を支給しているのです。

 部会は公立学校では「相対的に多様性の高い児童生徒集団となり、より臨機応変に対応する必要性が高い」から残業代は不可としました。しかし、国立や私立にも多様性があります。その違いで残業代が不可とは、さらに意味不明です。

 部会は、一般公務員より給与を高くするとした教員人材確保法に基づき、教職調整額を10%以上に引き上げるとしました。給与増は当然ですが、これでは問題は解決しません。

 さらに、教員に「新たな職」を設けるといいます。教員に分断をもたらす危険のある制度で、先行した東京都では「先生の目が子どもでなく、管理職に行く」と指摘されています。

■障壁は自民党政治
 なぜ、このような「審議まとめ」になったのか。教育予算の抜本増を認めない自民党政治の枠内で議論をまとめたからにほかなりません。しかし、そんなことを続けたから、事態を変えられず、教員不足も止まらなくなったのです。

 このままではだめです。定数増と残業代制度適用を勝ちとるまで、国民的な運動を広げましょう。同時に、その最大の障壁となっている自民党政治を終わらせるための共同を広げることを訴えます。