「国立大は適正な授業料を」値上げも視野に 自民党調査会が提言

 
日本の入学金や授業料は欧州の国々と比べると、国立でも桁違いに高い。奨学金も金儲けの一役を買い学生に卒業してからも借金を背負わせる。これが現実、その上に国立大学を私学の授業料に近づけるという…。これ以上若者に負担を負わせ、『学ぶ』権利を奪うのかと怒りさえ感じる。貧しい子は進学を諦めろという「宣告」に近い。誰もが学びたい場へ行って思いっきり学べる。格差が生じてはいけないのが「教育」である。
 
人を殺傷する軍事費に莫大な税金が投入されている。「人を育てる」財源に回すべきである。
 
自民党による国立大学の学費値上げ提言は、またもや時代逆行感がすご過ぎて言葉もないけれど、加えて、国際競争力強化のための学費値上げってどういうこと?さらに、自ら規制緩和して大学増やしておいて、今になって潰すよって何様?自民党による失策の責任はどうするつもり?
 
 
 
 自民党の教育・人材力強化調査会(柴山昌彦会長)は16日、大学など高等教育機関の再編に向けた提言をまとめた。国立大については、国際競争力の強化など大学ごとの役割に応じて、値上げも視野に入れた適正な授業料の設定や学生側の負担軽減について検討するとした。

 文部科学省によると、2040年の大学入学者数は約51万人と22年から10万人以上減少すると推計している。18歳人口の減少を受けて調査会は23年11月に議論を始め、高等教育機関の再編や教育費の負担軽減策について検討した。
 
 提言では具体的な取り組みとして、既存の高等教育機関の連携、再編・統合や教育の質を保証できない高等教育機関の撤退の促進、安易な新規参入を防ぐための設置認可審査の厳格化が盛り込まれた。国公私立など設置者別の方針では、私立大について「教育や経営に係るデータを活用した厳格な経営指導を実施する」とし、安易な公立化は慎重に検討するとしている。

 一方、授業料の保護者負担をゼロにする「完全無償化」については「授業料を家計負担から公費負担としているに過ぎず、必ずしも質の高い教育環境の実現にはつながらない」と指摘。「財源に限りがある点を直視しつつ、人への投資を拡充すべきだ」とした。【井川加菜美】
 

無償化へ半額早く

巨大私学35% 学費高騰

背景に国の助成減 負担もう限界

 
 1万人以上の大規模私立大学の35%が4月に全学部で授業料値上げを行ったことが本紙の調べでわかりました。過去最高額だった23年度の私立大学の初年度納付金を更新することは確実です。国際公約の学費無償化をめざして国が助成を増やし、今すぐ半額にすることが必要です。(染矢ゆう子)

 本紙は40ある大規模私立大学を調査。35%にあたる14大学が4月に全学部で授業料を値上げしました。

物価上昇
 入学金なども含めた初年度納付金は早稲田大学法学部で117万円から125万円へ8万円、理工学部は170万9000円から184万7000円へ、13万8000円の値上げです。

 立正大学は全学部7万円超、立教大学は同5万円の値上げです。慶応大学は2万~5万円の値上げ。慶応大学や上智大学は2年連続で値上げしています。東京理科大学は経営学部を除き10万円(二部は7万円)値上げしました。立命館大学も1学部を除き約8万~約11万円値上げしました。

 早稲田大学では「物価高騰をはじめとする本学を取り巻く状況を総合的に勘案」し「教員学生比率(ST比)の向上や施設設備の充実等も含め教育の質向上を図るため」、上智大学では「物価上昇率を踏まえて改定」と説明しています。

 保護者の負担は限界です。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が4月に発表した調査には父母から「奨学金を利用し、家計も切り詰め、本人のアルバイトありきで大学生活を始めましたが無理がたたってすでに体調を崩し、1カ月通学できず、再履修などさらに本人にとって苦しい状況」「母子家庭でも年収400万円だと補助金は受けられません。2人分の学費を年間300万円払わなければならず、到底生活費は足りません」などの声が寄せられています。

国際公約
 日本私立大学教職員組合連合の政策委員で明治大学教授の野中郁江さんは「私学助成が減り続けていることが学費高騰の原因です」と話します。運営費の5割を目指すとされた国の補助は現在1割を切り、53年前の水準以下まで落ち込んでいるという試算もあります。「物価上昇や消費税の増税に伴う経常費補助のアップは一切ありません。施設設備費の補助は“すずめの涙”で全く出ない大学がほとんどです。国がもともとの目標である経常費の2分の1を補助すれば、学費は42%下げられます」

 日本政府は国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回しました。学費無償化をめざし、値下げしていくことは国際公約です。