法務委員会で民法改定案の質問。#山添拓 議員は「法案はすでに離婚した父母も共同親権を請求できる。過去にDVや虐待があっても証拠がなく、相手が否定すれば、被害は認定されず共同親権とされかねない」と指摘。「だかこそ、合意なしに共同親権を強要しうる仕組みはやめるべき」と迫りました。
離婚後共同親権を導入する民法改正案。
— 𝐄𝐌𝐈𝐋 (@emil418) May 16, 2024
この法案に唯一反対した 日本共産党 #山添拓 の反対討論。#共同親権を廃案に pic.twitter.com/sqv6Qq1TvD
山添拓さん
広がる懸念と不安の声をよそに、今日の参議院法務委員会で民法改定案が採決された。
現在婚姻中の人だけでなく、過去に離婚した父母でも新たに親権者変更の請求ができ、父母に合意がなくても裁判所が強制しうる。
国民的合意なく押し切ろうとするなど断固反対。
反対世論が急速に広がる中、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案が16日の参院法務委員会で採決され、自民、公明、立民、維新の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。国会前では傍聴に駆け付けた人たちが「『共同親権』の採決に抗議します」「本会議で採決しないで」と声をあげました。
日本共産党の山添拓議員は反対討論で、「本法案の最大の問題は、離婚する父母が合意をしていなくても、裁判所が離婚後『共同親権』を定めうる点にある」と指摘。父母間に真摯(しんし)な合意がないのに、裁判所が親権の共同行使を求めれば、「別居親による干渉や支配を復活、継続する仕掛けとして使われ、子の権利や福祉が損なわれてしまう危険が否定できない」と批判しました。
また、「単独で親権行使できる事由が不明確な点も問題だ」と指摘。「急迫の事情」「日常の行為」という文言が不明確であり、「後に親権行使の適法性が争われるなどの心配から適時適切な意思決定ができず、子の利益を害する恐れがある」と批判しました。
親の資力等が要件となっている支援策や、親の同意等が要件となっている手続きは法務省が同日までに把握しただけでも32項目に上ります。山添氏は「本来、法案審議以前に確認しておくべきことだ。審議すればするほど批判が広がる本法案は、採決の前提を欠いている」と厳しく批判。「『自らと子どもの命と生活が懸かっている。諦めるわけにはいかない』という当事者の声を置き去りに、親子関係と家族のあり方に関する戦後民法の根本に関わる改定を国民的合意なく押し切ることは断固反対だ」と訴えました。
法的虐待拡大あり得る
「共同親権」 山添氏の追及に法相
参院法務委
日本共産党の山添拓議員は16日の参院法務委員会で、民法改定案は父母の合意がないのに裁判所が離婚後「共同親権」を強制しうるとし、「加害者が共同親権を求めるケースもあり、リーガルアビューズ(法的な虐待)が広がる懸念がある」と批判しました。
山添氏は「共同親権」導入で「リーガルアビューズが離婚後まで広がるのではないか」と追及。小泉龍司法相は「そのリスクはある」と否定しませんでした。
山添氏は「ちょっと待って共同親権プロジェクト」の調査結果を示し、別居・離婚経験者の58%(582人)が離婚後の虐待に遭い、そのうち子の面前でも虐待を経験した人が431人に上る深刻な実態を指摘。過去のDV(配偶者などからの暴力)や虐待の証拠が被害者の証言しかなければ「共同親権」になりかねないとして、当事者の「『平穏を手に入れたと思った被害者をまた崖から突き落とす』との声にどう応えるのか」と迫りました。
小泉法相は「真剣に身に起きたことを話せば裁判所に通じる」と強弁。山添氏は「当事者の声に全然向き合っていない」と批判しました。
さらに、娘の手術にあたり、面会禁止された父親の同意を求めなかったことは違法だとして、病院に慰謝料の支払いを命じた大津地裁判決について質問。「婚姻中別居の共同親権での裁判例だが、離婚後『共同親権』でも起こり得る」とただしました。厚生労働省の宮本直樹大臣官房審議官は同判決を「一般化はできない」と答弁。山添氏は「『共同親権』になれば訴訟リスクが格段に上がり、医療機関は訴訟を避けるために医療行為を控えざるを得ない。子が適時適切に治療を受ける機会を損なう事態があってはならない」と指摘しました。
「共同親権」
“子どものためにならない”
傍聴者が批判
新宿区の40代の女性は「悔しい。今さら何年も前に別れた夫と連絡を取り合って話し合いなんて無理。DV・虐待のある場合や、医療や学校現場など大混乱になると思う。子どものためにならないことは目に見えている」と批判しました。
離婚後の「共同親権」民法など改正案 参議院法務委で可決
離婚後共同親権の民法改定案の審議では、与党議員も含め懸念点の指摘が相次いだ。
「DVや虐待は、話せば裁判所に通じると思う」と法務大臣。
それは大臣の希望的観測に過ぎず、リーガルアビューズ(法的な虐待)の現実を踏まえているとは思えない。
共同親権だけではないのですが、こういう大切な解説を、なぜ法案成立が見込める段階、もう参院本会議で通すだけという段階で流すのだろうか。
共産党の山添拓氏は「大きな問題は、離婚後、父母の合意がないのに裁判所が共同親権を強制しうる点で、懸念の声が広がっている」と指摘しました。
離婚後も父と母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案は、参議院法務委員会で採決が行われ、自民党や立憲民主党などの賛成多数で可決されました。
改正案は17日の参議院本会議で可決・成立する見通しです。
何が変わる?ポイントは
民法などの改正案は、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ、今の「単独親権」に加え、父と母の双方に親権を認める「共同親権」を導入するとしています。
離婚後、父と母は協議によって「共同親権」か「単独親権」かを決め、合意できない場合は家庭裁判所が判断することになります。
ただし、DV=ドメスティック・バイオレンスや子どもへの虐待のおそれがある場合は裁判所が単独親権にしなければならないとされています。
また法務省は、父と母が話し合うことができない状態となり、共同で子どもの養育を行うことが困難な場合も、単独親権になる可能性があるとしています。
離婚後でも 申し出あれば対象に
すでに離婚している親やその子どもが、共同親権を裁判所に申し立てることも可能になります。
その際、裁判所はDVの有無や養育費の状況などこれまでの経緯を調べたうえで、子どもの利益のために共同親権が必要かどうかを判断することとされています。
どんなときに親の同意が必要?
共同親権となった場合、子どもに関するどのような場面で両親の同意が必要なのかについて、改正案では具体的なケースは書かれていません。
政府は成立した場合、法律の施行までにガイドラインを示すこととしています。
改正案では、共同親権となったら子どもに関することは基本的に、父母が話し合って決めるとしています。
注目
「幼稚園の選択」「転居先の決定」両親の同意が必要
法務省は国会で、父母のどちらの同意も必要な例として
▽幼稚園や学校の選択
▽進学か就職かの選択
▽転居先の決定
▽生命に関わる医療行為などを挙げています。
「緊急の手術」「習い事の選択」は単独で判断可能
一方、改正案ではその例外として「子の利益のため急迫の事情があるとき」や「教育などに関する日常の行為」はどちらかの親の単独で判断できるとされています。
法務省は「急迫の事情」の例として
▽期限の迫った入学手続きや
▽緊急の手術
▽虐待からの避難など
「日常の行為」については
▽子どもの食事や
▽習い事の選択
▽ワクチン接種などを挙げています。
また、海外への渡航について、法務省は
▽留学などは両親の同意が必要とする一方、
▽短期の観光目的の海外旅行なら「日常の行為」として単独での判断が可能だなどと答弁していて、基準があいまいだという指摘もあります。
「親子の断絶なくなると期待」
妻と離婚調停中の男性は、共同親権が認められることで娘の養育に関わることができると期待しています。
男性は1年前、夫婦の関係が悪くなり、妻が娘を連れて家を出ました。
妻側から離婚調停を申し立てられ、家庭裁判所で話し合いが続いています。
男性はDVや虐待などはしていないと言いますが、妻が拒否しているため男性は1年近く娘と面会する機会をもらえていません。
娘の様子を見ようと保育園の近くまで行った時、娘から呼びかけられたということです。
男性は「今の単独親権では子どもの奪い合いが起きてしまい、親権を持つほうと持たないほうで大きな差が生まれる。そして、どちらかが黙って子どもを連れて出て行くということにつながる。共同親権によってこうした連れ去りや親子の断絶がなくなると思う」と話しています。
男性は、共同親権が認められれば娘の養育に関わることができ、面会も適切に行われると期待していて「夫婦関係が破綻しても、子どもとの関係がきちんとできている家庭は共同親権であるべきだ。私も子どもの成長の助けになれるよう、親として活躍できる場面を取り戻したい」と話していました。
「関係断てないことに絶望」
3年前に夫と離婚し、現在は小学生の子ども2人と暮らす40代の女性は、共同親権の導入に反対だといいます。
女性は元夫に家事などについて毎日のように怒られ、子どもも父親とのやりとりで泣くことが多かったため、離婚したといいます。
このため共同親権となった場合、進学や転居などで父と母どちらの同意も必要になることについて「離婚後も関係を断てないことに絶望する。離婚したあとも元配偶者に判断を求めなければならず、拒まれたらその先に進めないのは子どもの利益だとはとても思えない」と訴えました。
また、両親の間で意見が分かれた場合に共同親権か単独親権かを決める家庭裁判所が、DVや虐待の有無について適切に判断できるか疑問だと言います。
女性は元夫から殴られるなどの身体的な被害は受けておらず、当時受けた精神的なDVを証明する物が日記しかないといいます。
女性は「元夫は離婚後も面会交流をしていて養育費も払っている。元夫が共同親権を希望した場合、私が『婚姻中はこんなにつらかった』と主張して拒否しても、裁判所や調停委員が私の意見を取り扱ってくれるとは思えない」と話していました。
「子どもにとって最善の利益」とは
「共同親権」の大前提となる考え方は「子どもにとって最善の利益となる」ことです。
改正案には「親の責務」として、子どもの人格を尊重し、子どもを養育する責務があり、親と同程度の生活を維持できるように扶養しなければいけないこと、婚姻の有無にかかわらず子どもの利益のため互いに人格を尊重して協力しなければならないことなどが明記されました。
女性は元夫に家事などについて毎日のように怒られ、子どもも父親とのやりとりで泣くことが多かったため、離婚したといいます。
このため共同親権となった場合、進学や転居などで父と母どちらの同意も必要になることについて「離婚後も関係を断てないことに絶望する。離婚したあとも元配偶者に判断を求めなければならず、拒まれたらその先に進めないのは子どもの利益だとはとても思えない」と訴えました。
また、両親の間で意見が分かれた場合に共同親権か単独親権かを決める家庭裁判所が、DVや虐待の有無について適切に判断できるか疑問だと言います。
女性は元夫から殴られるなどの身体的な被害は受けておらず、当時受けた精神的なDVを証明する物が日記しかないといいます。
女性は「元夫は離婚後も面会交流をしていて養育費も払っている。元夫が共同親権を希望した場合、私が『婚姻中はこんなにつらかった』と主張して拒否しても、裁判所や調停委員が私の意見を取り扱ってくれるとは思えない」と話していました。
「子どもにとって最善の利益」とは
「共同親権」の大前提となる考え方は「子どもにとって最善の利益となる」ことです。
改正案には「親の責務」として、子どもの人格を尊重し、子どもを養育する責務があり、親と同程度の生活を維持できるように扶養しなければいけないこと、婚姻の有無にかかわらず子どもの利益のため互いに人格を尊重して協力しなければならないことなどが明記されました。
親が離婚した子どもたちの支援などにあたるNPO法人「ウィーズ」の理事長で、みずからも子どものときに親の離婚を経験している光本歩さんは「親の離婚を経験した子どもたちの思いに目を向けられることは大きな前進で、一当事者としてうれしい気持ちは率直にある。ただ、共同親権の導入によってさまざまな困難やひずみは出てくると思うので、その対処や、子どもの最善の福祉を大人がどうかなえていくかという課題は残されている」と話します。
そのうえで「子どもの声を尊重するという視点は、法案に関わったすべての方が考えてきたことだと思うが、具体的な手法については議論が十分されていない。親の離婚に対する感じ方は子どもによってさまざまで、ひとまとめにしてこういう制度や仕組みが必要だというのは難しいが、子どもの声を知ることがまだまだ足りていないと思う」と指摘します。
そして「親の離婚を経験した子どもたちの思いをより多角的に深く知る場を整えることが必要だし、法律を施行するのであれば、具体的に子どもたちにどういったケアを行うのか、誰が責任を持って対応するのか、国は急ピッチで整えなければいけない。それを抜きにして子どものための親権制度や法整備はかなわないと思うので、本腰を入れて取り組んでほしい」と話しています。
注目
養育費の不払い対策も
今回の民法などの改正案では、共同親権以外にも養育費や面会交流など、離婚後の子どもの生活に関わるルールの変更が盛りこまれています。
養育費については、不払いが問題となっていることから、支払いが滞った場合はほかの債権よりも優先的に財産の差し押さえができるようにする「先取特権」(さきどり)が付けられます。
当事者の負担軽減のため、相手の財産の差し押さえや収入、資産の情報開示を求める手続きも簡素化されます。
調停で養育費などを決める段階でも、裁判所は当事者の収入や資産の情報開示命令を出すことができるようになります。
また、養育費の取り決めをせずに離婚した場合でも、一定額の養育費を請求できる「法定養育費制度」が設けられます。
親子の面会交流は
別居する親子が定期的に会う面会交流についても新たな試みを導入しています。
調停などで話し合いが続いている途中でも、家庭裁判所が面会交流を試しに行うことを促せるようにします。
親子の面会交流を早期に実現するねらいがありますが、虐待のおそれがある場合などは認めないとしています。
また親だけでなく祖父母なども子どもの養育に携わる機会が増えていることから、祖父母なども、面会交流を求める審判を裁判所に請求することが可能だとしています。
参議院法務委員会 16日の質疑は
改正案は、共同親権を選択する際に父母双方の真意によるものか確認する措置を検討することなどを付則に盛り込む修正をしたうえで、先月、衆議院を通過し、参議院法務委員会で審議が行われてきました。
きょうの質疑で、公明党の石川博崇氏は「子どもの利益を確保するには不断の努力が必要で、一つ一つ検証しながら改善に取り組んでいくべきではないか」と質問しました。
これに対し小泉法務大臣は「法案が成立したら関係省庁連絡会議を立ち上げ、複数の省庁にまたがる制度の調整や情報の整理を図るなど適切に対応していく」と述べました。
共産党の山添拓氏は「大きな問題は、離婚後、父母の合意がないのに裁判所が共同親権を強制しうる点で、懸念の声が広がっている」と指摘しました。
これに対し小泉法務大臣は「共同親権とする前に、裁判所が間に入り、可能な状況かを客観的につぶさにみる。自由に共同親権になるわけではない」と述べ、理解を求めました。
このあと採決が行われ、改正案は自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決しました。
共産党は反対しました。
また、法律の施行後も不断に検証し必要に応じて制度の見直しを検討することや、子どものための相談支援のあり方について関係省庁で検討することなどを求めるとした付帯決議も賛成多数で可決されました。
改正案は17日の参議院本会議で可決・成立する見通しです。