現在の対応を見る限り、まさか自分も被害者などと思っている可能性すら感じさせる旧ジャニーズ事務所。創業者であるジャニー喜多川氏の連続性加害を事務所ぐるみで隠蔽した罪に真摯に向き合うつもりはあるのか。

 

 

 旧ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏による連続性加害問題で、元ジャニーズJrの二本樹顕理氏(40)は日本脱出を決断した。フライデーの取材に「誹謗中傷から家族を守るため」とその理由を語っている。

 

 被害者対応のための会社であるスマイルアップ社の東山紀之社長(57)は誹謗中傷問題について「言論の自由もある」とした自らの発言について、インタビューした英BBCにクレームをつけただけ。二本樹氏の「HPで注意喚起するだけでなく、誹謗中傷に対して具体的な策を講じてほしい」との声については馬耳東風である。

 補償額をめぐって、スマイル社から民事調停を持ちかけられた「当事者の会」副代表の石丸志門氏も、海外移住の意思をメディアなどで語っている。スマイル社との先の面談後、記者らの囲み取材に応じカメラの前に立ったが、ある関係者はこう言った。

「金髪に赤ネクタイと、あえて目立つ格好をしていますけど、実は電車に乗るのも怖がっていますよ。それだけ酷い誹謗中傷を浴び続けていますからね」

名ばかりの救済委員会

 

 

 それでも自らに提示された算定額を明らかにし、調停でも闘う姿勢を打ち出しているのは、スマイル社の言い値で補償額が決められていく被害者の仲間を見ているから。算定基準すらきちんと明らかにしないスマイル社の対応に率先して異議を申し立てることで、この状況を改善しようとしているのだそうだ。

 この算定基準について、二本樹氏は「テレビや雑誌などメディアへの出演が基準にされていたのです」と同誌でコメント。スマイル社は否定したらしいが、「救済委員会」とは名ばかりの内幕が見え隠れしている。

「調停というのは第三者に丸投げしたようなもの。石丸氏には、提示した1800万円という額より下がることはないと説明があったそうですけど、1800万円すら、高く見積もってやっているんだと上から目線で考えているのではと思ってしまいます」と前出の関係者は言っている。

 補償額うんぬんではなく、スマイル社が救済を実行するのであれば、ジャニー喜多川氏から莫大な資産や権利を受け継いだ藤島ジュリー景子氏が基金や財団設立などに動くべきではないか。「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」と昨年の会見で言っていたが、なくすどころか存続を画策しているとの見方も出ている。被害者は開いた口が塞がらないだろう。

 ジャニーズ問題を取材するベテラン芸能リポーターはこう言っている。

「ジュリーさんは、被害者たちが賠償金のやりとりで大変な思いをしている様子を見て、その心が痛みはしないのでしょうか。誹謗中傷という2次被害に苦しみ、日本に住むこともままならなくなっているのを見ても、平気なのでしょうか。連続性加害は彼女にとっては身内が犯した事件。当事者側でありながら、その犯罪の上に築き上げた財産を全て相続して、頬かむりしているようにしか見えない。その一部でも投げ出せば、大部分は解決するというのに。誰よりも率先して動かなければいけない立場なのに、東山社長や他の人たちに丸投げして、このまま会見一回で逃げようとしているようにしか見えません」

 現在の対応を見る限り、まさか自分も被害者などと思っている可能性すら感じさせる旧ジャニーズ事務所。創業者であるジャニー喜多川氏の連続性加害を事務所ぐるみで隠蔽した罪に真摯に向き合うつもりはあるのか。


旧ジャニーズは被害者置き去りで再出発 元社長の藤島ジュリー氏が現在も実質オーナーの厚顔

 

 

 故ジャニー喜多川氏による連続児童性加害で、旧ジャニーズ事務所が公の場で謝罪してから14日で1年が経過。ジャニー氏の姪で2代目の藤島ジュリー景子氏(57)は経営の第一線から退くとしていたが、現在も実質オーナーの座にとどまり、グループ会社4社で会長職に就いていることが明らかになった。役員報酬が支払われ、また一部のグループ会社の株主でもあるとスマイルアップ社の山田将之CCOが日本テレビの報道番組の取材に答えている。

 

 ジュリー氏は昨年5月、約1分間の動画で謝罪したが、性加害については「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」とコメント。これについて、元所属タレントの筆頭、近藤真彦からも「嘘はダメ。知ってるでしょう」などと批判され、さらに国連人権理事会の専門家や特別調査委員会が事実とすると一転してこれを認め、「全ての関係会社からも代表取締役を降りる」と宣言した。さらにメッセージではあったが、こんな覚悟を表明したものだ。

「ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族として、やり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切、なくしたいと思います」

痕跡はそのままに

 

 現在、いずれの会社でも経営にはタッチしておらず、順次退任の方向というが、スマイル社は取材に「専門家の助言を受けながら、検討を進めている」などとし、今後も株主であり続ける可能性があると暗に認めた。言行不一致の数々はいくつも指摘されているが、あるベテラン芸能リポーターは「最も大きいのが、どうみてもジャニー氏の痕跡をなくさない方向にシフトしていること」と言う。その通りではないか。タレントのマネジメント業務などを引き継ぐスタートエンターテイメント社は本格始動し、東京ドームで大々的にイベントを開催。テレビ局も「タレントに罪はない」などといって事件の風化を進め、なし崩し的に元に戻そうとしているからだ。

 一方で、被害者補償や救済について、スマイル社の東山紀之社長(57)は「一日も早く多くの人を救済できるよう今後も誠心誠意、補償業務に取り組みたい」と表明したというが、どうか。

「算定基準も金額も未公表とし、被害者にもそれに従うように仕向けていますが、4パターンくらいにあてはめているようです。マスコミでの露出が多い、もっというと、うるさい相手には多く提示し、黙らせようとしていると受け取る関係者もいます。提示額も0円からというので驚きました」と、ジャニーズ問題を深く取材するワイドショー関係者はこう続ける。

「1800万円の提示に不服申し立てをした『当事者の会』副代表の石丸志門さんには、民事調停で争うということのどこが誠心誠意の補償業務、救済なのでしょうか」

 被害申告した「当事者の会」メンバーらは、ネットなどで度重なる誹謗中傷を浴びせられ、「当事者の会」を立ち上げた平本淳也氏は体調を崩し代表を辞任。勤め先の会社でのポジションを失い、生活危機に陥っている者もいれば、家族の身にまで危険が及び、海外への移住を選択した者も。また自死に追い込まれた者もいる。こうした深刻な2次被害が明らかにもかかわらず、東山氏は「(誹謗中傷に)言論の自由もある」とBBC放送のインタビューでコメント。批判が殺到すると、BBC放送がコメントを歪曲して伝えたとクレームをつけた。平本氏がこう言う。

「(自らの)性被害から44年、実名告発から36年目、この1年は何もない混沌とした空間をさまよっていた長い時間と比べたらとても短く感じます。BBC放送(の取材班)を連れてきて、国連に手紙を書き、特別チームに提案し、ジュリーさんとヒガシにはいくつもの要望を呈し、これまでになかった大きな変化があった。何をもってゴールとするか、まだ見えてはいませんけど、何より被害者が救われることを目的とした支援や活動はまだまだ続くので尽力してまいります」

 被害者たちの終わりなき苦悩はそのままに、喉元過ぎればで再出発は絶対に許されない。

 

 

ジャニーズ問題踏まえ「芸能事務所も性犯罪歴確認の対象に含む」 日本版DBS法案について加藤鮎子担当相

 
 加藤鮎子こども政策担当相は14日の子ども政策に関する衆院特別委員会で、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」創設法案を巡り、犯歴確認が義務付けられる認定事業者に、ダンスや演劇などの技芸を教える芸能事務所も含まれるとの見解を示した。芸能事務所の認定取得に関し「関係団体に強く働きかけていく」と述べた。
 
 衆院特別委では、立憲民主党の早稲田夕季氏らが、旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)創業者のジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題を踏まえ、法案との関係について質問した。
 加藤氏は、認定対象とする芸能事務所について「マネジメントを主とする事業者であっても、児童等に知識や技芸の教授を行っている場合は対象となりうる」と説明。技芸の指導で専門家などと業務委託契約を結んでいる場合も対象になるとした。
 認定を取得した事業者は、雇用する人の犯歴確認が義務化されるとともに、広告などで犯歴確認をしていることをアピールすることもできる。加藤氏は「できるだけ多くの事業所を対象にできるようにしたい。社会的にも認定を取得することが重要だという認識を高めていくように努める」と強調した。(坂田奈央)