自民・茂木敏充幹事長、公選法改正に意欲 補選の自由妨害でつばさの党家宅捜索を巡り

 
札幌で一般市民が安倍元首相の選挙街頭応援演説中に「消費税反対」と声を発した女性が警官につきまとわれ、男性は「アベ帰れ」と声をあげたヤジで警察官から排除を言い渡された。「言論の自由」「思想信条の自由」を犯したと裁判闘争中である。この二人の姿勢と今回のつばさの党の姿勢は全く違う。間違いなくつばさの党は民主主義を冒涜した選挙妨害であり挑発である。維新候補等の候補の街宣中に『消費増税を説明しろ」「女性問題説明しろ」等と、市民が興味を持っている点を挙げて街宣を妨害している。
 
この時ばかりと、茂木幹事長は「公選改正」と意欲を示した。私達が政権に怒りの声をあげづらい政策に悪用される危険が簡単に予想出来る。今の自民党は民意が一番怖いのである。昨今の自民党支持率が民意があからさまに示している。
 
今回のつばさの党は見かけは正義ぶったように見せかけているが、間違いなく民主主義を後退させる意図を持った行動である。このような状態になることを予想しての行動であったのではないかと私は疑いたくなるのである。怖い本当に怖いと言う思いである。
 
自民党の茂木敏充幹事長は13日の記者会見で、衆院東京15区補欠選挙で別陣営の街頭演説を妨害したとして、警視庁が公選法違反(自由妨害)の疑いで政治団体「つばさの党」の事務所などを家宅捜索したことについて「これまで見たことがないような妨害行為が行われ、極めて遺憾だ。議論を進め必要な法改正を進めたい。罰則強化など実効性のある対応をしっかりと検討していきたい」と述べた。その上で「捜査当局には法と証拠に基づいて厳正に対処してもらいたい」と訴えた。

 

選挙妨害で強制捜査 警視庁「自由逸脱し悪質」 公選法改正の動きも

 

 政治団体「つばさの党」による衆院東京15区補欠選挙での活動は、警視庁の強制捜査に発展した。選挙妨害を巡っては、公選法の改正を求める意見や、規制強化による「拡大解釈」を懸念する声が出ている。


 つばさの党は、過激な選挙活動を自ら撮影して、動画投稿サイトに公開。陣営は動画視聴で得られる収益目的は否定している。演説を邪魔された陣営は、街頭演説の事前告知を見送るなど、選挙戦に影響が出た。

 捜査関係者は選挙の自由の尊重が大前提としつつ「ただまったく制限がないわけではない」とする。最高裁の判例では「聴衆が聞き取ることを不可能または困難にするもの」は演説の妨害だと判断。捜査幹部はつばさの党の活動を「言論や選挙の自由を逸脱する悪質な事案」と問題視する。
 
 自民党の茂木敏充幹事長は13日、「必要な法改正をやっていきたい。党としても罰則強化など、実効性のある対応を検討したい」と述べた。立憲民主党の泉健太代表は「現行法でできることを見定めながら、法案についても他党とやり取りしていきたい」とした。

 「著しく粗野または乱暴な言動」などの選挙妨害に対する規制を強化する公選法改正案を公表している日本維新の会の音喜多駿政調会長は自身のSNS(ネット交流サービス)に「捜査は評価できるものの遅きに失した。選挙期間中でも機動的に対処できるよう改善策を提案したい」と投稿。国民民主党の玉木雄一郎代表もSNSに「党としても法改正を議論しており、与野党協力して成立を図っていきたい」と投稿した。

 一方、共産党の小池晃書記局長は「言論の自由を脅かす行動。物理的な妨害は許されない」と非難した上で、維新の法改正案については「拡大解釈される可能性がある」と指摘。ヤジなども含めて「政権に盾突くような言論を規制していく方向につながりかねない」として、現行法での「厳格な対応」を主張した。【遠藤龍、源馬のぞみ、田中裕之、田辺佑介】
 
北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」  道に賠償命令 札幌地裁
 
 
 2019年の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした男女が、北海道警の警察官に違法に排除され、憲法が保障する表現の自由を侵害されたとして、道に慰謝料など計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、札幌地裁であった。広瀬孝裁判長は「2人の表現の自由などが違法に侵害された」と述べ、道に計88万円の支払いを命じた。
 
 判決によると、19年7月15日、原告男性(34)はJR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に「安倍やめろ」とヤジを飛ばし、警察官らに排除された。「増税反対」と叫んだ女性(26)も移動させられた上、警察官らに長時間つきまとわれた。

 2人は「政治批判の声を最高責任者にぶつけるまれな機会を違法に奪われた」として、20年2月までに提訴。道警側は、排除は警察官職務執行法に基づく適法な行為と主張。原告らが聴衆に危害を加えられるなどの恐れがあったとした。

 判決は現実的な危険があったかどうかを検討した。市民が撮影した動画などをもとに、怒号が上がるなど騒然とした状態にはなっておらず、警察官職務執行法の適用要件を満たしていないと判断。警察官らの行為を「違法なもの」とした。

 その上で、判決は表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた。さらに、警察官らは原告らのヤジが安倍氏の演説の場にそぐわないものと判断して「表現行為そのものを制限した」と結論づけた。

 また、原告女性につきまとった行為については、移動・行動の自由や名誉権、プライバシー権の侵害にあたると認定した。
 
 
 
参議院選挙街頭演説中の北海道警察による強制排除行為についての控訴審判決を受けて、改めて公共的・政治的表現の自由の意義について確認しその保障と実現のため活動していくことを宣言する会長声明
                                          2023(令和5)年9月22日
                                           札幌弁護士会
                                           会長 清水 智

 2019(令和元)年7月15日、札幌市内での参議院議員選挙の街頭演説の際に、「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げた2名の市民が、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれ演説現場から移動させられたり長時間にわたってつきまとわれたりするなどの事件が発生した。
 この2名の市民はこれら一連の行為について北海道を被告として札幌地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、2022(令和4)年3月25日に言い渡された一審判決では、原告両名について公共的・政治的事項に関する表現の自由等の人権侵害を理由として北海道の損害賠償責任が認められた。
 その後北海道が一審判決を不服として控訴し、本年6月22日、札幌高等裁判所はこの事件についての判決(以下、「控訴審判決」という。)を言い渡した。
 控訴審判決においては、一名の被控訴人(一審原告、以下単に「原告」という)に対する排除行為等については違法であり政治的表現の自由等の人権を侵害するものとして一審判決の判断が維持されたものの、もう一名の原告については一審判決と異なり排除行為等が適法であるとして請求を棄却する判断がなされた。
 控訴審判決において、一名の原告について一審判決の判断が維持されたことの意義は大きい。
 政治家による街頭演説は、政治家がその主張を有権者に伝えるとともに、有権者が政治家の主張に対する反応(その中には当然批判的あるいは否定的な反応も含まれうる)を示す貴重な機会であり、こうした過程を通じて種々の政治課題に関する多数意見が練り上げられていくのであって、まさに立憲民主政において不可欠のプロセスである。
 こうしたプロセスにおける市民の意見表明に対する排除行為等が憲法上の重要な権利の侵害であると高裁においても改めて認定されたことは、公共的・政治的事項に関する表現の自由の保障のうえで重要な意味を有する。
 一審判決が説示したとおり、「主権が国民に属する民主制国家はその構成員である国民がおよそ一切の主義主張を表明するとともにこれらの情報を相互に受領することができ、その中から自由な意思をもって自己が正当と信ずるものを採用することにより多数意見が形成され、かかる過程を通じて国政が決定されることをその存立の基礎としている。したがって、憲法21条1項により保障される表現の自由は、立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって、民主主義社会を基礎付ける重要な権利であり、とりわけ公共的・政治的事項に関する表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されなければならない。」ことが改めて確認されるべきである。
 他方で控訴審判決は、もう一名の原告に対する排除行為等について、一審判決とは異なり、声を上げた原告に立腹して有形力を行使した聴衆がいたことから原告が暴行等を受ける危険性が切迫していたなどとして、警職法第4条1項所定の避難等の措置として適法であったと判断した。
 しかしながら、避難等の措置として行われる行為であってもこれにより表現の自由が制約されることになるのであるから、その適法性を判断するに際しては表現の自由の重要性に配慮した慎重な吟味が求められるところ、控訴審判決においてはこの点について検討した形跡がない。
 公共的・政治的事項に関する表現の自由が問題となる場面において、その重要性が十分に踏まえられることなく表現の自由を制約する排除行為が正当化されてしまうことになれば、市民が公共的・政治的事項に関する表現を行うことについての委縮効果が生じ、ひいては、主義主張の相互受領による多数意見の形成という立憲民主政の政治過程の根幹が損なわれ、我が国の民主的意思決定のプロセスが機能不全に陥ってしまうことも危惧される。
 この事件に関しては北海道弁護士会連合会が二度にわたり理事長声明を発出し、北海道公安委員会に対して憲法や警察法の趣旨に則り適切な職務遂行に努めるよう北海道警察を適切に管理すること等を求めてきた。
 また当会も、この事件に関する一審判決言渡直後の2022(令和4)年4月1日に「北海道警察に対し、参議院議員選挙の街頭演説において聴衆の一部を実力で排除した行為の違法性を認めた札幌地裁判決を真摯に受け止めること及び適切な職務遂行と表現の自由の尊重を求める会長声明」を発出し、北海道警察に対して職務遂行の際に表現の自由を尊重すること等を求めるとともに、当会として今後も少数意見を含めた市民の表現の自由が十分に保障される社会の実現に向けた取組を続けることを宣言した。
 これら一連の声明において当会及び北海道弁護士会連合会が表明してきたことの重要性はいささかも変わるものではなく、当会は引き続き北海道警察に対して憲法上の公共的・政治的事項に関する表現の自由を十分に尊重した職務遂行を求めるとともに、改めて政治的表現の自由の意義を市民と共に確認しこの自由の保障と実現のため活動していく所存である。
以上