筆者、深月ユリア氏の言う通りだ。「警察は野放しにするな!」大体この写真の東山紀之は一体何だ? 犯罪者か? 全ての被害者に対して補償をして、被害者に対する誹謗中傷も万全の策を取って堂々としたらどうだ? 旧ジャニーズ、名前は変わっても中身は何も変わってないね。
 
旧ジャニーズ事務所で故・ジャニー喜多川氏以外にも児童性虐待を行っていたスタッフが2名もいた――。

東山紀之社長(53)がこの事実を認めるや、当該スタッフに対する警察の捜査を求める署名運動が始まった。性犯罪者の小児性愛者の再発率は高く、野放しにされた元社員が被害者に「犯罪を公表するな」と脅迫する可能性もある。ところが東山社長は英・BBCの取材に対して「警察に情報提供することは考えていない」と発言。性犯罪は非親告罪(被害者から告発のがなくても警察は捜査可能)であることから、事態を重く見た「ジャニーズ問題の早期解決を望む市民の会」がオンライン署名サイト「Change.org」で4月23日に署名運動を開始。一週間で5000近い署名が集まった。

’96年8月に13歳でジャニーズ事務所に入所し、同年秋から始まった10回にもおよぶ故ジャニー喜多川氏による児童性虐待の実態を実名告発し、メディアや国会で訴え続けてきた二本樹顕理氏(40)もこの動きに賛同している一人だ。

「この署名活動自体は賛同できるものだと感じております。 未来の子どもたちを守るという観点からは、私は警察が動くべきだと考えます」

ただ、「恐らく、刑事責任の追求は難しいと思います」と二本樹氏は見ている。というのも、二本樹氏はこの“性加害をしたスタッフ2名”のうち一人と面識があり、「彼のその性犯罪は時効を迎えている」からだと言う。

「このスタッフはマネジャーなのですが、性加害を行っていたのは26~27年前。既に時効を迎えています。私が在所していた当時、このマネジャーは20代半ばから後半ぐらいで、現在は50代だと思います。当時は常にせわしない感じの印象の人物でした。100名近くいるジュニアを取りまとめていたので、無理もないですが……声が高かったのを覚えています。このマネジャーに話を聞いた関係者がいるのですが、『ジャニーさんがタレントたちに性加害を行っているから、自分もやってもいいと思った』と言っていたそうです」(二本樹氏)

このスタッフが供述したところによれば、マネジャーという立場を利用して10代のジュニア5~6名に口腔性行をさせていたという。また、もう一人のスタッフに関しては、

「東山氏の元マネジャーであったようですが、私自身は面識がなかったはずです。その人物の性加害は深刻なものではなかったと、SMILE-UP.の顧問弁護士を務める西村あさひ弁護士事務所から、代理人を通して説明を受けています」(同前)
 
なぜ東山社長は警察への情報提供を否定したのか。

SMILE-UP.にその真意を質(ただ)すと、広報窓口の担当者から以下のような回答が返ってきた。

「性加害の事案では、被害者の方の意思が何よりも大切であり、被害を受けられた方からの処罰意思が示されていない段階では、弊社が先んじて、警察に対して情報提供や刑事告発、福祉事務所などへの通告や相談を行うことは適切ではないと考えております。

弊社が警察や福祉事務所等に相談をした場合、被害を受けられた方は性被害の事実及び内容を説明せざるを得ない状況に置かれる可能性があります。また、加害者が起訴された場合には、場合によっては被害を受けられた方が公開の法廷で証言を行わざるを得ません。このように、仮に弊社が被害を受けられた方のご意向とは離れて、警察や福祉事務所に報告・通行をした場合には、被害を受けられた方の心理的な負担が大きく、二次被害を生じかねさせません。(中略)勿論、被害者の方が刑事告訴を行う場合には、当然ながら捜査には全面的に協力したいと考えています」

2名の元スタッフによる行為が児童福祉法に該当するか等については「個々の事案次第であり、弊社としてコメントすべき立場にございません」としつつ、通告義務については「負っていない」という考えだと答えた。

「(児童虐待防止法における)『児童虐待』とは、保護者がその監護する児童(18歳に満たない者)について行うものをいいます。スタッフによる性被害については、『保護者』が行ったものではありませんので、弊社は、通告義務を負っていないと考えております」

SMILE-UP.の回答を二本樹氏は溜息で迎えた。

「警察に通報しない理由として、被害者の心情ばかりが取り沙汰されていますが、警察も被害者のプライバシーに配慮した上での捜査は可能なはずですし、被害者の方々も必ずしも自身の身元を公に晒(さら)す必要はないわけです。周囲の協力があってこそ、初めて声を上げることができる被害者の方もおられるはずです。中には、かつての私たちのように踏み出したいと思っておられる方もいらっしゃるかもしれないのに、その可能性を排除するのはいかがなものでしょうか。もっと自由に声を上げられる社会にしていくべきだと考えます。

また保護者の定義を親権者のみとするのも微妙だと思います。ジャニーズジュニアたちを統括していたマネジャーは、広義においては、タレントたちの身体上の安全を確保する保護・監督的立場にあった、といえるのではないでしょうか」

きさらぎ法律事務所の福本悟弁護士は「民事上の責任は免れない」と見ている。

「『SMILE-UP.』の前身はジャニーズ事務所であり、かつ、被害者の補償業務を行う法人です。元スタッフの不法行為は民事上の責任を免れません。もし、被害者が元スタッフを刑事告訴したら……東山社長の説明では、元スタッフは昨年秋に退社したとのことですが、もしその直前まで性加害を行っていたのであれば当然、公訴時効は成立しません。親告罪でもないので、刑事訴追されれば有罪となるはずです。

不同意性交等罪の成立要件のなかに、『経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させ、又はそれを憂慮している』被害者に対しては、そもそも『同意しない』意思を表明することは困難であるので、このような被害者との性交等は、犯罪となることに留意しなければなりません。『SMILE-UP.』は損害賠償責任を追及される可能性があります。そもそも、同社は被害者に対して『補償』すると言っていますが、故・ジャニー喜多川氏の行為は民事上は不法行為です。その責任を法人がとる場合、それは『補償』ではなく『賠償』です」

児童福祉法34条6号には、法人の従業員が違法行為を行った場合、「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する」と定められている。これに関してSMILE-UP.は、「該当するとした場合に両罰規定が適用されるかどうかについては、個々の事案次第であり、弊社として、コメントすべき立場にございません」と明言を避けた。

二本樹氏は、この二人以外にもタレントに性加害を加えたスタッフがいる可能性に言及した。

「 再発防止特別チームの報告書には、性加害を行っていた社員の具体的な人数は書かれていませんでした。複数人の証言に基づいて報告をまとめていると考えられるので、性加害者は二人に留まらない可能性もあると思います。SMILE-UP.はもっと調査すべきだと考えます」

SMILE-UP.は、ここに至るまでスタッフによる性加害を把握できていなかったのか。ならば、警察に捜査を委ねるのが一番なのではないか。

取材・文:深月ユリア
慶応義塾大学法学部政治学科卒業。「深月事務所」代表。数々の媒体で執筆し、女優、モデル、ベリーダンサー、FMラジオパーソナリティーとしても活動。動物愛護活動も精力的に行い、テレビ神奈川の番組「地球と共生する、アニマルウェルフェア」を自社でプロデュース
 
 
「少年忍者」横アリ初単独公演報道で旧ジャニーズとスポーツ紙の“ベッタリの関係”が改めて鮮明に
 
 
 旧ジャニーズ事務所からタレントのマネジメント業務などを引き継ぐ新会社STARTO ENTERTAINMENTが4月に発足。グループや各タレントの契約内容が伝えられないまま初ライブイベントに踏み切ったこともあり、《エージェント会社の話はどこ行った?》という声がファンからも上がっているが、懇意にしてきたメディアとの関係性も変わらぬままのようだ。

 9日付のスポーツ紙6紙は、同社所属の21人組ジュニアグループ「少年忍者」の横浜アリーナ初単独コンサートの最終日公演の様子をそろって大きく報道。〈個性豊かなパフォーマンスで、ファン1万5000人を魅了した〉(日刊スポーツ)、〈大人数ならではのダンスやアクロバットで圧倒〉(スポーツニッポン)、〈努力の積み重ねで多くのファンを獲得〉(東京中日スポーツ)、〈少年忍者 魅了の術〉(スポーツ報知)などと、スタート社が売り出し中のグループがいかにファンからの熱い支持を得ているかを伝えた。

 さらに少年忍者のライブの絶賛報道の真横には、Hey!Say!JUMPの山田涼介(31)が、7月期に主演を務める連続ドラマ「ビリオン×スクール」(フジテレビ系)の紹介もされていた。
 
「いずれのスポーツ紙も紙面の見開き半分を使って少年忍者の活躍ぶりを伝え、その半分ほどの大きさで山田涼介の新ドラマの宣伝をしていました。故・ジャニー喜多川氏の性加害報道の際は各紙の強弱にバラつきがありましたが、やはり今後もスタート社とスポーツ紙のベタベタの関係は続いていくということでしょう。同じようにレイアウトされた各紙の紙面を見ながらそう実感します」(芸能プロ関係者)

 旧ジャニーズから看板を掛け替えただけのスタート社と、性加害問題を一時的とはいえ取り上げたスポーツ紙。元「忍者」男性が性被害を告白したこと、「少年忍者」のグループ名に「少年」を冠していることなどは、もはやどうでもいいのだろうか。

 
進む「ジャニーズ帝国」の復活…英BBCにケンカを売った東山紀之の狙い
 
 
 この国の言論の自由度は世界で70位。もちろんG7参加国中最低で、プーチン援護派のハンガリーの下でもある。
 
 だが、性加害を受けた被害者たちを誹謗中傷する自由度は、世界のトップクラスである。
 
 それが証拠に、「SMILE-UP.」社長の東山紀之が、3月30日に放送されたBBCのインタビューの中で、「誹謗中傷を苦に被害者の中で自殺者が出たりしているが」と聞かれ、「言論の自由もあると思うんですね。僕は別に誹謗中傷を推奨しているわけでもなく、多分その人にとってはそれが正義の意見なんだろうなと思う時もあります」と答えたのだ。
 
 当然ながらこの問題発言に批判が巻き起こった。すると東山は、週刊新潮(5月2.9日号)で、BBCが“故意”に自分の発言を省略して、「私が誹謗中傷を否定していない」と印象付けたと訴え、訂正と謝罪を要求する文書をBBC側に送り付けたのである。
 
 腑抜けたこの国のメディアなら、旧ジャニーズの威光に恐れ入ったかもしれないが、BBCは毅然と、こう返した。
「私たちは、自らのジャーナリズムに自信を持っています」
 
 当初から、ジャニー喜多川に“寵愛”されたといわれる東山が、被害者たちへの補償業務を行う「SMILE-UP.」社長に就くことに不安が囁かれていた。だが、今となってみれば、東山がやろうとしていることは、ジャニーの汚名を少しでもすすぐことではないのかと思わざるを得ない。
 
 被害者を名乗る中に虚偽の人間がいると、「SMILE-UP.」が早々と声明を発表した。これは当初の「幅広く補償できるよう、立証責任を決して被害者に転嫁しない」という方針を撤回したものであり、新たに名乗り出ようと思っている被害者を萎縮させる意図があったはずである。
 
 さらに被害者救済委員会の聴取はまるで「尋問」のようだと被害者たちは訴えている。どのように触られたのか、射精はしたのかなど根掘り葉掘り聞かれ、セカンドレイプのようで、心身に不調をきたす者も多いといわれる。しかも、臨床心理士の立ち会いもない。
 
 どうやって補償額を算定したのかの基準も不明確など、とても被害者に寄り添っているとは思えない対応で、被害者たちから怨嗟の声が上がっている。
 
 いまだに、自身とジャニーとの“関係”について説明責任さえ果たしていない東山が、被害者をむち打つなど、許されるはずはない。だが、節操のないテレビ局の中には旧ジャニタレを起用する動きが早くも出てきている。
 
 4月10日には、マネジメントを引き継いだ新会社「STARTO ENTERTAINMENT」所属のタレントたちが東京ドームで公演を開催した。まだ補償が半分にも満たないのに強引に見切り発車するやり方は、世間を見くびっているとしか思えない。
 
 しかも同じ日、「嵐」が「株式会社嵐」を設立したと発表したのである。彼らは今年11月に25周年を迎える。ファンたちに再活動かとの期待を抱かせるが、週刊文春(4月25日号)は、設立は年間20億円ともいわれるファンクラブ維持のため、会員をつなぎ留めておくことが目的の目くらましで、“あこぎな商法”だと難じている。
 
 それに四十路を超えた男たちが今更アイドルでもあるまい。被害者の二本樹顕理は「嵐」の二宮和也と同期だという。二本樹がジャニー喜多川の“餌食”になっていたのに、二宮が“無傷”だったとは信じがたい。まずメンバー一同、会見を開いて「疑問」に答えるべきである。
 
 旧ジャニーズ帝国復活をもくろむ東山紀之も「SMILE-UP.」の社長を辞するべきことは、いうまでもない。 (文中敬称略)
 
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)