《“カジノありき”だった》ノンフィクション作家・森功氏が「間に合うわけがない」と確信した大阪万博“デタラメ発注”


利権漁り専門オッサン二人橋下徹と松井一郎が「利権の最たる『カジノ』」を企てた。インフラ整備をカジノでは国費では出来ない。それで「万博」となる。カジノを決定させるべく菅とアベを酒の席へ接待し、松井一郎は菅に「よろしく」と酒を進めたという。これを「おちょこ事件」と言われる所以である。
 
「大阪府と大阪市は、IRの開業を先行させ、その後に隣接地で万博を開催する予定でした。IRに向けてインフラ整備を行うことを前提に、そこに万博を誘致したわけです。したがって万博開催時には、道路や鉄道、下水道などのインフラ整備も進んでいるはずでした。政府には、計画の立案から2年ほどで大阪IRの地域認定をしてもらえると考えていました。ところが、認定が2023年の4月にずれ込んだ。その間に万博の誘致に成功した。結果、先に万博が開催され、IRの開業があとになったわけです」
 
いい加減にしたら。
原資、税金やん。
 

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日時 5月12日(日)10:30~16:00
場所 新梅田シティ・ワンダースクエア
   (梅田スカイビル・中央広場)
入場料 無料
 
◆◆◆

下水道も電気も、舗装された道路もなく…
 咲洲から「夢咲トンネル」に入り、海の下の片側2車線道路を1キロほど走ると、人工島の工事現場に出た。2024年が明けて間もない1月初旬のことである。夢洲に造設されている「2025年日本国際博覧会」(通称大阪・関西万博)の会場予定地を自動車で訪ねた。

「世界最大級の木製リングをつくっています」

 トンネルの出口からしばらく車を走らせると、万博会場の入り口付近にある垂れ幕が見えてきた。54年前のEXPOʼ70で評判を呼んだ「太陽の塔」に代え、大阪万博のシンボルとして建設している木製の大屋根である。建設費344億円をかけ、大林組、清水建設、竹中工務店のスーパーゼネコン3社が建設している。

 世界最大級の謳い文句通り、波打つ大屋根は横幅30メートル、高さが12メートルから20メートルある。その一周2キロの木製巨大リングが、博覧会のメインとなる海外パビリオンをぐるりと囲み、来場者が屋根の上と下を回遊する趣向である。リングの外側には、建設中の地元「大阪ヘルスケアパビリオン」やホスト国の「日本館」をはじめ、パナソニックやパソナといった日本企業のパビリオンが点在している。それらの多くはコンクリートの基礎工事が終わり、鉄骨がむき出しになっている。どことなく姿かたちをイメージできるパビリオンもあった。

 しかし、予定地全体を見渡せば、他は土の地面が露出し、まるでだだっ広い野原のようだ。なにより、すでに2025年4月の万博開催まで1年3カ月を切っているというのに、まるで工事現場の活気がない。海外パビリオンに先行して建設されてきたリングでさえ、1月初旬の時点では3分の1もできていなかった。

 夢洲は大阪湾の人工島として埋め立てられた。そこが長らく放置されて未開発となる。東側の一角がコンテナターミナルとなっているが、今も下水道すら整備されておらず、電気も通っていない。

 万博の会場内はアスファルト舗装された道路もなく、砂利道が迷路のようにロープで区切られている。そのせいで何度も切り返したりUターンしたり、迷いながら運転した。埋立地だけに水はけが悪いのだろう。アスファルトの舗装の代わりに、ところどころに鉄板を敷いて泥濘を防いでいるが、水たまりがいたるところにできている。車で走っているうち、うっかりそこにはまって泥水を跳ね上げてしまった。

 舗装された道路がないと、ダンプが工事用の資材を運ぶのにも難儀する。通常、こうした博覧会場の土地整備をする場合、まずはインフラが必要だが、この時期に排水用の側溝を掘る工事をしていたから驚くほかない。さぞかし工事現場は混雑しているだろうと予想していたが、工事車両とすれ違うこともほとんどなく、文字通り閑散としていた。

 これで万博開幕に間に合うわけがない。それが現場を見てきた率直な感想だった。そして取材を進めていくと、それが確信に変わった。
 
橋下・松井コンビでスタート
〈海外パビリオン、建設申請「ゼロ」 大阪万博 開幕間に合わぬ恐れ〉

 昨年7月1日付朝刊で朝日新聞がそう報じたことにより、マスコミが「大阪万博危うし」と騒ぎ始めた。建設予算も当初の2倍近くになっている。万博の開催を巡るマスコミ各社の世論調査では、「中止すべき」と「延期すべき」の合計が軒並み半数を超えた。

「もうデッドラインは過ぎていると思ってもいい」

 海外パビリオンの建設工事について、日本建設業連合会会長の宮本洋一清水建設会長は、昨年11月27日の定例記者会見でそう言い放ち、物議を醸した。そこへ元日の能登半島地震が起き、ますます万博懐疑論に拍車がかかっている。万博工事が復興の足かせになるのではないか、という声が上がり、政府はその火消しに追われてきた。

 だが、大阪万博の問題は建設工事の遅れだけではない。そもそもなぜ大阪湾の人工島で計画したのか。根本的な疑問も浮かぶ。大阪万博の迷走は今に始まったことではない。

 大阪万博は、元大阪府知事の橋下徹と前大阪市長の松井一郎の日本維新の会コンビが、2010年5月の上海万博を視察したことからスタートしている。このとき日本は民主党政権だったため、政府への提案すらなかったが、12年12月の安倍晋三政権の発足後、大阪の万博計画が本格化する。橋下との入れ替わりで大阪府知事に就いた松井が、官房長官だった菅義偉に相談し、構想が動き始めた。15年から16年にかけて大阪府は「国際博覧会大阪誘致構想検討会」「2025年万博基本構想検討会議」といった有識者会議を設置し、博覧会国際事務局(BIE)に誘致を働きかけるための基本構想を練っていった。

当初は“カジノありき”だった
 もっとも実は橋下・松井コンビの率いる維新の会にとって、万博は大阪湾に浮かぶ夢洲開発構想の一部に過ぎなかった。大阪府と大阪市は万博の検討会設置に先立つ14年10月、経済連合会、同友会、商工会の関西経済三団体とともに「夢洲まちづくり構想検討会」を立ち上げた。その〈夢洲まちづくり基本方針〉を読むと、夢洲の構想が一目瞭然だ。はじめに次のように記されている。

〈2017年8月に夢洲まちづくり構想を策定した。同構想において想定されていた「IR」や「万博」に関し、IRについては、国において「IR推進法」が2016年、「IR整備法」が2018年に成立し、それを受けて府市として2019年2月に大阪IR基本構想(案)をまとめたところであり、万博については、2025年に夢洲での開催が決定したところである〉

 その〈夢洲まちづくり構想〉はこうも記す。

〈夢洲全体を世界中から人々が集まる魅力ある国際観光拠点として形成するため、第1期の成功で大きな注目を集めることが不可欠であり、統合型リゾート(IR)の成否が大きな鍵を握る〉

 つまり夢洲開発はカジノ・IR構想ありきで、万博はカジノ開業後に開く予定だったのである。事実、検討会の具体的な夢洲開発の〈第1期・第2期まちづくりに係るスケジュール〉を見ると、第一期工事がIR整備、万博は第二期工事に位置付けられていた。カジノ・IRは21年から整備を始めて24年半ばに開業、万博は23年初頭から建設を始め、24年中に終える計画だ。むろんそこまでには、夢洲までの橋や道路、地下鉄の延伸といったインフラ整備も済ませていなければならない。つまり万博は、カジノの集客起爆剤として計画されていたのである。

 万博迷走の原点が、ここにある。2016年以降、大阪府の万博基本構想検討会議委員として加わってきた大阪公立大学特別教授の橋爪紳也は、次のように指摘する。

「もともと2014年段階の万博検討会議の大阪案では、千里ニュータウンのEXPOʼ70万博跡地や鶴見緑地など8候補地が挙がっていました。そこから1つを選んで大阪府がまとめ、15年に政府に提案した。その案がIR構想の隣地となる夢洲を会場とするものでした」

 16年12月、カジノを含む統合型リゾート法(通称IR推進法)が施行され、18年7月にIR整備法が成立する。橋爪が続ける。

「大阪府と大阪市は、IRの開業を先行させ、その後に隣接地で万博を開催する予定でした。IRに向けてインフラ整備を行うことを前提に、そこに万博を誘致したわけです。したがって万博開催時には、道路や鉄道、下水道などのインフラ整備も進んでいるはずでした。政府には、計画の立案から2年ほどで大阪IRの地域認定をしてもらえると考えていました。ところが、認定が2023年の4月にずれ込んだ。その間に万博の誘致に成功した。結果、先に万博が開催され、IRの開業があとになったわけです」