こうして「戦争国家」ができていく
戦争の準備より 平和の準備を

 

防衛省設置法 陸海空の3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」をつくり、まるっと米軍の指揮下に。経済秘密保護法案とともに異例のスピード採決。裏金、カルト癒着、何があろうと戦争準備の暴走は続ける岸田政権。ほんと、もう、自民党政治は終わりに!

 

志位和夫さん

兵器の共同開発推進等のための経済秘密保護法、自衛隊を米軍の指揮下に組み込む統合司令部設置法――「戦争国家」2法の成立強行(自民、公明、立民、維新、国民賛成)に強く抗議する。
軍事同盟強化一辺倒では軍事的対立の悪循環をつくるだけ。日本共産党が提唱している「東アジア平和提言」の実行を!

 

 

 陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設を柱とする防衛省設置法などの改正案が10日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。2024年度末の発足に合わせ、米側も自衛隊との運用性向上へ在日米軍司令部の機能強化を検討している。日米双方は指揮・統制枠組みの見直し作業を加速させる方針。

 木原稔防衛相は記者会見で「同盟国、同志国の司令部との情報共有や運用面での協力を一元化できるため、統合運用の実効性が向上する」と意義を説明した。

 宇宙やサイバーなど安全保障の新領域も含め、情勢の推移に切れ目なく対応するための措置。東京・市谷に240人規模で発足する。

 

 

<社説>適性評価拡大 懸念払拭へ審議尽くせ

 
 機密情報の保全対象を経済分野に広げる重要経済安保情報保護法案が、参院内閣委員会で可決された。プライバシー侵害や国民の知る権利の制約などの懸念が一層募る。成立を急がず、懸念が払拭されるまで審議を尽くすべきだ。
 
 法案は、政府がインフラや重要物資の供給網などに関し、漏れると安全保障上、支障がある情報を重要経済安保情報に指定。取り扱いを有資格者に限る適性評価(セキュリティー・クリアランス)制度を導入し、漏えいに最長5年の拘禁刑などを科す。特定秘密保護法と一体運用され、機密性の高い情報は同法の指定対象となる。
 
 最大の問題点は対象となる情報の範囲が曖昧なことだ。
 
 岸田文雄首相は成立後、運用基準を閣議決定し、明確化すると答弁したが、第三者機関による検証がなければ、政府に都合の悪い情報の多くは秘密指定されかねず、国民の知る権利の侵害に歯止めがかからなくなる懸念がある。
 
 漏えいに刑罰を設けながら、対象となる情報を事前に明かさないという仕組み自体が、憲法の定める罪刑法定主義に抵触すると指摘せざるを得ない。
 
 適性評価が民間人にも広く適用されることになるが、国会審議では個人の性的関係も調査対象になることが明らかになった。
 
 親類や友人の政治傾向まで探られかねないという強権的な手法はプライバシーの侵害どころか、民主主義とも相いれない。
 
 適性評価は任意だが、拒否による人事上の不利益を禁じる法的保障は法案に明記されず、事実上の強制となることを恐れる。
 
 これまでの審議では立法の必要性自体にも疑問が生じた。
 
 政府は類似の制度があるとする欧米各国と足並みをそろえることで、企業が国際共同開発に加わる利点を強調する。しかし、英仏は重要経済安保情報と同程度の秘密指定を廃止し、米国でも情報保全監督局が廃止を提言しており、法案は国際的な潮流に逆行する。
 
 立憲民主党は政府・与党が国会への運用報告義務を認めたため賛成に転じたが、共謀罪法、土地利用規制法と並ぶ治安法制である特定秘密保護法では、同様の仕組みが機能しているとは言い難い。
 
 人権侵害を許さないためには、成立ありきでなく、秘密情報の運用実態を検証することが先決だ。徹底した国会審議を求めたい。