『環境省の環境保健部長は9日、マイクの音が切れたことを認識していなかったとし「ここまで大きな問題になるとは思っていなかった」と話した』

この軽さなんです。水俣病の被害者はなくなるまで「痛い痛い」と言いながら亡くなっていった妻を看取りその無念さを日々胸に抱いて生きている人たちなのです。余りにも冷酷で寄り添う気持ちは皆無だってこんないの問題で更に鮮明になった。

 

 

 

 伊藤信太郎環境相との懇談の際に水俣病被害者らのマイクが切られ発言が遮られた問題で、環境省の環境保健部長は9日、マイクの音が切れたことを認識していなかったとし「ここまで大きな問題になるとは思っていなかった」と話した。立憲民主党が開いた環境省へのヒアリングの場で述べた。被害者側は改めて対応を批判、伊藤氏や同省への抗議の声は続いた。

 岸田文雄首相は同日午後、伊藤氏と官邸で会い、被害者側との再懇談に向け、より丁寧に意見を聞けるような運営方法の検討を指示した。

 ヒアリングには、1日の懇談の場に出席していた「水俣病不知火患者会」の岩崎明男会長がオンラインで参加。「人間の血が流れていない」と対応を批判し、救済に向けた話し合いを求めた。

 宮城県塩釜市にある伊藤氏の地元事務所には、市民団体が抗議に訪れた。「被害者らの願いや思いを踏みにじり、ないがしろにするもので、絶対に許せない」などとする申し入れ書を伊藤氏の秘書に手渡した。

 環境省によると、同省には8日までに150件程度の苦情が寄せられている。

 

 

 

主張
環境省マイク切り
水俣病救済 謝罪では済まない

 

 はなから被害者の声をまともに聞く気がなかったことは明白です。熊本県水俣市で1日に開かれた伊藤信太郎環境相と水俣病の被害者団体との懇談で、団体側の発言の途中で環境省がマイクの音を切って発言を打ち切らせた問題です。

 あまりに社会常識に欠けた無礼な対応が、患者団体だけでなく国民の怒りをよび、伊藤環境相は8日、水俣市を訪れ当事者に謝罪せざるを得なくなりました。

 報道によれば、環境省は事前に1団体の発言時間は3分と決めて団体側に要請し、超過したらマイクを切ることを決めていました。

■形つくるだけの場
 昨年も、実際にはしなかったものの同様の方針だったといいます。高圧的な感覚に驚くと同時に、環境省にとって、この懇談会は患者団体の声を聞いたという形をつくるだけの場だったとわかります。

 懇談会冒頭で伊藤環境相は、会は当事者の声を聞く「重要な機会」だとのべていました。本当にそうなら、国が一方的に3分という短い時間を設定すること自体、問題です。発言は8団体の予定だったといい、全体で30分にもなりません。

 マイク切りに、その場で団体側が抗議したのに対し、伊藤環境相は事務方の対応を確認もせず、改めるよう指示もしませんでした。この事態は事務方だけの責任ではありません。

 被害者団体が「被害者たちの願いや思いを踏みにじり、苦しみ続ける被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙」だと抗議し、大臣の謝罪と十分に時間を取った意見交換の場を設けるよう求めたのは当然です。

■被害拡大した責任
 大臣は謝罪に追い込まれましたが、ただ謝罪するだけではすみません。

 国や熊本県は遅くとも1959年には水俣病の原因がチッソ水俣工場の廃液だと認識できたのに、69年まで規制せず被害を拡大させたと最高裁が認定しています。しかし国は患者の認定基準を狭め、被害者切り捨て政策を続けてきました。

 2009年の水俣病特措法も患者を線引きし切り捨てるものですが、看板には国の責務として被害者の「あたう限りすべて」の救済を掲げ、国が長く適切な対応をせず被害の拡大を防がなかった責任を認めています。国は、その特措法が定める健康調査や疫学調査を行わず、被害の全容を明らかにするのを怠り、多くの未認定患者を残してきました。重大な責任を負いながら、課された義務を果たしてこなかったのです。

 被害者はいまも救済を求めて裁判を闘っています。

 日本共産党の国会議員団は昨年10月、環境相に▽被害者と直接会い声を聞く▽解決のテーブルにつく▽切り捨て政策を改める―ことを要請しました。今国会でも、直接声を聞くよう求めてきました。

 9日の参院環境委員会で伊藤環境相は共産党の山下芳生議員に、未認定の人が多くいると認めながら、現行法の枠内で対応する姿勢を示しました。山下氏は、それでは救済にならないとして、大臣として責任を果たし、新たな枠組みづくりのテーブルにつくよう要求しました。「聞く力」を標榜(ひょうぼう)する岸田文雄政権は被害者の声に応え、ただちに救済に踏み出すべきです。

 

 

環境相ら「つるし上げ」に 熊本知事、直後に謝罪

 
水俣病被害者マイク切断に熊本県木村知事は定例記者会見で「大臣も環境省も事実上つるし上げになっていた」と暴言。「(被害者側が)非常に厳しい怒りを込めて叱責されていたことを言いたかった」からと。
水俣病被害者の怒りを理解できない熊本県知事。
 
定例会見を見ました。知事は患者などへの中傷があってはならない、と言いながら、患者団体などのまっとうな抗議を「つるし上げ」と言い、「ぐだぐだともめた」とも表現――それ自体が尊厳を踏みにじる言葉であり、中傷を煽るものでは。
 
 
 熊本県の木村敬知事は10日の定例記者会見で、水俣病被害者の発言遮断問題を巡り、伊藤信太郎環境相や環境省職員が懇談後に被害者側から「事実上つるし上げ」に遭っていたと述べた。直後に不適切な発言だったと謝罪して訂正した。
 
 懇談後に被害者側が環境省の対応について抗議していたことについて「大臣も環境省も事実上つるし上げになっていた」と表現。「つるし上げ」の真意について問われると「訂正する。申し訳ない。(被害者側が)非常に厳しい怒りを込めて叱責されていたことを言いたかった」と釈明した。