武力で平和はつくれない! とりもどそう憲法いかす政治を 2024 憲法大集会は約3万2千人の参加でした!

 

 

憲法9条を詩訳したら「戦争だとか武力による威嚇だとか永久にごめんだな」 主語を「私」にした詩人の思い

 
 全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれるとうたう前文の平和的生存権が好きだ。しかし12年の自民党改憲草案でこの権利は削除された。世界で平和が揺らぎ、暴力で勝者が決してしまいそうな時だからこそ憲法に立ち返りたい。白井さんの言葉がそう教えてくれる。
 
 
◆4年前、SNSで発信
 「私は決めた」「私はずっと平和がいい」。2020年5月3日。詩人の白井明大(あけひろ)さん(53)=鳥取市=は、平和憲法の根幹である日本国憲法前文を詩に訳し「日本の憲法 最初の話」と題して交流サイト(SNS)で発表した。

 世界各地で紛争が相次ぎ、平和が揺らいでいる。「憲法記念日に何かできることはないかと、当日の朝に思い立ったんです。ずっと頭の中にあったことで、30分ほどで書き上げました」と振り返る。

 77年前に施行された憲法は、法律文の文体で難しく、読みにくいイメージがある。詩訳では、話し言葉でわかりやすく、読み手に憲法の理念を伝える。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、全国で緊急事態宣言が出されていた時期。「当時は沖縄に住んでおり、島から出られなかったんです。だから言葉に飛んでいってもらい、誰かに届いてもらえればと思った」。2年後の憲法記念日には、原文と合わせて6ページのフリーペーパーにして約3000部を知り合いの書店などに置いてもらった。ダウンロードしてコンビニでプリントアウトできるようにもした。
 
◆原文は「日本国民」から始まるが
 原文は「日本国民」から始まる。だが、詩訳の主語は「私」だ。「日本国民って誰だろうと考えると、僕であり、あなた。憲法は日本にいる一人一人のものなんだ。詩訳によって憲法の趣旨を心で感じるという橋渡しをすることができたら」とゆっくり言葉を紡ぎ出した。
 昨年3月には、他の条文や条約も盛り込んだ「日本の憲法 最初の話」(KADOKAWA)を出し、戦争放棄や基本的人権のほか、さまざまな権利や自由を定めた条文を詩訳した。

 例えば9条はこうだ。「戦争だとか 武力による威嚇だとか 武力の行使だとか そんな解決方法なんて永久にごめんだな。そんなのポイッと放棄するよ」。教育を受ける権利を定めた26条1項では「きみは、無限だ」と語りかける。「子どもの貧困は、親の貧困。差別や貧困は一度社会にはびこると、社会がだめになってしまう虫歯菌みたいなもの。見つけ次第、早めになくさなければ」と話す。

◆「絵本のスイミーみたいに…」
 労働者の権利を認める28条は、子ども向けの絵本を例に挙げる。

 「私たちは絵本の『スイミー』みたいに ひとつに団結して 大きくなって 『賃金を上げて』 『待遇や条件をよくして』 『勝手にクビにしないで』などなど…… 会社と団体交渉する権利を持っている」。小さな魚が一致団結して大きな魚に立ち向かう姿を描いた内容に「団結をどう詩に書こうかと考えたときに、小さい頃すごくふに落ちたことがあった。それがスイミーだった」と説明する。

 婚姻について定める24条も取り上げた。「妻に名字を変えさせたくなかったので別姓が良かったが、制度がない。自分が名字を変えたが、本当に不便だった」と自身の経験を語る。「本来、誰が誰と結婚しようと当事者が幸せであればいいはずだ」。今年3月に札幌高裁は、同性婚が認められない民法などの規定は違憲との判断を示した。「結婚すらできないということで当事者がどれだけ理不尽な目に遭っているか」と訴える。
 
 詩を書く源は「自由」だ。「人間が自由であるから詩を書くことができる。誰かが自由だけど、一部の誰かが自由ではないという社会は自由じゃない」

◆「多くの人に読んでもらいたい」と絵本化も
 詩訳は、絵本にもなった。「わたしはきめた 日本の憲法 最初の話」(ほるぷ出版)は詩訳に画家による絵が加えられ、昨年7月に出版された。フリーペーパーが編集者の目に留まったのがきっかけだ。「絵本に描かれている人物のまなざしは、まっすぐでごまかしがない。恥ずかしがらずに大事なものを伝えている」と自身の抱くイメージとも一致した。

 絵本で多くの人に読んでもらうことを願う。「僕の言葉だけでは、なかなか小学生までたどり着かないかもしれない。だけど絵が手を差し出せば子どもが返してくれるのではないでしょうか」。小学1年の子どもを持つという母親から「覚えたばかりのひらがなで読むことができて誇らしげだった」と感想がメールで届いたという。

 憲法に対する思いは、法律の勉強をしていた20代の頃に抱くようになった。全文を暗記するほど学んだ。「憲法は、世界中を巻き込む戦争が終わって人が大事にしなければならないことをありったけ込めたもの。たくさんの命が犠牲になった直後、これだけはこれから始まる新しい国の根幹に据えなければいけないと考えられたものだ」と憲法の持つ意味をかみしめる。

◆東日本大震災が転機に
 東京で生まれ、30代まではフリーランスのコピーライターとして働いていた。「一日の終わりに、心の中のモヤモヤをホームページにつづっていた。そうやって自分と向き合ううちに、詩っていいな、と思うようになった」。2004年に最初の詩集を発表した。
 
2011年の東日本大震災が転機となった。震災後、沖縄の親族宅に身を寄せた。「最初は春休みの時期が終わるまでかなと考えていたが、原発事故の被害の実態が日に日に明らかになっていった」。東京電力福島第1原発事故の前から原発が事故を起こせば、深刻な事態を引き起こすことを懸念していた。「沖縄出身の母からは小さい頃から『命(ぬち)どぅ宝』と聞かされてきた。当時はいろんな人がいろんな選択をした。大げさだったと後でわかれば戻ればいい」と沖縄への移住を決断した。
 
 「自分の思いをごまかしてしまったら、その後、どうやって詩を書いていくのか。自問したときに、確かに命を最優先したと、後で言えるような選択をしたかったんです」

2012年には、動植物の名前などを使って1年の移り変わりを表現する旧暦「七十二候」をテーマにした作品を発表。静かなブームとなった。「震災では、生き物や自然も多く傷ついた。書き残しておかなければという思いがあった」。21年からは鳥取市に移って活動を続ける。詩人が集まる砂丘での朗読会に参加したことや、いち早く鳥取の書店が作品を取り上げてくれたことなど縁が重なった。

◆ウクライナ、パレスチナ…危ぶまれる日本の平和主義
 近年、ウクライナ侵攻やパレスチナでの軍事衝突、中国の脅威を理由に日本の平和主義が変質することを危ぶむ。「平和主義って、平和によって平和を保つもの。そのための行動を取るのが基本。一方で、戦争は外交が破綻した状況で例外中の例外のはず。まずは本来の道筋を手厚くするべきだと思う。結局、戦争では平和を守ることはできないから」

 国会では憲法審査会での議論が重ねられ、改憲に向けた動きが進む。自民党が12年に発表した改憲草案の前文は「日本国」が主語の文章で始まる。知らず知らずのうちに国家のための国民という構図になる恐れがある。だからこう願いを込めて詩訳した。「憲法は一人一人の国民が主語だと知ってほしい。そうすれば、主語がすり替わる前に気付くことができると思うんです」(山田祐一郎)

◆デスクメモ
 全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれるとうたう前文の平和的生存権が好きだ。しかし12年の自民党改憲草案でこの権利は削除された。世界で平和が揺らぎ、暴力で勝者が決してしまいそうな時だからこそ憲法に立ち返りたい。白井さんの言葉がそう教えてくれる。(恭)
 

非戦の憲法 敗戦で得た宝物 きょう施行77年 川崎市麻生在住の歌人・馬場あき子さん(96) 勤労動員や空襲体験

 
 
 日本国憲法の施行から3日で77年。川崎市麻生区在住の歌人・馬場あき子さん(96)は、第2次世界大戦中に軍需工場での勤労を強いられたり、空襲に遭ったりした経験などから、平和憲法を守りたいという思いを発信し続ける。世界各地で軍事侵攻がやまない中、憲法への思いや若い世代へのメッセージを聞いた。(渡部穣)

 -ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻、イランとの対立など、世界各地で戦争が起きている中、日本政府は防衛力の強化を目指している

 「攻めてきたらどうするかなんてことばかり考えないで、そうならないようにするための外交にこそ力を入れるべきでしょ。それが一番の防衛。政治は民を守ることが仕事。戦争のことを考えることじゃない。ロシアだって国民はこれ以上戦いたくないと思っているはず」
 
 「戦争中に軍需工場で働かされていたとき、一日に3回も4回も空襲があった。毎日のように空襲で人が死ぬ、血みどろの現場を見てきた。『あの人たちは何のために死ななければならなかったのか』を、ずっと考えさせられ続けてきた」

 -日本国憲法の役割は?

 「非戦をうたった、世界にたった一つのすばらしい憲法。敗戦で得た宝物だと思っている。表向きには軍隊を持っていないということになっている。憲法を守るということは平和を守るということ。この憲法の大事さは伝え続けていかねばならないと思っている」

 -非戦を守るべきだと訴え続ける

 「なんとしても『非戦』。戦ったら犠牲が出るだけ。戦争をしたら、どれだけの民衆が自らの意思に反して死ぬのかを考えてほしい。私はもう96歳。戦争中を過ごしてきた私たちはそれを見てきた」

 「自分自身のこととして、『あなたなら鉄砲を持って戦うのか』を、真剣に、具体的にイメージして考えてみてほしい。『戦わない』と思うなら、それは戦争反対なのです。私が知っている若者たちは『逃げる』と言っている。戦争はみんな反対でしょ。今の生活を保ちたいから」

 -若い人たちに、言いたいことは?

 「温暖化などで地球が危ないという、より深刻な危機に今は本気で向き合うべきときではないか。人類が滅ぶかもしれない危機的な状況だと思っている」

<ばば・あきこ> 1928(昭和3)年、東京生まれ。44年春から、中島飛行機武蔵製作所(現武蔵野市)へ勤労動員される。45年4月の空襲で東京都内の自宅が全焼。同月末に日本女子高等学院(現昭和女子大)に入学。中学や高校の教員を経て、78年に歌誌「かりん」を創刊。「歌説話の世界」で紫式部文学賞を受賞するなど受賞歴多数。文化功労者、旭日中綬章受章。

 

首相、改憲「党派超えて議論を」 先送りできない重要課題と訴え

 
「首相はこう述べた」とたれ流すだけなら、自民党の広報紙でもできる。
改憲発言の何が問題か (憲法尊重擁護義務に反すること) をきちんと書くのが報道。首相の「憲法違反の言動」こそ ニュース。それをリード (第1段落) で記すべきだが、↓ はそうなっていない
 
「先送りできない重要課題」は「憲法改悪」ではない!
 
岸田は憲法改正を急ぐというが、朝日の世論調査で、改憲機運は盛り上がっていないが70%ある。9条改正反対が61%だ。そうだろう。裏金議員たちが少なくとも85名もいて、こいつらに憲法を変えて欲しいと思う人はいないだろう。
 
 
 岸田文雄首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、東京都内で開かれた集会にビデオメッセージを寄せ「社会が大きく変化し、憲法改正はますます先送りのできない重要課題となった」と述べ、改憲の必要性を訴えた。自民派閥の裏金事件を改めて陳謝した上で「信頼回復のためにも政治改革と併せて、憲法改正について党派を超えて連携しながら、真摯に議論を行う」と強調した。
 
 9月までの自民総裁任期中の改憲を掲げる首相は「国会の発議を見据えた議論をしていかなければ、いつまでも改正は実現できない」と議論の加速化を提唱。「いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ない」として、慎重な議論を求める立憲民主党をけん制した。
 
 現行憲法の基本理念は今後も決して揺らぐことはないとしながら「時代にそぐわない部分、不足している部分は果断に見直しを行わなければならない」と指摘した。
 
 

「現行憲法、果断に見直しを」 岸田首相が改憲に決意、ビデオメッセージ全文

 
 
 
岸田文雄首相は3日、憲法改正を求める民間団体が東京都内で開いた集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、「現行憲法が時代にそぐわない部分、不足している部分については、果断に見直しを行っていかなければならない」と訴えた。メッセージは次の通り。



会場にお集まりの皆さま、また、ライブ中継をご覧の皆さま、こんにちは。自由民主党総裁の岸田文雄です。「第26回公開憲法フォーラム」の開催をお喜び申し上げますとともに、憲法改正の実現に向けて、それぞれのお立場で、平素より熱心にご活動いただいている皆さまに、心から敬意を表します。

日本国憲法は、占領下の1946(昭和21)年に制定されて以来、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」を三大原理として、わが国が民主主義、平和主義国家としての礎を築く上で大きな役割を果たしてきました。このような憲法の基本理念は、今後も決して揺らぐことはありません。

他方で、憲法は、「あるべき国の形」を示す国家の基本法であり、社会が大きく変化する中で、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかを考えていくことは、大変重要です。現行憲法が、施行から77年の間、一度も改正されていない中にあって、時代にそぐわない部分、不足している部分については、果断に見直しを行っていかなければなりません。

自民党は、立党以来、憲法改正を党是とするとともに、長年政権を担ってきた責任政党として、国の在り方、憲法の在り方を常に考え、改憲に向けた議論をリードしてまいりました。平成30年には、憲法改正のたたき台素案として、今国民に問うにふさわしいテーマとして、①安全保障に関わる「自衛隊」、②統治機構の在り方に関する「緊急事態」、③一票の格差と地域の民意反映が問われる「合区解消」、④国家百年の計たる「教育充実」の4つをとりあげ、議論を促してまいりました。

ここ数年、衆・参の憲法審査会の開催頻度は高まっているところであり、特に緊急事態条項については、各党の考えを含めて論点整理が進むなど、与野党の枠を超えて、活発にご議論いただいてきたものと認識しています。このような動きは大変歓迎すべきものです。

他方で、憲法改正は、最終的には、国民の皆さまによるご判断が必要であり、国会の発議を見据えた議論をしていかなければ、いつまでも憲法改正を実現することはできません。このような思いから、私自身、先の臨時国会では、「条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待する」と申し上げました。また、昨年12月には、衆・参の憲法審査会のわが党幹事らに対し、党派を超えた連携を目指す改正項目についてわが党の考えをまとめるよう指示しました。
 
そして、本年の党の運動方針に、「緊急事態や自衛隊の明記などに関する条文起草のための機関を各会派の理解を得て設置し、憲法改正原案を作成し、国会の発議を経て、国民投票における過半数の賛成に向け

全力を傾注する」と明記しました。

繰り返しになりますが、憲法改正は、国会が発議するものですが、最終的には、主権者たる国民の皆さまが国民投票で決めるものであり、主役は国民の皆さまです。社会が大きく変化し、憲法改正がますます「先送りのできない重要な課題」となる中にあって、国民の皆さまに選択肢を示すことは「政治の責任」です。いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、「責任の放棄」と言われてもやむを得ません。

一連の政治資金の問題で政治不信を招いたことについては、自民党総裁として心からおわび申し上げなければなりませんが、政治の信頼回復のためにも、政治改革の議論と併せて、憲法改正という重要課題について、党派を超えて連携しながら、真摯(しんし)に議論を行う姿を国民の皆さまにお見せしていきたいと考えています。

そして、全国各地での対話集会などを通じて、具体的な条文案など、分かりやすい資料も活用しながら、国民の皆さまと、憲法についてともに議論し、憲法改正についての理解をともに深めていきたいと考えています。本日のフォーラムについても、多くの国民の皆さまが、憲法改正を自らの問題として考え、大いに議論し、理解を深めていただく。そうした機会になることを、心から期待しています。皆さん、憲法改正の実現に向けて、共に頑張ってまいりましょう。