「両親や祖父母が議員だった世襲議員は豊かな環境で育ったため、私たちの生活に思いを馳せることはできません」共同親権、インボイス制度…国民の反対を押し切り続ける岸田内閣がもたらす「恐ろしい未来」

 
 
4月下旬に毎日新聞が実施した世論調査での、次の衆議院選挙で政権交代を望むかどうかによると、「政権交代してほしい」(62%)という回答が6割にものぼった。政権交代を望む人が多い背景として、自民党政権が国民の声に耳を傾けようとしないことが挙げられる。
 
実際、離婚後も父母双方が親権を持つ“共同親権”の導入が柱となる民法などの改正案が4月16日、衆院本会議で賛成多数で可決されたが、この決定にSNSでは批判殺到。オンライン署名『change.org』では現在約22万筆の反対署名が集まっている。政府はなぜ国民の声を聞かないのだろうか。元自民党衆議院議員で税理士の安藤裕氏に話を聞いた。

綿密な議論なく、急いで可決させた
まず共同親権について安藤氏はどのように考えているのだろうか。

「共同親権はとても難しいトピックです。これが施行されると、パートナーのDVや虐待などによって離婚した場合でも、元パートナーとの面会交流を拒否できなくなります。子どもを危険にさらす可能性があり、身体的被害はなくてもかなりの精神的負担を子どもに与えかねない。その一方で、現行の単独親権では、一方的に離婚を迫って元パートナーに子どもを会わせない“連れ去り”が許容され、その被害を訴えている人も少なくありません」

こうした共同親権、単独親権、それぞれで起きる問題点を指摘したうえで、今回の衆院本会議は具体的な内容について十分な議論がされないまま可決されたことに違和感を示す。

「一応、父母の協議によって共同親権か単独親権かを決められることになっていますが、DVや虐待があった場合、冷静な協議ができるはずがありません。また、協議の折り合いがつかないときは家庭裁判所が共同親権か単独親権かを判断するそうですが、その判断基準も綿密に議論されていません。与野党で時間をかけて話し合う必要があるにもかかわらず、かなり急いで衆院本会議を可決させた印象です」

与野党が議論できない背景
今回の共同親権のケース同様、インボイス制度も約54万筆のオンライン署名を集めるなど多くの批判が寄せられたが、昨年10月に施行。共同親権、インボイス制度ともに野党は批判的な姿勢を見せており、もう少し議論を交わしてもよかったように思うが、与党は強硬姿勢を一貫していた。

そもそも、なぜ与野党でじっくり議論されないのか。その理由として、安藤氏は小選挙区制の弊害を指摘する。

「本来、法案とは与野党が議論しながらよりよいものに作り上げていかなければいけない。しかし、小選挙区制が導入されて以降、各選挙区の議席を与野党で争うことにより、与野党の対立構造が顕著になりました。仮に野党の提案・反論に妥当性があったとしても、その提案を聞き入れてしまうと野党に手柄を与えることになる。それだと選挙で不利になってしまうため、野党の意見は一切聞き入れずに強引に進めるようになりました。共同親権にしても、インボイス制度にしても、与党の動きはある意味“いつも通り”です」
 
国民の生活がわからない、おぼっちゃま議員たち
とはいえ、野党の声が国民の声というケースも珍しくない。国民の声に耳を傾けなければ、それこそ選挙で勝つことは難しくならないだろうか。それでも国民を無視して適切な政策を講じようとしない背景として、「国民の生活をイメージできていない議員が多いことが大きい」と解説する。

「小泉政権時にエリート層の人たちを中心に入閣させ、そうした人たちを中心に政策を決めたことが定着して現在に至ります。エリート層は庶民の生活レベルはわかりません。加えて、最近の国会議員は二世、三世が増えています。当然、両親や祖父母が議員だった人は都市部で豊かな環境で育った人が多いため、やはり私たちの生活に思いを馳せることはできません。そのため、国民の苦しみを理解できず、適切な政策を検討することさえないのです」

このまま国会議員がエリート出身の議員、二世議員ばかりになってしまうことはリスクが高いのかもしれない。国会にこそ多様性を持って、そこにさまざまな人材を送り込む必要がありそうだ。

支持率アップのための最適解
他にも、与党議員は国民を舐めていることが大きいと安藤氏は指摘。その原因として自身の議員時代を振り返りながら口にする。

「私が議員だったころを考えると、頭の中が選挙でいっぱいいっぱいの与党議員が多かったです。時間をかけて国民のためになる政策を地道に議論するより、それっぽいきれいごとをいったり、アメリカの偉い人と一緒に写真を撮ったりなどしたほうが票につながると考えています。その手法で今日まで政権を維持しているため、その傾向が変わることはないでしょう」

4月中旬に日米首脳会談のためにアメリカを訪れ、その後バイデン大統領とのツーショットを自身のSNSに投稿していた岸田首相。その“成果”なのか、朝日新聞が4月20~21日に実施した世論調査によると、内閣支持率は26%(3月調査22%)と微増した。

安藤氏が指摘する通り、能登半島地震の被災地に行ったり、物価高に苦しむ国民を救うための政策を議論したりするよりも、外国人のビッグネームと一緒に写真を撮るほうが支持率アップにつながるのだという。
 
自民党政権を放置することの危険性
安藤氏は自民党政権が国民を舐め続けている現状を、今後も放置することを危険視している。

「自民党は憲法改正を進めており、その中で“緊急事態条項”を憲法に入れようとしています。緊急事態条項が設けられた場合、戦争や災害などの緊急事態において、国会や裁判所の承認なしに法律と同じ力を持つ政令を出せるようになります。ただの政令ではなく、財産権や移動の自由といった国民の権利を制限する強い政令を出すことも可能です。

さらには、選挙を停止して政権を永続的に維持したりなど、強力な権限が耐えられるため、選挙で政権を倒すことさえ難しくなります。『緊急事態条項は海外でも珍しくない』という声もありますが、今の自民党政権下で緊急事態条項が設置されると、地獄のような未来がやってくるでしょう」

オンライン署名の影響力
いかに現政権を放置することが危険なのかがわかった。しかし、国民の猛反対を押し切ってインボイス制度が施行されたことを思えば、国民の声だけでは政府を動かすことが難しいように思われる。どうすれば政府は国民の声を聞くようになるのだろうか。

「オンライン署名はイマイチ実態が見えないために、それこそ政府が舐めている印象を受けます。やはりデモのように目に見えるかたちで、政府に異を唱えるアクションは有効です。とはいえ、オンライン署名も徐々に影響力を持つようになってはいます。
だからこそ、岸田首相の事務所は当初は署名の受け取りを拒否していたものの、最終的には直接受け取りました。オンライン署名で異議を唱える、ということを継続することにより、政府の暴走を止める選択肢を一つ増やすことができます」

SNSで声を上げたり、オンライン署名をチェックしたりなど、政府に舐められない国民にならないと未来は必ずしも明るくない。

取材・文/望月悠木

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安藤裕(あんどう・ひろし)

元自民党衆議院議員。慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成10年安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員初当選以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。
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単なる思い付き? 自民が社会保険財源に「金融所得」を検討か…投資促進策との矛盾に庶民は疑心暗鬼

 
 
 ネット上は動揺と賛否の声が広がっている。高齢化で増大する医療や介護の保険料の財源として、自民党が株式配当などの金融所得も反映させる仕組みの議論を始めたーーなどと共同通信が報じたためだ。

 金融所得は預金や株式、投資信託などの金融商品で得た所得(配当金、利子、株式譲渡益など)で、現在は他の所得とは切り離して課税される「申告分離」などの形をとっている。税率は一律20.315%で、給与所得や事業所得など所得が多くなれば税率も上がる「累進課税」とは異なるため、以前から「金持ち優遇ではないか」といった指摘が出ていた。

 この金融所得への課税を強く叫んでいたのが岸田文雄首相(66)だ。総裁選を控えた2021年9月の会見で、岸田首相(当時の肩書きは前政調会長)は「令和版所得倍増計画」と称し、「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を引き上げる」と主張。その財源として挙げていたのが「金融所得課税の見直し」だった。

■「政府の投資促進策と矛盾していないか」との声も
 
 このため、SNS上では《今さら総裁選の公約を守るということ?それとも単なる思い付き?》《裏金事件で追い詰められたので、庶民ウケするような政策を探り始めたのか》といった声が上がったのだが、《このタイミングで議論を始めるの?》《政府の投資促進策と矛盾していないか》と驚く意見も少なくない。

 というのも、岸田首相の「金融所得課税の見直し」は総裁選後ほとんど聞かれなくなり、代わりに出てきたのが「貯蓄から投資への流れを加速する」とした新NISA(少額投資非課税制度)だったからだ。

 岸田政権は非課税保有期間の無期限化や投資枠の緩和といった優遇策を打ち出し、新NISAの口座開設数は急増。主要証券会社19社の口座開設ペースは直近3カ月間の平均の2倍に達したという。それほど資金に余裕のない庶民の心を「非課税」でくすぐり、投資市場に誘導する一方で、金融商品の強化案が再び浮上してきたことに違和感を覚えているようだ。

 もっとも自民党の議論は始まったばかりで、具体的な中身は分からない。それでも不安や疑心暗鬼の意見がSNS上で広がるのは、やはり裏金事件を起こした自民党に対する根強い不信感があるようだ。
 
 

予算委員会中に「株価チャート」「不動産サイト」「スポーツくじ」をチェック… 自民党議員の“目を疑うような行動”

 
 
 赤ベンツに乗って不倫に勤しむ議員がいるかと思えば、パパ活がバレてしまって辞職する議員も現れるなど、とかく不祥事には事欠かないこのところの自民党である。そして今回ご紹介するのは「勤務中」の問題行動だ。
 
 折り返し地点を迎えた今年の通常国会。折からの政治資金パーティー問題で自民党全体に国民からの冷ややかな目が注がれる中、予算委員会中に目を疑うような行動を取る自民ベテラン議員が……。「仕事中」のはずなのに、やたらとお金にまつわるリサーチばかりしているのである。数々の証拠写真と共に見てみよう。

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 その議員とは、塚田一郎氏(60)。

 銀行勤務を経て、麻生太郎代議士の議員秘書に。新潟を地盤に、参院2期を経て現在衆院1期目の中堅議員である。国交副大臣だった2019年、安倍総理と麻生副総理(当時)の地元をつなぐ下関北九州道路の整備について、「私が忖度して国直轄の調査に引き上げた」と舌禍を起こして辞任に追い込まれたこともあったが、それ以外に目立った“業績”を聞くことはない。

 国会期間中に行われた政倫審は自民党大物議員が指弾されつつも、「記憶にない」を連発して、結果は不発。39人の議員が処分されても、それは党内での話で、さらに言えば「安倍派と二階派だけのことだろう……」と、麻生派の彼はタカをくくっていたのか。世間の注目が集まる今国会、予算委員会の最中に、目を疑うようなことを、一度ならず、二度三度繰り返していたのである。

委員会中に株価、不動産サイト、ショッピングサイトを凝視
 2月5日、朝10時に始まった委員会は午後5時を回っても続いていた。テーマは今国会の重要法案のひとつ「食料・農業・農村基本法改正」についてである。“米どころ”が選挙区の彼にとって他人事ではないはずだ。

 ところが手元のタブレットが映すのはショッピングサイトの「カバン」である。さらに別の日には、株価のチャートを凝視したり、不動産サイトやスポーツくじのページを閲覧したりする様子も見られた。

 ネットショッピング、投資、不動産、スポーツくじと、とにかくお金に関係したサイトが好きなのは、「貯蓄から投資へ」という政府方針とは関係なく本人の資質であろう。深読みすれば「カバン」は政界では資金力を意味する俗語だ。

 この塚田氏とはどういう人物か。

「ワインとか語って、キザな人なんだよね。選挙も熱がこもってなくて、この前も比例復活ですからね」(自民党関係者)

 舌禍とキザは、かつて秘書として仕えた麻生氏譲りなのかもしれない。

 それにしても政治とカネの問題がこれだけ注目されているのに、予算委員会というオープンな場でこういう振る舞いをしているのはどういう神経なのか。

 本人に聞いてみたところ、テンプレートのような弁明が返ってきたので、最後にご紹介しておこう。

「記憶が定かではなく、真偽の確認は困難です。しかしながら、それらの事項が真実であったならば、誤解を招くような挙動については真摯に受け止め謝罪するとともに、引き続き微力ながらわが国と新潟県の発展に尽力して参る所存にございます」

撮影・福田正紀

「週刊新潮」2024年5月2・9日号 掲載
 
 

【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も

 
 
 自民党の裏金問題で、派閥の指示があったことを初めて認め、「安倍派を介錯する」とまで言い放った宮澤博行・衆院議員(49)が4月23日、辞職願を提出した。翌々日に発売された『週刊文春』で、〈裏金前副大臣はパパ活&デリヘル常習!〉という記事が出る前に、潔く責任を取ったつもりのようだが──。『週刊ポスト』は3月、そんな宮澤氏の夜の姿をキャッチしていた。
 
 4月25日、衆議院で宮澤氏の議員辞職願が許可された。現在4期目の宮澤氏は、直近の衆院選では静岡3区で敗れ、比例復活していた。「自民党からもらった議席なので返すのが筋」として潔く辞職を決意した格好だが、宮澤氏に近い自民党関係者はこう話す。

「昨年末に裏金問題で自身も所属する安倍派幹部を批判し、かん口令が敷かれたことを暴露して一気に時の人となりました。“宮澤の乱”などとメディアでも注目されましたが、一方で完全なるスタンドプレーで、防衛副大臣を辞任せざるを得なくなったことへの腹いせからの暴走だったと党内でも冷ややかな目で見られていました。

 裏金問題で注目されるまでは存在感はいまひとつの議員でしたが、東京でも地元でも酒席での下ネタが大好きで、かつて自民党の飲み会で今井絵理子・参院議員が食べた後の鶏の骨をむさぼり食うという芸を披露して周囲にドン引きされたこともありました。記者との懇親会でも女性記者への不適切発言を連発して不興を買ってしまい、宮澤氏と記者との懇親会はなくなりました。

 さらに宮澤氏はなぜか数年前に赤坂議員宿舎を出て、新宿区内のマンションを借りるようになった。家族は地元で暮らしているため、東京で“一人暮らし”状態の宮澤氏が夜にどんな活動をしているのかは謎に包まれていました」

『週刊文春』によると、記者の直撃に、〈相当、性欲が強かったものですから。色んな遊びもやった〉などと答えた宮澤氏は、いったいどんな日常を過ごしていたのか──。
 
スーツの下半身だけデニムに着替え
 3月初旬、そんな宮澤氏の姿はサラリーマンの聖地、新橋にあった。夕方に党本部を出た後、鍼灸院で施術を受けた宮澤氏は、1人で新橋の街を彷徨っていた。食事する肉系の店を探している様子でひたすら歩き回ったところ、ご飯・味噌汁などが食べ放題のステーキが1000円前後という“コスパ最強の店”で、足を止めた。店の前に掲げられたメニューをじっと見て熟考した末、“1人飯”に決定したようだ。性欲が旺盛だという宮澤氏は、食欲も旺盛な“肉食”だったようで、定食に肉を追加してぺろりと食べ切ったのだった。

 翌日の宮澤氏はアクティブだった。永田町を出た宮澤氏は、駅構内にいた。電車を待つわずか数分でも文庫本を読むという東大法学部卒らしい知的な面を見せていたが、電車に乗り込むと不思議な行動に。両手でバッグを持ち、ドアに額と身体をぴったりとくっつけて仁王立ちした体勢を続ける宮澤氏。その様子は不審で、乗客たちは少し距離を置いていた。

 電車を降りていったん自宅に戻った宮澤氏はスーツの下半身だけデニムパンツに着替えて、繁華街に繰り出した。知人とみられる男性と合流すると、キャバクラの呼び込みらしき女性たちに何やら嬉しそうに話しかけていたものの、その先にある庶民的な居酒屋に入った。

 居酒屋を出た宮澤氏は、先ほど通った道で再びキャバクラの女性たちを発見。振り返って見つめたものの、男性2人はラーメン屋に向かうのだった。『週刊文春』の記者の直撃で「素人」が良いのかとの問いに、〈銀座のクラブに行ったって、何も面白くないんです。エッチできなかったら不満が残るだけです〉と答えていた宮澤氏。クラブやキャバクラにはやはり行かないよう自制しているようだった。前出の自民党関係者が語る。

「議員同士でつるんで派手に遊ぶようなことは少なく、移動は基本的に電車を使うなど倹約家。今時珍しい庶民派の議員とも言えますが、これまで垣間見えていた宮澤氏の“裏の顔”から、近しい人間はいつか女性関係や下半身ネタで問題を起こすのではないかという危うさを感じていました。パパ活&デリヘル報道で潔く辞職したことを評価する声も出ていますが、辞職に値するほどの不適切行動をしていると自覚があったからこそ、『週刊文春』の記事を読む前に決意できたのでしょう」