<視点>止まらぬ岸田政権 戦闘機輸出解禁 将来に禍根 政治部・川田篤志

 
 武器製造は連合国軍総司令部(GHQ)により禁止されたが、1950年に始まった朝鮮戦争で米軍向けの弾薬生産を再開。東南アジアへの銃弾など輸出を拡大させた。生産数を増やせば単価が安くなり、政府の防衛費も抑制できるとして、海外に販路を求めるのが防衛産業の宿命。73年のオイルショックを受け、経済界が武器輸出の規制緩和を求めたのに対し、野党が平和主義との整合性を追及した結果生まれたのが、三木首相の「武器輸出三原則」だった。
 
 三木首相の国会答弁を引き出した当時野党の公明党の正木良明氏は、「防衛産業は投下した資本を回収するため、どんどん輸出しようとする。だから武器を輸出する余地を残さない。これが平和国家日本の最大の方針でなければならない」と指摘した。それから半世紀。政権与党になった公明は解禁に賛成した。岸田政権は経済合理性を優先し「防衛産業は防衛力そのもの」と開き直る。振り子を再び平和主義に戻せるかは、野党の姿勢と国民の一票にかかっている。
 
 
 4歳の娘は、アニメシリーズ「プリキュア」にはまっている。親を悩ますのは「あれもこれも」とせがまれる関連グッズだ。シリーズは1年ごとに物語が完結するが、前作は中盤に新たな主役級キャラが登場し、序盤に買った分と合わせてコスチューム2着で2万円超かかった。シールや水筒、果てはプリキュアホテル宿泊…。年間の出費額を考えると頭がくらくらする。
 
 気持ちのコントロールが難しい幼児に負けないほど「あれもこれも」と欲望が止まらないのが岸田政権の防衛力強化だ。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費倍増に続き、今年3月に武器輸出ルールを見直して英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁を決めた。1976年に三木武夫首相が事実上の武器禁輸政策を採用してからおよそ半世紀の今年、日本の方針は百八十度転換した。
 
 防衛省を担当して2年半になるが、紙面で安保政策の「大転換」と何度書いたかわからない。基本原則は憲法に基づく平和主義や専守防衛のはずだが、何度も転換した結果、この国は確実に「戦える国」に変貌した。平和主義と相いれない次期戦闘機輸出の解禁も、将来に禍根を残す決定というほかない。
 
 そもそも輸出先国がどのように戦闘機を使うかを、日本が管理するのは事実上不可能だ。英国などが共同開発した戦闘機「ユーロファイター」を購入したサウジアラビアが2015年のイエメン内戦に介入し、空爆で多数の民間人に犠牲が出たという調査報告もある。全世界の国民の平和的生存権を保障する日本国憲法の精神に反して、次期戦闘機が紛争助長の道具に使われないと誰が確約できるのか。
 
 戦後日本の武器輸出政策の歴史は、経済合理性と平和主義の間で揺れてきた。
 
 武器製造は連合国軍総司令部(GHQ)により禁止されたが、1950年に始まった朝鮮戦争で米軍向けの弾薬生産を再開。東南アジアへの銃弾など輸出を拡大させた。生産数を増やせば単価が安くなり、政府の防衛費も抑制できるとして、海外に販路を求めるのが防衛産業の宿命。73年のオイルショックを受け、経済界が武器輸出の規制緩和を求めたのに対し、野党が平和主義との整合性を追及した結果生まれたのが、三木首相の「武器輸出三原則」だった。
 
 三木首相の国会答弁を引き出した当時野党の公明党の正木良明氏は、「防衛産業は投下した資本を回収するため、どんどん輸出しようとする。だから武器を輸出する余地を残さない。これが平和国家日本の最大の方針でなければならない」と指摘した。それから半世紀。政権与党になった公明は解禁に賛成した。岸田政権は経済合理性を優先し「防衛産業は防衛力そのもの」と開き直る。振り子を再び平和主義に戻せるかは、野党の姿勢と国民の一票にかかっている。(政治部)
 
 

麻生氏、トランプ氏と会談 返り咲き備え関係構築―NY

 
 
 【ニューヨーク時事】自民党の麻生太郎副総裁は23日午後(日本時間24日午前)、訪問先の米ニューヨークでトランプ前大統領と会談した。トランプ氏が11月の大統領選で返り咲く場合に備え、関係構築を図った。
 
 麻生氏は午後6時前、ニューヨーク市マンハッタンのトランプタワーに到着。ロビーでトランプ氏に出迎えられると笑顔を見せた。

 トランプ氏は麻生氏について「非常に有名な男だ。親友の(故安倍)晋三(元首相)を通じて知っていた」と紹介。その上で「晋三は偉大な男だった。彼がいなくなってとてもさみしい」と述べた。

 日本については「素晴らしい国だ。われわれは日本の人々を尊敬している」と強調。「(麻生氏と)両国関係やたくさんのことを話す。彼を迎えられて大変光栄だ」と語った。

 トランプ氏は不倫口止め料を不正に処理したとして起訴された事件の公判に連日出廷しており、この日も裁判所から戻った後の会談となった。麻生氏は午後7時ごろにトランプタワーを離れた。約1時間の滞在となった。

 その後、宿泊先のホテルに戻った麻生氏は報道陣の問い掛けには答えなかった。

 トランプ氏の再登板を見据え、各国首脳や要人の「トランプ氏詣で」が続いている。17日にはポーランドのドゥダ大統領が同じくトランプタワーで面会。キャメロン英外相が8日にフロリダ州の私邸で、ハンガリーのオルバン首相も3月にトランプ氏の元を訪れている。

 麻生氏は1月の訪米時にもトランプ氏との接触を模索したが、調整がつかなかった。
 
 

「もしトラ」見据え麻生副総裁とトランプ大統領がNYで会談 他国の“トランプ詣で”挙げ総理周辺は「思い切った動きは意義がある」と強調

 
 
11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が返り咲く「もしトラ」を見据えた「麻生・トランプ会談」が、23日、ニューヨークで行われた。

ニューヨークを訪れている自民党の麻生副総裁は日本時間24日午前7時前、マンハッタンのトランプタワーに入り、トランプ氏の出迎えを受けた。

トランプ前大統領「このあと日本とアメリカについてや、ほかの多くのことについても話すが、非常に尊敬されている彼に来ていただいたことを大変光栄に思う」

麻生氏は安倍政権当時、副首相としてトランプ氏と面識があり、2022年に殺害された安倍元首相について何度も触れたうえで、たたえた。

麻生氏の到着前にトランプ氏は記者と現在の円相場について雑談していて、会談の話題にもなったとみられる。

トランプ氏は、自身の裁判に連日のように出廷する忙しい日程の合間に時間を割いた形で、会談を終えた麻生氏は、満面の笑みで集まった人に手を振っていた。

今回の会談について、「議員外交で、関与してない」と公式な評価を避けている日本政府だが、関係者は会談の意義を強調している。

衆議院の外務委員会では、立憲民主党がバイデン政権の反発の懸念について、上川外相に見解をただした。

上川外相「それぞれの国会議員が、それぞれの判断の中で行動するということです。私が今、外務大臣としてお答えすることは、差し控えさせていただきたい」

立憲民主党・小熊慎司議員「タイミングとしては今回、(岸田首相の訪米で)あれだけ厚遇を受けたあとの話というのは、ちょっとやっぱり、下品とまでは言わないけれども、下手だった」

しかし政権幹部は、ほかの国の“トランプ詣で”を挙げ、「日本だけが突出していることにはならない」としていて、首相周辺は「安倍元総理の友人である麻生氏の思い切った動きは意義がある」と強調した。

一方、林官房長官は24日午前、会見で閣僚などによる会談について問われ、「現時点で予定はない」と述べた。

フジテレビ,国際取材部,政治部
 
 

いつまで “子分” のつもりや!岸田首相の訪米は「本社に呼び出された日本支店長」にしか見えない

 
泉房穂氏にいつも聞きたいことがある。「野党が結束したら岸田政権から政権を奪える」と言うが、その野党は何を指しているのか?具体的に聞きたい。
 
 
 4月8日~14日、9年ぶりの国賓待遇で訪米した岸田文雄首相。「日米両国連携の重要性を発信した」と成果を強調したが、日本国民になんのメリットがあったのかさっぱりわからん。
 
 それに、岸田首相は終始浮かれまくり。大統領専用車内でバイデン大統領と撮影したツーショットを、自身のXに投稿。アメリカ連邦議会での演説では、「日本の国会で、これほど素敵な拍手を受けることはありません」と、受け狙いでジョークを飛ばした。

 また、YOASOBIらが招かれた晩餐会でも、「妻には『誰が主賓かわからない』と言われた」と話して、笑いを取った。

 自分だけの “ピン” では心許ないから、YOASOBIの人気を借りたというわけやけど、なんで日本のトップが有名人の力を借りなあかんねん。岸田首相には「夜遊びはいいから昼間にしっかり働け」と言いたい。

 そして、議会演説では「米国は独りではない。日本は米国と共にある」と強調したが、「共にある」べきは、まず国民のはず。首相の発言はアメリカの要求する防衛費の増額を受け入れ、「貴国のために我が国民の血税を使います」と宣言したに等しい。

 だが、日本にはそんなカネはない。岸田首相は日本の事情を説明し、過度に防衛費を使うわけにはいかんと突っぱねるべきやった。

 奇しくも首相の訪米中に、イランがイスラエルに報復攻撃を仕掛けた。いつ何が起きるかわからん国際情勢を考えれば、日本のリーダーたるもの、アメリカの “子分” でいいのかと不安になる。

 日本には、独自外交の選択肢もある。日本の中東に対する立ち位置は、アメリカと異なる。アメリカが敵視する中国とは、地理的に近い。アメリカだけでなく、中国、ロシア、北朝鮮も含めた各国と一定の関係を保ちながら、言うべきことは言う。そういうリーダーシップが必要や。

■一国のリーダーは、国民のために主張せよ

 しかし今回の訪米で、首相は自国よりもアメリカのほうを向いていることが判明した。日本では拍手されないと自虐ネタを披露する前に、日本国民のためにアメリカにものを言うのが、本来の仕事やったんとちゃうんか。とても日本の首相とは思えん。アメリカという大企業の本社から呼び出しを食らった日本支店長くらいにしか見えんかった。

 フランスのド・ゴールは、第二次大戦でドイツに勝利した後、凱旋門前を「私自身がフランスである」とばかりに胸を張って歩いた。一国のリーダーは、そうでなければいかんと思う。

 岸田首相は日本代表なのに、アメリカにへこへこするばかりであまりに情けなかった。YOASOBIのほうがよほど堂々としていた。

 そもそも、訪米前にやっておくべきことがあった。なんといっても、自民党の裏金問題がほったらかしのまま。

 まずは全容を解明し、その後に、それぞれの議員の責任の重さに応じて処分すべきやったのに、手順をすっ飛ばしていきなり処分をおこなった。しかも、処分の対象を85人中39人にとどめた。

 処分の基準もようわからん。自身の派閥の元会計責任者が有罪になった首相や、裏金額が最多だった二階俊博元幹事長はお咎めなし。萩生田光一議員は「党役職停止」の “大甘処分”。かわりに、安倍派の名ばかり座長の塩谷立議員と、世耕弘成議員がスケープゴートにされた。こんな矛盾した対応で、国民が拍手するはずないやん。

 国民の生活が置き去りにされるなか、さらに「少子化対策」の名のもと、子育て支援金が導入されようとしている。国民の負担増は、年収600万円の人で「月1000円」(2028年度以降)という政府試算もあり、当初言われた「月500円」は大ウソやった。にもかかわらず、政府は「実質負担なし」と言い張る。どういう神経しとるんや。

 この手の制度をいったん導入すると、どんどん負担は膨らむ。2000年に導入された介護保険は、いまや保険料が導入時の約3倍。子育て支援金も同じ道を辿るはずや。

 岸田首相は、訪米で支持率のV字回復を狙ったんやろうけど、共同通信の調査では3.7ポイントの微増で23.8%。依然として20%台に低迷している。2023年5月の広島サミット後の十数ポイント上昇とは、比較にならん。結局、アメリカの国賓待遇にも国民は騙されんかったということよ。

 こんな状況やのに、岸田首相は6月解散を考えているという。裏金事件をめぐる「最終的には国民が判断する」という発言がその気持ちの表われといわれているが、岸田首相は、総選挙で大負けはないから政権は維持できるとタカをくくっとるんや。

 今の世の中の空気からすると、野党が大同団結して小選挙区の候補者を一本化しさえすれば、小選挙区でも自民の候補者に勝てる。

 にもかかわらず、野党はお互いに喧嘩し合っている状況。これでは、「国民のための政治」がいつまでたっても実現しない。

 日々、世論を観察するなかでひしひしと伝わってくるのは、有権者の切迫感。今、庶民が訴えていることはシンプルに、「いつまで金権政治をやっとんねん」という怒り。そして、「これ以上負担を増やすな」。この声の受け皿がひとつにまとまったとき、一瞬で情勢は引っくり返る。

 事実、私はその実例を見てきた。2023年の明石市長選で、現市長の丸谷聡子さんを擁立したのは告示日の直前。兵庫県議選でも無名の新人候補を直前に擁立した。ともに圧勝。

 もはや、今いる永田町の政治家には期待できん。一般国民や、いわゆるインフルエンサーなど新しい候補者をラインナップしたほうが早い。そして、彼らが「国民の味方」チームを作って一大勢力になれば、日本の夜明けは訪れる。それが現時点でもっとも可能性のある、政権交代への道かもしれん。

週刊FLASH 2024年5月7日・14日合併号


森永卓郎氏 米トランプ元大統領の「円安は大惨事」投稿に「まさにその通り」も「私は嫌いです」
 
 経済アナリストの森永卓郎氏(66)が、24日放送のニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」にスタジオ生出演。米ドナルド・トランプ元大統領(77)について思いを吐露する場面があった。

 トランプ元大統領は外国為替市場でおよそ34年ぶりの円安ドル高水準となったことについて、自身のSNSで「アメリカにとって大惨事だ」と投稿したことを取り上げた。

 これについて、森永氏は「私はずっと40年間ぐらい、経済モデルで、経済の模型でシミュレーションするっていうのを本業にしてきたんですけど、私が使ってきたモデルでも、例えば内閣府のモデル、日銀のモデル、全部で円安にしたほうが経済全体としては日本経済はプラスになる」と説明。「ただ、短期的に、投機で瞬間的に円安になってもそれはあまり効果がない。円安が安定すると、日本で作ったほうが安いじゃん!っていう話になってどんどん工場が立って、日本での雇用は増えていく」とした。

 そのうえで「トランプ元大統領は古い経済学というか、オーソドックスの経済学に基づいて発言しているんじゃないか」と分析した。

 パーソナリティーの垣花正アナは「なぜ、大惨事かというと、製造業に打撃を与えて、アメリカの工場が仕事を失うか、海外に移転する可能性がある」とトランプ氏の発言を補足。これに、森永氏は「まさにその通り」と認めつつ「トランプ大統領がもし誕生すると、円安修正に動く可能性が極めて高いと思うんです」と解説した。

 そのこと自体は「(日本にとっても)悪い話ではない」と森永氏。ただ「トランプ大統領は大嫌いなんでやめてほしい。大統領になるのをやめてほしい」とキッパリ。「不倫をして口止めして大金を払うようなやつとか、議会を抑えて扇動するようなやつが大統領になるのは私は嫌いです」と主張した。