日本共産党の本村伸子衆院議員の質問に、共同親権の場合、高校授業料無償化の所得認定で別居する両親の収入が合算され、無償化の対象から外れる事態が起きることを文科副大臣が認めました。こうした例が児童扶養手当など少なくとも28件あると判明しています。ひとり親支援制度などが使えなくなることがあってはなりません。

 

 

主張
離婚後共同親権

 

高校無償化外しは許されない
 当事者から不安と怒りの声があがるなか、離婚後共同親権を導入する民法改定案が、自民・公明・立民・維新4党の共同提案による修正のうえ衆院を通過し、参院で審議入りしました。法案が新たな人権侵害を生みかねないという懸念に対し、修正の中身は全く不十分です。

 法案は、離婚時に共同親権か単独親権かを両親が協議し、合意できないときは家庭裁判所が判断するとします。

■さまざまな危惧
 法案には、▽離婚協議の際、DVや虐待から早く逃げたいなど不本意でも共同親権を選ばざるを得ないケースがでる▽裁判所がDVを適切に判断できないなど、不本意な共同親権が裁判所によって強制される恐れがある▽子どもの意思を確認する体制が不十分―などの懸念があります。

 共同親権となった場合、子どもの医療・進学・転居などが単独で決められず、そのたびに協議が必要になります。父母間に真の合意がないまま共同親権となった場合、▽重要なことが速やかに決められない▽両親の争いが長期化し子どもにストレスを与える▽DV被害者が加害者から逃げられないなど別居親の干渉・支配を継続させる―など、子どもの福祉、権利を害する危険があります。

 そうした懸念を受け立民は当初、▽父母の合意がない場合、裁判所は共同親権を認めない▽子どもの教育や居所の指定を単独でできる「監護者」に父母の一方を定めることを義務付ける―などの修正案を示しました。当事者の不安に一定応えるものでした。

■新たな問題も判明
 しかし、その後、自民・公明・立民・維新4党が合意した修正案にそれらは入らず、▽監護について定める重要性の啓発▽親権者の決定が父母双方の真意によるものか確認する措置をとる▽施行後5年をめどに必要な見直しをする―などを付則に入れるのにとどまりました。これではあまりに不十分で、DV被害者らの危惧は解消されません。

 審議を通じて新たな問題も明らかになりました。日本共産党の本村伸子衆院議員の質問に、共同親権の場合、高校授業料無償化の所得認定で別居する両親の収入が合算され、無償化の対象から外れる事態が起きることを文科副大臣が認めました。こうした例が児童扶養手当など少なくとも28件あると判明しています。ひとり親支援制度などが使えなくなることがあってはなりません。

 父母が合意に至らず裁判所が共同親権を命じるなら、最低でも監護者の指定を必須とすべきです。

 法案に子どもの意見表明権を明記し、親権・監護者の決定や面会交流などあらゆる場面で子どもの意思・気持ちが尊重されることを明確にすべきです。

 親権という用語や概念を見直し、子どもが安全・安心に暮らせるための親の責務、社会による子どもの権利と福祉の保障を明確にする必要があります。

 立民の石川大我議員は19日の参院本会議で「法案には国民の理解が得られていない」とのべました。そうであれば、安易な修正で法案を通すことがあってはなりません。参院での徹底した審議が必要です。

 

自民党の大日本帝国国家への回帰が凄まじい!↓

2024年4月17日、「離婚後共同親権制度の導入をはかる民法改正案の衆議院可決に抗議し、 参議院での拙速な審議を許さない声明」を発出しました

 
離婚後共同親権制度の導入をはかる民法改正案の衆議院可決に抗議し、
参議院での拙速な審議を許さない声明
 

 2024年4月16日、衆議院本会議で「民法等の一部を改正する法律案」(以下「本法律案」という。)が可決された。本法律案のうち、離婚後共同親権制度の導入をはかる部分は、子どもやDV被害者など、弱い立場にある人が深刻な不利益を受けるおそれがあるほか、新たな類型の紛争の発生が懸念されるものである。また、離婚後共同親権制度に対応する家庭裁判所の人的物的体制は、現状では極めて不十分でありながら、具体的な体制整備の内容が明らかではなく、公布後わずか2年以内で十分な体制を整備することは非現実的であって、離婚事件の実務に携わる弁護士として看過できない深刻な問題が発生することが予想される。
 2024年2月17日、自由法曹団常任幹事会は「離婚後共同親権制度の導入をはかる民法改正の拙速な動きに反対する決議」を発出し、拙速な動きに反対してきたが、本法律案では、かかる決議で指摘した問題点が何ら解決されておらず、むしろ、本法律案の審議過程で、数多くの問題点が浮き彫りとなった。
 自由法曹団は、離婚後共同親権制度を導入する民法改正の拙速な審議と衆議院本会議での可決に強く抗議する。

1 DV・虐待事案を除外する方策が十分に講じられていない合意型共同親権
 本法律案では、附則において、離婚後の親権を決める際に父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討をするとの修正がなされた。しかしながら「措置」の具体的内容は全くと言っていいほど議論がなされておらず、かかる附則では、協議離婚においてDV・虐待事案を共同親権の対象から排除する方策が十分講じられているとはいえない。そのため本法律案のままでは、DVや虐待の事案であるにもかかわらず、被害者の真意に反して「合意型共同親権」を「選択」した協議離婚とされる事態が多発するおそれがある。

2 親権の共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争の多発
 親権の共同行使を裁判所が強制することは前例がなく、裁判所がどのような証拠、調査によりどのような判断をすべきか全く不明である。共同親権を命じるか、あるいは単独親権を命じるかの判断基準について、国会審議においても繰り返し質問がなされたものの、「一概に回答することが困難であり、一般論として、共同して子の養育に関する意思決定を行うことが困難であるような場合には、父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときにあたる」などと答弁されるにとどまり、その内容は全く不明なままである。
 また、仮に非合意型共同親権が妥当する事案があったとしても、裁判所が親権の共同行使を命じるだけでは共同親権は実際にはうまく機能しないことは明らかである。親権の共同行使を円滑にするための社会的な支援が必須であるものの、現在の日本社会には見るべき支援制度は存在せず、かかる支援制度も、今後の検討事項とされるにとどまった。

3 子に関する重要事項を決定できないおそれ
    離婚後共同親権が導入された場合には新たな類型の紛争の多発が懸念され、子の利益に反する結果を招来させる危険性がある。
 すなわち、父母双方が親権者であっても、「子の利益のために急迫の事情があるとき」(民法改正案824条の2第1項3号)や「監護及び教育に関する日常の行為」(民法改正案824条の2第2項)については単独での親権の行使ができるとする。しかし、かかる定めでは、具体的にいかなる場合に、単独での親権の行使が認められるのかが不明であり、紛争を防止することができない。一方が「急迫の事情」あるいは「監護及び教育に関する日常の行為」に該当すると考えたとしても、他方から、該当しないものとして、事後に無効確認訴訟や損害賠償請求訴訟を起こされる事態が予想されるためである。かかる事態の防止策として、基準の明確化や法的安定性を図るための制度の必要性について、国会審議において質問がなされたが、具体的な答弁もなく、いずれも具体化されないままになっている。
 国会審議では、受験願書の提出期限が翌日に迫っている場合は、「急迫の事情」に該当するとの答弁がされたが、父も母も「急迫の事情があるとき」と判断して、父はA校への出願を単独で希望し、母がB校への出願を単独で希望した場合に、具体的にどうなるのか不明である。
 また、一方が子に手術を受けさせたいと考えても他方が受けさせたくないと考えていた場合、どちらの判断が優先するのか不明であり、もし手術が実施された場合、手術に反対していた側の親は他方の親や医療機関に対し、親権侵害を主張する事態も生じうる。これらの点について、国会審議でも、「監護及び教育に関する日常の行為」につき、法定代理人の同意権と取消権(民法5条)の規定がそれぞれ単独で行使することできること、父母の一方が共同の名義でした行為の効力について定めた規定(民法825条)が離婚後共同親権において適用されないことが確認された。その上で、権利濫用や表見代理等の一般規定に委ねて解決を図るのではなく、同意権行使、取消権行使の効力に関する規定、具体的な濫訴の防止策や少なくとも第三者保護規定などといった具体的な法的安定性を確保するため規制を創設するべきではないかという質問がなされたものの、具体的な修正は講じられなかった。そのため、本法律案のままでは、適時適切な医療が受けられず、子の生命・身体に危険が生じうる。
 さらに、手術前提の検査をするためには、早い段階で手術同意書の提出が必要になるところ、国会審議において、2、3か月前では「急迫の事情」にあたらないとの答弁がなされ、手術前提の検査が行われない危険性がある。
 このように、離婚後共同親権制度は、子の重要事項に関する意思決定に混乱と遅滞が生じることについて具体的な方策を打ち出せるものとなっておらず、ひいては、子の利益に反する結果を招来させる危険性があることがより鮮明となった。

4 子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
 本法律案では、父母双方が親権者であっても、「子の利益のために急迫の事情があるとき」は一方が単独で親権を行使する(民法改正案824条の2第1項3号)と規定されており、「急迫の事情」がなければ、婚姻中に相手方の承諾なく子連れ別居をすることや離婚後の共同親権の場合に相手方の承諾なく子を連れて転居することは、いずれも相手方の親権を侵害するとされるおそれがある。
 国会審議において、配偶者によるDV・虐待等から逃げるための準備期間は人によって様々であるところ、逃げるための準備期間も「急迫の事情」に該当するという解釈でよいかとの質問がなされたところ、「急迫の事情」が認められるのは、加害行為が現に行われているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も、「急迫の事情」が認められる状態が継続し得ると解釈できることが確認された。
 しかしながら、「急迫の事情」との文言からそのような広い意味を導くことは困難であり、「急迫の事情」という限定的な文言を用いる本法律案には反対である。

5 極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
 離婚後共同親権の導入によって新たな事件類型も含め、大幅な紛争増加が想定される。それにもかかわらず、現状では、家庭裁判所の人的物的体制の強化が全くなされていない。さらに、今後、家庭裁判所の人的物的体制の強化を具体的に、いつ、どのようにしていくのかも明らかになっていない以上、施行後わずか2年以内に人的物的体制を十分に整備することは、非現実的である。
 国会審議においても、家庭裁判所の人的物的体制が極めて不十分である現状が明らかとなった。
 さらに、参考人からは、DV被害者や子の利益への配慮についての調停委員、裁判官、調査官の能力、資質面での不十分さも指摘された。実際に、裁判所が適切にDV、DVのおそれ及び虐待について判断することができるのかについても、参考人からは、十分にスクリーニングができていないかもしれないとの指摘があった。そのため、単に裁判所の人員を拡充するだけではなく、DV被害者や子どもの利益に配慮した能力を有する人的体制の拡充が必要となる。
 家庭裁判所の人的物的体制が極めて不十分となっている現状に対して、最高裁は、事件解決までの期間が長期化していること、事件数の増加が見込まれていることを認識しているものの、長期化の原因や具体的な対策は、今後情報収集し、検討すると回答するに留まり、具体的な審理体制の整備がいつどのようになされるのか全く示されなかった。調停委員、調査官、家事調停官の採用及び育成には、長時間かかる以上、施行までの期間を2年以内とするのは、非現実的である。
 今後、家庭裁判所の人的物的体制の整備が十分になされないとなると、過重な事件数を抱えた家庭裁判所が拙速に審理を進める結果、原則共同親権の運用に流れ、説得しやすい方、つまり弱い方に痛みが強いられ、子どもやDV被害者の意見が封じられる危険性すらある。

6 関係府省庁等での検討不足の実態
 離婚後共同親権制度が導入されることにより、様々な法令等で「親権行使」の局面として規定されているあらゆる事項の運用に、根本的な変容をもたらすのはもちろんのこと、親権者の収入その他の属性を基準に決定される子ども、あるいは親子の権利義務の規定の運用にも大きな影響を与えることとなる。
 例えば、国会審議において、子が海外留学するためにパスポートを取得するケースにおいて、外務省は、離婚後の共同親権の場合、片方の親権者の署名だけをもって発給をしていいかどうかは慎重に検討したいと答弁するにとどまった。
 また、国会審議において、教育支援制度の影響について、現在の教育支援制度には、高校等の就学支援金又は大学などの修学支援制度について、親権者が2名の場合は、2名分の収入証明が必要となるところ、離婚後共同親権の場合、同じ扱いになるのかどうかが問題となった。これに対し、文部科学省は、高等学校等就学支援金について、保護者等の収入に基づき受給資格の認定が行われるところ、共同親権を選択した場合には親権者が2名となることから、親権者2名分の所得を合算して判定を行うとの答弁がなされた。そして例外的に、親権者が2名の場合であっても、親権者の一方がDVや児童虐待等によりもう一方に就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には親権者1名で判定を行うとしているとの答弁がなされた。しかし、「困難事案」と認められなければ、親権者2名の収入が合算されるということになり、無償化等の支援が受けられなくなるシングル世帯が激増する危険がある。
 これら事例からも明らかなとおり、子の利益を十分にはかることができるか見極めるためには、基準や運用を明らかにする必要があるところ、国会審議において、親権者、保護者等の合意や関与が必要とされる事項につき、本改正法の影響の有無は、一時的には法令を所轄する関係各省庁等において検討されるべき事柄であり、法務省において、運用の基準を明らかにすることは困難と答弁した。このように、法案の前提となる運用の基準が検討されず、法務省は、他府省庁や地方自治体に下駄を預けており、子の利益に反する運用がなされる危険性について十分な検討がなされていないことが判明した。
 そのため、上述のとおり、国会審議においては、関係府省庁等の管轄となる具体的な問題について質問が繰り返されたが、具体的かつ明快な答弁がなされず、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知、広報に努めたい等と答弁するにとどまった。そもそも、子の利益を考えた制度設計であれば、まずは、他の法律との関係で、子の利益に反しないかどうかを具体的な事例に基づいて検討すること先決である。

7 自由法曹団は、衆議院における本法律案の審議で明らかとなった以上の問題点を指摘するとともに、衆議院における離婚後共同親権制度を導入する民法改正の拙速な審議と可決に強く抗議し、参議院において拙速な審議がなされないよう求めるものである。

2024年4月17日

自  由  法  曹  団
団長 岩田研二郎
 
高校無償化除外の懸念
本村氏 「共同親権」導入を批判
衆院法務委

 
 日本共産党の本村伸子議員は12日の衆院法務委員会で、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案について、一人親世帯から共同親権になれば、高等学校等就学支援金制度(返還不要の授業料支援)が利用できなくなるという不安の声が出されていることを示し、「父母の生計が別であることを証明しなければ両方の所得で判定されてしまうのではないか」と迫りました。

 阿部俊子文部科学副大臣は「受給資格の認定は、共同親権を選択した場合、親権者2名分の収入に基づいて判定を行う」と答弁しました。

 本村氏は「離婚後共同親権では、親権者2人分の所得で計算される場合があるということだ。現状より一人親世帯への経済的負担、労力が増える」と批判。共同親権のもとで一人親世帯の支援制度や税制等への影響が分かる資料を要求しました。小泉龍司法相は「努力したい」と答弁しました。

 本村氏はさらに、共同親権で例外的に単独で親権行使ができる「急迫の事情」「日常の行為」について、何がそれらに当たるかの一覧表さえ示されていないと批判しました。
 
 
「共同親権」 新たな懸念浮上 所得制限ある公的支援から除外も 

実態はひとり親でも父母の収入合算し判定
 離婚後「共同親権」が導入されると、離婚後も父母の収入が合算され、所得制限のある公的支援が受けられなくなる―。参院で審議中の民法改定案をめぐり、重大な懸念が浮上しています。日本共産党の仁比聡平参院議員の調査で、親の収入などが要件となる各省庁の主な支援策が少なくとも28件あることが明らかになりました。民法改定案は父母の合意がなくても、裁判所が「共同親権」と定めることを可能にします。別居親が養育費などを支払わなかった場合、公的支援を受けられないと、同居親と子どもに深刻な影響が及ぶ危険があります。

高校無償化も対象外?
 高校の授業料を無償化する就学支援金制度について、盛山正仁文部科学相は「保護者などの収入に基づき受給資格認定をする。共同親権であれば、親権者2人分の収入に基づいて判定を行うことに当然なる」(16日の記者会見)と発言。離婚後「共同親権」の場合は原則、父母双方の収入を合算して受給の可否を判定すると説明しました。

 文部科学省のホームページによると、国による就学支援は公立11万8800円、私立39万6000円が給付されます。子ども1人の場合、親権者1人の時は公立で年収約910万円以下、私立で年収約590万円以下が対象です。

 しかし、親権者が父母双方の場合、2人の所得が合算され、公立は年収1030万円以下、私立660万円以下となります。父母双方の収入で計算され、所得制限により子どもが「無償化」の対象から外れる恐れがあります。

 改定案では、すでに離婚して「単独親権」となっていても、別居親が「共同親権」への変更を申し立てることができます。仮に父母間で合意ができなくても、裁判所が「共同親権」と定めることも可能です。

 仁比氏は18日の参院法務委員会で「共同親権」となっても別居親が養育費を支払わない場合、授業料無償化の対象から除外することは「子の利益に反する」と追及しました。

 梶山正司文部科学戦略官は「経費の負担を求めることが困難な場合は、親権者1人で判定を行う」と答弁。現在も、婚姻中で親権者が2人でもDV(配偶者などからの暴力)や虐待などがあった場合には、親権者1人で判定していると説明しました。

 では実際にどんな実績があるのか―仁比氏の追及に梶山戦略官は「都道府県において個別のケースに応じて判断する。文科省において件数は把握していない」と答弁。仁比氏は「現場がどうなっているかの実態を把握していなければ、安心できない」と批判しました。

影響及ぶ支援策多数
 「共同親権」の導入で影響が及ぶ可能性がある支援策は、高校無償化にとどまりません。

 小泉龍司法相は5日の衆院法務委で「(支援制度の)細かい規定はさまざまある。各省庁の行政の観点が必ずしも同じではない」と答弁。「共同親権」導入により、ひとり親世帯の支援制度などにどんな影響があるかを調査していないことを認めました。

 日本共産党の本村伸子衆院議員は12日の同委で「ひとり親世帯にどういう経済的な影響が及ぶのか、十分に議論できていないのに採決を強行するのは絶対に駄目だ」と主張。採決が強行された16日の衆院本会議では、高校無償化や税金控除、各種ひとり親支援制度について「使えなくなることが絶対にないようにするべきだ」と要求しました。

 仁比氏は19日の参院本会議で、親の収入などが要件となる各省庁の主な支援策が少なくとも28件あると明らかにしました。18日の参院法務委では「共同親権」導入に伴う、それぞれの制度の運用について追及しました。

 犯罪被害にあった家庭が対象の「まごころ奨学金」について、金融庁総合政策局の若原幸雄参事官は「審査の方法は現時点では決定していない」「(法務省から)制度に関する協議は承っていない」と答弁。法務省と各省庁で協議や検討が行われていない実態が判明しました。

 一方、厚生労働省の斎須朋之審議官は法務省と「協議は行っていない」としつつ、障害児が対象の特別児童扶養手当や福祉手当について、親権の有無にかかわらず、監護の実態などで判断すると答弁。こども家庭庁の野村知司審議官は児童扶養手当について「監護の実態があるかで対象者を判断する」と述べました。

 仁比氏は「共同親権」導入がどのような影響を及ぼすか、法務省と関係省庁とが協議し、国民が一覧できるよう速やかに示すべきだと求めました。

 離婚後「共同親権」では進学、転居、入院などあらゆる場面で別居親の同意を得なければならない可能性があります。DV・虐待の被害者から、子の権利や利益を阻害するとの懸念の声が広がっており、徹底審議が求められます。

■親の収入などが要件となっている各省庁の主な支援策(仁比聡平参院議員事務所調べ。18日時点)
▽幼児教育等の無償化

▽幼稚園等における副食費免除

▽就学援助制度

▽特別支援教育就学奨励費

▽高校無償化(高等学校等就学支援金制度)

▽高校生等奨学給付金

▽大学等無償化(高等教育の修学支援新制度)

▽貸与型奨学金

▽幼児教育・保育の無償化

▽保育所等における副食費免除

▽児童扶養手当

▽母子・父子自立支援プログラム策定事業

▽自立支援教育訓練給付金事業

▽ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

▽高等職業訓練促進給付金等事業

▽ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

▽ひとり親家庭住宅支援資金貸付事業

▽特別児童扶養手当

▽障害児福祉手当

▽補装具費支給制度

▽小児慢性特定疾病児童等への医療費助成制度

▽まごころ奨学金

▽訴訟上の救助

▽訴訟費用執行免除

▽代理援助及び書類作成援助

▽セーフティーネット登録住宅の家賃低廉化支援

▽セーフティーネット登録住宅の家賃債務保証料等低廉化支援

▽セーフティーネット登録住宅への住み替え支援