イスラエルがイラン攻撃

国連特別報告者「国際法踏みにじる」

米メディア報道

 
 
 【カイロ=秋山豊】複数の米メディアは米当局者の話としてイスラエルが19日早朝にイランを攻撃したと伝えました。ベン・ソール国連特別報告者(対テロ・人権担当)は「国連憲章と国際法が定めた軍事力の行使の禁止をまたもや踏みにじるものだ」と批判しました。

 イランメディアなどは、同国中部のイスファハン市付近で「爆発音があった」「防空システムが作動し、無人機3機を撃墜した」と伝えました。また「大規模な被弾や爆発は報告されていない」とし、核施設など重要施設は「完全に無事だ」とも伝えました。同市のあるイスファハン州にはウラン濃縮施設やイラン空軍基地があります。

 イスラエル軍は1日、シリアにあるイラン大使館領事部を攻撃し、司令官ら7人を殺害。これに対しイランは「外交・領事施設の不可侵の原則への違反」と非難。13~14日にはイスラエル領内に向けドローンや巡航・弾道ミサイルを大規模に発射し、イスラエル軍が米英軍などの協力を得て「99%撃墜」しました。イラン側は「対抗措置は終了した」としていました。

 イランの攻撃に対し、イスラエルの戦時内閣はこの間、報復を検討。欧米、アラブ諸国はじめ国際社会は、地域紛争の激化を懸念し、イスラエルに自制を求めていました。

 ロイター通信によると、米国はイスラエルの今回の攻撃前に通告を受け取りました。
 
 
イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報復示唆せず
 
 
[ワシントン/ドバイ/エルサレム 19日 ロイター] - イラン中部の都市イスファハンで19日、爆発音が鳴り響いた。関係筋によるとイスラエルの攻撃というが、イラン側は今回の件を重要視せず、報復の計画はないと示唆。中東全体への戦争回避に向けた対応とみられる。
 
今回の攻撃は規模が限定されており、イラン側も抑制されたな反応を示している。これは、先週13日のイランによるイスラエル攻撃以来、全面戦争を回避しようとしてきた外交努力の成果とみられる。
 
イランのファルス通信は、中部イスファハンの空港で爆発音が聞かれたと報じたが、政府当局者はロイターに、防空システム作動による爆発音でイランに対するミサイル攻撃はないと語った。
 
イラン国営TVによると、3機のドローン(無人機)をイスファハン上空で確認し、防空システム発動でドローンを破壊した。防空システムが「不審な物体」を標的にしたとの陸軍司令官の発言を伝えた。
 
その後、イスファハンの状況は正常で、地上での爆発は起きていないと伝えている。
 
 
イランへのミサイル攻撃ない、防空システム作動で爆発音=政府当局者
 
[ドバイ 19日 ロイター] - イラン政府当局者は19日、中部イスファハンで聞かれた爆発音は防空システムが作動したことによるものだとロイターに語った。イランに対するミサイル攻撃はないという。
 
米軍、ニジェール撤退へ クーデター後にロシア接近
 
 
 【ワシントン時事】米政府は19日、西アフリカのニジェールに駐留する米軍の撤退を決めた。米メディアが一斉に報じた。ニジェールは昨年7月のクーデターで実権を握った軍政がロシアに急接近しており、米国との軍事協力の破棄を発表していた。
 
 報道によると、キャンベル米国務副長官が19日にワシントンでニジェール軍政のゼイン首相と会談し、撤退要求を受け入れた。撤退の詳細な計画を今後話し合い、数カ月程度で完了する見通しだという。
 
 
きょうの潮流
 
 創設当時、その地域は混乱に満ちていました。激しい対立や大国の介入、異なる文明や文化、宗教。イギリスの歴史家は「アジアのバルカン」と呼びました
 
▼それから60年ちかく、多様性に富んだ地域につくられたASEAN(東南アジア諸国連合)は大きな成果をあげてきました。平和をもたらし、ここで暮らす人々の生活を向上させ、この地域を牛耳ってきた諸大国を「教化」したことだと研究者はいいます(『ASEANの奇跡』)
 
▼多様であるがゆえに育んできた共同体意識。不完全で弱いがゆえに対話を重ね、形成してきた相互信頼と協力関係。一つの地球村の縮図のような地域で果たしてきた共同体が提示しているもの。それは希望のメッセージです
 
▼戦争はなくならないのではないか。いま暗闇が世界を覆っています。ウクライナで、ガザで、さらに拡大の様相も。どうすれば、私たちの住む東アジアで平和をつくりだせるか―志位議長が提言しました
 
▼自主独立と団結を大切にしてきたASEANのとりくみから学び力を合わせ、東アジアにも平和のための枠組みをつくり発展させる。その道すじを示しながら、困難があっても「外交の真髄は、共通点を見いだし、ともに解決すること」だと
 
▼ASEANの業績と成功はノーベル平和賞にも値すると評価されています。その共同体を歌い、採択された賛歌があります。「われら夢見よう/支えあい気遣おう/平和こそわれらの目標/そして永遠の繁栄/それが ASEAN Way」

 

イランとイスラエルの緊張で食糧危機になるのか?予想以上に大きい日米経済への影響=高島康司

 
イランとイスラエルが戦争へ
4月13日、イランの「イスラム革命防衛隊(IRGC)航空宇宙軍」は、イラン国内からイスラエルへの大規模な自爆ドローンとミサイルの攻撃を行った。イスラエルの空爆によりシリアで精鋭、「コッズ部隊」の上級司令官を含む4人が殺害されたことに対する報復だ。

イランがイスラエルに向けて発射したミサイルとドローンは331発。しかし、神風ドローン185機中185機、弾道ミサイル110発中103発、弾道ミサイル110発中103発がイスラエルの防空システム、「アイアンドーム」によって撃墜された。イスラエル領内で7発の弾道ミサイルの着弾が記録されている。イスラエルの実質的な被害は非常に軽微で、イスラエル南部の「ネバティム空軍基地」に着弾した弾道ミサイルがインフラの一部を破壊したに止まった。

今回の攻撃は、戦争の拡大を望まないイランによって、イスラエルに大きな被害が出ないように調整されていた。イギリスの大手経済紙、「フィナンシャルタイムス」は攻撃の前日に、イランは調整された報復を準備していると警告する記事を掲載した。記事にもあるように、イランは攻撃の実施の前にアメリカと近隣諸国に事前に通告していた。この情報はイスラエルにも伝わっていたものと思われる。

イランは発射した自爆ドローンや巡航ミサイルの数を、イスラエルの迎撃システム、「アイアンドーム」が撃墜可能な範囲に抑えていた。ちなみに昨年10月7日の「ハマス」によるガザ攻撃では、「アイアンドーム」の対応能力を越える3,000発から5,000発のロケットとミサイルが発射され、「ハマス」のイスラエル領内の侵入を可能にした。もし今回イランが本気で攻撃したのであれば、「アイアンドーム」の対応能力を越える数のドローンやミサイルが発射されたはずだ。

一方イランは、報復を求める国内世論の高まりや、保守強硬派の圧力からイスラエルに報復せざるを得ない立場にあった。しかし、イスラエルに大きな被害を与えるほどの攻撃を実施すると、全面的な大戦争になる。これを望まないイランは、イスラエルの被害を最小に抑えるように調整した報復攻撃を実施したというわけだ。事実イランは、この攻撃が最後であるとの声明を出している。

実はいま、イランの経済は成長している。一頃は欧米の厳しい制裁で大変なインフレと経済の後退に見舞われていたが、いまは正式なBRICSのメンバーとなり、中国とロシアとの間で軍事と経済の協力協定が多数結ばれているので、イランは低迷を脱し繁栄している。そのような状況にあるイランは、経済を地盤沈下させてしまうような戦争は、たとえ宿敵イスラエルとの間でも望んではいない。

また、今回の攻撃はイランにメリットがあったことも指摘されている。まずイランは、イスラエル領内を攻撃する能力があることを内外に示すことができた。またイランは、イスラエルの「アイアンドーム」の作動を実際に見ることで、防空システムの突破に必要となるミサイルやドローンの数と戦術を把握することができた。

他方、いまイスラエルの戦時内閣は、目標の選定を巡って内部で意見対立があるものの、イランに報復することでは意見が一致している。報復は、(1)イラン国外のイラン系武装勢力、(2)イラン国内の軍事施設のどちらかになる模様だ。(1)であればイランの許容範囲だろうが、(2)であればイランのさらなる攻撃があり、報復の連鎖から大規模な中東戦争へと拡大する危険性もある。いま、イスラエルの報復がどうなるのか、かたずを飲んで見ている状況だ(編注:原稿執筆時点4月18日。4月19日午前11時現在、イスラエルがイランに報復攻撃を開始したと報道されています)。

予想以上に大きい影響
ところで、今回のイランによるイスラエル攻撃の影響は、予想以上に大きかった。攻撃後の15日のニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価は6営業日連続の値下がりとなった。

この背景となったのは、イランのイスラエル攻撃による石油を含めた商品相場の世界的な上昇、そして、それに伴うインフレ懸念の再燃から、「FRB」が利下げの時期を再度見送ったことにある。利下げが始まる時期が遅れれば、金融引き締めが長引き景気を減速させるとの見方から売り注文を出す投資家が多かったのだ。

これが、株式相場を大きく引き下げる原因になった。

しかし、もっと重要なことは、年が明けるにつれて世界のインフレは収まり、物価はピークアウトしたのではないかという期待が完全に裏切られたことだ。むしろ、戦争によるインフレ拡大が大きな懸念材料になった。
 
さらに悪いことに、イランとイスラエルの直接紛争の継続の可能性は、明らかに市場には織り込まれていないことだ。そのため市場は強く反応し、これからインフレが予想を越えて加速する懸念もある。戦争の状況によっては、原油価格は1バレルあたり100ドルまで上昇する可能性があるとする予想も多い。ちなみに4月17日現在で、原油価格は1バレルあたり85ドルだ。

原油だけでなく、貴金属からコーヒー、ココアまで、他の重要な商品にも上昇圧力がかかっている。資産市場という観点からは、銅、金、その他の商品価格の急騰が特に警戒感を高めている。

最悪のシナリオでは、イスラエルによる強硬な報復がエスカレートのスパイラルを引き起こし、前例のない地域紛争に発展する可能性がある。すると、原油だけでなく、あらゆる商品と資産の相場が急騰することは間違いない。

いまのところ、イスラエルの報復攻撃はイラン領内の核関連施設や、イラン国外のイラン系武装勢力の拠点になる見込みが強い。そうなればイランも報復を自制し、全面的な戦争にはならないと思うが、どうなるかはまだ分からない。

もちろん、インフレの再燃から「FRB」が利下げどころか、さらなる利上げに踏み切るようなことにでもなれば、日米の金利差から円安はさらに加速する。現在、1ドル、154円程度だが、下手をすると160円程度にもなるかもしれない。イランとイスラエルが報復の連鎖になると、こうした状況も十分に考えられるだろう。

原油価格の急騰が引き起こした食糧危機
いま、アメリカを始め各国がイスラエルに報復しないように自制を求めているが、イランとイスラエルの戦争が拡大すると、食糧危機の発生まで懸念されるようになっている。だがそれは、ホルムズ海峡の閉鎖など、貿易ルートの途絶によるものではない。貿易ルートの遮断という事態が起こらなくても、食糧危機が発生する可能性はある。

そのモデルとなるのは、2008年から2009年に起こった食糧危機である。これについては、過去のメルマガの記事で何度か紹介したことがある。これがどういう危機だったのか、再度解説する。

2008年はリーマンショックで頂点に達した金融危機の年だったが、食糧危機の本格的な到来も叫ばれた年であった。トウモロコシを中心とした穀物の価格は高騰し、低開発諸国で大規模な抗議運動や暴動が起こった。コメは217%、小麦は136%、トウモロコシは125%、大豆は107%も上昇した。穀物を飼料とする食肉価格も急騰した。現在よりも激しい高騰である。このときは本格的な食糧危機がやってきたとして、日本でも食糧備蓄を勧める声が大きくなった。

しかし、食料の価格高騰は1年ちょっとで収まった。それというのも、価格高騰の基本的な原因が原油価格の高騰にあったからだ。このとき原油価格は、史上最高値の1バーレル、147ドルにもなった。この価格水準ならば、コストのかかるトウモロコシが原料のバイオエタノール燃料でも十分に採算が取れる。そのため多くのトウモロコシ農家が食料の生産からバイオエタノールの生産へとシフトしたのだ。これが、食料としてのトウモロコシの価格の高騰を招いた。

一方、トウモロコシの価格上昇は、穀物全体の値上がりを期待した投機マネーの流入を招き、国際市場で農産物価格が吊り上がった。この結果、価格高騰は穀物全体に拡大した。さらに、当時世界各地の農業地帯を席巻した天候異変による凶作も影響した。

だが2009年になると、アメリカのシェールオイルの生産も始まり、原油価格は急速に下落した。それに伴い、バイオエタノール燃料の生産は採算が取れなくなり、多くのトウモロコシ農家は食料の生産へと回帰し、供給が増大したトウモロコシの価格が下落した。その結果、穀物市場への投機マネーの流入も止り、穀物価格も下がった。このようにして2009年後半には食料価格は元の状態に戻り、食糧危機の懸念はなくなった。
 
イスラエルの報復攻撃は食糧危機を引き起こすか?
これが、2008年から2009年に起こった食糧危機の構造である。その引き金になったのは、明らかに原油価格の高騰であった。

いまイスラエルのイランに対する報復攻撃がどのようなものになるのかかたずを呑んで見ている状況だが、イラン本土の人口密集地などが攻撃されると、報復の連鎖から戦争の拡大は止められなくなる。すると、原油のみならずあらゆ資産と商品の価格は急騰することだろう。「FRB」も利下げどころろか、インフレを抑制するために、再度の利上げに踏み切る可能性もある。その結果、高金利の景気への悪影響が災いとなり、株式相場は大きく下落することになるだだろ。

では、食糧危機はどうだろうか?イランとイスラエルの戦争がエスカレートすると、食糧危機を引き起こす水準まで食糧価格は高騰するだろうか?

いまのところ、これはまだ分からない。しかし、2008年から2009年のときのように、原油価格の高騰がバイオエタノール燃料の需要を増大させ、食糧としてのトウモロコシの生産が大きく落ち込むような事態になると、中東や北アフリカなどの一部の地域では食糧危機が発生してもおかしくない事態になるだろう。

また、トウモロコシの価格高騰は激しい投機マネーの流入を発生させ、穀物全般の相場を急騰させ、さらに食糧全体の高騰を招く可能性もある。すると、日本の輸入食糧価格の高騰につながる恐れも出てくる。

とにかく、いくつかの条件があるが、イスラエルによるイラン本土の攻撃があると、食糧危機が日本まで及ぶ可能性もまったくゼロではないと考えておいたほうがよいだろう。
 
 

輸入依存 農家の希望失う

農基法改定案 田村氏が指摘

衆院通過

 
 食料・農業・農村基本法改定案が19日の衆院本会議で、自民、公明、維新の賛成で可決しました。日本共産党と立民、国民、れいわなど各党は反対しました。

 共産党の田村貴昭議員は討論で、食料自給率の落ち込みの原因は輸入自由化なのは明白にもかかわらず、改定案では「安定的な輸入の確保」と輸入依存を認め、輸入安定国の多様化、相手国への投資まで盛り込み、輸入拡大を正当化していると批判しました。

 田村氏は、政府が「米の需要が減退している」としながら、義務ではないのに需要の1割を超える77万トンものミニマムアクセス米を輸入し、累積で6351億円の税金を投入したことを指摘。「その半分はアメリカ産米。農家に希望を失わせる異常な輸入依存と、卑屈なまでの米国追従はやめるべきだ」と強く求めました。

 田村氏は、農家を苦しめている肥料・飼料などのコスト高に対して、価格転嫁を唯一の方法としたことは「実質賃金の低下、低価格農産物の大量輸入を続けては、再生産可能な販売価格が実現できる保証はない」と批判。「農業予算を抜本的に増やし、価格保障・所得補償を行うべきだ」と指摘しました。

 田村氏は、同改定案は「食料と農業の危機を打開するには、ほど遠いものと言わざるを得ない」として、食料自給率の向上を柱に据え、際限のない輸入自由化路線を転換し、規模の大小を問わず農家の経営を全力で支えるよう求めました。

 

 

パレスチナの国連加盟めぐる決議案 アメリカが拒否権行使 否決

 
ガザ地区での戦闘が続く中、パレスチナを国連の正式な加盟国とするよう勧告する決議案が、安全保障理事会で採決にかけられ、理事国15か国のうち日本を含む12か国が賛成しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。

パレスチナは現在、国連で加盟国ではない「オブザーバー国家」の地位にありますが、ガザ地区で戦闘が続く中、将来のパレスチナ国家の樹立とイスラエルとの「2国家共存」への道筋をつくるべきだとして、アラブ諸国を代表してアルジェリアが、正式な加盟を勧告する決議案を安保理に提出していました。

国連への加盟が認められるには、安保理で勧告の決議が採択されたうえで、総会で3分の2以上の賛成を得る必要があります。
 
 
18日午後、日本時間の19日朝、行われた採決の結果、理事国15か国のうち日本やフランスなど12か国が賛成しましたが、イギリスとスイスが棄権し、アメリカが拒否権を行使して、決議案は否決されました。

賛成した国のうち日本の中東和平担当特使の上村政府代表は、ガザ地区の厳しい状況に言及したうえで「当事者間の平和的な交渉を通じてパレスチナ国家の樹立を促すという観点に立って賛成した」と説明しました。

一方、アメリカのウッド国連次席大使は拒否権を行使した理由について「決議案が想定するパレスチナ国家と不可分なガザ地区で、いまもテロ組織のハマスが権力と影響力を行使している」などと述べ、あくまでもイスラエルとパレスチナの直接交渉による解決が必要だと強調しました。

上村政府代表「平和的な“2国家解決”しか道はない」
採決のあと、日本の中東和平担当特使の上村政府代表は記者団に対し、決議案が否決されたことについては「残念なことだが、この問題には時間がかかり、一朝一夕に解決できないということを示していると思う」と述べました。

一方で、「安保理のメンバーはほぼ同じ立場を示している。特に今のガザの厳しい状況をみて、この問題は平和的な『2国家解決』しか道はないという認識が関係国の間でさらに強まったと思う。そのためには当然話し合いが必要で、壊れた信頼関係や相互理解をもとに戻していく必要がある。非常に時間はかかると思うが、国際社会は基本的な共通認識を持っていると思う」と述べ、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」の和平に向けて、各国と連携していく考えを強調しました。

イスラエル・パレスチナ双方の反応は
パレスチナを国連の正式な加盟国とするよう勧告する決議案がアメリカの拒否権で否決されたことについて、イスラエルとパレスチナの双方が反応を出しました。

イスラエルのカッツ外相はハマスによる奇襲攻撃から半年後にパレスチナを国家として認める提案は「テロに見返りを与えることになる」とした上で、「この恥ずべき提案に拒否権を行使したアメリカを称賛する」とSNSに投稿しました。

一方、パレスチナ暫定自治政府はアメリカによる拒否権の行使について「不公平かつ、倫理に反する不当なもので、国際社会の意思にも反するものだ」と非難したうえで、「この攻撃的な拒否権の行使は、『2国家解決』への支持を主張しながら、拒否権の行使によってそれを繰り返し妨害するアメリカの政策の矛盾を露呈している」などと批判しました。

また、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはSNSへの投稿でアメリカの立場はイスラエルに偏っているとして「最も強いことばで非難する」とした一方で、「賛成したすべての国の立場を高く評価する」と謝意を示しました。

林官房長官 “中東和平の実現へ 総合的に判断し賛成”
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「安全保障理事会が適切な形で意思表示できなかったことは残念だ。わが国はパレスチナが国連加盟に関する要件を満たしているとの認識のもと、中東和平の実現に向けて、和平交渉を通じた国家の樹立を促進するとの観点を含め総合的に判断し、決議案に賛成した」と述べました。

また記者団から、今後パレスチナを国家として承認する考えがあるか問われ「わが国は当事者間の交渉を通じた『2国家解決』を支持し、独立国家樹立に向けたパレスチナの努力を支援してきた。国連加盟に関する安保理決議に賛成したことと、パレスチナを国家として承認することは別個の問題で、わが国の立場に変更はない」と述べました。