小島氏の17日の会見には、日本の中央・地方各新聞社やテレビ各局など多くのメディアが集結、取材していたが、NHKや民放各局の17日夜以降のニュースや情報番組、翌18日の中央・地方紙朝刊などは、ほとんど踏み込んだ報道をしなかった。さらに、日本のメディアの総本山である「日本記者クラブ」(公益社団法人)も今のところ小島氏の会見などは予定していないことなどから「主要メディアの慎重対応」も際立つ。

 その一方で、小池氏に“忖度”するように、岸田首相ら政府与党幹部も「そろって無視を決め込んでいる」のが実態だ。ただ、その背景については「官邸中枢や大手メディアの最高権力者も絡んだ底の知れない“政治的謀略”が垣間見え、都知事選に合わせた衆院解散論や、自民党総裁選を絡めた“権力闘争”の材料にもなりつつある」(自民長老)との指摘もあり、「表舞台と裏舞台の反応の“落差”が、『小池問題』の闇の深さを物語っている」(同)ことは間違いなさそうだ。

 

 

「首都の女帝」と呼ばれ、初の女性首相候補にも擬せられてきた小池百合子東京都知事が、小池氏の学歴詐称を立証するかのような元最側近やエジプト時代の同居人女性の実名「告発」によって、政治生命の危機がささやかれ、今後の展開次第では、告示まで2カ月となった都知事選(6月20日告示・7月7日投開票)の構図も一変しかねない状況となっている。

 しかも「告発」の余波で、岸田文雄首相の命運がかかる「4.28トリプル補選」の中で大混戦となっている衆院東京15区での「自民不戦敗」が確定。このため、“小池ブランド”にすがって同区での“勝利”を狙っていた岸田首相と自民党執行部は、「全く想定外の事態に困惑しきり」(自民幹部)だとされる。

■小池氏は疑惑を全面否定するが…

 そうした中、小池氏は「告発」が月刊誌で大々的に報じられた直後の12日の定例会見で、「(今回の告発は)そもそも大前提が違う。卒業していないというが、大学が卒業を認めているし、すでに卒業証書と卒業証明書はこの場でもお伝えしてきている」と疑惑を全面否定。

 そのうえで、「前回騒いだ時は2020年6月で、(再選出馬した)都知事選の直前。そもそも選挙のたびにこうした記事が出るのは残念」と強い不快感を表明した。ただ、今回の一連の騒ぎに、中央紙やテレビ各局といった大手メディアがそろって「極めて慎重な対応」なのに、インターネット上では「嘘つきは小池の始まり!」「小池は自分ファースト!」などの書き込みがあふれるなど、“小池バッシング”が際立つ。

 このため、永田町関係者の間でも「4年前のように簡単に事態が収束する状況ではない」(政治ジャーナリスト)との見方が支配的。しかも、告発の「背景」を探ると、「小池氏の学歴問題を巡るドロドロした人間関係」(都庁関係者)が浮き彫りとなるなど、「まさに奇々怪々な話ばかりで、今後の岸田首相の政局運営の新たな“火種”にもなりかねない状況」(自民長老)となりつつある。

■文春側、「田中角栄の金脈と人脈」の再現を狙う

 

 今回の「告発」騒ぎは、4月10日発売の月刊誌・文藝春秋に「私は学歴詐称工作に加担してしまった」との小島敏郎氏の手記が掲載されたことが発端。同氏は元環境省のキャリア官僚で、小池氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」事務総長も務めるなど小池氏の最側近として知られてきた人物だ。

 その小島氏が、前回知事選前に小池氏の学歴詐称を指摘した『女帝 小池百合子』(石井妙子著)への対応について、直々に小池氏から相談を受けた際のやり取りを中心に、改めて関係者に問い質すなどして事実関係を精査した結果、「学歴詐称だと確信」し、この問題での取材・報道に力を注いできた文春に、「告発」記事を寄稿したというのが経緯だ。

 文春側は、今回の告発記事掲載について「半世紀前に現職首相が退陣に追い込まれるきっかけとなった『田中角栄の金脈と人脈』という特集記事と同様の狙いで、あえてこのタイミングで取り上げた」(編集幹部)としており、18日発売の週刊文春も「大々的な続報」を掲載した。

 そのうえで、同誌関係者は、「小島氏の『告発』に関しては、1年以上前から綿密に内容を詰め、同氏と編集部が一体となって記事に仕立てた」と説明する。さらに、「その背景には、週刊文春の松本人志氏の性的スキャンダルでのスクープ記事が裁判沙汰になっている中、本誌(月刊・文藝春秋)は、本来の“政治ネタ”で勝負をかけたいとの思惑があった」(政治ジャーナリスト)との指摘もある。

 しかも、半世紀前の田中角栄首相の「追及劇」と同様に、今回も告発記事アピールの舞台となったのが、一般には「外国人記者クラブ」と呼ばれる「日本外国特派員協会(日本に派遣されている外国報道機関の特派員を中心に運営)」というのも因縁めいている。

 現在は弁護士の小島氏は、17日午後に同特派員協会で1時間半にわたり記者会見し、改めて「告発」に至った経緯や事実関係を説明したうえで、質疑応答に応じた。その中で小島氏は「学歴詐称は公職選挙法違反に問われかねない。(小池氏には)正確にお答え願いたい」と繰り返し訴えた。

 

 そもそも小池氏は、2020年5月に出版されたノンフィクション作家・石井氏の著作『女帝 小池百合子』の中で、それまで自身が主張してきたエジプト・カイロ大学卒業の経歴への疑義を指摘されて都議会で厳しい追及を受け、同年7月5日の都知事選を前に窮地に追い込まれていた。

 そうした中の同年6月9日、カイロ大学が小池氏の卒業を認める声明を唐突にフェイスブックに公表したことで疑惑は一気に沈静化。自民党を含めた都議会各会派は追及をやめ、メディアも関連報道を自粛した。ただ、その当時も、関係者の間では「カイロ大の声明文公開の経緯」を疑問視する声は少なくなかった。

■小池氏側近だった元ジャーナリストのA氏の存在

 17日の会見で小島氏は「カイロ大が声明を公表する案は自らが提案したものだった」として、当時、自分と同じ小池氏側近だった元ジャーナリストのA氏が「その原案を作ったことがわかった」と説明。その裏付けとしてA氏が作成した声明文の原案と、実際にフェイスブックに公表された文面を並べて提示し、両者がほぼ同じ内容であることを指摘した。

 そのうえで、都知事選公示の6月20日に小池氏が立候補を届け出た際、自身の経歴に「カイロ大学卒業」と明記した場合には、「公職選挙法上の経歴詐称として刑事告発をする可能性がある」と明言するとともに、現時点では匿名にとどめているA氏の実名も含め、「裁判になればすべてを明らかにする用意がある」と語った。

 これにタイミングを合わせるように、小池氏と長年の交際がある前東京都知事の舛添要一氏も17日、自らのX(旧ツイッター)に、「小池氏の学歴詐称疑惑について、私の知っていることを書く」としたうえで、「嘘から始めた政治家人生、本人のためにも、日本国のためにも、この権力欲にまみれたポピュリストはもう政界から去ったほうがよい」と喝破した。

■「音無し主要メディア」の裏に“政治的謀略”も

 小島氏の17日の会見には、日本の中央・地方各新聞社やテレビ各局など多くのメディアが集結、取材していたが、NHKや民放各局の17日夜以降のニュースや情報番組、翌18日の中央・地方紙朝刊などは、ほとんど踏み込んだ報道をしなかった。さらに、日本のメディアの総本山である「日本記者クラブ」(公益社団法人)も今のところ小島氏の会見などは予定していないことなどから「主要メディアの慎重対応」も際立つ。

 その一方で、小池氏に“忖度”するように、岸田首相ら政府与党幹部も「そろって無視を決め込んでいる」のが実態だ。ただ、その背景については「官邸中枢や大手メディアの最高権力者も絡んだ底の知れない“政治的謀略”が垣間見え、都知事選に合わせた衆院解散論や、自民党総裁選を絡めた“権力闘争”の材料にもなりつつある」(自民長老)との指摘もあり、「表舞台と裏舞台の反応の“落差”が、『小池問題』の闇の深さを物語っている」(同)ことは間違いなさそうだ。

泉 宏 :政治ジャーナリスト

 

 

「虚偽事項公表罪ヤバいわよ!」小池百合子が7月都知事選で「カイロ大卒」を明記できぬ訳。女帝に迫る覚悟のとき

 
 
小池知事を追い詰める「学歴詐称」証言に高い信憑性
東京都の小池百合子知事は4月12日、その政治生命を左右するかもしれない月刊「文藝春秋」最新号(4月10日発売)の記事が掲載されてから初めての定例会見にのぞんだ。
 
「カイロ大学首席卒業」という小池氏の肩書。それを「虚偽だ」とエジプト留学時代に同居していた女性がかねてから告発していたが、こんどは、環境省キャリア官僚だった小池氏の元側近が「私は学歴詐称工作に加担してしまった」として手記にまとめ、同誌に発表した。

しかもその内容が、小池氏の卒業を証明するカイロ大学の声明文を捏造し、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載したというのだから、ただごとではない。

声明文の原案を書いた元ジャーナリストの具体的な証言内容も明らかにしていて、その信憑性はきわめて高い。

定例会見で、関連の質問が出るのは明らかだった。噂されていた衆議院東京15区補選への鞍替え出馬を取りやめ、7月の都知事選に残りの政治家人生を賭ける決心をした小池氏にとって、この時期に学歴詐称疑惑が蒸し返されるのは致命的だ。

火消しのためにも、会見では、心の動揺を気づかれないよう、「一笑に付す」演技を心がけねばならなかった。

「記事が出たということは承知しております。卒業したことを大学が認めている。毎度毎度、選挙のたびに記事が出るのは残念なことです」

質問に答えはじめた小池知事は、前回の都知事選(2020年7月5日)の1か月ほど前のことを思い出していた。

小池知事「困っているのよ」2020年初夏の記憶
小池氏のエジプト留学時代の同居人、北原百代さんの証言をもとにノンフィクション作家、石井妙子氏が書いた「女帝 小池百合子」が書店に並び、都議会がカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出を求めるなど、追及を強めていた時期だ。

このほど文藝春秋に告発手記を寄せた元都民ファーストの会事務総長、小島敏郎氏(弁護士)が、「相談したいことがある」と小池氏に呼び出されて都庁近くのオフィスに赴いたのも、そのさなか、2020年6月6日のことだ。

小池氏が環境大臣だった時代、ともに「クールビズ」を推進、その縁で、小池都知事誕生後に特別顧問となり、参謀役をつとめていた小島氏を、小池氏がいかに頼りにしていたかは、その相談内容でもよくわかる。

「カイロ大学の件で困っているんだけれど」。小池知事は学歴詐称疑惑を払拭するための方策で悩んでいた。

カイロ大学卒業を疑っていない小島氏が「卒業証書や卒業証明書を見せればいいんじゃないですか」と当然の指摘をすると、小池氏は「あるわよ。でも、それで解決しないから困っているのよ」と言う。

これまでにも小池氏は卒業証書、卒業証明書とされる書類を公開しているが、捏造ではないかという疑いは拭いきれていない。卒業証明書に押されている大学のスタンプの印影が不鮮明かつ判読不能なのも、疑われる原因だ。

そこで、小島氏は新しい卒業証明書の発行を申請することと、それが届くまでにやるべきこととして、次のような提案をした。

「カイロ大学から、声明文を出してもらえばいいのではないですか」

都知事選出馬の記者会見をするのに卒業証明書を待っていたら時間がない。そこで、とりあえず文書を電子送信してもらえばいいと考えたわけである。

「本当は卒業していないのではないか」深まる小池知事への疑念
それから3日後の6月9日、意外なことが起きた。カイロ大学学長のモハメド・オスマン・エルコシト氏の署名入りの「声明:カイロ大学」と題する文書が突然、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載されたのだ。

カイロ大学は、1952年生まれのコイケユリコ氏が、1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する。卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された。

遺憾なことに、日本のジャーナリストが幾度もカイロ大学の証書の信憑性に疑義を呈している。これはカイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉棄損であり、看過することができない。(後略)

小島氏は「えっ!こんなに早くカイロ大学が対応してくれたの?」と驚愕した。大学の公式声明なら決裁の手続きに時間が必要だろう。エジプトとは時差もある。にもかかわらず、小島氏が提案してからこれほど短期間に可能なことなのかという驚きだが、当時は出馬表明のことで頭がいっぱいで、深く考えずにやり過ごしたという。

この声明文を新聞、テレビが報じると、学歴詐称疑惑は一気に鎮静化した。都議会に提出された「小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出に関する決議」から自民党と共産党が離脱した。小池氏は6月12日に出馬記者会見をし、都知事選で次点に281万票も大差をつけて再選を果たした。

再選後、小池知事の都政は大きく様変わりした。「都民が決める。都民と進める」という改革路線は、自民党、公明党、都庁官僚と手を組む古い都政に逆戻りした。

小島氏はしだいに小池知事に対し疑念を抱くようになった。小池氏のカイロ大学を卒業しているという言葉を信じていたが、2020年6月の小池氏の狼狽ぶりや、カイロ大学卒業証書・卒業証明書を提出せよという都議会の決議案を異常に恐れていたことを思い出すたび、「本当は卒業していないのではないか。だとしたら、私は疑惑の“隠蔽工作”に手を貸してしまったのではないか」と不安に苛まれた。
 
私文書偽造に手を染めたか。小島氏の疑念は確信へ
そんなある日、小池氏のブレーンの一人でもある旧知のジャーナリスト、A氏に不安を打ち明けると、A氏は「小池さんと戦う気持ちがあるか」と念を押し、次のような告白をしたという。
 
「カイロ大学声明は、文案を小池さんに頼まれ、私が書いたんです」「彼女は卒業していると思っていたから原案を書いたし、気軽に『エジプト大使館のHPに載せればいい』などと助言しました」

20年6月7日、A氏が文案をメールで送ると、翌8日の夜、小池氏から、大使館のフェイスブックに掲載する声明文の画像がメールで届き、それに続くメールには次のような記述があった。

明日の4時から 郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます

弁護士の郷原信郎氏と作家の黒木亮氏による、小池氏の学歴詐称疑惑に関する記者会見が6月9日の午後4時から外国特派員協会で予定されていた。カイロ大学声明が駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載されたのはその2時間前の午後2時過ぎだった。
 
いくら東京都知事からの要請であっても、エジプトの大使館が、そのような文書を掲載するものなのだろうか。不可解な話だが、実際そうなっているのだから仕方がない。小池氏がその権力をバックにねじ込んだと考えるほかないだろう。

小島氏は「私とA氏が果たした役割を鑑みれば、カイロ大学が自発的に小池さんの疑惑を懸念して声明文を作成した、ましてやエジプト政府が関わったなどということは、ほぼあり得ません。大学を卒業していない小池さんは声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」と綴っている。

小池氏が初めて都知事選に出馬した際、小池氏を応援したかつての盟友、若狭勝弁護士は自身のネット動画番組で「カイロ大学側の承諾もなく勝手に作成したということになると、私文書偽造罪が成立する」と指摘している。

20年の都知事選での学歴詐称疑惑については時効の3年を過ぎているが、私文書偽造罪は時効5年なので、いまでも適用できるのだ。
 
小池知事を追い詰める50年前の嘘。逆質問に白ける記者たち
さて、冒頭の記者会見のシーンに戻ろう。記者たちは当然のことながら、小島氏の主張に対する小池知事の見解を聞く。つまり、カイロ大学の声明文は大学が出したものではなく、小島氏が発案しA氏が作成した文案に修正を加えたうえで知事側から大使館に依頼して掲載されたのかといったことだ。
 
これに対し、小池知事は「大学を出たことを誰が証明するんですか」と記者に逆質問し、少し間を置いてこう言った。「大学でしょ。卒業を証明するのは友達でも親でもなく自治体でもなく大学が証明する。大学が証明しているのに他の方が詐称と言っているのがわからない」。

「小島氏が知事に提案してからわずか3日後にカイロ大声明が公表されたのは余りにも早すぎるのでは」と記者が質問すると、小池知事は余裕の笑顔を浮かべてこう言った。

「そもそも私、卒業というファクトがあるわけです。それにカイロ大学が意思をもって発出された。ファクトのベースがあるからスピード感があると思う」
 
要するに小池都知事は、小島氏が暴露した事実には一切コメントせず、「カイロ大学が卒業を証明している」の一本槍で突き進むスタンスなのだ。

カイロ大学は入学できても進級するのが難しい。「女帝 小池百合子」に登場したエジプト留学時の同居人、北原百代さんが、文藝春秋最新号に実名で「カイロで共に暮らした友への手紙」という文章を寄せている。

エジプトでは口語と文語が分かれています。…インテリ層が通うカイロ大学の教科書や授業では文語が使われています。この文語はエジプト人ですら使えない人も多い。だからエジプト人でも4人に1人が留年するといわれています。…外国人は入学を融通してもらえても、進級試験では容赦なく落とされる。

アラビア語が堪能ではない小池氏は進級試験に落ち、JALの現地スタッフとして働きはじめたが、1976年秋、サダト大統領夫人が来日する半月ほど前に日本に戻り、父が関係する日本アラブ協会の推薦で夫人のアテンド役をつとめた。それが新聞に取り上げられ、テレビ、ラジオにも次々と出演した。

カイロに戻ってきた小池氏から見せられた日本の新聞に「カイロ大学文学部社会学科を日本人女性として初めて卒業した」と紹介されているのを見て北原さんは「そういうことにしちゃったの?」と驚いたが、小池氏が後に今のような地位に就くとは夢にも思わず、注意することもできなかったという。

事実とは違う美しいストーリーを仕立てあげ、その主人公として自分を売り込む小池流「人生マーケティング」の最初のステップだった。

その後、小池氏は、男社会のメディア、政界に飛び込んで、「ジジ殺し」と評されながら政財界の大物に近づき、引き立てられ、のしあがっていった。
 
7月都知事選「カイロ大学卒業」明記で何が起こるか
小島氏の告発文によると、小池都知事が2020年の再選後、自民党に急接近した背景には、カイロ大学の声明が掲載されたことを受けて都議会自民党が小池都知事追及の決議案から降り、都知事選の対抗馬を立てなかったことがある。
 
二階俊博自民党元幹事長に頼んで都議会自民党に圧力をかけてもらったらしく、「自民党の二階さんや都連には大きな借りができた」と小島氏は指摘する。

今回、小池氏が衆院補選への出馬を断念したのも、二階氏が裏金問題の責任をとって次期衆院選への立候補を断念したことが大きく響いている。

これで、小池氏が自民党に復帰し二階氏や萩生田光一氏の支援で総裁選に挑戦するという計略は遠のいた。都知事選が「女帝」の命運を握っているといってもいい。
 
はたしてこのまま「カイロ大学が卒業を証明している」の一点突破で窮地を脱することができるだろうか。客観的に見て、真正面から小島氏の告発文に反論できない小池都知事のほうの分が悪い。

都知事選に出馬するのなら、候補者の経歴欄に再び「カイロ大学卒業」と明記せざるを得なくなる。さもなくば、学歴詐称疑惑はさらに深まるからだ。

ただしウソとわかれば、公職選挙法の虚偽事項公表罪に問われるだろう。かつての側近に手の内を晒された今度ばかりは、さすがの「女帝」にも打つ手がなさそうだ。
 
 

小池百合子に水原一平容疑者との共通点。カイロ大学“主席卒業”と言い張る都知事に向けられる「なにか隠してるんじゃない?」という疑惑の目

 
卒業、主席ではどうみても盛りすぎ!
 
 
小池都知事はカイロ大“名誉卒業”か。口先の詐欺師が都政を握る異常
4月から4時間枠に拡大した文化放送の平日帯番組『くにまる食堂』は、リニューアルの目玉の1つが月曜パートナーに抜擢されたカンニング竹山さんの歯に衣着せぬ正論の数々です。特に聴きごたえがあるのが、11時台の最後の「聞いてよ大将」で、その日の竹山さんが一番取り上げたいテーマについて話しまくるコーナーです。

一昨日の4月15日(月)の「聞いてよ大将」では、何故だかメディアが触れたがらない「小池百合子都知事の学歴詐称問題」について、竹山さんが熱弁しました。この問題に興味のある人の多くが納得していない12日(金)の小池都知事の記者会見での説明について、まさに直球ド真ん中の正論を述べていますので、その部分を文字起こししてみました。ぜひお読みください。

カンニング竹山さん 「東京都知事の小池百合子さんの学歴詐称問題が、先週、先々週に出ましたね。元都民ファーストの事務総長の小島さんという方が『私も(小池さんから)相談を受けた』と告発する記事が『文芸春秋』に出ました。そこでですね、週末金曜日かな、知事が定例記者会見をやりまして、ネットとかで放送されたんですけど、あの~、小池知事は話をはぐらかすというか、そういうのが非常に多かったんですね」

竹山さん 「あと僕が個人的に思ったのは、都庁の記者クラブですよね。記者クラブの方が知事に指されて質問するんですけど、あまりにもジャーナリストとして、記者として、追及が甘すぎるんじゃないかと。そこまで腐ってんのかって気がしたんです。長年にわたり、知事に気に入られないと当てても貰えないし取材もできなくなる。こういうことがずっと続いて来たので、知事に対して厳しい追及ができなくなった。知事も毎回当てる記者と当てない記者が決まっている。そうした事情は分かりますが、それにしても今回の記者会見はあまりにも追及が甘すぎると思いました」

竹山さん 「知事は『カイロ大学の卒業証書(卒業証明)があるから問題ないでしょ?』『これが真実ですよ、ファクトですよ』『選挙になるたびにこういうのが出る』と言っていて、これが知事のご意見なんですけど、今回の場合はそうじゃないんですよ。卒業証書があるというのは前から分かってます。あんたが出したのは分かってます。ところが、その卒業証書が嘘だという記事が出たんですよ。そして、それを暴露した人が、1人でなく何人もいるんです。だから、その卒業証書が本物かどうかを改めてもう1回精査しないとダメなんですよ」

竹山さん 「なのに記者クラブは誰も追及しない。知事側も『じゃあ卒業証書も何も全部お貸ししますので調べてください』とは言わない。『カイロ大学も調べてください。エジプト政府にも聞いてください。私、嘘はまったくないですから』と言えば簡単な話なのに、それは言わないんですよ。となると、なんか隠してんじゃないの?なんかあるんじゃないの?って疑問も出て来ますよね」
 
東京の政治の一部が外国に握られるという大問題
竹山さん 「仮にですよ、もしこれが偽装だったとします。カイロ大学やエジプト政府に、知事が何かしらの手を回して卒業証書を作ったとする。そうなると、貸し借りの借りができますよね?となると、日本の政治、東京都の政治の一部を外国が握るということになりませんか?仮の話ですが、そうなるとこれ、えらい問題ですよ」
 
竹山さん 「小池さんの場合、他にも細かい問題が去年ぐらいからたくさん出て来てます。たとえば高校の無償化。これは親御さんにとっては凄く良いことでしょう。でもこれにも問題がある。東京都の高校に通う全生徒の30%は東京都以外から通学してますが、その子たちは無償化にならないんですよ。東京都に住んでる子どもだけしか無償化にならない。無償化するなら、神奈川県、千葉県、埼玉県とか、近県の知事らと足並みそろえて一斉にやらないと子どもたちの中で不公平が出て来ますよね。同じクラスメイトなのにって。そのため『結局は選挙のためじゃないか』という穿った意見を言う人もいます」

竹山さん 「都庁ビルでやった、よく分からないプロジェクションマッピング、あれ何十億円ですよ?他にも都政の会計を調べると『何の金なのそれ?』というのがいろいろと出て来る。そういうの全部、知事が悪いとは言いませんけど、そういう都政を続けて来た上での今回の学歴詐称の問題ですから、それはちゃんと追及しましょうよ。知事も何もないなら堂々とやりなさいと。結局ずっと疑惑が残ったままなんです」

竹山さん 「今回、元都民ファーストの事務総長だった小島さんが具体的に訴えているわけじゃないですか?100%小島さんが嘘をついているのか、本当にあった真実を言っているのか、どっちかでしょうね。でも、そんな嘘つく人います?という見方もある。他の証言者も出て来ている。こんな疑惑があるんだから、ちゃんとしないと、これ重大な問題ですよ。この重大な問題にメディアはちゃんと向き合わなきゃ、僕はダメだと思いますね。明日から東京15区が公示ですから、言いにくくなる。だから今日言いましたけど(笑)」
 
「小池さんは名誉卒業以外にありえない」という指摘も
…そんなわけで、続きましては、翌4月16日(火)のTBSラジオ『おはよう一直線』に電話出演した「ニャ~オ先生」こと紀藤正樹弁護士と生島ヒロシさんとのやり取りを文字起こししました。

紀藤正樹弁護士 「小池都知事の学歴詐称問題は、メディアがきちっと調査しないといけないですよね。前回はフェイスブックにカイロ大学のコメントが発表された時点でメディアは黙認してしまったけど、今回はそのフェイスブックにカイロ大学のコメント上げるに当たっていろいろ偽装工作をしたという方の証言なんですよね。つまり、前回の時にメディアがカイロ大学まで行き、知事がどのように卒業資格を得たのかを具体的に調べていれば、今回の問題はなかったんですね」

紀藤弁護士 「卒業資格というのは、日本の大学でもそうですけど、単位をすべて取らないと得られないものではなく、名誉卒業というものもあります。仮に知事が卒業していたとしても、実際にきちっと単位を取った正規の卒業なのか、それとも何らかの方法による名誉卒業のようなものなのかということもクリアにしないといけないと思います」

生島ヒロシさん 「いろいろ小池さんに関する本も読みましたけど、小池さんは名誉卒業以外にありえませんよね」

紀藤弁護士 「小池さんは名誉卒業の可能性が極めて高いケースだと私も思います。授業がうまく行ってなかったとか、なかなか単位が取れなかったという話が出てますから。そういう意味では、当時、他の日本人が周りにいなかった環境で、しかも先生と小池さんの親族が知り合いだったという関係性の中にあったわけですから、その可能性は高いと思います」
 
小池都知事に向かう「他にも何かやってるんじゃないか」という疑惑
生島さん 「昔、竹村健一さんが週末に箱根の別荘にメディアの人を呼んでたんですが、僕も呼ばれて、そこで当時の小池百合子さんに会ったんですよ。『生島さんはアメリカの大学よね?』って言うから『何で小池さんはカイロ大学まで行ったの?』と聞いたら、『みんなが行かないところへ私は行く。みんなと同じアメリカじゃ目立たないでしょ?』って。しかも当時は『首席で卒業した』とか言ってたでしょ?なんか着物でピラミッドに上ったりして」
 
紀藤弁護士 「首席卒業という話、出てますね」

生島さん 「(名誉卒業だとしたら)それはちょっと酷すぎますよね。どう考えたって」

紀藤弁護士 「そういう話を聞くと、経歴詐称とまでは行かないとしても、ご自分の名誉的なところに対するプライドが強い方なのかなと思ってしまいますね。そういう点を払拭するためにも、ちゃんと説明責任は果たすべきだと思いますし、同時にメディアもきちっとカイロ大学での卒業認定をどのような形でしたのかについて調べてもらいたいですね」

生島さん 「そういうことですよね。僕はよく『一事が万事』と言うのですが、水原一平もそうなんですけど、こういうことをやる人って、他にも何かやってるんじゃないか?って疑っちゃいますよね」

紀藤弁護士 「そうですね。自分を大きく見せたいという発想ですから、いわゆる刑事事件的な詐欺ではないけれど、口先の詐欺なんですよね、経歴詐称って。口先の詐欺を発想する人って、最終的に大きな犯罪を犯しちゃうんじゃないかというヒヤリハットみたいなもので、そういう意味では信用性に大きく疑問を感じます。私は東京都民ですが、東京都知事が経歴の面で不誠実なのであれば、それは選挙行動で示して行かないといけないと思っています」

生島さん 「さすが明快!改めてニャーオ先生を尊敬しました!(笑)」

生島ヒロシさんは言い足りなかったのか、他のコーナーを挟んだエンディングでも、次のように言っていました。

生島さん 「小池さんは『名誉卒業でした』って言っちゃえばいいのにねえ。でも小池さんが『私は名誉卒業でした』って言う日は、来ないでしょうね~」

小池都知事が8年続けた安倍元首相と同じ「やるやる詐欺」
…そんなわけで、そろそろ食傷気味になって来た小池百合子都知事の「学歴詐称問題」ですが、サスガに今回は、前回のようにウヤムヤのままフェードアウトさせることは難しいと思われます。今回で白黒がハッキリするかもしれません。ま、仮に「黒」と証明されて都知事を辞職することになったとしても、清水ミチコさんにモノマネされるほどキャラの確立した人物ですから、今後は「リリーK」という芸名で「学歴詐称」を売りにしたFMラジオのパーソナリティーになるという道もあります。

また、百歩ゆずって今回も逃げきれたとしても、小池都知事は立候補した時に掲げた「満員電車ゼロ」「花粉症ゼロ」「待機児童ゼロ」「殺処分ゼロ」などの「12のゼロ」という公約を、2期8年が過ぎた今も1つとして達成できていないのです。これでは安倍晋三元首相と同じ「やるやる詐欺」であり、これほど無能で無責任な人物に、さらに4年もの任期をプレゼントするほど、東京の有権者はお人好しではないと思います。

どちらにしても小池百合子都知事の余命は夏の都知事選までなのですから、知事にはいつものようにドッシリと構えていてもらい、「待てばカイロの疑惑あり」の心境で、今後の自分の身の振り方でも考えていてほしいと思います。