小池百合子東京都知事は14日、東京・目黒区長選に出馬した前都民ファーストの会都議の応援に駆けつけた。13日には衆院東京15区補選に出馬する作家の乙武洋匡氏を応援。終始笑顔で、爆弾告発の余波を感じさせなかった。

乙武氏の応援演説ではヤジが飛んだというが、目黒区・自由が丘駅前の演説ではヤジは一切なし。ゴキゲンな小池氏は「目黒は(落語の)サンマで有名ですけど、マグロは目が黒いからメグロ、メグロ…マグロになったという説を聞いたことがあります。マグロは泳ぎ続けないといけない。ぜひこれからも区民のためにマグロのように泳ぎ続けて結果を出すことを期待しようじゃないですか」と候補者に謎のエールを送っていた。

 

一方で反小池派が勢いづいている。月刊「文藝春秋」で小池氏元側近の小島敏郎氏が「私は学歴詐称工作に加担してしまった」と告発を行ったことで、小池氏がカイロ大卒業を詐称しているとの疑惑が再燃。小池氏周辺は「またか」とあきれているが、マイナスイメージは避けられない。
どうして元側近の小島氏が告発することになったかについては、都民ファとの確執がささやかれている。いったい何があったのか。

都民ファ関係者は「築地市場の豊洲移転で、小島氏は小池氏にとっても都民ファにとっても知恵袋のような存在でした。しかし、小島氏のそもそもの政策や思想は都民ファとは違うもので、だんだんと路線の違いが明確になってきたのです」と明かした。都民ファからみると、小島氏はリベラル寄りだったという。

小島氏は都民ファで事務総長という肩書があった。「都議会の代表質問を考えてくれたこともありますが、都民ファとは相いれない内容で採用されませんでした。そういうことが続いたので、都議の任期が終わるタイミングで小島氏にも辞めてもらうことになったのです」(同)

それが2021年7月の都議選前後のことだという。「それ以降の小島氏は反小池、反都民ファになった印象です」と前出関係者。両者の対立が、告発の背景にあるようだ。

 

 

小池都知事“学歴詐称疑惑”に「都議会でも説明」の眉ツバ…答弁は女性の都政策企画局長が

 
 
 小池百合子・東京都知事(71)の「カイロ大卒」という学歴を巡り、地域政党「都民ファーストの会」元事務総長の小島敏郎氏(75)が月刊誌「文藝春秋」(24年5月号)で「(小池氏の)学歴詐称疑惑の隠蔽工作に加担した」と告発し、波紋が広がっている。
 
 記事によると、小池氏の側近だった小島氏は2020年6月、小池氏から学歴詐称疑惑の対応を相談され、「カイロ大から声明文を出してもらえばいい」と提案。3日後に学長名の声明が出されたのだが、小島氏はこの声明に疑念を持っているという。

 12日の定例会見で告発記事の真偽について問われた小池氏は「毎度毎度、選挙のたびにこうした記事が出るのは、そもそも残念だ」などと不快感を示しつつ、「会見だけでなく、都議会でも説明してきた」と説明していたのだが、果たしてそうなのか。

 少なくとも最近の都議会会議録を確認する限り、小池氏はこの疑惑について答弁に立っていないことが分かる。

 今年2月29日の都議会定例会でも、上田令子議員(58)ら複数の議員が小池氏の「カイロ大卒」の学歴を巡る「疑問」を取り上げていた。例えば上田氏の発言はこうだ。

「知事のアラビア語が堪能かどうかは、もはや都民の誰も、私も期待せず、唯一関心を持っているのは詐称、虚偽の有無であります。昨年11月、私は『女帝 小池百合子』に登場する知事とカイロ大学時代に同居していた北原百代さんのお話を伺ってきました。知事は、度々落第するも、1976年10月、必要な条件を満たして飛び級のごとく卒業したことがるる指摘されております(略)必死になって必要な条件を満たす勉強をしていたはずだった頃、エジプト航空ハイジャック事件が発生しました。(略)不思議なことに、当時のこの新聞記事では、コメントされた若き知事の身分が、カイロ大生ではなく日本航空駐在員になっており、働きながらクリアできた条件が気になって仕方がございません。この必要な条件とは何だったのか、学籍番号は何番だったのか、詳しくご説明ください」

「学歴問題です。お答えにならないようですが、知事に投票した366万人の有権者のために、議場で真贋を明らかにしていただきたいものです。学籍番号については、一度もお答えになっていないと思います。百合子さんはカイロ大を卒業していないと実名で明言している北原百代さんに確認したのです。彼女のいうことが虚偽なのでしょうか伺います」

■まるで女帝の“守護神”

 ちなみに「北原百代さん」とは、小島氏とともに「文藝春秋」で「カイロで共に暮らした友への手紙」と題し、小池都知事の学歴詐称疑惑について詳述している人物だ。昨年も同様に複数の議員が小池都知事の「学歴詐称」を繰り返し問うているのだが、小池都知事に代わって答弁しているのが、なぜか都政策企画局長の古谷ひろみ氏だ。

「経歴についてでございますが、当時のことについては、知事がこれまで議会など様々な場面でお伝えしてきたとおりでございます」

「知事がこれまで議会など様々な場面でお伝えしてきたとおりでございます」

 知事本人の学歴、経歴を巡る極めて「個人的」な質問にもかかわらず、いくら都幹部とはいえ、なぜ「他人」である古谷氏が答えているのか。まるで森友学園問題で疑惑を追及された安倍晋三元首相に代わって、当時の財務官僚が「記憶ない、記録にない」などと繰り返していた姿と重なってしまう。

 古谷氏は一橋大経済学部を卒業後、都庁入庁。港湾局勤務が長い。港湾経営部長、総務部長などを歴任し、2019年に女性初の港湾局長に就いた。抜擢したのは小池都知事だ。

 小島氏や北原氏の告発を聞く限り、この問題で小池都知事はすでに「詰んでいる」ように見えるが、潔白を示したいのであれば「女帝の女守護神」に答弁させるのではなく、自らが積極的に答えるべきではないのか。
 
 

選挙に強い「小池百合子神話」がついに崩壊? 学歴詐称疑惑と15区乙武氏の苦戦で外れた目論見

 
 
 4月16日に告示される衆院東京15区の補欠選挙。東京都の小池百合子知事は、この補選を足がかりに国政への影響力を増し、7月の知事選での地盤も固めることも視野に入れていたはずだ。だが、立候補予定者の過去のスキャンダルや、自らの「学歴詐称」疑惑が蒸し返されたこともあって、意外な苦戦が予想されている。
 
「こんな数字とはびっくりしたよ。断トツでトップだと誰もが思っていたからね」

 そう暗い表情を見せるのは、自民党岸田派の国会議員だ。

 4月16日から始まる全国3つの衆院補選は、岸田文雄首相にとって正念場だ。3敗すれば政権運営すら危うくしかねない。

 自民党は島根1区で候補者を擁立したが、自民への逆風を受け、苦しい情勢が報じられている。長崎3区では裏金事件が直撃し候補を擁立できず不戦敗。東京15区も候補を擁立できなかったが、自民党には当初、小池知事が推す候補を支援して勝利することで、面目を保とうという目論見があった。

 その東京15区で、小池知事が自ら特別顧問を務める「都民ファーストの会」から擁立したのが乙武洋匡氏(48)だ。

 乙武氏は2016年の参議院選挙で自民党から立候補の調整を進めていたが、女性スキャンダルが報じられたことで自民党が擁立を見送った経緯がある。22年の参院選では東京選挙区から無所属で立候補したが、敗北している。

 自民党は4月6、7日、独自に補選の情勢調査を実施した。この調査の結果、東京15区の立候補予定者のうち、トップは立憲民主党公認の酒井菜摘氏で18%。2番手は維新の金沢結衣氏で15%。乙武氏は11%で3番手だった。冒頭の岸田派議員は、この調査結果に驚いていたのだ。

 乙武氏は4月8日に正式に立候補表明の会見を開いた。無所属での立候補としながらも、会見場には乙武氏と小池知事のポスターが並べてあちこちに貼られていた。

 この会見では過去に報じられた女性スキャンダルが蒸し返され、乙武氏は釈明に追われた。また、自民党の推薦について、「自民から推薦を受けることはおそらく逆風になるだろう」とも発言した。

 この発言に自民党都連は反発。12日に自民は小渕優子選対委員長が、乙武氏から要請がないこと、地元の支部から「推薦しないように」との申し入れがあったことを理由に推薦見送りを発表した。

 これによって、自民党は東京15区での不戦敗が確定したが、推薦見送りを決めた背景には、乙武氏の発言への反発だけでなく、情勢調査の結果もあったようだ。東京都選出の自民党衆院議員の一人がこう話す。

「乙武氏が立候補を表明し、小池知事が応援すると決めれば圧勝ムードになると思っていた。しかし、乙武氏の過去のスキャンダルも蒸し返され、そんなムードはない。『選挙に強い小池神話』が崩壊しようとしている」

 同じタイミングで、小池知事自身もスキャンダルに見舞われた。
 
 4月10日発売の月刊誌「文藝春秋」5月号に、小池知事の元側近で、かつて都民ファーストの会事務総長も務めた弁護士の小島敏郎氏による「爆弾告発」と題した記事が掲載された。

 小池氏が再選に挑む20年の都知事選の前に、小池知事の政治とその人生を検証する『女帝 小池百合子』(石井妙子著)という書籍が出版された。その中で、小池知事の「エジプト・国立カイロ大学主席卒業」というプロフィールは「虚偽である」という指摘があったため、小池知事の「学歴詐称」疑惑が一気に燃え広がった。

 だが、このときはカイロ大学学長による、「小池氏がカイロ大学を卒業したことを証明する」という声明がエジプト大使館のFacebookにアップされ、疑惑は急速に沈静化。小池知事は同年7月の都知事選で圧勝した。

 今回の文藝春秋の記事は次のような内容だ。

 20年6月、石井氏の『女帝』が出版された後、小島氏は小池氏から「カイロ大学の件で困っている」と相談を受けて、こう助言したという。

「カイロ大学から卒業したという声明文を出してもらえばいいのではないですか」

 これを受けてカイロ大学が声明を出したが、小島氏は後日、声明の文案は元ジャーナリストのA氏が書いたことを知ったという。小島氏は、「大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」 と結論づけている。

 この告発によって、再び小池知事の学歴詐称が取りざたされる事態になった。

 『女帝』の著者の石井氏は取材に対し、こう話した。

「私の著書をきっかけに、カイロ大学が声明を出したとき、きっと裏で何かからくりがあるのだろうと思っていたら、小島さんが告発をされました。私が思い描いていたような内容でした。告発を読みますと、小池知事は保身のため、小島さんや都民ファーストなど周囲の人を巻き込んでいることがわかる。側近であった小島さんがここまで告発しているのですから、誰もが納得できる説明をすべき。小池知事は進退を考えるべきではないか」

 小池知事は4月12日の定例記者会見で、この問題について、「そもそも大前提が違う。卒業し、大学が認めている。大学の声明文も、カイロ大学の当局が意思を持って出されたもの」「毎度毎度選挙のたびにこうした記事が出るということは、そもそも残念なことです」などと反論した。

 今年7月に都知事選を控える小池知事。東京15区で、自民党が乙武氏に乗ってくれれば自民党に貸しができ、都知事選では自民党は独自候補の擁立が難しくなる。都知事選も優位に展開できる、という算段があったはず。

 それだけに、都民ファースト幹部の表情はさえない。

「自民党と公明党の政権与党がバックにつけば東京15区は楽勝。7月の都知事選も自民党の候補がいなければ、敵なしと小池知事は計算していたはずです。乙武氏についても、炎上もある程度は予測しつつ、小池知事の人気があれば勝てると出馬に舵を切った。しかし、乙武氏の昔のスキャンダルへの反発が意外に強いのに加えて、小池知事本人の学歴詐称までが再燃した。しかも身内だった小島氏から出るとはびっくりでした。小島氏は都民ファーストのまさに参謀、指南役でしたから、信頼性が高く、よけいにダメージが大きい。東京15区を実際にまわっても、乙武氏への反発は強く、情勢調査の数字が悪いのもよくわかる。まさかのダブルスキャンダルに党内は暗い雰囲気です」

 16年の都知事選挙に圧勝した小池知事は、17年9月、「希望の党」を結党して、国政進出を図った。当初は、安倍政権を倒すのではと思えるほど勢いがあったが、小池知事の「排除発言」をきっかけに流れが変わり、10月の衆議院選挙では大敗した。

 今回、国政選挙のために「ファーストの会」を設立し、乙武氏の出馬で初の国会の議席獲得に挑んだが、スキャンダルが勃発した。

 小池知事はまたもや、国政選挙を前に失速するのだろうか?

(AERA dot.編集部・今西憲之)

 

乙武洋匡氏 小池百合子都知事の演説で「潮目が変わってきた」 衆院東京15区補選告示日は2度応援に

 
 
 衆院東京15区補選(江東区、16日告示・28日投開票)に無所属で立候補を表明している作家の乙武洋匡氏(48)が15日、同区内で開く選挙事務所を公開した。
 
16日の告示日は、同氏の出馬を主導した小池百合子東京都知事(71)が2度、応援に駆けつけることが決定。「プレッシャーです。いよいよ負けられない。小池さんが来て下さって、落とせない」と、不退転の決意を見せた。

 乙武氏が13日、同区内の商業施設で行った演説会に小池氏が応援に現れた。「とにかく勝ちましょう。ヤジには応酬しない」とアドバイスをもらったという。「潮目が変わってきたというのを感じている。反応も非常にいい。街中で声を掛けていただくこともグンと増え、ネット上でもポジティブな声が多く届くようになった」と声を弾ませた。

 2021年7月の参院選出馬時に、目を入れることができなかったダルマを事務所に持参した。「今度こそ一緒に目を入れましょうということで。うれし涙を流しながら目を入れられたらと思う。前回の参院選は、政党が六つの枠を争う中で無所属が入って行こうとする無謀な戦いだった。今回はしっかりと構図がある中で、しっかりと当選が狙える」と手応えを感じていた。

(よろず~ニュース・杉田 康人)