小池百合子東京都知事の元側近・小島敏郎氏の爆弾告発が波紋を広げている。

「小池知事のカイロ大学の学歴詐称疑惑に関する記事が出るらしいという話が、8日の月曜日に都庁関係者の間で回りました。9日の朝に文春オンラインで『スクープ速報』が出て、記者たちにも一斉に知れ渡った。記事を見てみんな驚いていました。小島さん、ついにやったんだ、と。都庁は蜂の巣をつついたような大騒ぎです」(都庁担当記者)

 

“学歴工作”の過程が明るみに
 

小池百合子東京都知事の元側近・小島氏 ©文藝春秋

 記事というのは文藝春秋5月号に掲載された、元都民ファーストの会事務総長・弁護士の小島敏郎氏の手記「 小池百合子都知事 元側近の爆弾告発『私は学歴詐称工作に加担してしまった』 」のことだ。

 小島氏は元環境省の官僚で、小池氏が環境大臣時代に「クールビズ」を共に推進。その縁で小池氏が都知事に就任すると都の特別顧問となった。2017年の都議選で都民ファから55人の都議が誕生してからは、同党の政務調査会事務総長を務め、小池氏の「側近」と呼ばれていた。

 その小島氏が手記で明かしたのが、2020年6月9日、駐日エジプト大使館のフェイスブックにアップされた「声明:カイロ大学」と題した文書の作成過程だった。その文書には、小池氏が「1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する」などと記されていた。

 小池氏は7月5日に都知事選を控えていたが、まだ出馬表明をしていなかった。当時、“学歴詐称疑惑”が取りざたされていたからだ。同年5月末に発売された『女帝 小池百合子』(石井妙子著)は、彼女のカイロ大学卒業の経歴を「虚偽である」と指摘し、都議会でも「小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出に関する決議案」が提出されようとしていた。

 そこで小池氏は6月6日に小島氏を呼びだし、疑惑払拭に向けて相談をした。小池氏は相当憔悴していた様子だった。手記にはこう記されている。

〈「卒業はしているんですよね?」

 彼女は即答しました。

「しているわよ」

 私は率直に聞きました。

「卒業証書や卒業証明書を見せればいいんじゃないですか。それがあれば通常、それ以上の証明は求められません。それはあるんですよね?」

 小池さんは言いました。

「あるわよ。でもそれで解決しないから困っているのよ」〉

 そこで小島氏は、カイロ大学学長から「卒業したこと」を明言する声明文のようなものを、PDFなどで送ってもらえばいいと考えて「カイロ大学から、声明文を出してもらえばいいのではないですか」と助言した。

 翌日、小池氏からメールが届く。カイロ大学の声明文の宛先は、小池氏宛てでいいか、内容はどのようなものがいいか、小島氏に聞いてきたのだ。小島氏はこの問い合わせには答えなかったが、2日後の9日、駐日エジプト大使館のフェイスブックにカイロ大学の声明が掲載された。小島氏はあまりの手回しの早さに驚いたという。

 

カイロ大学声明の作成者が名乗り出た
 カイロ大学声明の効果は絶大で、疑惑を追及する声は一気に沈静化した。そして小池氏は圧倒的な得票数で再選を果たした。

 だがその後、小島氏は疑念を抱くようになる。本当に卒業しているのなら、なぜあんなに憔悴していたのか。もしかしたら、本当は大学を卒業していないのではないか。だとしたら、自分は疑惑の“隠蔽工作”に手を貸してしまったのではないか。

 しばらくして、小島氏は小池氏のブレーンだった元ジャーナリストのA氏から「実は駐日エジプト大使館のフェイスブックに上げられたカイロ大学声明は、文案を小池さんに頼まれ、私が書いたんです」と打ち明けられた。

 カイロ大学声明は、小池氏がA氏に依頼して作ったものだったのだ。

 小池氏は、当時秘書のように使っていた樋口高顕都議(現・千代田区長)に指示を出しつつ、文面を作成していった。さらに、駐日エジプト大使館のサイトに声明文を掲載することをアドバイスしたのもA氏だった。手記ではその過程をA氏の証言や、小池氏と樋口氏からのメールなどで詳細に描いている。

 声明がフェイスブックに掲載される前日、小池氏からA氏にメールで連絡があったという。

〈8日の午後8時34分、彼女からA氏に画像が送られてきました。翌日、大使館のフェイスブックに掲載される英文のカイロ大学声明文の画像でした。

 そして午後9時20分、再び小池さんからA氏に、次のメールが送られてきます。

「明日の4時から、郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます」

 この「全部済ませます」という小池さんの言葉。ここから声明文作成と発出の真の主役が誰であったのかがわかります。小池さんの、これですべてを封じるという強い意思の表れでしょう。

 6月9日の午後2時9分、大使館のフェイスブックに声明文がアップされると、樋口さんからA氏に「出た」旨が伝えられました〉

 再選後、A氏が小池氏に会った際にはこうお礼を言われたという。

〈開口一番、「エジプト大使館のフェイスブックに載っけるというのは、私、思いつかなかったわ!」と、上機嫌で言われたそうです〉

 文藝春秋編集部は小池氏に「声明文作成に関与したのか」など、事実関係を確認する質問状を送った。すると小池氏は「回答する義務はなく、回答する必要性も存在しないと考えている」と、代理人弁護士を通じて答えた。

 樋口氏には千代田区報道課や樋口氏のHPへ質問状を送ったが、締め切りまでに回答は無かった。

 4月12日の午後2時からは、都庁で定例の記者会見が開かれる。ここで小池氏は手記について何と答えるのか。対応が注目される。

『文藝春秋』5月号(発売中)及び「文藝春秋 電子版」(4月9日公開)には、小島氏の手記「 小池百合子都知事 元側近の爆弾告発 」が全16ページにわたり掲載されている。

 

 

小池百合子都知事〝経歴詐称〟報道はスルーか 都庁の書店から消えた「文藝春秋」

 
 
都庁から告発本が消えた。7月の都知事選を前に小池百合子都知事の学歴詐称騒動が再燃し、都庁や都議会、永田町は小池氏の動向を固唾をのんで見守っている。

10日発売の月刊「文藝春秋」は、小池氏の最側近だった元都民ファーストの会事務総長の小島敏郎氏による告発記事を掲載。4年前の都知事選前に起きた小池氏のカイロ大卒業を巡る学歴詐称騒動で、小池氏周辺は駐日エジプト大使館のフェイスブックに卒業を証明する声明文掲載の裏工作を行ったという。

さらに小池氏がカイロ大在学時に現地で同居していた北原百代氏の手記も掲載され、「出てもない大学を『卒業した』と言ってはいけない」とカイロ大卒は虚偽だと告発し、一大キャンペーンを組んでいた。
 
都庁には書店がテナントで入っている。11日、のぞいてみると、先月号の文藝春秋は10冊以上が山積みになっている中、出たばかりの今月号は売り切れ、一冊も置いていなかった。「過去にも都庁の書店では、小池氏に関する暴露本や批判が掲載された週刊誌は買い占められるのか、職員の注目度が高いのか、すぐに売り場から消えます」(都政関係者)

小池氏は文藝春秋の報道にどう対応するのか。

「文春砲を受け、小池氏の入院説や12日の定例会見での辞任表明、政界引退説まで飛び交ったが、小池氏を支える都民ファーストの会や都議会自民党は『カイロ大が声明を出している以上、卒業をウソだと覆す新事実はない』として、文春砲には触れない方針を固めたようです」(都議会関係者)

この日、東京都は5月5~9日まで小池氏の米国外遊を発表。またファーストの会は東京15区補選(16日告示、28日投開票)を前に乙武洋匡氏が13日に江東区内で開く街頭演説会に、小池氏が応援弁士として駆けつけると発表した。

一方で、小島氏側も12日に記者会見する予定。〝平常運転〟で、一刻も早く火消ししたい小池氏側の思惑とは裏腹にバトルは避けられない様相だ。
 
 

小池百合子と「ドヤコンガ」を結ぶ点と線。都知事の学歴詐称疑惑を「上書き」隠蔽か?ドヤコンガの“政治利用”懸念高まる

 
 
超売れっ子の人気女性声優の「X(旧Twitter)アカウント乗っ取り」が発端となり、現在SNS上の話題をさらっている“ドヤコンガ”騒動。女性声優・水瀬いのり(28)がハンドルネーム“ドヤコンガ”を名乗りネットでライバル女性声優たちに対する煽り投稿を繰り返していたのでは?という疑惑だが、まさに「事実は小説より奇なり」を地で行くかのごときアニメ声優業界の“怪事件”にネット民は興味津々という状況となっている。
 
しかしながらこのドヤコンガ騒動を理解するにあたり必須となる“ドヤコンガ学”は、いくつもの謎が複雑に絡み合っているため、いわゆる初見殺しの要素が多いのも事実だ。“ドヤコンガ”は実は“二代目ドヤコンガ”であり、そのハンドルネームは“初代ドヤコンガ”から奪ったもので、つまり「ドヤコンガは2人いる」という初歩の初歩からして、もはやややこしさの極致だ。

「この関係性を把握するだけで、原付免許試験並の学習時間が必要でした」

と話すのは50代の男性ライターだが、さもありなん、である。そこで弊サイトでは9日、「イチから学ぶ『ドヤコンガ』の正体。人気声優・水瀬いのり本人なのか?スタッフなのか?『整形ばらし『口パク暴露』の真犯人は」を公開した。この記事にもネットユーザーは敏感に反応。
 
<大変ありがたいドヤコンガ騒動のまとめ>

<どういう状況かようやく理解できた>

<イチから読んだらほんとにわかった>

といったポストが相次いだ。それだけ難解を極める騒動だったと言えるだろう。

『文藝春秋』が報じた小池都知事の「学歴詐称疑惑」
そんな中にあって月刊総合誌『文藝春秋』は10日発売の5月号で、「『私は学歴詐称工作に加担してしまった』小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」なる記事を掲載。

一部報道で、自民党派閥の裏金疑惑で党役職停止1年の処分を受けるも自民都議連会長を務める萩生田光一衆院議員(60)から、3戦目を目指す7月の都知事選への支援を取り付けたとされる小池百合子都知事(71)の「カイロ大学卒業」という経歴に関する重大疑惑だ。

『文藝春秋』に告発を行ったのは、かつて都民ファーストの会事務総長を務めていた“元側近”小島敏郎氏(75)。加えてYouTubeチャンネル「『週刊文春&文春オンライン』公式チャンネル」には、あの紀藤正樹弁護士が「必見」とする、小池氏が自著に「首席で卒業」したと記したカイロ大学時代の同居人女性が実名で「学歴詐称疑惑」を語った動画がアップされている。
 

 

もしも小池氏の学歴詐称が「真実」であるならば、公職選挙法違反に問われかねない大問題だ。

 

● Googleトレンド 過去7日間 小池百合子

しかし、である。通常であれば大炎上間違いなしの「小池氏学歴詐称疑惑」が、ある“スピン報道”でかき消されてしまったのだ。そう、それは他でもない“ドヤコンガ”騒動だ。

小池氏の「学歴詐称疑惑」を炎上から救ったドヤコンガ
小池氏に対する「学歴詐称の爆弾告発」は、都民はもちろんのこと日本中の関心が極めて高かったことは、Googleトレンドからも見て取ることができる。

 

● Googleトレンド 過去7日間 小池百合子vsドヤコンガ 人気度の動向

10日午前7時の時点では小池氏を示す「青線」が大きく伸びているが同日12時には“ドヤコンガ”の「赤線」が逆転。このグラフからは、小池氏の窮地を“ドヤコンガ”が身を挺して守っていることが見て取れる。さらにグラフ下部の「地方で比較した内訳」に目をやると、小池氏が知事を務める東京都においても、“ドヤコンガ”が圧倒的に優勢となっていることが分かる。

 

● Googleトレンド 過去7日間 小池百合子vsドヤコンガ 地方で比較した内訳

“ドヤコンガ”騒動は、7月に知事選を迎える都民、そして政治全般に不信を持つ国民の目を小池氏のスキャンダルから逸らすための身代わり、すなわちスケープゴート(人身御供)だったというのだろうか。

ドヤコンガの“政治利用”という見方も

「小池氏学歴詐称疑惑」のスピン報道の可能性が指摘されている“ドヤコンガ”騒動。スピン報道とは、政権与党や有力政治家に浮上した重大な問題から世間の注意を逸らすためになされる、主に芸能ゴシップを大きく取り上げる手法で、これまでに何度も行われてきている。前出の50代男性ライターはこう話す。

「誰もが覚えているのは、19年11月に麻薬取締法違反の容疑で逮捕された沢尻エリカさんの件でしょうか。当時の安倍政権は『桜を見る会』をめぐる疑惑で野党やマスコミから袋叩きに遭っていましたから。鳩山由紀夫元首相がSNSでその疑惑を肯定するかのような投稿をしたことで大きな話題になりました」

さらに同氏は、その前年の11月のカルロス・ゴーン日産自動車会長の逮捕も、12月に可決された改正出入国管理法に対するスピン報道だった可能性が高いと指摘する。そんな男性ライターに、上掲のグラフを示してみた。

「確たる証拠はありませんが、小池都知事のあれだけの疑惑が炎上を免れているわけですから、その現象だけをみれば“ドヤコンガ”騒動が都知事を救っているのは事実ですよね。ドヤコンガが都知事の人身御供になったとでも言いましょうか。ドヤコンガの“政治利用”と言って差し支えないかもしれません」

ドヤコンガの“政治利用”という視点は新鮮だが、さらにこのような読みも存在する。「イチから学ぶ『ドヤコンガ』の正体~」でコメントを求めた、アニメーション全般に深い造詣を持つ40代の男性ネットメディア編集デスクはこう語る。

「“ドヤコンガ”騒動は、実はかなり前からネットで話題となっていました。それを有名インフルエンサーの滝沢ガレソさんが取り上げたタイミングが10日の朝10時と、あまりにも遅いんです。これはいろいろと怪しいという声も上がっています」

 

確かにガレソ氏が初めて“ドヤコンガ”騒動を取り上げたのは10日の午前10時14分。誰よりも早くさまざまな疑惑を取り上げる同氏にしては遅いという声が出ており、上掲グラフで小池氏の「青線」が一気に伸びた同日7時よりも遅かったという点も気になる。ガレソ氏に言わせれば「んなアホな」の話かもしれないが、そんな疑いを持っている人もいるようだ。

さらにネットメディア編集デスクからはこんな指摘も。

「キーワードとして考えた場合、“ドヤコンガ”と“小池百合子”には、ある種の互換性があるんですよ。ためしに、ほら、たとえばこれらの投稿の主語を、ドヤコンガと小池百合子で、相互に入れ替えてみてください」

さっそく試してみた。

 

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小池百合子の人間的な面白さで逆に小池百合子が今まで以上に好きになったまであるかもしれない。小池百合子のキャラ好きだったし小池百合子の声まだ聞きたいから小池百合子にはまだまだ頑張ってほしいわ。

 

↓↓↓

二階みたくドロンするかもしれない、ドヤコンガは。

なるほど、どちらも日本語として違和感がない。きちんと意味は通っている。

「まったく違和感がないからこそ、小池さんとドヤコンガの関係を怪しむ声が上がっているんでしょうね」

ともあれ都民は7月、どのような審判を下すのだろうか?

 

 

「2018年の会見で気がついた」学歴詐称報道の小池百合子都知事、“元婚約者”と呼ばれた男が語る「嘘」の瞬間

 
 4月10日発売の月刊誌『文藝春秋』が、東京都の小池百合子都知事の元側近である小島敏郎氏の“爆弾告発”を掲載。小島氏はそのなかで、自ら小池知事の学歴詐称の隠蔽工作に加担していたと告白した。
 
「証言によれば、前回の知事選の直前、2020年5月に出版された『女帝 小池百合子』で学歴詐称疑惑を告発された際に、困り果てた小池知事に相談され、カイロ大学に卒業を証明する声明文を出してもらうように提案した、というのです」(週刊誌記者)

 そして数日後、カイロ大学学長の署名入りの声明文が駐日エジプト大使館のFacebookに掲載され、そこには小池知事が同大学を卒業したことを証明する、とあった。これにより、学歴詐称疑惑をめぐる事態はひとまず収束、小池知事は都知事選で2期めの当選を果たしている。

 小島氏の証言は、これでは終わらない。

「小池知事のブレーンの元ジャーナリストと面会した際、カイロ大学の声明は自分が書いたと打ち明けられたというのです。つまり、小池知事は声明文を捏造した疑いがあるということです。小島氏は、小池知事が率いる『都民ファーストの会』の元事務総長で、2016年に小池知事が初当選した際、都の特別顧問に就任した側近中の側近。そんな人物の証言ですから、小池知事にとって打撃は大きいでしょう」(同前)

 小池知事の学歴詐称疑惑が問題とされるのは、今回が初めてではない。

 当初、小池知事は「カイロ大学首席卒業」を売り物にしていた。その学歴に早くから疑問を持っていたのが、元都知事の舛添要一氏である。

「小池さんと知り合ったのはもう45年も前になりますが、当時、彼女はテレビにも出ていて、すでに有名人でした。“元婚約者”と書かれたこともありますが、それはまったくの嘘です。

 あるとき、私も番組に呼ばれ、そのとき『振り袖、ピラミッドを登る』という彼女の著書をもらったんです。本には『カイロ大学首席卒業』とあった。私もフランスのパリ大学に留学した留学組ですから、よくわかりますが、アラビア語を母国語としない日本人が、カイロ大学で首席を取るなんて、すごいなと驚きました」

 その後、どこかで会ったときにそのことを言うと、小池氏は笑いながら、悪びれもせずこう答えたという。

「私の学部は、学生が私ひとりだったから、首席でもあり、ドベ(ビリ)でもあるのよ」

「にわかには信じられなかったが、まあ、そんなもんかと。しかし、その後、2018年の都知事記者会見を見て、小池知事の『嘘』に気がつきました。記者からカイロ大学を首席で卒業したという経緯について質問され、『非常に生徒数も多いところでございますが、ただ、先生から、非常にいい成績だったよ、とアラビア語で言われたのは覚えております』と答えているんです。私には学生はひとりだったと言っていたのに、生徒数が多いと答えている。ああ、そういうことかと思いました」(舛添氏)

 政治ジャーナリストが、今回の学歴詐称疑惑が小池知事に与えたダメージの大きさを語る。

「小池知事は当初、4月28日投開票の衆院東京15区補選に出馬して、国政復帰するとみられていました。“初の女性総理”を目指すためです。ところが、出馬を表明したのは作家の乙武洋匡(ひろただ)氏。その理由は、小池知事が親しい、自民党の二階俊博元幹事長が、次期衆院選での不出馬を表明したことで、小池氏が国政復帰しても自民党復党の目途が立たなくなったからです。

 それに加えて『文藝春秋』の記事の内容を何らかの方法で知り、それが決定打となって、乙武氏の擁立を決めたのではないでしょうか。いずれにしても、今回の学歴詐称疑惑の再燃で、3選確実とみられていた7月の都知事選に黄信号が灯ったと言っていいでしょう」

 小池知事に打つ手は残っているのか。
 
 

女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」

 
きわめて厳しい数字

 女帝、小池百合子都知事の思惑は大きく外れてしまったのかもしれない。

 4月28日に行われる衆議院の3つの補欠選挙のうちの1つ、東京15区補選に満を持して作家の乙武洋匡氏を擁立した小池氏だが、与野党各党の情勢調査で既に厳しい数字が叩きつけられている。
 
 都知事から国政に戻ってくることも噂され、補選はその足掛かりとも見られていたが、元側近による文藝春秋への告発によって学歴詐称疑惑も再燃しており、早くも窮地に立たされている。

 「乙武氏にここまで悪い数字が出るとは」

 永田町に出回っている情勢調査の結果を見て、自民党関係者は絶句した。

 日本維新の会が実施したとされる東京15区補選の情勢調査によると、立憲民主党の酒井菜摘氏が15.6ポイントで首位となり、維新の金澤結衣氏が次点の10.2ポイント、日本保守党の飯山陽氏が9.2ポイント、共産党の小堤東氏が7.8ポイントと続き、乙武洋匡氏は7.5ポイントと遅れをとっている。

 すでに共産党は小堤氏の出馬を取り下げ、酒井氏を支援することを表明しており、酒井氏のポイントはさらに上積みされていく可能性が高い。

 また、自民が実施したとされる情勢調査でも、立憲・酒井氏18ポイント、維新・金澤氏15ポイント、乙武氏11ポイントとなっており、乙武氏の劣勢が伝えられている。

 そもそも東京15区補選は、昨年4月に実施された江東区長選で自民の柿沢未途元衆院議員が選挙買収を行い、公職選挙法違反の罪で逮捕、起訴(すでに懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定)された「政治とカネ」の問題が発端になっている。

 裏金問題が自民を揺るがす大逆風の中で、同党は候補者擁立もままならない状態だったが、小池氏は乙武氏の擁立を内々に自民幹部に伝達。選挙に強い小池氏が、乙武氏という知名度抜群の候補を立てるという「助け舟」に自民は飛びつき、推薦を出す方向で調整していた。

 しかし、乙武氏は自民の裏金問題に関する悪評を懸念してか、出馬会見で「政策を見て推薦したいという思いをいただけるのであれば1つ1つの政党とお話をしたいが、現時点では私自身から推薦依頼を出している事実はない」と発言。

 一方の自民も、予想以上に伸び悩んでいる乙武氏の情勢を見て「惨敗するなら推薦を出さないほうがいいのではないか」(関係者)という声が出ている。
 
構想はすでに瓦解
 もともと厳しい情勢になる懸念はあった。

 2016年参院選では自民党が乙武氏を擁立する予定だったが、不倫などの女性問題が週刊新潮で報じられて出馬を断念。

 乙武氏は2022年参院選にも、無所属で東京選挙区(定数6)に出馬したが、9位となり及ばなかった。

 それでも都内の選挙で圧倒的な強さを見せる小池氏がバックアップする体制に自民は勝機を見出していたが、創価学会女性部(旧婦人部)の影響が大きい公明党は女性問題に難色を示し、都民ファーストの会と連携してきた国民民主党も「自民党が推薦を出すような人は応援できない」(榛葉賀津也幹事長)と述べるなど、思い描いていた構想はすでに瓦解しつつある。

 そうした中でさらに小池氏を追い込んでいるのが、都民ファーストの会で事務総長をしていた小池氏の元側近、小島敏郎氏が文藝春秋に寄せた「告発」だ。

 2020年に小池氏の「カイロ大学卒業」に関する学歴詐称疑惑に迫った『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売されたのに対して、駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認めるカイロ大学声明を掲載して沈静化を図ったが、この声明は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したという内容になっている。

 学歴詐称を払拭するための声明に小池氏自身が深く関わっていたことを示すもので、その正当性は大きく揺らいでいる。

 乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。

 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている。

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 さらに「自民党がいよいよ窮地へ…ナンバー2・茂木幹事長がついに口にした「驚愕のひと言」」の記事では、自民党がいま迎えている大きな危機について報じている。

宮原 健太(ジャーナリスト)